平成4157日目
2000/05/26
この日のできごと(何の日)
【森喜朗首相】神の国発言釈明会見
森喜朗首相は26日午後4時半から、「日本は天皇中心の神の国」との首相発言をめぐり異例の記者会見を行い、「多くの方に誤解を与えたことを深く反省し、国民の皆さまに心からおわびする」と陳謝した。しかし発言そのものの撤回に関しては「間違ったことを申し上げたとは思っていない」と拒否した。その上で、「十分反省し、責任をもって政権運営に当たりたい」と述べ、6月2日解散−同25日投票の総選挙日程に変更がないことを強く示唆した。
政府・与党は「これをもって国民の理解を得ていきたい」(野中広務自民党幹事長)と、同発言に伴う混乱の収拾を急ぐ方針。しかし野党4党は、首相が発言を撤回しなかったことに反発を強めており、「6月総選挙」の争点になるのは避けられない見通しだ。
首相は「神の国」発言について、17日の参院本会議では、「誤解を生じたとすれば申し訳ない」と答弁していた。しかし26日の会見では一歩踏み込み、「誤解を与えた」ことを認め、陳謝した。その上で、「憲法の定める国民主権、信教の自由を尊重、順守することは当然だ」との考えを改めて表明した。しかし発言の真意に関しては、「天皇が神であるということではなく、日本国、国民統合の象徴という意味だ」「宗教的な情操教育が大切と申し上げたかった」などと従来の釈明を繰り返すにとどまり、撤回する考えがないことを強調した。
首相の資質を問う声が出ていることについても、「資質は国民の判断することだ」と突っぱねた。さらに「発言が内閣支持率の低下に影響を与えていることは率直に認めざるを得ない」としながらも、「謙虚に国民の声に耳を傾け、負託にこたえていきたい」と政権維持への決意を表明。衆院解散・総選挙についても「国民の信を問うべきと考えれば直ちに断行する」と述べた。《共同通信》
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【森喜朗首相】高齢者施設を視察
5月26日、森総理は4月からスタートした介護保険の現場を視察するため、老人福祉施設等を訪問するとともに、介護保険関係者らと懇談した。
森総理は、丹羽雄哉厚生大臣及び大野由利子厚生総括政務次官とともに、東京都立川市にある高齢者総合福祉施設「至誠ホーム」(橋本正明ホーム長)を訪問、関係者の案内で特別養護老人ホームやデイサービスセンターを見学しながら、利用者のお年寄りの話に耳を傾け、激励した。《首相官邸》
【豊島事件】25年ぶりに決着へ
香川県・豊島に不法投棄された約50万トンの産業廃棄物をめぐる国の公害調停が26日、総理府内で行われ、公害等調整委員会は①県が行政責任を認め住民に謝罪する②産廃を豊島の西約5キロの直島(同県直島町)に運搬し処理する−ことを骨格とする正式な合意案を県と住民側に提示した。
調停後の記者会見で双方は合意案受け入れの姿勢を示し、公害調停は事実上成立。産廃問題の象徴となった豊島問題は、住民が反対運動を始めてから約25年ぶりに全面的に決着することになった。処理事業費などは約300億円に上る。
県は5月31日からの臨時県議会、住民側は6月3日の住民大会でそれぞれ合意案の正式受け入れを決め、6月6日に調停の調印が行われる。
受け入れの理由について、県側代理人の田代健弁護士は「ぎりぎりの調整で受け入れ可能と判断した」とし、住民側の中坊公平弁護団長は産廃撤去の確約と県の謝罪の2点を挙げた。
合意案によると、これまで県側が「遺憾の意」を表すにとどまっていた住民への謝罪について「県は廃棄物の認定を誤り(産廃処理業者に)適切な指導監督を怠った結果、土壌汚染、水質汚濁など深刻な事態を招き、豊島住民に長期にわたり不安と苦痛を与えたことを認め、心から謝罪の意を表する」と明文化された。
