平成2859日目
1996/11/05
この日のできごと(何の日)
【米大統領選】ビル・クリントン氏が再選
米大統領選挙は5日、投票が行われ、即日開票の結果、民主党現職のクリントン大統領(50)が1992年の前回選挙を上回る大統領選挙人を獲得して共和党のドール候補(73)に圧勝、再選を決めた。民主党が2期連続8年間、政権を担当するのは1961ー69年のケネディ、ジョンソン両政権以来となる。
クリントン大統領は堅調な景気を追い風に、議会共和党が進めた「保守革命」に対する国民の警戒感と、現状維持ムードに乗った。大統領は「21世紀への架け橋」を合言葉に結集を訴えている。しかし、さまざまな疑惑をめぐる国民の不信感は根強い上、同日実施された議会選で共和党が優勢を維持したことなどから、2期目の政権運営も困難が予想される。《共同通信》
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米大統領選でドール共和党候補を大差で破り再選を果たしたクリントン大統領は5日夜(日本時間6日午後)、地元アーカンソー州リトルロックで数千人の支持者を前に演説し、「今日、米国民はわれわれの路線を承認した」と勝利宣言した。
ヒラリー夫人やゴア副大統領夫妻らとともに熱狂的な市民の前に現れた大統領は、経済成長重視と教育強化を柱にした“クリントン戦略”で「21世紀への架け橋を築いていく」と述べ、米国を新世紀に導いていく決意を表明した。
同時に大統領は、共和党が上下両院の多数派を維持し、財政均衡問題や大統領周辺の疑惑問題で難しい政権運営が必至となる情勢を念頭に「政治的分裂を捨て、協力して問題に取り組もう」と述べて、共和党に協調と妥協を呼び掛けた。
しかし、共和党側が土地開発・不正融資疑惑(ホワイトウォーター疑惑)やインドネシア財閥、リッポー社関係者からの献金問題で追及の手を緩める可能性は小さく、第2期クリントン政権の先行きは平たんではない。
最終結果によると、クリントン大統領の大統領選挙人獲得数は首都ワシントンと31州の379人で、これに対しドール共和党候補は19州の159人だった。《共同通信》
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【ロシア・エリツィン大統領】手術成功
エリツィン大統領の心臓の冠動脈バイパス手術が5日、モスクワ市内の心臓病センターで7時間にわたって実施され、大統領府と執刀医は「手術は成功した」と発表した。
今年夏の大統領選挙決戦投票直前に心臓発作を再発し、自ら手術を決断した大統領は、健康を完全に回復してクレムリンに復帰する意向だ。しかし、術後の経過が万一悪化、あるいは職務遂行不可能となれば、憲法の規定により3カ月以内に繰り上げ大統領選挙が実施されるため、政局は一気に混迷、国際情勢にも大きな影響を与えることになる。
大統領は手術開始の直前、憲法に従い、チェルノムイルジン首相に「核のボタン」を含む大統領全権を一時的に委譲、手術中の「権力の空白」を回避する措置をとったが、麻酔からさめる6日か7日にも大統領令を出し、大統領権限を取り戻す見込みだ。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】党三役を決定
橋本龍太郎首相(自民党総裁)は5日午後、首相官邸で加藤紘一自民党幹事長と会談、党三役に加藤幹事長、山崎拓政調会長の留任、総務会長に森喜朗氏を決定した。7日の第二次橋本内閣発足に向け、閣僚人事の基本的考えなどを協議、行政改革、沖縄問題、公的会議保険制度など重要課題推進のための布陣で人選を急ぐことになった。
沖縄米軍基地問題で日米交渉を行う外相には継続性から池田行彦氏の再任が固まった。行革については首相が強い意欲を持っていることから、担当相は新設せず、総務庁長官が実務に当たる。衆院議長候補には旧河本派の伊藤宗一郎元防衛庁長官が決まり、副議長候補の新進党の渡部恒三氏とともに7日の首相指名選挙に先立ち選出されることが内定した。
首相は組閣の基本方針について「選挙中に言っていたことを実現できる強力な態勢をいかにつくるかということだ」と強調した。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】オランダ・コック首相と会談
橋本龍太郎首相は5日午後、首相官邸でオランダのコック首相と会談した。オランダが来年1−6月に欧州連合(EU)欧州議会の議長国を務めることを念頭に、橋本首相は「日本とEUとの関係を飛躍的に拡大したい」と表明。具体的な協力分野として、発展途上国の環境問題を挙げた。両首脳は両国交流400周年に当たる2000年に、政治、経済、文化などで各種行事を行うことで合意した。記念行事の実行委員会には長崎や大分県などの自治体が参加する。
