平成2612日目
1996/03/03
この日のできごと(何の日)
【オウム真理教】信者33人死亡、21人が不明
オウム真理教信者が、教団内のリンチや修行中の事故などにより6年間に33人死亡していたことが、警視庁など捜査当局の調べで3日、分かった。教祖の麻原彰晃被告(41)が逮捕されたリンチ事件で3人が殺害されたのをはじめ、修行中や作業中などに8人が死亡、自殺者が2人いたほか、押収資料などから20人の死亡が確認された。
警視庁などはリンチ事件の被害者ら5人について捜査を終えており、残る信者の死亡について幹部らの刑事責任を問えるかどうか、慎重に捜査を進めている。
また、行方不明の信者も21人に上ることも判明した。教団内での死者、不明者が明らかになったのは初めてで、密室教団の実態があらためて浮き彫りになった。
調べによると、33人は坂本弁護士一家事件の前年の昭和63年10月ごろから、地下鉄サリン事件直前の平成7年2月の間に死亡したとみられる。19歳の男性から81歳の女性まで(いずれも当時)で、女性が18人、男性が15人。家族から捜索願が出ていた信者も多かった。
警視庁は、このうちAさん=死亡当時(29)、Bさん=同(29)、Cさん=同(27)=の3人は山梨県上九一色村の教団施設『第2サティアン』などでリンチにより殺されたと判断、さらに逆さづりなどの修行中に2人が死亡したことを確認した。
所有不動産を教団に寄進する手続きが取られていた資産家の女性信者2人は、群馬県出身の信者=当時(58)=が6年6月、LSDを使った修行中に死亡。東京都の信者=同(81)=も同年4月、強力な睡眠剤を注射された上、点滴を続けられて死亡した。
また事故死と判断されたケースでは6年6月、「第8サティアン」で機械に挟まれて死亡した男性信者=同(19)=や、2年11月に杉並道場の割れたガラスでけがをして失血死した女性信者=同(27)=、三重県亀山市で交通事故死した女性信者2人も。2人の男性信者は列車に飛び込んで自殺していた。
残る20人は、教団付属医院からの押収資料や火葬許可申請書などから、既に死亡したと判断された。しかし、同医院の入院記録には「がん」などと病名が書かれているだけのケースも多く、死因の解明は、行方不明信者の所在確認とともに今後の課題だ。《共同通信》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【ボクシング・辰吉丈一郎選手】復活ならず
世界ボクシング評議会(WBC)ジュニアフェザー級タイトルマッチ12回戦は3日、横浜アリーナで行われ、挑戦者の同級1位辰吉丈一郎(大阪帝拳)はチャンピオンのダニエル・サラゴサ(メキシコ)に11回2分47秒、ドクターストップのTKOで敗れ、WBCバンタム級に続く2階級制覇はならなかった。戦績は16戦12勝(10KO)3敗1分け。38歳のサラゴサは3度目の同級王座返り咲き後、初防衛に成功。戦績は62戦52勝(26KO)7敗3分け。
サラゴサは1回から巧みな左ストレート、左右のブロックで主導権を握った。着実にポイントを重ねると、両目から出血した辰吉を追い詰め11回、TKO勝ちを奪った。辰吉は時折いいパンチを放ったが、防御が甘く、ペースをつかめなかった。
昨年12月、日本ボクシングコミッション(JBC)は網膜剥離と診断された選手の国内試合を禁じる内規の運用を一部変更し、世界タイトル戦に限るなどの厳しい条件付きで辰吉の1年3カ月ぶりの日本のリング復帰を認めた。辰吉はこの敗戦で、再び海外で復帰を図るか、現役を断念するかの瀬戸際に立たされた。《共同通信》
【ドジャース・野茂英雄投手】オープン戦に登板
2年目へ向けて上々のスタート−。米大リーグ、ドジャースの野茂英雄投手が3日、フロリダ州ベロビーチでのアストロズとのオープン戦に三回から二番手として初登板。3回を投げ、本塁打で1点を失ったが、許した安打はこの1本だけで3三振を奪った。
直球を中心に組み立てた野茂は、三回一死からハンターに本塁打された。だが、大リーグに挑戦した昨年のオープン戦とは見違える制球力で、3回、打者10人に対し、32球で無四球だった。次回のオープン戦登板は8日のマーリンズ戦。《共同通信》
【新社会党】結党大会
旧社会党左派でつくる「新社会党・平和連合」は3日午後、都内で結党大会を開き、党名を「新社会党」とすることを正式に決定。委員長に矢田部理参院議員、副委員長に小森竜邦、岡崎宏美両衆院議員、書記長に山口哲夫参院議員をそれぞれ選出した。
当面の活動方針では「護憲・平和」を強調した上で①住専処理での6850億円の削除を要求②消費税率引き上げに反対③沖縄米軍基地の縮小・撤去④衆院の小選挙区制廃止と、中選挙区制を中心とする制度への変更―などを確認した。
矢田部氏はあいさつで「社会党は政権維持のため本末転倒の基本政策の転換を行い、社民党は今や第三の保守勢力となった」と社民党の姿勢を強く批判、「新たな護憲・平和の旗を掲げ進みたい」と述べた。
