平成2614日目

平成8年3月5日(火)

1996/03/05

【住専国会】新進党、徹底抗戦

国会は5日午前、与党が責任者会議で住宅金融専門会社(住専)処理策の追加措置を決めたのを受けて、住専処理のための財政支出を盛り込んだ平成8年度予算案を同日中にも衆院通過させるため、同予算委開会に全力を挙げた。

これに対し新進党の米沢隆幹事長は追加措置を「まやかし」と批判、予算委開会を実力で阻止する4日以来の座り込み戦術を徹夜で継続、与野党攻防は緊迫した局面が続いた。

事態打開のため予算委の上原康助委員長は5日午前、土井たか子衆院議長に正常化への努力を要請した。土井議長は「まったく異常な状態だ」との認識を示したが、座り込み議員の強制排除については「(国会の)衛視による強硬策は考えていない」と述べ、各党の努力を求めた。

政府与党は昼の首脳連絡会議で、住専設立母体行などからの5000億円の税収増を行うなどの追加措置を正式に了承。与党は同日午後、予算委理事が新進党に内容を説明するほか与野党国対委員長会談を呼び掛け、事態打開の糸口を探る方針。

自民党は「おのずとタイムリミットはある」(加藤紘一幹事長)として5日夜までの衆院通過を目指すが、新進党の出方によっては採決が6日にずれ込む可能性もある。《共同通信》

住専処理策で真っ向から対立する与野党は5日、1996年度予算案の委員会採決と衆院通過をにらみ土壇場の攻防を展開した。与党の追加措置を「まやかし」とする厳しい世論に勢いづき、座り込み戦術を続ける野党・新進党。

当てが外れて苦慮する連立与党は与野党国対委員長会談を持ち掛け、採決日程を白紙に戻して審議再開を促すという変化球を投げ、相手の出方を待った。一方で与党はピケ隊を強制排除する強硬姿勢もちらつかせ、住専国会は激突の瀬戸際を迎えた。

「今日が正念場だから頑張ってください」新進党の小沢一郎党首は国会議事堂3階にある衆院予算委員会の部屋に赴き、封鎖中のピケ隊を激励した。

橋本龍太郎首相はこの日も2度予算委の部屋に突入を試み、ピケ隊にはね返された。国会内の大臣室で待機せざるを得ず、「イライラなんて書くなよ、イライラしてないんだから」と記者団に仏頂面で答えた。《共同通信》



【政界談話室】

衆院予算委の深谷隆司、桜井新両自民党理事は5日午後、政府が決めた住専処理策の追加措置の説明に新進党控室に向かう途中“迷子”に。桜井氏が左に曲がったのに、深谷氏が「こっちだよ。まっすぐだ」と直進。しばらくいって、案内の事務員が「やっばりこっちじゃありません」。と指摘すると、深谷氏は照れ隠しに「何やってんだ、おまえは」と事務員に八つ当たり。新進党の座り込み戦術で子算委再開のめどが立たない上に、追加措置自体も「まやかし」と不評なだけに、ついに与党の現場を預かる理事2人も迷走し始めた?

○・・・社民党の佐藤観樹幹事長は5日午後国会内で記者会見し、与党の住専処理追加措置を「母体行や農協の責任、負担の在り方について、もう少しなんとかすべきとの声にこたえた」とまずは胸を張った。ところが記者団から「ぎりぎりの努力をしたはずでは」と突っ込まれると「(追加措置は)これからのことで、ぎりぎりの時期が違う」と釈明。さらに銀行などでのリストラは労働強化につながるのではと指摘されると「農協や金融機関ですでに決めていることで、当事者の問題だ」と、リストラが計画済みのことと認めるはめになり、追加措置のずさんさを露呈。《共同通信》

【北海道・駒ヶ岳】54年ぶりに噴火

北海道南部の活火山、駒ヶ岳(1131メートル)で5日午後6時10分ごろから約6分間、火山性微動が確認され、ほぼ同時刻から山ろくで降灰の目撃情報が相次ぎ、函館海洋気象台が降灰を確認した。また、山頂付近から噴煙も確認され、気象庁は「小噴火があったのは間違いない」としており、森測候所は同日夜、臨時火山情報を出して注意を呼び掛けた。

