1996 平成8年4月24日(水)

平成2664日目

平成8年4月24日(水)

1996/04/24

【オウム・松本智津夫被告】初公判

オウム真理教の教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の初公判が24日、東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、地下鉄サリンなど3事件の審理が始まった。

人定質問で麻原被告は氏名を「麻原彰晃です」と述べた。裁判長から「松本智津夫ではないですか」と問われて「その名前は捨てました。麻原彰晃です」などと、麻原彰晃の名を繰り返した。職業については「オウム真理教の主宰者です」と述べ、本籍、住所については「覚えていない」とした。昨年7月から同地裁で続いているオウム公判は、一連の凶悪事件がどのように計画され実行に移されていったかの全容解明に向け、最も重要な舞台の幕開けを迎えた。

公判の冒頭で弁護側は、麻原被告が教団の宗教服「クルタ」を着用することを事前に希望したのに許されなかったことについて「自由な法廷であるべきだ。法廷の厳粛さを阻害するものではない」と抗議した。検察側は「かつてマインドコントロールを受けた信者や関係者に無言の圧力になる」と反論した。

さらに弁護側は、麻原被告の身体的障害を理由に起訴状朗読の際、同被告を着席させるよう請求。これらの主張がいずれも認められなかったことから、弁護側は公平な裁判を保障した憲法に基づき異議を申し立てるなど、公判は波乱含みのスタートとなった。初公判は昨年5月16日の逮捕以来、約11カ月ぶり。

麻原被告は教団による凶悪事件を指揮したとして計17事件で起訴されている。人定質問に続き、検察側がこの日審理入りした信者Oさんリンチ殺害、麻酔剤チオペンタール密造、地下鉄サリンの3事件の起訴状朗読に入った。

地下鉄サリンの被害者3807人の氏名、被害程度などを記載した別表も全文読み上げられ、注目の罪状認否は同日午後になる見込み。25日には第2回公判が開かれ、検察側の冒頭陳述と弁護側が同意した証拠の取り調べが行われる。

この日傍聴券を求めて抽選会場の日比谷公園に並んだ希望者の数は、過去最高の1万2292人。同地裁と東京高裁の刑事部はほかに一つも公判の予定を入れず、麻原公判にかかりきりの状態となった。

事件現場でもある隣接の地下鉄霞ケ関駅は、裁判所に近い出入り口を閉鎖するなど、周辺は厳重な警備が敷かれた。

麻原被告の公判をめぐっては、当初引き受けた私選弁護人が昨年10月の初公判予定日の前日になって解任され、直後に同地裁が職権で国選弁護人の選任作業に着手。東京、第一東京、第二東京の3弁護士会から11月までに9人、ことし2月までにさらに3人の計12人が選任された。《共同通信》

ゆっくりと歩く長髪のその男に、傍聴席から刺すような視線が集まる。東京地裁で最大の104号法廷。かつて「オウム王国」を夢見て「救世主」を自称していたオウム真理教教祖麻原彰晃被告は、初公判冒頭の人定質問で、やや高い、はっきりとした声で職業を「オウム真理教の主宰者です」と答えた。

午前10時すぎ、阿部文洋裁判長の声に促され、中央の証言台へ。やせて足取りは不安定。方向が定まらず、拘置所職員に手を引かれ、ようやく裁判官席に向かって直立した。

紺色の長い襟なし上着に同色のズボン姿。逮捕以来、340日になる獄中生活と一日置きに実行した断食のため別人のようにやせ、顔にはつやがない。長い髪を後ろに束ね、目をかすかに開けているように見える。ひげには白いものも交じる。法廷の入り口で一瞬、よろめく場面も。

人定質問の前に弁護側と裁判長が服装をめぐって論争。弁護側は白色の教団服「クルタ」の着用を認めるよう要求し「服装の自由は憲法で保障されている。今の着衣は警視庁にいた時から一度も洗濯していない」と訴えたが、阿部裁判長は却下。検察側は「宗教的色彩が強く、信者らに与える影響が大きい」と反対意見を述べた。《共同通信》

オウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の初公判は24日午後も東京地裁(阿部文洋裁判長)で開かれ、麻原被告はこの日審理入りした地下鉄サリンなど3事件についての罪状認否を留保した。同被告は「絶対自由、絶対幸福、絶対歓喜を得てもらうための実践などによって生じるいかなる不自由、苦しみも頓着しない」などと独自の教義を展開した上で「これ以上のことをここでお話しするつもりはありません」と述べた。

阿部裁判長が「起訴事実については自分の実践として行ったということですか」と問いただしたが、弁護側が質問を遮って「留保の趣旨だ」と説明、その後、弁護人の意見として「公正な審理をお願いしたい」などと要望した。

教団トップが、裁判で起訴事実への認否を先送りし、教義を正当化する発言をしたことで、教団内の指揮系統を含めた事件の全容解明作業は長期化する見通し。今も残る信者や公判中の元幹部らに大きな影響を与えそうだ。

この日審理されたのは、麻原被告が問われた17事件のう地下鉄サリン、Oさんリンチ殺害、麻酔剤チオペンタール密造の3件。

麻原被告は午後4時半前に始まった罪状認否で「逮捕される前も後も一つの心の状態で生きている」と切り出し、「それは聖慈愛、聖哀れみ、聖賞賛の実践。そして三つの実践によって生じるいかなる不自由にも、頓着しない聖無頓着」などと言葉を並べた。

弁護側は「被告の結論は、その認否を留保するという趣旨。弁護人らも同様」と説明した上で報道などによる予断を排し、公正な手続きによる裁判をするよう求めた。さらに検察側が共犯者の調書を開示せず、共謀の内容を明らかにしていないことに対し、「弁護人の側に防御と弁護の方法がない」と強く抗議した。

