平成1882日目
1994/03/04
この日のできごと(何の日)
【細川護熙首相】経済・行政改革に本腰
細川首相は4日午後の衆参両院本会議で、初の施政方針演説を行い、改正政治改革法の成立を受けて「節目を迎えた今、経済改革と行政改革に本腰を入れる」と強調。昨年の政権発足時に掲げた「政治改革政権」は一定の使命を終えたとの認識を踏まえ、「経済改革政権」を目指す考えを表明した。
首相は最重要課題の一つである税制改革について「減税と財源について速やかに合意を得て、年内の国会で関係法が成立するよう努力する」と述べ、直間比率見直しによる抜本的改革の年内実現へ積極的な姿勢を示した。
衆院本会議は午後1時、参院本会議は午後3時から首相に続き、羽田外相が外交、藤井蔵相が財政、久保田経企庁長官が経済運営についてそれぞれ演説する。
首相は、当面の緊急課題は国民の切実な願いである「不況からの脱出」と指摘。経済はなお「不透明感がぬぐい切れず、予断を許さない」と厳しく分析した上で、①切れ目のない財政出動②事業の再編や新規産業の創出につながる経済改革ーの実施を訴えた。
日米関係については、包括経済協議の決裂を「残念」とした上で「自由貿易の原則を堅持しつつ、中期的な経常黒字縮小に効果的手段を講じる」と述べ、数値目標の設定はあくまで拒否するものの、自主的に黒字削減に取り組む考えを重ねて提示。“成熟した関係”という言葉は避けながらも「日米関係は、それぞれの立場や見解を尊重しながらも協調の道を探る新段階に至りつつある」と説明した。《共同通信》
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【改正政治改革法】成立
改正政治改革法が4日午前の参院本会議で可決、成立した。今回の法改正で、衆院の小選挙区比例代表並立制や公費助成制度など新制度の導入が確定。今後は選挙区確定審議会委員の選任、審議会による小選挙区の区割り作業に焦点が移る。《共同通信》
【武村正義官房長官】市場開放に努力
政府は4日、米国がスーパー301条(不公正貿易国と行為の特定・制裁)の復活を発表したことについて、深刻に受け止めるとともに、武村官房長官が①一方的措置の発動を可能とする手続きの強化には懸念を表明せるを得ない②米政府の良識ある対応を期待する③日本側の市場開放へ努力するーとの談話を発表した。
日本の輸入拡大を目指した「数値目標」設定をめぐり決裂した2月の日米首脳会談後、政府は自主的な経常黒字削減・市場開放策の取りまとめを急いでいるが、米側の姿勢は改めて細川首相の指導力を問うものとなりそうだ。だが、首相を取り巻く政治状況は極めて厳しい。国民福祉税構想の撤回に続き、先の内閣改造断念が政椎の威信と求心力の低下を招いている。これに加え、対米貿易摩擦の改善に向けての対応を誤ることになれば、政権の命運にも直接影響しかねない事態といえる。
政府、与党としては対米関係を「黒字が一方的に進むことに対し、米国に強いいらだちがある。取り得るものは自主的にやっていく」(新生党首脳)と、事の重大性を強調する。だが、米側が不満を示している減税の継続、財源問題についても連立政権に抱える社会党などの動向次第では、予断を許さない状況。規制緩和などをめぐっては依然、官僚、関係省庁の抵抗が強く、有力な手立てを取れるかどうかは必ずしも保証の限りではない。
◇
武村官房長官は4日午前の記者会見で、同日未明、細川首相とクリントン米大統領と電話会談が行われ、この中で大統領から米通商法301条復活について事前通報があったことを明らかにした。
電話会談は4日午前0時すぎに行われ、大統領は「今回の措置は特定の国を対象にしたものでなく、項目を対象にした。(制裁認定)期間もこれまでの30日ではなく180日間で穏やかな対応だ」と述べ、日本側の自主的努力を強く要請した。 大統領はまた「米議会で準備されている(対日制裁)法案はもっと厳しいものだ」と指摘、日本への配慮を強調した。
これに対し首相は「日本としても全力を挙げて努力したい。今月中に意味のある方向を出したい」と述べ、「双方が冷静に対応すべきだ」として米側に慎重な対応を強く求めた。 これに関連して首相は同日午前の閣議後の閣僚懇談会で「効果的なものに焦点を絞りながら日本側の対応をまとめたい」と述べ、自動車など米側が最も関心の高い分野に焦点を絞って対応を急ぐ考えを示し、各閣僚の協力を要請した。《共同通信》
【高速増殖炉もんじゅ】燃料19体の搬入終了
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(敦賀市白木、出力28万キロワット)に4日、プルトニウム混合燃料19体が運び込まれ、全炉心臨界に必要な燃料がそろった。
もんじゅでは既に燃料装てんが進められており、動燃は同日、県に対し「今後の装てんが順調に進めば4月上旬に初臨界に達する」と連絡した。《福井新聞》
【稲村利幸元環境庁長官】2審も有罪
仕手戦に便乗した株取引で約17億円を脱税したとして所得税法違反罪に問われた元環境庁長官稲村利幸被告(58)の控訴審判決公判が4日、東京高裁で開かれた。半谷恭一裁判長は「所得隠しを自ら行うなど悪質で、罰金刑を併科しない合理的理由はない」などと述べ、懲役3年4月とした一審の東京地裁判決を破棄、懲役3年、罰金3億円を言い渡した。さらに、罰金を一完納できないときは、一日60万円に換算した期間、同被告を労役場に留置するとした。控訴審のため被告本人に出廷の義務はなく、この日の判決に稲村被告は姿を見せなかった。
判決理由で半谷裁判長は、将来に備えた政治資金の蓄積は、政治家であり続けるために必要な資金ではあっても税法上の必要経費には当たらず、税引き後の所得から支出すべきだと指摘。脱税の動機や目的が政治資金の確保だとしても、特別に有利な情状にはならないと述べた。後援会の維持拡大など選挙での票集め資金については、政治活動そのものとは予備的、間接的な関連しかないと述べ、「票集め」の公的性格を強調していた稲村被告に「脱税資金で当選を勝ち取ることが選挙人を欺くことにならないか深く思いをいたすべきだろう」と反省を促した。《共同通信》
【自民党・森喜朗幹事長】ラグビーは自民党に似ている?
自民党の森喜朗幹事長は4日、党本部でオーストラリアのラグビーのナショナルチーム「ワラビー」のキャプテンであるニック・ファージョーンズ氏の表敬訪問を受けた。「ワラビー」はワールドカップに優勝し、ニック氏も「国民的英雄」という超人気者。早大時代にラグビー選手として鳴らした森氏だけに、上機嫌でしばしラグビー論議に花を咲かせ、難問山積の党運営を忘れさせる貴重な時間だったようだ。
森氏は「石川県にも40歳以上の選手で組織するクラブがあり、オーストラリアへ交歓試合に行っている」と話しかけると、ニック氏は「ラグビーを通じて日豪の親善を」と持ち掛け、意気投合した様子だった。もっとも森氏は、日本のスポーツ事情について「サッカーが盛んだが、マスコミを使ってビジネスに利用されている感もある」と、ラグビーと比べてルールの分かりやすいサッカーに悔しい思いを。どうやら、ラグビーが地味な「自民党」で、サッカーが派手な「細川内閣」と言いたそうに聞いた向きも。《共同通信》