平成2904日目

平成8年12月20日(金)

1996/12/20

【在ペルー日本大使公邸占拠事件】

ペルー政府、ゲリラの要求拒否

ベルーの極ゲリラ、トゥパク・アマル革命運動(MRTA)が起こした日本大使公邸人質事件で、ベルーの報道機関などによると、ペルー政府当局者は20日、同国の閣議が、MRTAメンバーの釈放を求めた同組織側の要求を受け入れないとするフジモリ大統領の提案を承認した、と明らかにした。今回の決定が最終結果かどうかははっきりしない。

MRTAは、これまで人質解放条件の一つに獄中にいるメンバーの釈放を挙げている。フジモリ大統領は19日の池田行彦外相との会談で人質解放を優先することで一致しているため、今回の決定が最終結果かどうかはっきりしないが、政府が釈放要求拒否の姿勢を貫けば、事件の早期解決が難しくなる可能性もある。

目立った事件解決への進展がないまま事件から4日目を迎えた大使公邸では、異常な緊張を強いられ、休息や食事も十分とれぬ「350人から400人」(日本外務省)の人質は、心身ともに限界へ近づいていると懸念される。

19日解放されたリマ北部ワチョ市の日系人会会長、フアン島袋さん(77)は、犯人は「人質を傷つけるそぶりはなかった」などと共同通信に生々しく語った。

ロイター通信によると、政府当局者が明らかにした閣議決定に関する声明は「ペルーの刑務所に収監されているテロリストの釈放要求は受け入れない」との大統領の提案を承認した、としている。地元テレビは閣議が20日午前0時半すぎに終了したと報じた。

一方、19日に現地入りした池田外相は予定時間をオーバーしてフジモリ大統領と会談するなど、事態打開へ懸命の模索が続いている。

フアン島袋さんは、自分では立って歩けず、車いすで運ばれる状態。親類の話によると「心臓の持病があり、すぐリマ市内の病院へ入院した」という。

情報収集に当たる外交関係者らの話では、公邸内は「洗面所が4カ所しかなく、人質たちは武装グループの威嚇にさらされながら、天皇誕生日のレセプション出席の盛装のまま、床に伏せるなど劣悪な環境で我慢を強いられているもよう。《共同通信》

ペルーの日本大使公邸人質事件で、極左ゲリラ、トゥパク・アマル革命運動は20日午後7時20分(日本時間21日午前9時20分)ごろ、韓国、エジプト、ブラジル各大使ら新たに38人の人質を解放した。この中には日本人2人と日系人13人が含まれている。

解放されたペルーのディエス・アンセコ国会議員は「強硬手段でなく、平和的に解決してほしい」との人質の合同声明を読み上げ、ペルー政府が収監中のメンバーと話すことを許可し、真剣に交渉する意思を示せば、新たに多数の人質を解放する用意があるとのゲリラ側の要求声明を発表した。

公邸内には依然として350人前後の人質がおり、ペルー政府は水面下でさらなる解放に向け、ゲリラ側と必死の交渉を続けているとみられる。

しかし一方で、ペルー政府が19日から公邸への水道、電気、電話を止め、MRTAのメンバーに圧力をかける神経戦を開始、人質の家族や日本政府からは人質の健康状態への懸念の声が強まっている。

同議員が読み上げた人質の合同声明は「電気も食料もなく危機的な状況にある。人質は精神的にまいっている」と述べ、またゲリラ側の声明は「交渉のため女性を解放したが、政府の反応はなかった。電気や水を止めるのは愚かな行為だ」とペルー政府を非難している。

日本外務省筋によると、公邸への電気などが止められていることはペルー滞在中の池田行彦外相にも初耳の一方的措置。生活に不可欠な電気などが止められたため、20日には人質が紙に「水道、電気、電話の復旧を」などとメッセージを書き、公邸2階の窓から掲げて再三嘆願する事態となった。《共同通信》



【巨人・斎藤雅樹投手】3億円プレーヤーに

巨人の斎藤雅樹投手(31)は20日、東京・神田の球団事務所で契約更改交渉に臨み、8000万円増の年俸3億3000万円で来年の契約にサインし、落合博満内野手(日本ハム)、清原和博内野手(巨人)に続く3億円プレーヤーとなった。

フリーエージェントの権利を行使して西武から巨人に移籍して3億6000万円の球界最高年俸となった清原を抜くかと注目されたが「清原君がいくらもらっているか分からないですけど、いってないと思います」と話した。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は20日の閣議で、ベルーの大使公邸人質事件に関し、「タベも外務省のオペレーションルームに行って状況を把握、指示に当たった」と厳しい表情で報告した。日本とペルーは昼夜が逆で、日本時間の夜半から未明にかけて現地の動きが活発になることに引っかけて、梶山静六官房長官が冗談交じりに「総理は夜光虫のように夜の12時をすぎると忙しくなる。若い総理だから持つんだろう」と冷やかすと、首相は「夜光虫とは何だ」と一転してむっとした表情に。59歳と政界では若い首相でもさずがに疲れは隠せない?

○・・・社民党の伊藤茂幹事長はこの日午後の記者会見で、自民、さきがけとで合意した医療保険改革案について「抜本的な改革について徹底的に議論する。改革優先、改革前提だ。負担増は「国民の理解をもらった後」と強調。「自民党は衆院では238議席(で過半数に達せず)、参院も含めれば深刻だ。自民党の言うとおりにはいかない」、「与党で合意したからといって、淡々、粛々といくものでない」と威勢良く打ち上げた。だが記者団から「予算に反対することもあるのか」と質問を受けると「そこまで言うと物騒になるから」と急速にトーンダウン。《共同通信》

【豊浜トンネル崩落事故】遺族が国相手に提訴

20人の犠牲者を出した今年2月の北海道・積丹半島の豊浜トンネル崩落事故で、トンネル管理などに問題があったとして犠牲者7人の遺族16人が国を相手に総額約6億4000万円の損害賠償を求める訴訟を20日、札幌地裁に起こした。事故で遺族が提訴したのは初めて。

北海道開発局の事故調査委員会は事実上、管理責任を否定する報告書を出したが、かつてないトンネル事故はその原因と責任を明確にさせるため法廷の場で争われることになった。

訴えによると、崩落した付近の岩盤はもろく、亀裂が入りやすい地質だった。平成4年4月に豊浜トンネル付近で約100トンの岩が落下したほか、6年2月には同トンネルの余市側約3キロ先で約5万トンの岩盤が崩落した。

トンネル付近は、このように地質的にも地形的にも不安定で、国は崩落の危険性に十分な対策を取る必要があるのに、岩盤などの調査をしなかったのは明らかにトンネル管理の安全性に配慮を欠いており、国家賠償法により、損害を賠償する義務がある、としている。

事故をめぐっては、開発局の事故調査委員会が9月に「大規模な岩盤崩落を事前に予知・予測するのは困難だった」と開発局の管理責任を否定する報告書を提出。

その後、国は、遺族に道路管理者の責任として国家賠償の方針を伝えていたが、過失責任を認めず、謝罪の言葉もなかったため、遺族から反発の声が上がった。

北海道警の捜査本部も北海道大の教授に鑑定を依頼して業務上過失致死罪に当たるかどうか慎重に捜査を進めているが、まだ、結論は出ていない。《共同通信》



12月20日のできごと