駒ヶ岳の噴火活動は昭和17年以来54年ぶり。《共同通信》

【中国・李鵬首相】台湾問題で異例の言及

中国の国会に当たる第8期全国人民代表大会(全人代)の第4回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕、李鵬首相が「第9次5カ年計画(1996-2000年)と2010年までの長期目標綱領に関する報告」を行い、この中で注目の台湾問題について、名指しを避けつつも李登輝総統の独立志向を批判し「武力使用の放棄は約束しない」と強調した。

全人代の報告で武力攻撃の可能性への言及は異例。

また関連する対米関係でも「関係悪化は米国の賢明でない対中政策が引き起こした」と米国を批判。

一方、経済政策については、成長率・年平均8%の安定成長を目指す21世紀に向けた中長期計画案を提案した。《共同通信》

【薬害エイズ事件】ミドリ十字、虚偽報告

東京、大阪HIV(エイズウイルス)訴訟の被告である製薬会社「ミドリ十字」(本社大阪市、川野武彦社長)が安全な輸入加熱血液製剤の販売を開始した後も、エイズウイルスに汚染された恐れがある非加熱製剤約900本を医療機関に出荷していたことが5日、明らかになった。

厚生省が2月23日、同社に立ち入り検査した結果分かったもので、菅直人厚相が5日の閣議後の記者会見で発表した。

ミドリ十字は今年1月、厚生省に対し加熱製剤を販売した後に出荷した非加熱製剤の本数を571本と報告しており、出荷期間に続いての虚偽報告。感染の危険を承知で非加熱製剤を大量に売りさばいていた実態が浮き彫りになったことで、同社の企業モラルが厳しく問われそうだ。

同省によると、問題になっている血液製剤には第八因子製剤と第九因子製剤の2種類がある。

ミドリ十字は今年1月、第八因子製剤について昭和60年8月に加熱製剤の販売を開始、同9月に非加熱製剤を513本出荷、第九因子製剤については61年1月に加熱製剤の販売を始め、同2月に非加熱製剤を58本出荷していた、と同省に報告。しかし立ち入り検査の結果、第八については約550本を第九については約350本をそれぞれ出荷していたことが新たに判明した。《共同通信》

【オウム真理教・麻原彰晃被告】追起訴

オウム真理教信者Tさん=当時(27)=が絞殺され遺体を焼却された事件と、被害対策弁護団の滝本太郎弁護士(39)=横浜弁護士会所属=の車にサリンが仕掛けられた事件で、東京地検は5日、殺人や殺人未送などの罪で教祖麻原彰晃被告(41)ら9人を追起訴した。滝本弁護士事件で同被告らと一緒に逮捕された女性信者(19)は未成年のため、東京家裁に送致された。

昨年5月から15の事件で逮捕、起訴された麻原被告に対する強制捜査はこれでひとまず終結する見通し。捜査当局は今後、逃亡中の容疑者の追及や信者変死事件などの捜査を続けるほか、引き続き国松孝次警察庁長官銃撃事件への教団関与の有無を調べる方針だ。

追起訴されたのは麻原被告のほか、Tさん殺人、死体損壊の罪で幹部新実智光被告(31)ら4人、滝本弁護士殺人未遂罪で元教団顧問弁護士青山吉伸被告(35)ら4人。犯行を指示したとされる麻原被告は両事件で追起訴された。

起訴状などによると、麻原、新実両被告らは共謀の上、平成6年7月上旬、山梨県上九一色村の教団施設「第2サティアン」で、Tさんをロープで絞殺、遺体をマイクロ波加熱装置で焼却した。Tさんは殺害される前、麻原被告から「生活用水に毒物を混入したスパイだ」などとぬれぎぬを着せられ、拷問を受けていた。絞殺の実行犯は新実被告と幹部杉本繁郎被告(36)とされる。

また麻原被告らは6年5月9日、甲府市の甲府地裁駐車場で、滝本弁護士の乗用車前部の通気口にサリンを流し込み、気化させて滝本弁護士を殺害しようとした。

滝本弁護士は同地裁での教団との民事裁判を終え、車を運転中に視野が狭くなるなどの中毒症状に陥った。その後の捜査で、車からサリン分解物質「メチルホスホン酸モノイソプロピル」が検出された。

青山被告が滝本弁護士の日程を麻原被告に報告し、サリンを仕掛けたのは家裁送致となった女性信者とされる。《共同通信》



3月5日のできごと