平成3701日目
1999/02/25
この日のできごと(何の日)
【小渕恵三首相】有事法制「早期立法化は念頭になし」
小渕恵三首相は25日午前の参院予算委員会で、日本の有事法制整備に前向きな姿勢を示した24日の同委での答弁について「直ちに立法化するということを言ったのではない」と述べ、早期の法整備を念頭に置いた発言ではないことを強調した。
ただ首相は有事法制論議について「国会審議などを踏まえた形でどう考えるかについて、今日の状況は時代の変化や国民の意識の変化があるということを言った」と論議を取り巻く時代環境が変化しているとの認識を示した。
野呂田芳成防衛庁長官は、日本有事での米軍支援に関する法整備について「研究に着手するのは将来の課題と認識している」と述べ、早期に検討を開始すべきとした24日の同委での答弁を修正した。《共同通信》
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【ロシア・エリツィン大統領】中国・朱鎔基首相と会談
エリツィン・ロシア大統領は25日、首相就任後初めて訪口した中国の朱鎔基首相とクレムリンで会談し、今年中に予定されている大統領の訪中の際、両国の主要閣僚を交えた初めての拡大首脳会談を開催することを提案した。1996年4月に中国との間で「戦略的パートナーシップ」を結んだロシアが、21世紀に向け、一層の関係緊密化に乗り出したといえる。
インタファクス通信によると、朱首相は提案を江沢民国家主席に伝えると答えた。拡大首脳会談は、両国関係発展のため、経済協力強化の推進などについて両政府間で突っ込んだ協議をするのが目的。ロシアがドイツと行っている拡大首脳協議と同様のものという。大統領の訪中の時期については今後、調整することになった。
会談で大統領は「(江主席が)両国間の合意をすべて履行しており、われわれも履行している」と述べ、関係拡大に満足の意を表明した。
朱首相はプリマコフ首相とも個別に定期首相会談を行い、具体的経済協力について協議。会談後、約10の文書が調印される予定。
大統領と朱首相は昨年夏のロシア経済危機の影響で落ち込んだ両国間の貿易の立て直しについても協議。今後、貿易拡大に向け政府間で話し合うことを確認した。特にシベリアでの天然ガス開発やガスパイプライン建設などエネルギー部門での協力拡大について話し合った。大統領と朱首相はコソボ情勢やインド情勢については話し合わなかった。《共同通信》
【高知赤十字病院】臓器提供へ初の脳死判定作業
高知赤十字病院は25日、くも膜下出血のため入院中の高知県の女性(44)に対し、臓器移植法に基づいて、臓器提供を前提とした脳死判定を行うことを決めた。同病院は同日夜、1回目の脳死判定作業を開始した。
女性は脳死判定に従い、脳死段階で臓器提供する意思を表示したカードを持っており、家族も同日夕、脳死判定と臓器提供を承諾した。脳死と判定されれば、臓器が摘出され、移植される。
1997年10月施行の臓器移植法は、臓器提供の場合のみ脳死を人の死と定めており、この女性が脳死と判定されると、法適用後1年4カ月で同法が適用される初のケースとなる。《共同通信》
高知赤十字病院は25日午後8時13分から、臓器移植法に基づいて、臓器提供を前提とした1回目の脳死判定を行ったが、2人の判定医は「脳死とは言えない」と判定した。脳死の条件の一つの「平たん脳波」を満たさなかった。《共同通信》
【KONISHIKIさん】有馬朗人文相を表敬訪問
文部省が作製した「家庭教育ビデオ」(全3巻)に出演したタレントのKONISHIKIさんが25日、有馬朗人文相を表敬訪問し「日本もハワイのように家族中心の生活になれば(家庭教育も)うまくいくのでは」と提言した。
KONISHIKIさんは「しつけ」がテーマのビデオの中で、アニメのテディベアと会話をしながら「やってはいけないことを親がしっかり伝える」ことなどを訴えている。この日は「父はとてもしつけに厳しかった」と子どものころの思い出を文相に語った。《共同通信》
【高村正彦外相】カンボジア首相と会談
