平成1907日目

1994/03/29

この日のできごと(何の日)

【テレビ出火訴訟】「製造物責任」初の認定

製品自体の欠陥が原因でテレビから出火し事務所を全焼したとして、大阪府八尾市の「太子建設工業」(畑本登社長)が製造元の「松下電器産業」(大阪府門真市、森下洋一社長)に製造物責任を問い、約730万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。水野武裁判長は「火災原因はテレビ本体からの発火で、テレビには欠陥があったと認められる。製造者が欠陥について、過失がないと証明しない限り、過失があったと推認され、賠償責任を免れない」として松下に約440万円の支払いを命じた。

原告側弁護団によると、家電製品の事故で製造物責任を認めた初の判決。被害者の立証責任を緩和し、製造者に過失がないことの証明責任を課した判断は、消費者保護を目的にした製造物責任(PL)法制定の動きに弾みをつけそうだ。

消防庁の統計では、昭和61年度から平成元年度までの間、テレビを原因とする火災は毎年50件前後生していた。判決によると、火災は昭和63年3月8日、八尾市南太子堂のマンション二階の太子建設工業事務所から出火、約40平方メートルの事務所を全焼した。

判決はまず、出火原因について出火時、事務所にいた従業員の「テレビ付近から黒煙が上がっていた」との証言や他の原因を否定する消防の報告書などから「電源コードの取り扱いを誤りコードがショートし発火した」との松下側主張を退け、「テレビ本体の発火が原因」と認定した。次に、テレビのような製品の場合、消費者は安全性について製造者を信頼して購入することから、「製造者には高度の安全確保義務があり、この義務に反したら製造物責任を負う」と判示。

さらに欠陥について、「通常の利用方法で社会通念上、製品に要求される安全性を欠けば欠陥があるというべき」と認定基準を示した。その上で、欠陥の存在が証明されれば、「メーカー側が原因を解明して過失がないことを証明しない限り、過失があったものと推認される」と判断した。

こうした基準を基に購入から約8カ月、通常の利用で発火したことから「テレビには欠陥が認められる」と認定。「欠陥の原因は不明だが、松下側が原因を解明していない以上、欠陥のあるテレビを販売した過失が推認される」と結論付けた。

松下電器産業広報部 判決を厳粛に受け止め、吟味した上で今後の対応を決めたい。ただ製造物責任(PL)については核心を直接突いた内容になっていないのではないか。《共同通信》

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【第66回選抜高校野球大会】第4日

第66回選抜高校野球大会第4日は29日、甲子園球場で1回戦4試合を行い、山梨学院大付(山梨)小倉東(福岡)日大三(東京)姫路工(兵庫)が初戦に勝ち、2回戦に進んだ。

山梨学院大付は一回、垣下の満塁一掃の二塁打などで4点を先行。六回無死満塁にも清水が左中間二塁打して3点を加えた。守っては五島が掛川西(静岡)の反撃を織部の本塁打による1点に抑えて、7−1で快勝した。初出場校対決の小倉東は、力強い打撃で石山(滋賀)に5−0で、勝った。小倉東は九州勢でただ1校、1回戦を突破した。20年ぶりに出場した日大三は五回、尽誠学園(香川)のバッテリーの乱れから5点を奪って逆転。その後も好走塁を見せて揺さぶり、0−4で逃げ切った。春夏通じて初出場の姫路工は熊本工(熊本)に野夫井の2点本塁打などで6−2と逆転勝ちした。

【細川護熙首相】米・クリントン大統領と電話会談

細川首相は29日朝、米カリフォルニア州に滞在中のクリントン米大統領に国際電話し、約10分間会談した。

首相は「対外経済改革要綱」について「包括経済協議再開の契機となることを期待する」と述べ、2月の日米首脳会談で決裂した包括経済協議の再開を正式に要請した。

大統領は「内容を細かく検討するのを楽しみにしている。依然として包括合意は達成可能と思っている。内容を検討の上、日本側にも連絡する」と述べ、同要請を詳細に検討し、包括協議再開に応じるかどうか返答する考えを示した。《共同通信》

【細川護熙首相】新・新党人事合意説を否定

細川首相は29日午前、連立与党の統一問題で新・新党結成をめぐり「細川代表ー小沢幹事長(新生党代表幹事)」の新党人事の合意が既に成立しているとの一部報道について「寝耳に水」と事実を否定するとともに「大迷惑」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。《共同通信》