これに先立ち、池田行彦外相とファンミルロー外相が飯倉公館で会談。池田外相は12月にシンガポールで行われる世界貿易機関(WTO)閣僚会合で検討される新テーマについて「アジアは貿易と投資、環境、競争政策などのテーマを取り上げるのは可能だが、貿易と労働基準、人権のテーマは難しい」と強調。池田外相は「欧米は既に欧米で実現している人権を直ちに(途上国に)求めるが、このアプローチは違う。時間が必要であり、段階的に着実に定着させることが必要だ」と述べ、ミャンマー情勢などへの日本の対応に理解を求めた。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・橋本龍太郎首相は5日午前、岡山県の石井正弘・新知事の訪問を受けた。この後、首相は記者団に「『奥さんに威張るなよ』とおれが言っていた意味が分かったかと尋ねたら、知事は『分かりました』と言っていた」。選挙運動を切り盛りする奥さんには、頭が上がらないからだと得々と説明。首相の口が滑らかになったところで記者団が自民党役員や新内閣の布陣について質問しようとすると「君たちはどうして、先へ先へと聞くの? 君たちに先に報告しなければならないルールがあるのか」と、一転、不機嫌そうな応答。だが表情は「人事の大権」を握る余裕からか終始ニヤニヤ。
○・・・池田行彦外相はこの日の記者会見で、13回の海外出張で24万九9371キロを飛び、23カ国を訪問した在任中の感想を質問され、「今日もオランダのコック首相、ファンミルロー外相との会談もあり、ボリビアのサンチェス大統領もいらっしゃっている」と、回顧談はまだ早いとばかりの答弁。出身の自民党旧宮澤派内から「池田氏は閥務に戻るべきだ」との声も強いが、「一日一日職務に専念する心境に変わりない」と、外相再任への意欲もにじませていた。《共同通信》
【パキスタン・レガリ大統領】ブット首相を解任
イスラマバードからの報道によると、パキスタンのレガリ大統領は五日未明、ブット首相を解任し、議会(下院)を解散した。1993年10月に発足したブット政権はほぼ2年の任期を残して崩壊した。
大統領は、与党パキスタン人民党の長老で元国会議長ミラジ・カリド氏を暫定首相に指名、総選挙を来年2月3日に実施するとの声明を発表した。
首相の解任に先立ち、東部パンジャブ州の州都ラホールに滞在していた首相の夫ザルダリ氏らが当局に逮捕された。また、ブット首相がいるとみられる首相官邸周辺を軍の部隊が取り囲むなど、首都イスラマバードには緊張した事態が続いている。
ブット首相は88年の軍事政権崩壊後の総選挙で圧勝し初めて政権を担当したが、90年8月に当時のカーン大統領に「汚職、権力乱用」を理由に解任されている。
大統領の声明は、解任の理由として「ブット政権の各種の腐敗」や「最大都市カラチでの当局の不法な取り締まりなどによる死亡事件」などを挙げた。
首相には就任以来、夫ザルダリ氏らに絡む汚職、腐敗のうわさがつきまとい、先月には首都などで野党勢力による大規模な退陣要求デモが続いた。レガリ大統領は首相の指導力の低下がさらに政治混乱につながることを憂慮、解任時期を探っていたとされる。《共同通信》
【韓国】北朝鮮スパイ2人を射殺
韓国国防省は5日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の潜水艦侵入事件で逃走中の武装スパイ2人を韓国北東部の江原道麟蹄郡の山中で射殺したと発表した。聯合通信によると、韓国軍側も2人の投げた手りゅう弾などで、2人が死亡、10人が負傷した。しかし国防省は確認していない。
北朝鮮の武装スパイを追跡していた韓国軍は4日午後、江原道の香爐峰付近でM16自動小銃や短銃を所持した不審な男2人を発見、ヘリコプターなども投入して大々的な捜索活動を続けていた。
国防省第一軍司令部によると、5日になって2人を再び発見、午前4時半と同7時半ごろ、同10時半ごろの3回にわたって激しい銃撃戦を展開し、2人を射殺した。同司令部は、服装などから北朝鮮の武装スパイとしている。
2人が射殺された現場は、9月に北朝鮮の潜水艦が侵入した江原道江陵市から北西約70キロの地点。潜水艦侵入事件では26人が韓国に潜入。これまでに1人を逮捕、22人が射殺または遺体で発見され、3人が逃走中だった。射殺された2人がスパイと確認されたことで、残りは1人となる。《共同通信》
【ロシア・エリツィン大統領】手術成功
エリツィン大統領の心臓の冠動脈バイパス手術が5日、モスクワ市内の心臓病センターで7時間にわたって実施され、大統領府と執刀医は「手術は無事成功した」と発表した。
今年夏の大統領選挙決選投票直前に心臓発作を再発し、自ら手術を決断した大統領は、健康を完全に回復してクレムリンに復帰する意向だ。しかし、術後の経過が万一悪化し大統領が死亡、あるいは職務遂行不能となれば、憲法の規定により3カ月以内に繰り上げ大統領選挙が実施されるため、政局は一気に混迷、国際情勢にも大きな影響を与えることになる。
大統領は手術開始の直前、憲法に従い、チェルノムイルジン首相に「核のボタン」を含む大統領全権を一時的に委譲、手術中の「権力の空白」を回避する措置をとったが、麻酔からさめる6日か7日にも大統領令を出し、大統領権限を取り戻す見込みだ。《共同通信》