高村正彦外相は25日夜、都内の外務省飯倉公館でカンボジアのフン・セン首相と会談し、同国の経済復興を支援するため、31年ぶりに円借款を再開すると正式に表明した。
政府は再開第一号の案件としてカンボジア南西部のシアヌークビル港の緊急改修工事を検討しており、30億−40億円を供与する方向で調整している。
外相はさらに、東京で開催中のカンボジア支援国会合の枠組みを通じて①無償・技術協力として1億ドル供与②軍人削減プロジェクトへの協力③来年度から民法など法整備の基礎づくりを支援④地雷対策への協力―を実施する考えを伝えた。
これに対しフン・セン首相は謝意を表明。円借款再開に関連して、プレク・トノット・ダムの建設も対象案件として検討するよう要請した。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・民主党の石井一副代表は25日の代議士会で「東京都知事選ほど重要なものはない」と切り出し「命運をかけた首都決戦であり、一歩も譲らない態勢を取るべきだ」とげきを飛ばした。続いて、党都連選対本部長の岩国哲人氏が「民主党のウイングが左から右へ、右から左へのびていくことを楽しみに戦いたい」と決意表明したが、出席者からは「それでは右往左往じゃないか」との声。元自民党から旧社会党まで幅広い議員を抱えて意見集約に苦しむ同党だけに、もうこれ以上、ウイングを広げるのは無理?《共同通信》
【この日の民主党】
衆議院予算委員会は25日午後、日本債券信用銀行に対する1997年の増資や昨年3月の公的資本注入の際に、同行と大蔵省が経営実態を意図的に隠していたとの疑惑をめぐり、東郷重興・前日債銀頭取、松下康雄・前日銀総裁、山口公生・元大蔵省銀行局長の3氏の参考人招致を行った。
質問に立った民主党の仙谷由人衆議院議員は、大蔵省検査の第3分類と日債銀の自己査定額の違いの根拠をただしながら、日債銀が不良債権の受け皿に乱造したペーパーカンパニーのリストを示し、「私たちが調べた24社だけで借入金が1兆5000億円ある。負債総額が1兆7000億円、資本の欄を見ればマイナス3342億円もある」とそのとんでもない内容を指摘。
他議員の質疑で東郷氏が「大蔵検査の際、子会社への支援態勢が明確なら倒産懸念はないと言われた」と答弁したことに対し、「大蔵省の銀行指導はその資産内容の健全性を担保するためにやっているはず。こんな大赤字の会社に支援を継続するということは、追い貸しや背任をし、粉飾決算を認めるということではないか」と声を張り上げ、「当時のルールでは不良債権への引当額は金融機関が公認会計士と相談して決めるもので、大蔵省はそこまで指導できない」と公認会計士へ責任転嫁する山口氏を詰問した。
山口氏は、金融危機管理審査委員会の委員だった当時の松永蔵相に対して、日債銀の「資産査定が甘い」ということは伝えていたものの、具体的な検査結果については報告していないことを認めた。
続いて質問した上田清司議員は、松下氏に「97年に日銀は考査もせず800億円を出資したのか」と尋ねた。松下氏が「95年2月以降、現地調査はしていないが、聞き取り調査はした。リストラ策を断行するなど経営改善に向けた努力をしていたことなどから総合的に判断した」と答えたのに対し、上田議員は「総合的判断をして、なぜこんないいかげんな会社がいい会社なんだ」と怒りをあらわにした。
また上田議員の質問に対し、東郷氏は700億円という不良債権の自己査定額を日銀に伝える際に、事前に大蔵省に連絡していたと述べた。さらに、東郷氏は「ペーパーカンパニーだが、飛ばしではない。不良債権の回収を最大限進めるために設立したもの。簿価ではなく時価で移し替えて事業化するのだから問題ない」と主張して、ひらきなおった。
仙谷議員は質疑後の会見で、「大蔵省は公認会計士に検査の責任を押し付けて逃げている。でたらめな答弁だった」と不満を表明。民主党は、今回の参考人質疑を受け、「さらに不明確な点が出てきた」(鹿野国対委員長)として、関係者の証人喚問や関係資料の提出を再度要求していく方針だ。 《民主党ニュース》