平成1759日目
1993/11/01
この日のできごと(何の日)
【プロ野球・日本シリーズ】ヤクルト、15年ぶり2度目の日本一
1993年プロ野球日本シリーズ、西武ーヤクルト第7戦は1日、西武球場で行われ、ヤクルトが4-2で勝ち、対戦成績を4勝3敗として78年以来のシリーズ制覇を果たした。セ・リーグ球団の日本一は4年ぶり。野村克也監督(58)は監督として昨年に続く3度目の挑戦で初の日本一に輝いた。
西武はパ・リーグ球団初の4連覇を飾れず、森監督は監督としてシリーズ出場7度目で初めて日本一の座を逃した。最高殊勲選手(MVP)にはヤクルト・川崎憲次郎投手(22)が選ばれた。《共同通信》
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長く伸びた秋の日差しを浴びて、野村監督がナインの手で7度、宙に舞った。昨年は第7戦までいって逃した日本一。この瞬間のために苦労を重ねてきた選手たちは、しばらく言葉もなく、ベンチ前でお互いに抱き合った。
「最高です。大一番で選手は間違いなく、大きく成長した。球団やファンのみんなにも、感謝、感謝、感謝です」。頂点に立った感動の思いを乗せて、野村監督の低い声が、マイクを通して球場全体に響いた。
第3戦で完敗した野村監督は宿舎に帰ってから、選手たちを怒鳴りつけている。ミスをしたとはいえ、チームリーダーの古田にさえ「あんなプレーをするなら、野球をやめてしまえ」とまでしかり飛ばしたという。強い調子の非難に、選手たちには反発ムードも生まれた。だがそこには、高いレベルの野球へ導いてあげたいというナインへの愛情と、野球に関しては決して妥協しない、動かざる信念があった。
「人に負けんと欲すれば、まず自らに勝つこと」。西武球場の長い階段を登りながらつぶやいた勝利の言葉がこれだった。敵は西武ばかりではなく、選手たちとの戦いでもあった。
野球理論では一目置くライバルの森監督を、ついに倒した。39年前、テスト生としてわずか月給7000円で飛び込んだ世界で、監督としての日本一は野球への執着が生んだサクセスストーリーともいえよう。ナインの待つバスに最後に乗り込んだ野村監督は、帽子を取って、みんなに頭を下げた。シリーズでも一歩も引かなかった「頑固おやじ」に全員から大きな拍手が沸き起こった。《共同通信》
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【巨人・駒田徳広内野手】FA宣言
日本シリーズ終了を受け、今オフ実施のフリーエージェント(FA)制度で、注目される有資格者の動きが活発化してきた。
この日、FAの権利行使を表明したのは駒田(巨人)。「つい最近、決断した。フルに130試合に出られるチームに行きたい」と語り、13年間在籍した球団から離れる意向を明らかにした。
西武の平野はシリーズ終了後に、「どこかやらせてくれるところがあるなら」とFA宣言に前向きな姿勢を示した。中尾(西武)、愛甲(ロッテ)も宣言する可能性を示唆した。注目の落合(中日)は依然として態度を保留。石毛(西武)はノーコメントを通した。《共同通信》
【NEC・デジタルブックプレーヤー】発表
「坊っちゃん」を液晶文字で読んでみてはー。NECは1日、フロッピーディスク(FD)に収めた小説などを携帯の液晶画面で読む「デジタルブックプレーヤー」を開発、25日から発売する、と発表した。2万9800円で、FDに記録された出版ソフトを本体に本隊に記憶させる専用ユニットは1万2800円。
デジタルブックプレーヤーは、縦17センチ、横13センチ、厚さ3センチ、重さ430グラムと軽量小型で、5.6インチの白黒液晶画面に表示された文字を電車の中のなどで手軽に読むことができる。画面には通常の文字の大きさで1行20文字、10行が入る。ほかに自動的にページをめくったり、単語や年表の暗記に役立つように文章の一部を隠す機能を備えた。
ソフトは、小説をはじめ語学、クイズ、占いなど発売当初で34タイトルを用意。サンプルには夏目漱石の「坊っちゃん」などがある。本年度中に100タイトル以上をそろえ、初年度20万台、3年間で100万台の販売を見込んでいる。ソフトの価格は、2000円台が中心。ソフト製作は、市販されている安価なFDを使い、パソコンを利用して低コスト・短時間でできるたあ、NECでは、ソフトの量が急速に増えると期待している。《共同通信》
【 EU・欧州連合】発足
欧州統合の骨格を定めた欧州連合条約(マーストリヒト条約)が1日発効した。これにより、単一通貨導入を目標とした経済・通貨統合と、共通外交を軸とする政治統合に向けた欧州連合を目指し、新しい段階に入った。
1992年2月に調印された同条約は、加盟各国の批准の難航で当初予定より10か月遅れの発効。統合をめぐる環境も、欧州の深刻な不況と失業増大、通貨危機による欧州為替相場メカニズム(ERM)の混乱で、厳しい状況の中でのスタートとなった。《共同通信》
【政界談話室】
○…細川首相は1日、米スタンフォード大のキャスパー学長と首相官邸で会談。「政治改革の次は教育改革だ」などと語り、教育談議に花を咲かせた。会談後、記者団に「教育改革にも手を付けるのか」と聞かれると「そこまでは言ってません。教育も大事だけど、今は政治改革が大事ですから」とかわした。日ごろは「国民は革命家に対するような期待を寄せている」と“改革派”を自負する首相だが、ここは正念場を迎えた政治改革に専念を強調していた。