県は産廃などを平成28年度末までに搬出し、三菱マテリアル(東京)直島製錬所敷地内に建設するプラントで処理。産廃排出業者の解決金については住民側に1億5500万円、県に1億7000万円と配分、県は廃棄物処理費用に充てる。《共同通信》
【松山地裁】誤認逮捕の男性に無罪
無実の窃盗事件で誤認速捕、起訴され、判決直前に「真犯人」が見つかり釈放、検察側が異例の「無罪論告」をした愛媛県内の男性(51)に対し、松山地裁宇和島支部の斎藤聡裁判官は26日、無罪を言い渡した。
同裁判官は捜査段階での男性の自白について「警察官に信用してもらえないというあきらめや、家族や動務先に迷惑をかけたくないとの思いから、想像を交えて供述をした」と信用性を全面的に否定した。
自白偏重の捜査に反省を促す認定。検察側は同日中に上訴権放棄の手続きを取り、無罪が確定する。男性側は刑事補償や国家賠償の請求を検討している。
判決理由で斎藤裁判官は、捜査段階の男性の取り調べについて「取調官が机をたたいたことはあった」と認めたが、「暴行や脅迫はなかった」とし、具体的な捜査当局のミスや責任については言及しなかった。
「取り調べなどの際に、黙秘権を知らされなかった」とする男性の主張については、「およそ考えられないことで、信用できない」とした。
さらに、男性と、高知地検が起訴した真犯人とされる男(61)の供述内容を詳細に比較して検討。「男性は犯行動機に乏しく、自白以外に裏付け証拠がない。高知の男の自白は客観的事実と符合、秘密の暴露もあり、信用性は高い」と判断し、男性についての「犯罪の証明はない」と結論付けた。
判決によると、愛媛県警に逮捕された男性は、平成10−11年に愛媛県宇和島内の知人宅から通帳と印鑑を盗み、農協で50万円を引き出したとして、起訴され、検察側が懲役2年6月を求刑していったん結審した。その後、高知県警が強盗致傷容疑で逮捕した大阪市内の男が愛媛の事件も自供。男性は判決4日前に釈放され、4月の再開公判で検察側は異例の無罪論告をし、男性に謝罪した。《共同通信》
【第一ホテル】更生法申請
巨額の借入金やメーンバンクの日本長期信用銀行の破たんなどで経営難に陥っていたホテルチェーンの第一ホテル(本社東京、資本金48億円、根橋剛社長)は26日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
再建策の柱となっている金融機関に対する債権放棄交渉が不調に終わり、自主再建を断念した。同社によると負債総額は保証債務などを含め1152億円。帝国データバンクによるとホテル業界の倒産では過去最大で、今年に入って上場企業の倒産は6社目。
同社は直営やフランチャイズ形式でビジネスホテルを全国展開したが、バブル期に都内で高級都市型ホテルを相次いで開業するなど過大な投資により借入金が膨張。その後、金利負担に加えて景気低迷の長期化で客足が遠のくなどして急速に業績が悪化した。
ピーク時の平成6年3月期に233億円あった売上高は11年3月期には160億円まで落ち込み、11年9月中間決算では46億円の債務超過に陥った。《共同通信》
【天皇、皇后両陛下】フィンランド訪問
オランダを公式訪問していた天皇、皇后両陛下は26日午後(日本時間同日夜)、政府専用機で3カ国目の訪問国フィンランドに入られた。
ヘルシンキ空港に到着後、大統領官邸で歓迎行事に臨み、陛下はハロネン大統領とともに官邸の入り口前で儀じょう隊を巡閲。雨上がりの肌寒い中、両陛下が大統領夫妻とともに官邸のバルコニーに立つと、集まった市民が日の丸の旗を振って歓迎した。両陛下は引き続き大統領と会見された。
宮内庁によると、会見で大統領は、冷たい風が吹く中での歓迎行事だったことを受けて「フィンランドは寒いですが、人の心は大変温かいです」と話した。