【自民党】石川県知事選敗北「森幹事長の責任問わず」

自民党の河野総裁は29日午前の党五役会議と役員会で、同党推薦候補が敗北した石川県知事選の責任論について「森幹事長から進退問題の話があったが、私はこれを受ける考えは全く持っていない」と述べ、選挙戦で事実上の責任者だった森氏の責任は問わないとの考えを表明、了承された。

また、来夏の参院選に向けて、今年6月中にも第一次公認候補を発表できるよう準備を急ぐとともに、現在、党改革本部(野田毅本部長)で検討している候補者選定基準がまとまる前の4月上旬にも、河野総裁を本部長とする選挙対策本部をスタートさせる方針を確認した。

役員会では、森幹事長が「党が総力を挙げて戦って敗れた。私の責任は極めて大きいので、進退を含めて河野総裁にお任せしたい」と、河野氏に対応を一任する考えを示した。これに対し、河野氏は「地方選挙で執行部が責任をとるという前例をつくるのはよくない」とした上で、党の結束を求めた。

ただ、この日の副幹事長会議では「執行部の態勢強化が必要だ」として、現在の執行部態勢の見直しを求める意見も出された。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は29日午前、記者団から陽気が春めいてきたことについて感想を求められ「そうですか」とそっけなく答えただけ。さらに「連立与党は今、何の季節か?」と水を向けられても「季節感なしです。(以前から)ありませんでした」と味気ない答えに終始した。連立与党の統一会派問題や新・新党構想をめぐる一部の報道について朝から「寝耳に水」「大迷惑」。さらに「私は公務に専念。これに対しては答えられません、と申し上げている」と不機嫌さを隠さない首相だけに、のんびり季節のうつろいを楽しんでいる余裕などない?

○…自民党の木部総務会長はこの日朝の五役会議で、石川県知事選の敗北をめぐり「(告示の)一週間前に候補者に決意させたにもかかわらず、よくぞここまでやった。大変な努力だ」と評価した。会議の中では橋本政調会長から「敗北のすべての責任は森幹事長にある」との厳しい意見までが出されただけに、「選挙の経験は、負けた経験も含めだれより深い」という木部氏の発言は森氏にとっても大きい援護。日ごろは物静かな木部氏だが「選挙には負けたが、勝負(の内容)では勝った」と、執行部の自信回復を訴えご意見番の面目躍如。《共同通信》

【参院本会議】減税関連法など成立

国会は29日午後の参院本会議で、所得税減税実施のための平成6年分所得税特別減税臨時措置法や6年度NHK予算承認など日切れ18条件(16法案、2承認案件)が可決、成立、または承認された。これとは別に前臨時国会から継続扱いとなっていた児童の権利条約批准を承認するとともに、議員立法として衆院に提出された中国残留邦人帰国促進・自立支援法が成立した。

国会はこれで日切れ案件の処理をすべて終え、30日衆院、31日参院でそれぞれ暫定予算案の審議に入る。ただ参院予算委は暫定予算案の審議に先立ち細川首相の佐川急便からの1億円借り入れ問題などに関し集中審議を行うため、暫定予算の成立は31日深夜にずれ込む可能性もある。本予算案審議入りのめどは依然立っていない。

所得税特別減税臨時措置法は衆院大蔵委員会の審議段階で野党の修正要求を入れ、年分以後の所得税についても「税制改革を行い、抜本的な所得税減税を行う」などの付則が与野党共同修正の形で盛り込まれ、来年以降の減税にも道を開いた。《共同通信》

【香川登枝緒さん】死去

放送作家の香川登枝緒さんが29日午後5時45分、糖尿病からの肺炎併発のため大阪府吹田市の病院で死去した。69歳。大阪市出身。

中田ダイマル・ラケット、かしまし娘らの漫才台本を執筆。昭和36年、朝日放送制作「スチャラカ社員」で人気ライターとなり、翌年から放送された「てなもんや三度笠」(藤田まこと、白木みのる出演)も担当し、最高視聴率64.8%を記録する番組に育てた。藤山寛美座長時代の松竹新喜劇では準座付き作者として数多くの脚本を提供した。《共同通信》



3月29日 その日のできごと(何の日)