平成2621日目

平成8年3月12日(火)

1996/03/12

【坂本弁護士一家殺害事件】初審理

オウム真理教の元幹部中川智正被告(33)の公判が12日、東京地裁(池田修裁判長)で開かれ、教団の凶悪事件の原点とされる坂本堤弁護士=当時(33)=一家殺害事件が初めて審理入りした。

検察側は教祖麻原彰晃被告(41)が「坂本弁護士をポアしなければならない」と殺害を命じ、直前には電話で「家族ともどもやるしかない」と計画の変更を指示。犯行後は実行グループに殺人罪の条文を聞かせ「死刑は間違いない。全員同罪だ」と口止めするなど細かく指示していたと指摘した。

罪状認否で中川被告は起訴事実を認め「奥さんと赤ちゃんを殺す話は現場近くで突然言われた。子供を何とかしろと言われ、赤ちゃんの口を押さえた」などと述べた上で「消えてなくなりたい」と後悔の気持ちを表した。

検察側の冒頭陳述によると、麻原被告は平成元年10月から始まった週刊誌の反オウムキャンペーンにいらだつ一方、「オウム真理教被害者の会」のリーダー的存在だった坂本弁護士が教団批判の発言をするビデオがテレビ番組で流される予定を察知。元幹部早川紀代秀被告(46)らに放映を中止するよう圧力をかけさせたり、坂本弁護士の事務所に抗議に行かせたりしていた。

宗教法人として認証されたばかりの教団が坂本弁護士の活動で認証取り消しになる可能性があるなどとして殺害を決意した麻原被告は、同年11月2日夜から3日未明にかけ、静岡県富士宮市の教団施設で、村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=、早川、中川両被告ら計5人に「今問題なのは坂本弁護士だ。坂本弁護士をポアしなければならない」と殺害を命令。信者端本悟被告(28)を加えた計6人は3日午後から横浜市磯子区にある坂本さんの自宅付近で張り込んだ。

途中、坂本さんが家にいることに気付いたため早川被告が麻原被告に判断を求めると、麻原被告は「家族ともどもやるしかない」と計画の変更を指示。4日午前3時ごろ、6人全員で坂本さん方に押し入り、堤さん、妻の都子さん=当時(29)、長男竜彦ちゃん=当時(1つ)=の3人を首を絞めるなどして殺した。《共同通信》



【住専国会】土井議長の調整続く

住宅金融専門会社(住専)処理問題をめぐり空転が続く国会は12日夜、土井たか子衆院議長が加藤紘一自民党幹事長ら与党3党の幹事長・代表幹事と、新進党の米沢隆幹事長、共産党の志位和夫書記局長を個別に呼び、正常化に向けた協力を要請、与野党5党が一同に会した会談での打開を提案した。

与党はあらためて議長要請を受け入れたが、米沢幹事長は「新しい提案がなければ事態は進展しない」と要請を拒否するなど進展しなかった。米沢幹事長は会談後記者団に「堂々めぐりだった」と述べた。《共同通信》

【与党】3党首が会談

橋本龍太郎首相(自民党総裁)、村山富市社民党党首、武村正義新党さきがけ代表の与党3党首は12日午後、首相官邸で懇談し、住専問題で空転すている国会情勢について①正常化に向けた衆院正副議長の努力を支持し、注視していく②正常化後は衆院予算委員会でできるだけ時間を割いて、国民に分かりやすい審議を尽くす−ことを確認。また6850億円の住専処理策を含む平成8年度予算案については、その枠組みを守り、修正せずに成立を図る方針で一致した。《共同通信》

【自民党・糸山英太郎衆院議員】辞職を表明

自民党の糸山英太郎衆院議員(旧埼玉3区)が12日午後、衆院第二議員会館内で記者会見し、住宅金融専門会社(住専)問題などで自民党執行部と土井たか子衆院議長の議会運営を批判、議員辞職を表明した。埼玉12区で自民党から公認されている次期総選挙も出馬しないことも併せて明らかにした。

会見の中で糸山氏は①1000万円のヤミ献金疑惑が浮上している加藤紘一自民党幹事長は証人喚問に応じるべきだ②新進党の座り込みのような暴力がまかり通ってよいのか−などと述べた。糸山氏は「辞職はパフォーマンスではない」と強調した上で「住専問題で政治家がだれ一人として責任を取っていない」と政界の現状を批判した。

糸山氏は昭和49年、参院全国区で初当選。その後衆院選で3回当選し、建設政務次官や衆院外務委員長などを務めた。資産総額1000億円と言われる、政界きっての資産家。レジャー会社「よみうりランド」株の買い占めや大量の選挙違反者を出したことでも話題になった。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は12日、ことし9月に任期満了で選挙が予定される福島県の佐藤栄佐久知事に自民党の推薦証を手渡した。その際、佐藤知事が「(知事選の日程は)まだ決まってません」と言ったところ、同席した地元議員が「(知事選の方が)われわれより後でしょ」と衆院の解散時期について探りを入れた。首相は笑みを浮かべながら「知事選の方が先でしょう」と早期解散を否定。すると周りから「重大発言だ」と冗談交じりに色めき立つ場面も。住専問題で逆風が強まる中、軽口の中にも解散回避の本音が漏れ、つい弱音。

