平成3421日目
1998/05/21
この日のできごと(何の日)
【インドネシア・スハルト大統領】辞任、32年の独裁政権に幕
インドネシアのスハルト大統領は21日午前、大統領宮殿で演説し、辞任を表明した。直ちにハビビ副大統領(61)が後継の大統領として宣誓、就任した。
スハルト氏はハビビ新大統領の任期が2003年までと言明。ウィランド国防・治安相は新大統領への支持を表明した。
1966年に故スカルノ前大統領から実権を奪取して以来、約32年にわたって君臨してきたスハルト独裁政権は、経済危機に続き、反政府の抗議活動や暴動が広まる中で終えんを迎えた。
大統領は演説の中で「私は国民に感謝し、許しを請いたい」と述べた。辞任の理由については①自ら提案していた改革委員会が受け入れられなかった②国民の間に辞任を求める強い声があった−ことを挙げた。
辞任については国民の間に歓迎の声が強いものの、ハビビ新大統領を通じ「院政体制」を敷くのではないかとの見方もあり、新政権の前途は多難とみられる。
インドネシア第二のイスラム教組織「ムハマディア」のストリスノ・ムフダム副議長によると、20日夜、トリ・ストリスノ前副大統領ら3人の副大統領経験者がスハルト大統領と会い①国会に学生が結集するという現在の状況を考えると、大統領は辞任すべきである②憲法に従い、ハビビ副大統領が大統領代行に就任するべきだ−と説得。大統領は同意したという。
オルブライト米国務長官は20日、間接的表現ながら初めてスハルト氏に退陣を要求。また、国際通貨基金(IMF)のフィッシャー副専務理事も同日、強権的な弾圧があれば支援を停止すると警告するなど、スハルト政権に対する国際的圧力が高まっていた。
インドネシアでは21日、スハルト大統領が19日示した危機収拾案に基づき「改革委員会」のメンバーの第一陣を発表する予定だった。
「開発の父」の称号を国会から受けたスハルト大統領は、強力な指導力で経済発展をリード。東南アジア諸国連合(ASEAN)の創設時から残る唯一の指導者として、ASEANの盟主を自任し、90年代に入ってからは非同盟諸国会議、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長も務めた。
スハルト氏は今年3月、七選を果たしたが、今月に入って暴動が首都ジャカルタに拡大し、多数の死者を出した。《共同通信》
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橋本龍太郎首相は21日昼、インドネシアのスハルト大統領辞任とハビビ新大統領の就任を受け、国会内で報道各社のインタビューに応じ「ハビビ氏は大変難しい役割を引き受けられたと思う。G8(主要国首脳会議)の声明にもあったようにインドネシアの経済改革への努力を続けてもらわなければならない」と述べ、国際通貨基金(IMF)合意に基づく経済改革に引き続き取り組むべきだとの考えを強調した。《共同通信》
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【大相撲夏場所】12日目
大相撲夏場所12日目(21日・両国国技館)首位で並んでいた十人のうち、大関若乃花と両横綱ら七人が3敗を守った。若乃花は旭豊を落ち着いて押し出し、綱とりへ望みをつないだ。両横綱は曙が大関貴ノ浪を突き出し、貴乃花は関脇魁皇を寄り切った。貴ノ浪は4敗目。大関武蔵丸示結安芸乃島も3敗を堅持した。平幕では貴闘力と出島が3敗を守り、琴錦と旭鷲山が4敗目を喫した。《共同通信》
【財政構造改革法改正案】衆院委で可決
衆院の緊急経済対策特別委員会は21日、景気対策のための財政構造改革法改正案と減税関連法案について締めくくり総括質疑を行い、採決、自社両党の賛成多数で可決した。法案は22日の衆院本会議で可決後、参院へ送付され、今月中に成立する見通し。
財革法改正のめどが立ったことで、終盤国会の焦点は橋本龍太郎首相の6大改革の柱である中央省庁改革基本法案の審議や、野党が提出する見込みの内閣不信任決議案の行方に移る。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・自民党の森喜朗総務会長は21日の三塚派総会で、社民党の与党離脱について「自社さ三党の政治が間違いだったということになってはならない。政治を立て直したというきちんとした評価をしなければならない」と強調。その上で「土井たか子党首が『(自民党との)別れ方が分からない』と言ったというが、三党でまとめた法案はきちんと仕上げてほしい。(自民党も)社民党の悩みをくんで、法案の仕上げをきちんとしよう」と社民党支援にかこつけた虫のいい呼び掛け。
○・・・民主党の石井一国会対策委員長はこの日の記者会見で「昨日、鳩山由紀夫幹事長代理に私の部屋に来てもらい、今後可能な限り国対の朝の会議に参加してほしいと要請した」と同党幹事長代理を呼びつけた話を紹介、「あなたは将来の大幹事長、大総裁になる人なんだから、ここで私が国対の厳しいところを伝授しておきたいと言った」と明かした。「鳩山氏は大変恐縮していた。これから精力的に(国対の会議に)出席してくれるでしょう」と締めくくり、まるで「われこそは民主党のホープを指導する『大国対委員長』」と言わんばかり。《共同通信》
【民主党・家西悟議員】「差別・偏見の法制定を反省し、エイズ患者に謝罪を」
