平成2613日目

平成8年3月4日(月)

1996/03/04

【住専国会】新進党、予算委を実力阻止

国会は4日午前、与党が住宅金融専門会社(住専)処理のための6850億円の財政支出を盛り込んだ平成8年度予算案を5日にも衆院を通過させる方針で臨んだのに対し、新進党は衆院予算委員会の開会を実力で阻止、今国会最大のヤマ場を迎えた。

新進党の西岡武夫国対委員長は4日午前、与党側から財政支出分の削除などの打開策が提示されない限り、予算委開会に応じない強硬方針を表明、午前中の予算委は開けず、採決をにらんだ攻防は繋迫した局面となった。

与党側は、税金支出に反発の強い国民の理解を得るためには追加措置が必要とし、同日朝、加藤紘一自民党幹事長ら3党の幹事長・代表幹事が経団連首脳に協力を要講。責任者会議は今回の住専追加措置への母体行負担増の具体策盛り込みは見送り、二次案として打ち出す方針を確認。一次案では「母体行の寄与」「農林系金融機関のさらなる協力」の抽象的文言にとどめることにした。この後の政府与党首脳連絡会議で、これを確認するとともに採決時期の最終判断をする。

与党の要請に対し経団連側は母体行の負担増に難色を示しながらも、3党の政策責任者ら双方の代表による協議を開始し、「母体行のさらなる寄与、協力に関し、予算案の衆院通過時までに結論を出す」ことで致した。

新進党は同日朝の国会対策委員会や幹部会合で、採決の動きに対し「あらゆる物理的手段を講じて阻止する」などの方針を確認。予算委員らを招集し、午前8時半から衆院予算委員会室の入り口に約60人の所属議員が座り込むなどしてピケを張り、上原康助予算委員長や橋本龍太郎首相の入室を阻止した。

同党は住専予算削除のほか、加藤幹事長の証人喚問、村山富市前首相の意見聴取が必要と強調、午後2時からは東京・日本武道館で「住専抗議1万人集会」を開催し、政府与党を追い詰めたいとしている。共産党も「新進党のやり方には反対だが、まだ証人喚問、集中審議が必要」(松本善明予算委理事)として採決に反対の姿勢を示した。与党3党は国会対策委員長会談などで、事態打開に向けた協議に入る意向である。《共同通信》

住宅金融専門会社(住専)処理に公費投入を盛り込んだ予算案をめぐる与野党の攻防が大詰めを迎えた4日、国会周辺は「住専処理に国民の税金を使うな」などのデモ、シュプレヒコールに包まれたほか、市民団体グループのハンストも始まった。

国会内では新進党が徹夜の構えで審議阻止の座り込みを継続したが、与野党ともに緊張感はなく「世論取り込みを狙ったパフォーマンス」との冷ややかな声も聞かれた。

新進党は参院議員らも動員、班を組むなどして審議阻止の座り込みを継続。同党の羽田孜元首相は「苦しくてもつらくてもこの方法しかない。国民の声は厳しいよ」と語った。

座り込んだ議員は談笑したり雑誌を読んだり靴を脱いでくつろぐ姿も見られたが、テレビ局が「パフォーマンス」と伝えたことに議員らが激怒。「訂正しろ」「おれたちは本気だ。なにを根拠に言っているのか」と一時間余り記者に詰め寄り、渡部恒三総務会長が「そんなことはない」と女性議員をなだめる姿も。

午後10時半すぎ、この日の予算委流会が決まった。

松本善明氏(共産)は「与党は世論が厳しいので糊塗策で繕おうとしている。新進も世論受け狙いで勝算はなく、どっちもどっちだ」とあきれ顔だった。《共同通信》

橋本龍太郎首相は4日夕、新進党の物理的抵抗で衆院予算委員会が開けなくなったことについて、「気持ちのいいものじゃない」と不快感を表明した。

首相官邸で記者団の質問に答えた。《共同通信》



【政界談話室】

○・・・武村正義さきがけ代表は4日、懇談した芦田甚之助連合会長に「住専問題を理解しろと言われても、だれか逮捕されないと分からない」と住専処理策の分かりにくさを皮肉られた。すると武村氏は「国税の査察や、検察が(捜査に)入れば分かるのではないか。(旧東京協和など)信用組合の時には山口敏夫元労相(逮捕)まで行った」と、旧2信組問題の対応に追われた蔵相当時の体験談をひくさり。続けて「私も責任を追及されるかもしれない。ちゃんとしないと選挙で落ちる」と真顔で語るなど、蔵相として住専処理策を決めただけに逆風を肌で感じている様子。

○・・・新進党の羽田孜元首相はこの日、都内での住専抗議集会で「たった2カ月でも元首相と言われて恐縮だ」とあいさつし、まずは会場を笑わせた。続いて、村山富市前首相について「これだけのことをやるなら、なぜちゃんと(職に)とどまって予算委で説明しなかったのか」と批判。さらに「『予算が通ったら総辞職する』というのなら分かる」と橋本龍太郎首相にも苦言を呈したが、会場の反応はいまひとつ。「住専対応は理解できない。日本からモラルが失われてしまう」と政府批判で締めくくったものの、新進党の代案も決め手を欠いただけに説得力は弱い?《共同通信》