○・・・新進党の森本晃司国対委員長代理はこの日の議員総会で、衆院で続けている座り込みについて「きょうも一日、一致結束して戦おう」と檄を飛ばした。先週末、退去要請に来た衆院事務総長にすごんで見せた所をテレビで放映されたばかりだけに、「衛視が退去要求に来ても、さわやかに対応してほしい。周りをきれいにして、さわやかに参観の人も感動するような戦いにしよう」と「さわやか」をことさら強調。しかし、あいさつでは「事務総長に告ぐ。もっと光を。もっと暖かさを」とだんだん芝居がかる一方。《共同通信》

【川田龍平さん】HIV訴訟支援訴え

全国の看護婦などでつくる日本医療労働組合連合会(江尻尚子執行委員長)の春闘集会「96年春・ナースウェーブ中央集会」が12日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、約5500人の看護婦らを前に東京HIV訴訟の原告川田龍平さんが「どんな人にも平等にいきわたる医療にし、安心して安全に生きられる社会にしてほしい」と訴えた。

参加した看護婦たちは、都心をデモ行進した後、厚生省を取り囲み「看護婦を増やして過勤を減らせ」「薬害エイズは許さないぞ」とシュプレヒコール。集会では江尻委員長が「看護婦に長時間労働を押しつける厚生省の態度は、薬害エイズの原因をつくり、放置してきた姿勢と同じものだ」とあいさつ。

川田さんは「だれがいつ患者の側になるか分からず、看護婦の問題はみんなの問題だ。薬害エイズ問題も全面解決はまだまだこれからです。一緒に頑張りましょう」と呼び掛けた。《共同通信》

【大相撲春場所】3日目

大相撲春場所3日目(12日・大阪府立体育会館)2日目まで万全の取り口だった横綱貴乃花と大関貴ノ浪に土がつく大波乱。貴乃花は不用意な取り口で旭豊の肩透かしに敗れ、貴ノ浪も雑な相撲で小結土佐ノ海に完敗した。若乃花、武蔵丸の両大関は無難な白星。関脇陣では武双山と琴錦が元気に初日から3連勝、平幕では琴の若も勝ち、幕内の全勝はこの3人となった。《共同通信》

【ボクシング・辰吉丈一郎選手】吉井会長が引退勧告

進退が注目される元世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級チャンピオン、辰吉丈一郎(大阪帝拳)は12日、所属する大阪帝拳ジムの吉井清会長から引退勧告を受けた。これに対して辰吉は明確な回答を避けた。

この日午後、大阪市都島区の同ジムで行われた約1時間の話し合いで、辰吉は現役続行の意向を示したが、吉井会長は同ジムが練習や試合のプロモートなどに協力しないと明言。再起は非常に困難な状況となった。

話し合いに先立ち、目網膜剥離の既往症のある辰吉は、午前中に大阪府守口市の関西医大病院で5日に続き眼科検診を受け、異常なしと診断された。

吉井会長が目を真っ赤にして、あふれる涙をハンカチでぬぐう。引退勧告を断行した感想を報道陣から問われた時だった。「私だってつらい」。それ以上は言葉が続かなかった。 現役を続けるなら関係を断つとまで告げた理由を「そうでないと今までと同じで、甘えが出てしまうから」と説明した。

デビューから手塩にかけて育てた選手だからこそ将来を考え、あえて厳しい条件を突き付けて決断を迫った。 「引退するなら(今後の活動には)できるだけ協力する」。辰吉にとってボクシングにおける父親ともいうべき会長は、早く第二の人生を歩んでほしいと強く願っていた。《共同通信》

【中国】軍事演習を開始

台湾の国防部(国防省)スポークスマンが12日夕発表したところによると、中国軍は8日から開始した第一弾のミサイル演習に引き続き、12日午後から予告通り、台湾海峡封鎖を想定したとみられる海峡南部での第二弾の海、空合同実弾演習を小規模ながら開始した

ミサイル演習では初日にミサイル3発を台湾の北部と南部の2海域に撃ち込んでおり、海空合同実弾演習と同時並行で演習を進め、23日の台湾総統選に向けて軍事的圧力を強めるとみられる。

武力をちらつかせて翌傾向を抑え込もうとする中一国の強硬姿勢に、台湾はもちろん、米国や近隣アジア諸国など、国際的にも反発一が強まるのは必至となった。

国防部の発表によると、この日は悪天候のために、演習に出動した中国海軍艦艇は約10隻で、海上で編隊訓練を行い、戦闘機も10機余りが爆撃訓練などを展開した。

戦闘機が演習を行ったのは広東省東山島と福建省南澳島沖付近の空域、また艦艇の演習区域も両省にまたがった海域。このことは南京軍区と広州軍区、東海艦隊と南海艦隊を一括して指揮する機構が既に成立し、台湾への武力行使の可能性も想定した準備が進んでいることを示した。

中国の発表では、ミサイル発射訓練は15日、海空合同実弾演習は20日で終了するが、来週には台湾北部に近い場所で第三弾の演習に入り、台湾海峡封鎖能力を誇示するとの見方も出ており、さらに緊張がエスカレートする可能性もある。《共同通信》



3月12日のできごと