平成3562日目

1998/10/09

この日のできごと(何の日)

【東京高裁】復活当選は合憲

平成8年10月の衆院選をめぐり「小選挙区の落選候補が比例区で復活当選する重複立候補制は、国民の意思を反映しておらず憲法違反」などとして、首都圏の弁護士グループが選挙の無効(やり直し)を中央選挙管理会などに求めた訴訟の判決で、東京高裁は9日、原告の請求を棄却した。原告側は上告する方針。

河野信夫裁判長は判決理由で「重複立候補制で選ばれた議員も、正当に選挙された代表者とみて何ら問題ない」とし、同制度を合憲とした。復活当選についての判断は初めて。

訴えていたのは30年以上にわたり定数訴訟を起こしてきた越山康弁護士、山口邦明弁護士ら。

訴訟で原告側は小選挙区で落選した候補が比例区で「復活当選」できる仕組みを批判したが、河野裁判長は「小選挙区と比例区は別個独立の選挙」とし、復活当選の候補者も比例区だけで見れば、名簿に登載され当選したことに変わりはないとした。

原告が「投票には支持する意思とともに支持しない意思も含まれている」と主張した点に対しては、小選挙区で人物本位の視点から候補を選んだ場合など、本来の政党や政策の支持が投票用紙に反映していない可能性などを指摘。「投票用紙に書かなかったからといって、支持しないという意思と断じることはできない」と退けた。《共同通信》

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【自民党】公的資金注入の銀行献金を自粛

小渕恵三首相(自民党総裁)は9日昼、森喜朗幹事長と国会内で会談し、公的資金で資本注入された銀行からの献金受け取りは当面の間、全面的に自粛する方針を決めた。今年3月に計約1兆8000億円の資本注入を受けた大手銀行など21行のほか、今後、資本注入を受ける銀行が対象となる。金融機能早期健全化法案の成立を目指す中で、党としての姿勢を示す必要があると判断した。

自民党は住宅金融専門会社(住専)処理問題を契機に、大手銀行からの「党の一般経理向け」献金を1996年から自粛してきたが、93年の総選挙資金として借り入れた100億円返済用の大手銀行からの献金と、地方銀行からの献金は「例外扱い」してきた。《共同通信》

【静岡県警】ヤオハンを家宅捜索

1850億円の負債を抱え会社更生手続きを進めているスーパー、ヤオハンジャパン(静岡県沼津市)が粉飾決算をしていたとして、静岡県警捜査二課と沼津署は9日、商法違反(違法配当)の疑いで、ヤオハン本部や旧経営幹部の自宅など計15ヶ所を家宅捜索した。

関係者によると、同社は海外の子会社や国内のペーパーカンパニーを使い経理操作するなどしていた。同県警は複数の関係者から事情を聴いており、和田一夫会長ら旧経営陣の刑事責任も視野に入れているもようだ。《共同通信》

【政界談話室】

自民党の深谷隆司総務会長は9日午後、急きょ記者会見し、公明の益田洋介議員の質問は事実無根だと怒り心頭。益田氏は参院金融問題・経済活性化特別委員会で「NTTドコモの個人株主に深谷氏の関係者がいる」と追及したが、完全に別人であることが判明したためだ。訂正には応じたというが、深谷氏は「陳謝がない」とぶつぶつ。国会対策上、公明とは良好な関係を保つ必要があるのではないかとの記者団の質問に「それとこれは無関係だ」と言い切ったが、すぐに「公明に対する抗議ではない」と一気にトーンダウン。《共同通信》

【韓国・金大中大統領】大阪入り

来日中の金大中韓国大統領は9日午後、空路大阪入りし、大阪市内のホテルで在日韓国・朝鮮人約700人を集め懇談会を開催、大統領は席上「(経済危機の際に)皆さんから得た支援に感謝する」と述べるとともに、今回の訪問で日本政府から過去への「謝罪」の言葉を引き出すなど「大きな成果を上げることができた」と強調した。

大阪府には在日韓国・朝鮮人の約4分の1にあたる約16万人が暮らしている。金大統領は「本国への投資を拡大してほしい」と話し、経済再建のための協力を訴えた。

金大統領は在日韓国人らとの懇談会では終始穏やか。公務員の不正に触れた場面では「直接青瓦台(韓国大統領官邸)に電話してほしい」と話し笑いを誘うなど、リラックスしたムードだった。

金大統領は、引き続き大阪府や地元経済団体による歓迎夕食会に出席し、大阪府内のすべての自治体が職員採用で国籍条項を撤廃したことに謝意を表し、「これからも在日韓国人が皆さまのよき隣人として暮らせるようお願いする」と述べた。

これより先、金大統領は同日昼、迎賓館に首相経験者や共産党を除く野党党首を招き、昼食を挟みながら会談。大統領は「20世紀初めに起きたことは20世紀中に済ませ、21世紀にかけての信頼関係を作り上げたことは画期的だ。訪日は成功した」と今後の両国関係を望した。

金大統領は10日午前、文化人との懇談会を開いた後、正午ごろ、特別機で関西空港から出発、7日からの訪問日程を終え、帰国の途に就く。《共同通信》

【和歌山保険金詐欺事件】容疑者宅でヒ素反応

和歌山市の毒物カレー事件前に起きた無職男性(35)のヒ素中毒などをめぐる保険金詐欺事件で、和歌山東署捜査本部は9日までに、逮捕した林真須美(37)、B(53)両容疑者=同市園部=の自宅庭の土砂や側溝の汚泥などから、同県警科学捜査研究所(科捜研)の予備検査でヒ素の反応を確認した。

捜査本部は、両容疑者の自宅に亜ヒ酸などのヒ素化合物があった可能性が高いとみて汚泥などの検体を警察庁科学警察研究所(科警研)に送り、濃度や種類など詳細な鑑定を急いでいる。

保険金詐欺事件で真須美容疑者は、自宅で無職男性にヒ素を混ぜた牛どんを食べさせたとして殺人未遂容疑などで逮捕されており、捜査本部は、正式鑑定でヒ素が検出されれば容疑の裏付けになるとみている。またカレー事件でも亜ヒ酸が犯行に使われており関連を調べる方針。

捜査本部は、両容疑者を逮捕した今月4日から同容疑者宅や周辺の用水路などを捜索。庭の土砂、台所やトイレの水、自宅わき側溝の汚泥やタニシなどを採取して科捜研で予備検査を進めていた。その結果、土砂や汚泥など複数の検体からヒ素の反応を確認した。

和歌山市の保険金詐欺事件で、和歌山東署捜査本部は9日、6日間にわたった真須美、B両容疑者宅の捜索をほぼ終了。10日も自宅の見取り図を作製するため、計測を実施するなど必要に応じて補完的な捜索を続ける。8日の捜索では保険証や土砂、印鑑など約370点を押収。6日間の捜索で押収した資料は計約1120点に上った。《共同通信》



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