平成2610日目
1996/03/01
この日のできごと(何の日)
【ASEM】正式に発足
アジア10カ国と欧州連合(EU)の政治・経済関係の組織的強化を目指す第1回アジア欧州首脳会議(ASEM)は1日午前9時半(日本時間同11時半)、バンコクのシリキット会議場で2日間の日程で正式に開幕した。
実質討議に先立ち、主催国タイのバンハーン首相、「EU議長国イタリアのディーニ首相、EUのサンテール欧州委員長が各国外相、経済相も加わった開幕式でASEM発足の意義について演説。米国主導のアジア太平洋経済協力会議(APEC)のような組織的基盤を持たなかったアジア・欧州関係は、ASEM開始により新時代を迎えた。
開幕演説でバンハーン首相は「われわれはアジアと欧州の新たなパートナーシップを構築するという共通の目的のために集まった」と述べ、「東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)における欧州の積極的役割は、アジア、欧州、米国の三極による新秩序の安定にとって極めて重要である」と強調。アジア欧州間の相互投資の促進のため、6カ月以内に行動計画をまとめる官民合同の作業グループ設置を提案した。
2月29日の首脳歓迎夕食会の直前、アジア側の結束を固める日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国首脳会合が開かれ、金泳三・韓国大統領は1998年のロンドンASEMの後、2000年は韓国が主催すると提案した。
また、バンハーン首相は、アジア側は会談で微妙な二国間問題に触れず、前向きに議論することでEU側譲長国イタリアと了解し合ったと説明。東ティモール問題をめぐってインドネシアと対立するポルトガルを暗に示唆しながら「人権問題を執拗に主張する国があったが、アジアの総意としてこのルールに従って議論を進めよう」と提唱した。《共同通信》
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バンコクで開幕した第1回アジア欧州首脳会議(ASEM)は初日の1日、政治対話と経済協力について首脳会議と外相・経済閣僚会議を並行して行った。首脳会議の席上、橋本龍太郎首相は「日本は1997年に、ASEMの継続発展に向けた経済閣僚会議を主催する用意がある」と正式に提案した。
橋本首相は、世界貿易機関(WTO)の多角的自由貿易体制の維持と、ASEMやアジア太平洋経済協力会議(APEC)などが目指す「開かれた地域主義」は矛盾しないとの立場から、欧州とアジアの経済協力を一層推進するため、ASEM経済閣僚会議や、アジア欧州ビジネス・フォーラムの準備会議、通関業務の簡素化を図る税関当局者会議などを提案した。
同時に、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への欧州側の支援を要請し、「欧州の旧ユーゴスラビア復興とアジアのKEDO問題は同様に世界的な緊急性を持つ問題だ」と訴えた。《共同通信》
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【ホンダ・オルティア】発売
【スピードスケートW杯男子1000m】堀井学選手、世界新記録樹立
1日にカルガリー(カナダ)で行われたスピードスケートのワールドカップ(W杯)最終戦カルガリー大会で堀井学(新王子製紙)が、1000メートルでは史上初めて1分11秒台に突入する1分11秒67の世界新記録を樹立した。
堀井は先に滑った男子500メートルでは35秒87の自己新記録をマークして2位に入り、1レースを残して同種目のW杯総合優勝を決めた。「長かった」は、昨シーズンまで2年連続で総合2位に甘んじていた男の偽らざる心境だろう。
世界新記録はその余韻に浸る間もなく飛び出した。得意の500メートルで念願のタイトルを獲得したことで、1000メートルはリラックスして滑ることができたといえよう。
だが、堀井を専大時代から見てきた黒岩彰コーチは、その成長ぶりを評価する。「まだ安定感はないけど、1000メートルで世界新が出せるということは強くなった証拠」と語り、「堀井は500、1000の両方でいける」と2年後の長野五輪をにらむ。《共同通信》
