平成2796日目

平成8年9月3日(火)

1996/09/03

【故・渥美清さん】国民栄誉賞受賞

政府は3日午前、俳優の故渥美清さんの遺族らを首相官邸に招き、長年の功績をたたえて故人への国民栄誉賞を授与した。

橋本龍太郎首相は「人情味豊かな演技で庶民の哀歓を描いて広く国民に愛され、その心に喜びと潤いを与えるとともに海外にも日本の心を伝えるなど大きな功績を残された」と表彰状を読み上げ、長男の健太郎さんに盾と記念品の銀製花器を贈呈。健太郎さんは寅さん人形と写真集、「男はつらいよ」の最終作品ビデオを記念に贈った。

表彰式には、同シリーズを手掛けた映画監督の山田洋次さん、映画の中で妹役のさくらを演じた女優の倍賞千恵子さん、おばちゃん役の三崎千恵子さんら「寅さんファミリー」も出席、授与式を見守った。

昭和52年に創設された同賞の受賞者はこれで12人目。このうち、故人に授与されたのは行方不明中の登山家の植村直己氏を加えると7人目となった。

式典後、首相は「いつも、ほのぼのとした感じを与えてくれた。一般庶民がその時代に感じたであろうことを素直に出せる俳優だった」と述べた。

健太郎さんは、「あまりに大きな賞をいただいて実感が、わかない。おやじは多分、『面倒くさい』と言っているでしょう」と語った。《共同通信》



【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は3日、俳優の故渥美清さんへの国民栄誉賞を贈るため官邸に招いた長男の健太郎さんら遺族と、寅さんゆかりの「柴又団子」をほお張りながら歓談。首相は「ご子息が幼稚園の時、映画を見に行き、画面に映った人が隣に座るお父さんと同じなので感激して絵日記に書いたそうだ」との工ピソードを記者団に披露し「職業人と家庭人とをきちっと分けたすてきな方だったんだな」としんみり。衆院解散・総選挙含みの秋の政局を前に表情もこわばりがちの首相だが、この時ばかりは「ほのぼのとした味わい」の渥美さんにあやかってソフトムードを演出?

○・・・新進党の小沢一郎党首はこの日、一般党員や支持者と交流を深める「対話フォーラム」で次期衆院選へ向けた情勢に触れ「北海道1区から沖縄3区まで常に思いを巡らしているが、絶対に負けないと確信をもっている」と強気の発言。しかし「3年前の選挙は政治が変わるかもしれないと風が吹いたが、しょっちゅう都合のいい風は吹かない」と状況の厳しさも指摘。「勝つためには、候補者が火の玉となって活動することと、皆が培った力を合わせることが条件だ」と「草の根選挙」の徹底を力説した。《共同通信》

【橋本龍太郎首相】政見放送録画撮り

橋本龍太郎首相は3日午後、自民党本部で岡山県選出衆院議員と次期衆院選の政見放送の録画撮りをした。「首相と他の議員が全員そろう機会はめったにない。都合がついたのでセットした」(党本部関係者)というが、党内で早期解散論が高まっているだけに「総選挙が近いのか」との憶測が永田町に飛んだ。

収録したのは小選挙区用の政見放送ビデオ。総裁室で平沼赳夫氏ら同県小選挙区候補予定者と政策談議に花を咲かせるシーンを撮ったが、撮影前には「首相が選挙用のビデオを収録したら解散風が吹くのでは」という出席者の冗談に「ビデオ撮りは岡山が最初じゃない。順番で進めているだけだ」と気色ばむ場面も。

共産党を除く各党は、まだ政見放送の録画は行っておらず「今ごろ首相が選挙準備とはどういうメッセージか」(社民党関係者)と、真意をいぶかる声も聞かれた。《共同通信》

【米軍】イラクを攻撃

米軍は東部時間3日午前1時半(日本時間同日午後2時半)すぎ、イラク軍が同国北部のクルド人居住地区に進攻した懲罰として、同国南部の軍事施設4カ所を標的に、計27発の巡航ミサイルを撃ち込み、限定的な攻撃を実施した。

クリントン大統領は午前8時(同午後9時)ホワイトハウスで声明を発表。イラク軍が依然クルド地区の中心都市アルビルを制圧したままであることを挙げ、「地域の友人を守るために必要ならば、武力行使をためらわない」と述べ、再攻撃もあり得るとの姿勢を示した。また大統領は、人道上の理由で今月にも国連が部分解禁する見通しだったイラクの石油輸出を当面認めない意向を表明した。

大統領は同国南部の北緯32度以南に設定された「飛行禁止区域」をバグダッド南郊の同33度まで北に拡大することを宣言し、イラクの軍事力封じ込めを強化する方針を示した。これに対し、フセイン・イラク大統領は同日、イラク軍に米軍への徹底抗戦を命じる演説をしており、湾岸情勢はイラクの出方によっては一段と緊迫化する可能性が出てきた。《共同通信》

米軍による巡航ミサイル攻撃を受けたイラクのフセイン大統領は3日、国営テレビなどを通じて演説し、イラク全軍に対し、米軍の攻撃に徹底抗戦し、いかなる航空機やミサイルも撃墜するよう命じた。また、米国などが湾岸戦争後に設けたイラク領内の「飛行禁止空域」についても今後は認めない方針を宣言、米国との対決姿勢を鮮明にした。

しかし、一方で、アジズ副首相は同日、同国北部のクルド地区に残留している戦車部隊撤退を同日中に完了させると発表。既に一部の部隊は撤退を始めていることを明らかにし、フセイン大統領が打ち出した強硬姿勢とは違い、含みを持った姿勢を示した。

同日の攻撃について、イラク陸軍司令部は、イラク市民5人が死亡、19人が負傷したことを明らかにした。《共同通信》



9月3日のできごと