○…新生党の小沢代表幹事はこの日の記者会見で、「もし人生をやり直せるとしたらいつからやり直したいか」と意表を突く質問を浴びせられた。じっと考え込んだ小沢氏、「そうね。十代からだな。一概には言えないが、十代なら他の人生を選べたから」。「政治家は嫌なのか」と問われると、「理性の部分と情緒の部分では違うが、情緒的には好まんね」。そして「長年やってきたし、この前の選挙で選ばれたばかりだから、やはりその責任は負わなければいけない。毎朝、永田町に出て来るのが嫌になってくるが、そう思い直して出て来ている」。「剛腕」といわれる小沢氏の思いがけない言葉に記者団もびっくり。《共同通信》
【鹿児島県伊仙町長選挙】樺山氏、14票差で復活
鹿児島県・伊仙町(徳之島)の出直し町長選は1日の翌日開票の結果、最高裁の選挙無効判決により町長を失職した樺山資敏氏(56)=無所属=が、元町助役の里井源正氏(72)=同=を14票差で破り当選した。公選法上は「初当選」となる。同町選管は同日午後、直ちに当選人と当選証書の授与を行った。
一昨年4月の前回選挙では、不在者投票の扱いをめぐって町民が開票所を取り囲むなどの騒ぎが発生。町長ら三役が約8カ月にわたり不在になる。など混乱が続き、最高裁判決で選挙の無効が決まった。それだけに、新町長の誕生で町政の正常化が図られるかどうかが焦点となる。
樺山氏は保岡興治衆院議員=鹿児島1区選出=の、里井氏は徳田虎雄衆院議員=同=のそれぞれの系列。今回の町長選もこれまでと同様に、町が両陣営に真二つに分かれて選挙戦が展開された。
開票作業は午前8時半から始まった。投票立会人が投票用紙を一枚ずつ念を入れて確認したため、予定より大幅に遅れ午後2時ごろになって樺山氏の当選が決まった。投票率は95.67%だった。《共同通信》
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「たった14票差。もう半分の町民のために対話の政治で町を平和にしていきたい」。1日開票が行われた鹿児島県・伊仙町の出直し町長選。当選した樺山資敏氏は選挙事務所に集まった支持者にあいさつした。これまでの町を二分し、激しく対立してきた町長選への反省を意識。勝者も今度はかりは冷静な口ぶりだった。
午後2時前、樺山事務所に当選の一報が入った。支持者の間から拍手が起こるが、後援会幹部らは「静かに」と呼び会け無表情。樺山氏も「選対発表が出るまで待つ」と動かない。
やっと午後3時すぎ、樺山氏が町役場で当選証書をもらって出て来ると、1000人以上の支持者に肩車され、500メートル離れた事務所までパレード。太鼓に合わせ踊りだす女性もいて、お祭りムードに包まれた。
一方、里井源正氏の事務所。「落選」の知らせが伝わると、一瞬凍りついたような静けさに。里井氏は「次もまた出る」とポツリ。報道陣の質問にも「今はノーコメント」。足早に車に乗り込ん。だ。男性支持者の怒鳴り声も聞こえたが、開票所に押し掛ける勢いはなかった。《共同通信》
【榎井村事件】再審決定
昭和21年に香川県・榎井村(現在の琴平町)で専売局職員が射殺された「榎井村事件」の主犯とされ、懲役15年の有罪が確定し服役、出所後も無実を訴えている愛媛県今治市、無職Yさん(66)の再審請求に対し高松高裁(村田晃裁判長)は1日、「共犯者の自白の信用性に疑問があり、新旧証拠を総合すると確定判決の有罪認定には合理的な疑いがある」として再審開始を決めた。関係者は検察側の特別抗告は困難とみており、再審公判が開始されれば早い段階で無罪が予想される。日本弁護士連合会が支後する重大事件としては13件目の開始決定で、請求から3年半の開始決定は重大事件では最短。
この2年間、「日産サニー事件」が再審決定、「名張ぶどう酒事件」が棄却と判断が分かれていたが、今回の決定は再審の要件を緩和した「白鳥決定」(昭和50年)を真正面から踏まえており、再審をめぐる司法の流れに大きく影響を与えそうだ。
決定はまず、弁護側の新証拠で、共犯とされたAさん=一審・懲役6年確定、新潟県在住=の「Yが撃ったという自白は長期拘置のうえ強要されたものでうそだった」との再審請求審での証言を検討。「有罪の決定的な証拠とした自白には犯行の動機、状況など根幹部分で矛盾点や目撃者の供述との食い違いがある。捜査官の『Yは自白した』との偽計による尋問で虚偽の自白をしたという。疑いが濃厚」とした。
また、現場付近で発見され、複数の関係者が「Yさんのもの。台湾系中国人が買い与えた」と供述したパナマ帽について、「Yさんが買った」とする県警内部資料の入手経路と異なっており、関係者の供述には信用性がないと判断。
その上で、帽子の汗取り部分の血液型を不明とした鑑定に対し「当時の科学的水準から判定は可能で、血液型を究明せずにYさんの所有とした確定審の審理は不十分。Yさんのものというのは疑問」と指摘した。
決定は、弁護団提出の証拠の新規性を認め、「新証拠が確定審に提出されていたならば、有罪認定には到達しなかった」と結論付けた。村田裁判長は決定の中で「Yさんの否認は誠に徹底、自分に不利な事実を率直に供述しており、(確定判決が)単なる否認と断じたのは大きな疑問」と述べた。《共同通信》