フィンランド初の女性大統領であるハロネン大統領は、「私的なプレゼントとしてお孫さんに」と、同国の絵本の主人公で、日本でもアニメで有名なムーミンの縫いぐるみを二つ贈ったという。《共同通信》
【西鉄バスジャック事件】夫婦殺傷「君は偉大」
西鉄高速バス乗っ取り事件で、再逮捕された佐賀市の少年(17)が事件当日に自宅に残した「犯行声明文」に「君は偉大な少年だ」「運命的なものを感じる」と書き込み、愛知県豊川市で起きた夫婦殺傷事件で逮捕された同年齢の男子高校生に共感を寄せていたことが26日、広島県警などの合同捜査本部の調べで分かった。
これまでの調べに対し、少年は同事件について「先を越されたと思った」などと供述。捜査本部は、同世代の殺傷事件が、療養所への入院で家族への不満を高めていた少年を犯行に踏み切らせる引き金となった可能性があるとみている。
捜査本部によると声明文は大学ノート7枚に書かれ、一枚ずつ番号と日付が記され、5月3日付の5、6枚目に1日に起きた夫婦殺傷事件に言及していた。高校生に呼び掛ける形で、事件を「すばらしい」とし、「僕も今日実行する」「何か運命的なものを君には感じるよ。年も一緒。学校では優等生」と記述していた。《共同通信》
【山村聰さん】死去
小津安二郎監督の「東京物語」や、テレビドラマの父親役で知られる俳優で映画「蟹工船」などの監督も手掛けた山村聰さんが26日午後4時40分、急性心筋こうそくのため東京都杉並区の病院で亡くなった。90歳。奈良県出身。
昭和10年東大文学科松竹の関西新派を経て、文化座の創立に参加した。復員後の21年、東宝映画「命ある限り」でデビュー。翌年の「女優須磨子の恋」で脚光を浴びた。
その後、小津安二郎監督の「宗方姉妹」「東京物語」「早春」、溝口健二監督の「雪夫人絵図」などに出演、演技力と芸域の広さを示す一方、「平手造酒」など時代劇にも主演した。
27年「現代ぷろだくしょん」を設立。翌年、小林多喜二原作の「蟹工船」を製作、初めて演出を手掛け、以後自ら主演した「黒い潮」などで映画監督としての力量を発揮した。
ほかの出演作としては、キネマ旬報男優賞を獲得した「傷だらけの山河」、山本五十六役の「トラ・トラ・トラ!」がある。《共同通信》
【この日の民主党】
似非『循環法』には賛成できない=佐藤NC環境・農水大臣が批判談話
佐藤謙一郎NC環境・農林水産大臣は26日、政府提出の「循環型社会形成推進基本法」が成立したことを受けて談話を発表した。佐藤大臣は今回の基本法について、「環境基本法の成立から7年が経過し、社会的にも環境負荷を低減させることが当然の責務と認識されているなか、環境基本法と何ら変わるところがなく、社会の流れを全く無視した似非『循環法』である」と厳しく指摘。内容的にも(1)拡大生産者責任は骨抜き(2)有害物質対策はほとんどない(3)廃棄物の定義もそのままで現状を追認するだけだ――として、「賛成できない」との態度を表明した。
民主党サミット対策本部、第1回会合開く
次期総選挙での政権交代をめざす民主党は26日、国会内で選挙後まもなく行われる沖縄サミットに向けて「民主党サミット対策本部」の第1回会合を開いた。
冒頭、鳩山代表は「総選挙に勝利した場合、政権担当者としてサミットにスムーズに対応し、成功させなければならない。さらに、アジアの拠点である沖縄でサミットを開くことの意義を強調することも必要だ」とあいさつ。 同本部は今後、現在の政府の準備状況と各国の動きについて情報収集に努めながら、最貧国の債務帳消しなど、民主党が世界に問題提起する独自の課題を検討していく。
本部役員は次の通り。本部長=鳩山由紀夫代表、本部長代理=伊藤英成NC外交・安保担当大臣、事務局長=簗瀬進国際交流委員長、副本部長=菅直人政調会長、顧問=羽田孜幹事長。
鳩山代表は29日に遊説のため沖縄入りし、その足でサミット会場などを視察する予定。《民主党ニュース》