【菅直人厚相】HIV訴訟「今月中に全面和解を」
菅直人厚相は1日午前開かれた衆院厚生委員会エイズ問題集中審議で、東京、大阪両地裁で大詰めを迎えているHIV(エイズウイルス)訴訟の和解交渉について「今月末までに何としてでもまとめ上げ、恒久対策を含む抜本的な対策を図りたい」と述べ、エイズ患者らの治療体制などの恒久対策を含む和解成立に全力を尽くす姿勢を国会の場で強調した。
菅厚相は、製薬会社ミドリ十字が非加熱製剤の回収時期について虚偽報告を行っていたことを明らかにし、『問い合わせにもかかわらず隠蔽されたことに憤りを感じる』と述べた。衛藤晟一氏(自民)の質問に答えた。
また厚相は被告の製薬会社について「和解による解決の方向で一致している」との認識を表明、和解成立に楽観的見通しを示した。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・橋本龍太郎首相は1日午前(日本時間同)、バンコク市内のシリキット会議場控室で、第1回アジア欧州首脳会議開会前の待機中にフランスのシラク大統領と懇談した。大統領が日本の大相撲に触れ「昭和天皇と話した機会に、相撲についていろいろ教えていただく光栄を得た」とエピソードを紹介すると、首相は「大統領は私より相撲のことをご存じだ」と持ち上げ和気あいあい。フランスの核実験強行で一時は険悪化した両国関係だったが、核実験終結宣言を受け親密ぶりを盛んにアピールしていた。
○・・・自民党の加藤紘一幹事長はこの日、連合との懇談会に出席し、2月に交通事故で亡くなった山田精吾前連合事務局長について「自民党にもファンがいた。1980年にサラリーマン議員連盟をつくったのは山田さんの声掛けだった」としんみり。さらに「いろんなものを書き残してもらったら面白かったのに」と、政策推進労組会議や全民労協の事務局長を歴任した故人から裏話を聞きたかった様子。加藤氏は今年に入り全電通や電機連合の中央委に出席。懇談会でも持株会社の問題で「連合の意見を聞きたい」と持ち上げるなど労組接近ぶりが目立つこのごろだ。《共同通信》
【与党】住専処理の削除拒否
与党3党は1日、新進、共産両党の8年度予算案から住専処理関連予算を削除する組み替え要求について、正式に拒否回答を伝えるとともに、衆院予算委理事会で新進党欠席のまま、委員長職権で締めくくり総括質疑と予算案採決のため4日に委員会を開くことを決め、採決の構えを打ち出した。衆院議運理事会でも4日の予算案採決に備え同日夕の衆院本会議開会の日程を決定した。
新進党は与党側の予算案修正拒否や一連の日程決定に強く反発、4日の予算委開会に抵抗する構え。与党は混乱回避のため新進党と話し合う姿勢も示しており、4日採決は流動的だが、与野党の対立は緊迫の度を深めている。
自民党の村岡兼造国対委員長ら与党の国会対策責任者は1日午後、新進党の西岡武夫国対委員長と会談、住専予算について「金融システムの安定性と内外の信頼を確保し、経済を回復軌道に乗せるための支出であり、削除は適当ではない」と削除を拒否した。
また新進党が求めている予算委への村山富市前首相の招致、橋本龍太郎首相元秘書のK氏らの証人喚問についても「必要を認めない」と拒絶。債権回収に暴力団員が関与したケースの資料だけは予算委理事会に提出された。
新進党側は「ゼロ回答だ。納得できない」(西岡武夫国対委員長)と反発。予算委理事会、議運理事会では日程協議に応じずに退席した。共産党は4日の採決に反対した。西岡氏は土井たか子衆院議長に、本会議を開会しないよう要請した。《共同通信》
【韓国・金泳三大統領】南北対話再開訴え
韓国の金泳三大統領は1日、1919年の3.1独立運動の77周年を記念する式典の辞で「われわれは南と北の真の民族和解のため、対話を早期に再開することを望んでいる」と強調、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)当局に南北対話再開を訴えた。金大統領はバンコクでのアジア欧州首脳会議に出席しているため、式典の辞は代読された。