次期総選挙への対応については、比例代表の11ブロックすべてに候補者を擁立するとともに、社民党との政策面での違いを強調していく方針を確認した。大会には旧社会党員を中心に、全国から約1300人が参加した。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】住専問題「母体行に責任」
橋本龍太郎首相は3日朝、バンコク市内のホテルで記者団と懇談し、財政支出6850億円の住専処理策を盛り込んだ1996年度予算案を週内に無修正で衆院通過させる決意を表明した。
首相は母体行など金融機関が住専各社にリスクの大きい融資を紹介した「紹介融資」の事実を重視、「母体行に相当の責任が行く(及ぶ)ものもあるだろう。法的に問題があるかどうか分からないが、母体行に責任を問う必要がある」と述べた。
連立与党は住専処理策の追加措置として母体行と農林系金融機関に負担増を求める方針を決めたが、首相の姿勢を受けて経営トップの退陣問題も絡めて母体行の負担拡大要求がさらに強まることが予想される。《共同通信》
◇
橋本龍太郎首相は3日タ、羽田着の政府専用機で、タイから帰国した。首相は、バンコクで開かれた第1回アジア欧州首脳会議(ASEM)に出席、所期の目的通りアジアと欧州の「橋渡し役」を務めた。
また6カ国の首脳と会談、信頼関係の醸成に努めた。特に李鵬中国首相、金泳三韓国大統領との会談で200カイリの排他的経済水域設定と新漁業交渉を領土問題と切り離して早期に開始することで一致。「橋本外交」に一定の実を挙げた。
しかし、週明けには住専処理策を盛り込んだ平成8年度予算案の衆院通過という政権にとって最大のヤマ場を迎える。連立与党は住専の母体行などに負担増を求める方針で、住専の「紹介融資」を問題視する首相の指導力が問われている。
首相はASEM首脳会合で経済圏僚会議やビジネス会議、広範な青年交流などを矢継ぎ早に提唱。これらが議長声明にも盛り込まれたことから「非常に有意義」な会合となった」と喜色満面だ。
また、竹島問題などを原因に冷え切っていた韓国の金泳三大統領と会談して関係改善の足掛かりを得たほか、フランスや英国、ドイツの各首脳とも顔を合わせて4月の原子力安全サミット(モスクワ)と6月の先進国首脳会議(リヨン・サミット)に向けた地ならしを終えた。
身内とはいえ、同行筋は「国際舞台へのデビューとしては満点」と評した。《共同通信》
【イスラエル】また爆弾テロ
エルサレム中心部のヤッフォ通りで3日午前6時半(日本時間同日午後1時半)ごろ、通勤・通学の路線バスが爆破され、警察当局によると、自爆した犯人1人を含む19人が死亡、7人が負傷した。
イスラム原理主義組織ハマスの武装部隊が犯行声明を出した。イスラエルでは2月25日にもハマスによる2件の爆弾テロで28人が死亡したばかり。
ペレス・イスラエル首相は3日、緊急閣議後に会見し「戦争状態、国家の緊急事態だ」と指摘した上で「ハマス武装部隊を完全に壊滅することを最優先し、いかなる手段も辞さない」と強い決意を示した。閣議では自爆した犯人の家族の家屋取り壊しや国外追放などの制裁措置と、バスとバス停の警備強化を決めた。
今年5月29日には、今後の対パレスチナ、シリア和平の行方を決める総選挙と初の首相公選が実施される。昨年暗殺されたラビン前首相の和平路線を踏襲するペレス首相は、相次ぐテロを防げず極めて厳しい立場に立たされた。
ハマスの犯行声明は一連の爆弾テロを、イスラエル治安機関が今年1月ガザ地区でハマスの指導者を殺害した報復と指摘。報復は今回で終えると述べ、3カ月間の攻撃中止を宣言している。
アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長との和平交渉についてペレス首相は「事実上、中断している」と述べた。今年5月開始予定の恒久的な地位に関する交渉も「現在の状況が続けば交渉する意味はない」と語り、議長がイスラム過激派の武装解除や指導者逮捕で成果を挙げるよう要求した。
アラファト議長はパレスチナ自治区ガザ市で「イスラエルとパレスチナ双方の利益に反する」とテロ事件を非難、ハマスやイスラム聖戦内の武装過激派を非合法化すると言明した。《共同通信》
【チェチェン共和国】戦闘続く
ロシア通信によると、チェチェン共和国駐留ロシア軍が3日、西部の町セルノボツクで独立派ドダエフ政権部隊に対して開始した掃討作戦は同日夜になっても戦闘が続き、閉じ込められた住民や避難民への被害が懸念されている。
現地の行政当局者は同日、町に武装勢力はいないと強調、攻撃停止と住民救出を訴える声明をした。一方、ロシア軍側の作戦強行で犠牲者が拡大すれば、チェチェン紛争が重くのしかかるエリツィン大統領の再選戦略にも影響するのは免れない。
同通信が親ロシア派のザフガエフ政権当局者の話として伝えたところでは、作戦開始前の2日に現地入りしたロシアのスガウリ文化相が行方不明になっている。戦闘に巻き込まれた恐れもある。
作戦を指揮する現地のロシア軍司令官によれば、軍が包囲する町から2日から3日にかけて約300人が脱出、この中に武装部隊が紛れ込んでいた可能性もあるという。戦闘前に武装部隊が何人いたかは不明。
ロシア軍は住民の避難用に町の西側部分は包囲を解き、隣接のイングーシ共和国につながる「回廊」を開放しているという。《共同通信》