これに先立つ起訴状朗読では、弁護側の希望により地下鉄サリン事件の被害者3807人の氏名、被害程度などを記載した別表も全文読み上げられたため、同事件の起訴状朗読は昼の休廷などを挟んで3時間40分にわたった。

初公判は午後5時前、閉廷した。25日に第2回公判が開かれ、検察側の3事件の冒頭陳述と弁護側が同意した証拠の調べが行われる。《共同通信》



【日経平均終値】2万2282円05銭

24日の東京株式市場は、前日のニューヨーク株価の上昇などを受けて買い物が増え、平均株価(225種)終値は前日比162円17銭高の2万2282円05銭となり、今月22日の終値(2万2123円89銭)を抜いて今年最高値を更新した。終値では平成4年1月10日(2万2381円90銭)以来約4年3カ月ぶりの高水準で、出来高は約5億700万株。

午前は、機関投資家を中心とする買いが幅広く入った。午後は、堅調を持続したものの、高値警戒感が強まり、値上がりした銘柄を売って利益を稼ぐ動きが出て、やや伸び悩んだ。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は24日、パソコンを所有している世帯が全米の3分の1に達したという話題に関連して、記者団の「パソコンは使うか」との質問に「執務室にはないが家にはある」「藤沢や岡山に住んでいる子供が、用があると時々電子メールを打ち込んでくるから見るようにしている」と、親子の対話に利用していることを披露した。「ゲームは」と尋ねられると「ゲームは苦手だ。あまりオ能がない」。政策通を自任し、国会対策などの駆け引きは得意でない首相、人間相手だけでなくパソコンでもゲームは不得手?

○・・・社民党の池端清一院内総務会長はこの日の記者会見で、住専処理予算をめぐる「制度を整備した上で措置する」との与野党合意の解釈に触れ「新進党の西岡武夫国対委員長は削除もあると言っているが、漢字について議論する気はない」とおうように構えてみせた。ところが、すぐに「ちなみに手元の辞書には(措置は)手続きを含むある事態への対応の仕方、とある。これはあくまでも予算を執行するということだ」と強調。さらには「報道の皆さんは玉虫色決着というが、執行するということだ」と繰り返した。中学教諭出身の面目に懸けても黙っていられなかったようだ。《共同通信》

【自民党・山崎拓政調会長】日朝交渉再開を期待

自民党の山崎拓政調会長は24日午前、ソウル市内のホテルで記者団に対し、中断している朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との日朝国交正常化交渉について「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への財政的支援が始まるまでに、交渉が始まることが望ましい」と述べ、今秋にも交渉を再開するよう期待を表明した。

今後の対応については「(政府間の)外交正面からやる」と述べ、政府間交渉にゆだねる考えを示した。

山崎氏は、消費税について昨年の税制改革で決定した税率5%への引き上げを変更する考えがないことを強調した。さらに特別減税について「本年に限る」と述べ、今年で打ち切る考えを示した。

また山崎氏は前日の金泳三大統領との会談を踏まえ「日米韓の連携の下に今後の対応を進める。(日朝間の)予備交渉は早々に始めるべきと考えているが、その前に南北対話、4カ国協議が軌道に乗っていることが望ましい」と述べ、4カ国会談の進展状況を見ながら日朝関係改善に取り組むべきとの見解を示した。

一方、平成9年4月からの消費税率(現行3%)引き上げについて「私個人としては5%に引き上げるべきだと考える。財政の中長期的な計画の中で行われた施策だ」と述べた。《共同通信》

【ロシア・エリツィン大統領】訪中

エリツィン・ロシア大統領は中国公式訪問のため24日、北京に到着した。大統領の訪中は1992年12月に次いで2度目。

大統領は人民大会堂での歓迎式典の後、江沢民国家主席と短時間会談。中国中央テレビによると、江主席は「花開くこの時期の大統領訪問は、両国関係発展の兆しである」と歓迎した。大統領は「中国訪問を重視を、十分に準備してきた。この訪問はきっと成功するだろう」と答えるなど、両首脳は両国関係の発展に強い意欲を表明した。

大統領は、主席の論文集「改革、発展、安定」、鄧小平氏の三女の蕭榕さんの「わが父鄧小平」のロシア語版を主席に贈った。大統領は続いて歓迎夕食会に臨んだ。《共同通信》

【チェチェン武装勢力】対ロ徹底抗戦を宣言

ロシア軍参謀本部幹部は24日、インタファクス通信に対し、同軍の情報機関の調査でチェチェン共和国のドダエフ大統領の死亡を確認したと語った。また、ドダエフ派武装勢力幹部のバサエフ部隊長も23日夜、南部山岳地帯で放映された同派のテレビ放送で、大統領死亡を確認した。

ドダエフ大統領の死去を受け、ヤンダルビエフ副大統領が、大統領代行に選出され、代行は「チェチェン民族はドダエフ大統領の指導の下で始まった独立の戦いを続ける」と述べ、ロシア軍に対する徹底抗戦を宣言した。

今後、報復活動などが激化し、エリツィン・ロシア大統領が発表したチェチェン紛争の包括和平案の実現が一層困難な情勢になる可能性もある。

参謀本部幹部は、ドダエフ大統領が、21日夜から22日未明にかけ、共和国の首都グロズヌイ南西30キロのゲヒチュ村周辺で、ミサイル攻撃により死亡したと語った。ロシア軍機の攻撃で死亡したことを事実上認めた発言とみられる。

武装勢力側にとっては、大統領の死で、ロシアからの独立運動の象徴的存在を失い、求心力を欠くことも予想される。しかしタス通信は、武装勢力がヤンダルビエフ大統領代行に忠誠を誓っていると伝えた。《共同通信》



4月24日のできごと