【オウム真理教】10人は「死亡」と幹部供述も

オウム真理教への強制捜査で判明した行方不明の信者21人のうち、約10人について「スパイとして疑われていた」「高温の湯に入れて殺されたらしい」とする幹部の供述や押収資料上の記述があることが4日、分かった。警視庁など捜査当局は、これらの信者は薬物の投与や温熱修行などが原因で死亡した可能性もあるとみて調べている。

残りの約10人については安否の手掛かりが非常に乏しいという。警視庁は教団幹部への事情聴取を続け、不明信者が失踪した状況の解明と所在確認に全力を挙げている。

警視庁は、強制捜査で押収したメモ、フロッピーディスクなどの記録や逮捕した幹部の取り調べを通じて、行方が分からない信者の失跡当時の状況を分析してきた。

岩手県出身の男性信者(34)の場合、幹部が「尊師の指示で50度の湯に入れて殺されたらしい」「遺体はマイクロ波で焼却したらしい」と供述。東京都出身の女性信者(35)については「LSDを飲んでいるうちに死亡した」などという供述があった。

さらに「スパイとして疑われていた」とされ、押収した光ディスクに「死亡」と記載されていた男性信者(25)もいた。

このほか押収資料に「亡くなりました」と書かれていた男性信者や「シャンバラ(伝説の理想郷)に送った」「死亡日、焼却」などと記されていた男性信者(77)の例もあった。

しかし、いずれのケースも遺体が見つかるなど死亡を最終的に確認する事実は出ていない上、刑事責任の有無を判断するための具体的証拠にも欠けており、立件は見送られる方向だ。

一方、いまだに所在の手掛かりがない信者約10人の中には、薬物などを使った「イニシエーション」を受けたとの記録がある女性信者や、「平成3年ごろ教祖とトラブルを起こして教団を去った」とされる女性信者らが含まれているという。《共同通信》

【イスラエル】連日の爆弾テロ

イスラエルの主要都市デルアビブ最大の繁華ディーゼンゴフ通りで4日午後4時(日本時間同11時)、大爆発があり、警察筋によると、少なくとも約20人が死亡、約150人が負傷した。

ラスト同市警察長官は、爆発物の入ったかばんを持った何者かが路上で自爆したとみられると語った。

イスラエルでは2月25日、エルサレムなどでイスラム原理主義組織ハマスによる連続爆弾テロがあり、28人が死亡。またエルサレムでは、前日の3日にもハマス武装組織が路線バスを自爆攻撃で爆破、19人が死亡するテロ事件があったばかり。今回の事件では犯行声明は出ていない。

連日のテロ事件で、和平推進を目指すペレス・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長は一層窮地に追い込まれ、中東和平は最大の試練に立たされた。

ペレス首相は、前日の事件でハマスとの全面戦争を呼び掛けたほか、アラファト議長もハマスなどイスラム過激組織の非合法化を発表した。しかし、この日のテロもイスラム過激派犯行だとすれば、こうした対応策が奏功しなかったことになり、PLOへの対応の甘さを批判するイスラエル国内での反和平気運がさらに高まる可能性がある。

爆発現場付近はテルアビブ最大のショッピングセンターがあり、子供たちや多数の市民でにぎわっていた。現場には遺体や遺体の一部、損害を受けた建物や車の破片が飛び散り、人々の叫び声や救急車のサイレンの音で騒然となった。《共同通信》

イスラエル軍は4日未明、先月25日の連続爆弾テロの犯人2人の出身地で、イスラム原理主義組織ハマスの拠点であるヨルダン川西岸ファウワル難民キャンプに出動、16歳以上の男性住民約800人を学校の運動場に集めて拘束、爆破犯との関連を尋問するとともに住居を家宅捜索した。

この作戦の司令官ガディ大佐は「爆破犯の家族を含め数十人を逮捕した。ハマスの温床であるこの村には前例のない厳しい措置がとられる」と述べた。大佐は、爆破犯の家族の家を破壊する許可を軍当局に求めた、とも語った。

同軍はまた、3日に路線バスが爆破されたエルサレムに兵士1000人を増派。警察官と合わせ従来の2倍の約4000人を治安要員として主要道路やバス停に配備、厳戒態勢をとった。

一方、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長の自治政府があるガザ市では4日、初の大規模な「和平支持・反テロ」集会が開かれ、数万人が評議会前広場を埋め尽くした。

議長は「外国勢力の支持を受けた過激派が和平を破壊し、独立国家樹立というわれわれの夢をつぶそうとしている」と演説、暗にイランやシリアのイスラム過激派を非難した。《共同通信》



3月4日のできごと