北朝鮮の金容淳書記(対南担当)は、先に平壌を訪問した米CNNテレビ取材団に「いつでも、どこでも南北対話を行い得る」との立場を表明しており、金大統領の対話再開の訴えに北朝鮮側がどうこたえるか注目される。
大統領は「北韓(北朝鮮)の困難を本当に助け、実質的に解決できる国は韓国だけだ」と述べ「われわれが望むのは統一のための協力と共同繁栄であり、北韓の崩壊ではない」と指摘した。さらに「北韓も今や、不信と反目の姿勢を清算し、「南北交流と協力へ向かわなければならない」と訴えた。
3.1独立運動は、日本の植民地支配下で起こった反日運動。最近は竹島問題をめぐり日本への批判が高まっているが、大統領は特に日本問題には言及しなかった。
大統領はまた、韓国が南北分断の中で世界で10位以内の経済力をつくり上げ、軍事独裁を追放したと強調し、自らが推進している「歴史の正しい立て直し」政策こそが民族自尊と国民団結の基礎であると述べた。《共同通信》
【韓国】反日デモ
韓国では1日、日本の植民地時代の1919年に起きた3.1独立運動の77周年の記念日を迎え、日本と韓国が領有権をめぐって対立している竹島(韓国名・独島)問題をきっかけとして、日本を批判する集会やデモが全国各地で行われ、反日感情の高まりみせた。
3.1独立運動の発祥の地であるソウル市鍾路区のタプコル公園(旧パゴダ公園)では、早朝から市民団体がそれぞれ集会などを開き、正午ごろには約4000人を数えた。
集まったのは宗教団体や、市民団体、民主主義民族統一全国連合などの在野団体などと多様で、竹島問題で一様に日本を非難した。65歳の元警官が日本の竹島領有の主張に抗議するため、自殺しようと体にシンナーをまき、周囲の市民に制止される一幕もあった。
このうち、韓日過去清算」全国民運架部や宗教団体一のメンバーなど約500人は「日本の島領有の主張を粉砕し、過去を清算しよう」などと叫びながらデモを行い、日本大使館前で日の丸を焼いた。
また、竹島の現地でも警備隊員や竹島に駆け付けた一般市民が記念式を行なった。韓国のテレビ各局は、この模様を竹島から生中継で伝え「独島は韓国領土」と、のキャンペーンを繰り広げた。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】中国・李鵬首相と会談
橋本龍太郎首相は1日夜(日本時間2日未明)、バンコク市内のホテルで中国の李鵬首相と就任後初めて会談した。歴史認識をめぐり、橋本首相が「日本は過去の歴史の重みから逃げられないし、背負って進むしかない」と過去に対する反省を表明。李首相は昨年の戦後50年行事を挙げ「中国人民に過去を忘れるなということで行った」と述べ、橋本内閣の歴史認識が後退しないようくぎを刺した。両首脳は未来志向の関係を目指すことでは一致した。
国連海洋法条約による200カイリの排他的経済水域設定問題では、冷静で友好的な話し合いによる解決を確認。しかし李首相は「中日間には東海(東シナ海)に未解決の問題がある」と、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題に言及。橋本首相も「領土問題の日本の立場は一貫している」と応じた。
中国側スポークスマンによると李首相は「日本が国内法を制定、施行する際、慎重に事を運び、他国の利益を侵害しないよう望む」と申し入れた。
緊迫化している中台関係について橋本首相が台湾海峡での中国の軍事演習を念頭に「台湾問題の平和的解決を強く願っている」と自制を呼び掛けた。李首相は台湾問題で「平和的統一と一国二制度」との基本方針を強調した上で「台湾独立には反対だ」と明言、厳しい姿勢を示した。
橋本首相が核実験の即時停止を要請したのに対し、李首相は「地下核実験に限っており、自重したものだ。核の先制不使用を宣言している」と従来の立場を繰り返すにとどまった。
旧日本軍の遺棄化学兵器問題で、橋本首相が誠実に対応し政府間協議を期に一開催したいと述べたのに対し、李首相もこれを評価した。
橋本首相は世界貿易機関(WTO)への中国の加盟希望を支持する考えを表明、これに伴う個別課題の処理を中国側に促した。双方は日中友好関係発展の必要性を確認、橋本首相は李首相の訪日を招請した。《共同通信》