薬害エイズの被害者であり、大阪HIV訴訟原告団代表だった民主党の家西悟議員が21日、衆院本会議で感染症予防・医療法案などに対して代表質問に立った。
同法案が成立すれば100年前の伝染病予防法、88年制定のエイズ予防法は廃止されるが、家西議員は差別・偏見の法制定を反省し、患者に謝罪する旨を明記するよう求めた。 家西議員は「身をもってこの国の貧困な医療実態と闘ってきた」として、歯科診療を拒否された自らの経験を語り、入院を断られたり、死亡診断書に別の病名を記載されるなど、差別と偏見の中で暮らす患者、家族の実態を訴えた。
また、HIVについては感染源も特定され、検査もできるようになっていたにも関わらず、1988年、差別を助長する現行のエイズ予防法が制定されたことを指摘。「今でもエイズ予防法の制定は適切だったと考えているのか」「無念の死をとげた多くのエイズ患者、現在苦難の闘病生活を続けている患者に対し、総理の反省と謝罪の言葉を述べていただきたい」と迫った。
橋本総理は「当時としてはやむをえなかったが、後悔すること、反省すること、お詫びすることはあったと思う」と、官僚的言い回しではあるが一応、否を認めた。
家西議員は謝罪の法文への明記を求め、また、(1)良質かつ適切な医療を提供する医師の責務(2)患者へのインフォームド・コンセント(説明、同意に基づく治療)、患者の知る権利(3)強制入院措置を伴う新感染症、指定感染症について、患者の権利に関する国の責任(4)入院勧告や強制入院措置に対する不服申し立て制度の手続き保障――を明確にするべきと主張。最後に「私たち感染症患者の気持ちを理解し、私たちの声に耳を傾けていただきたい。私たちも社会の一員として共に暮らせるような法制定を願う」と結んだ。
感染症予防・医療法案は参議院先議で可決されているが、民主党は参院で病原体等検査に関する国の責務を明確にした修正案に賛成し、修正部分を除く原案に反対した。現在、過去の反省をふまえ感染症患者の人権尊重を明確にする修正案を準備している。《民主党ニュース》
【民主党・横路孝弘総務会長】「橋本総理に日本を代表する資格なし」
民主党の横路孝弘・総務会長は21日、衆議院本会議で橋本総理のバーミンガム・サミット報告に対して代表質問し、総理の経済無策、構想力のなさを批判。「残念ながらあなたには、日本の代表として外国に出かける資格はない」と断じた。
横路議員は、サミットで日本の経済対策が歓迎されたとの報告に対して「国際会議の度に『消費税を上げても景気にさしたる影響はない』とか『不良債権問題はメドがついた』など約束し、常に期待を裏切られてきた各国の冷ややかな反応に気づかないのか」として、「単発的な景気対策を超えた系統的、中長期的展望に立つ本格的な政策展開が不可欠になっている」「総理はサミット後、記者団に『これから本気で取り組まなければ』と述べたが、バブル崩壊からいったい何年たっているのか、『これから』とは何事か」と批判した。
また、アジア経済危機について「サミットではIMF主導の経済改革が必要との論議に終始したようだが、韓国の失業率増大、インドネシア暴動の発端となった公共料金値上げなど、アジアの現実をふまえ、IMFプログラムの見直しが必要」と主張。「雇用と社会的一体性、連帯感」がブレア首相の提起により初めてサミットで取り上げられたことから、「橋本総理の改革の一番大きな問題は、改革を進めた結果どんな社会になるのかという構想がまったくないこと。グローバルスタンダード、雇用の流動性と言っているうちに日本やアジアの伝統的地域社会が崩壊し、社会の一体性、人々の連帯感はどうなるのか」と痛烈に批判した。
橋本総理は「経済政策は私自身が予期していなかったほど歓迎された」など、危機意識のない答弁に終始した。また、ロシアのエリツィン大統領との会談内容について横路議員が「秘密の約束ができるわけではない」と公開を迫ったのに対して、「ロシア側との申し合わせもあり明らかにできない」と拒んだ。《民主党ニュース》
【米・オレゴン州】高校で銃乱射
米西部オレゴン州スプリングフィールドのサーストン高校で21日午前8時(日本時間22日午前0時)ごろ、同校を停学処分となったばかりの高校一年の少年(15)が、食堂で銃を乱射、1人が死亡、23人が負傷した。このうち8人が重体で7人が重傷。少年は間もなく警察に逮捕された。
この少年の家では両親とみられる男女が銃で撃たれて死亡していた。警察は、少年が犯行前に2人を射殺したとみて調べている。
クリントン米大統領は今回の事件について「米国民にとって非常に悲しい事件で、亡くなった人の家族や負傷した人たちに哀悼の意を表したい」と語った。
地元警察などによると、少年はライフルと短銃を持っており、当時食堂にいた「約300人の生徒の前で銃を乱射した。逃げる時の混乱でけがをした生徒もいた。レスリング部の生徒が腹部を撃たれながらも少年にタックルして取り押さえた。《共同通信》
【メッツ・吉井理人投手】初完投勝利
米大リーグ、メッツの吉井理人投手が野茂英雄(ドジャース)に続き、日本人投手として二人目の完投勝利を達成した。21日(日本時間22日)、ニューヨークのシェイ・スタジアムでのレッズ戦で先発した吉井は本塁打による1失点で完投した。9安打、3四球と走者は塁上をにぎわしたが、粘り強く投げ抜き、9奪三振は自己最多だった。1995年に大リーグ入りした野茂は11試合目で初完投(完封)したが、吉井はメジャー8試合目の完投勝利だった。《共同通信》