平成1647日目
1993/07/12
この日のできごと(何の日)
【北海道南西沖地震】
12日午後10時17分ごろ、北海道南西沖の日本海でマグニチュード(M)7.8の大規模な地震が発生、北海道の小樽、寿都、江差と青森県の深浦で震度5(強震)を記録した。震源に近い北海道渡島半島の日本海側や奥尻島を中心に津波が襲い、土砂崩れや火災も発生、奥尻郡奥尻町奥尻のホテル「洋々荘」が倒壊、宿泊客ら約20人が生き埋めになるなど被害が続出。北海道警のまとめでは13日正午現在、道内の死者は35人。行方不明者は道庁の調べで100人に上っている。このほか青森県でも1人が死亡、被害は昭和58年の日本海中部地震に匹敵する深刻な事態となった。気象庁はこの地震を「平成5年北海道南西沖地震」と命名した。
政府は13日午前、非常災害対策本部を設置。宮澤首相や井上国土庁長官らが同日午後、急きょ北海道入りする。北海道は同島に災害救助法を適用、自斎隊に災害出動を要請し、護衛艦やヘリが救援に当たった。第一管区海上保安本部(小樽)も対策本部を設け巡視船艇15隻を派遣した。
気象庁の観測によると、震源地は北海道の南西沖(北緯42.8度、東経139.4度)の日本海で、震源の深さは約50キロ。同庁は発生5分後から順次、北海道と東北地方の太平洋、日本海沿岸と中部、北陸地方の日本海沿岸に津波警報を発令。北海道のオホーツク海沿岸と山陰から九州にかけての日本海沿岸にも津波注意報を出した。
しかし、発令直後に奥尻島や北海道瀬棚郡、寿都郡などを最大5−4メートルの津波が襲った。避難が間に合わず、瀬棚郡北桧山町で主婦A子さん(59)が津波で倒壊した建物の下敷きとなり死亡。島牧郡島牧村ではB子さん(80)ら3人が波にさらわれ行方不明になるなど、津波の犠牲者が続出した。青森県でも漁船員1人が海に転落して死亡。津波は東北や北陸、山陰でも広く観測された。
裏山の土砂崩れで倒壊したホテル「洋々荘」には道内や関西方面などから参加した北海道観光ツアーの団体客23人らが宿泊していたが、その多くが生き埋めとなり、少なくとも5人が死亡するなど大きな被害を出した。さらに、同島南端の奥尻町青苗では火災が発生、約680戸のうち半数以上を焼いた上、200戸余が津波で損壊する大被害を受けた。青苗港沖では津波にのまれ漂流していた住民10人を漁船が救助した。
また、JR津軽海峡線で線路が陥没するなど、鉄道も道内各地で寸断された。気象庁によると、今回の震源地付近では、過去大きな地震が観測されておらず、地震の空白域だったという。
同日午後11時23分に寿都で震度4(中震)を記録するなど、13日午前11時までに43回の余震が続いた。同庁は「M7程度の余震が起きる可能性があり、今後1カ月程度は警戒が必要」としている。《共同通信》
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【大相撲名古屋場所】9日目
大相撲名古屋場所9日目(12日・愛知県体育館)横綱曙と関脇若ノ花はともに勝ち、無傷で9勝目を挙げた。曙は平幕の元気者、琴錦を押し倒し、大関昇進を狙う若ノ花はうるさい旭道山を速い動きから押し出した。大関貴ノ花は初顔の時津洋を左上手投げに仕留めて1敗をキープ。かど番大関の小錦は関脇貴ノ浪に敗れて6勝3敗となった。関脇武蔵丸は7勝目。この日の結果、全勝の曙と若ノ花を追う1敗は貴ノ花1人となった。十両は旭里ら4人が7勝2敗で並んだ。《共同通信》
【社会党・山花貞夫委員長】「2新党との合意は可能」
社会党の山花委員長は、12日午前、山口市で街頭演説し、総選挙後の非自民連立政権の政策で、日本新党、新党さきがけ両党との合意が可能との見方を示した。
さらに山花委員長は「私たち(新生、公明など5党)は(連立政権を)十分やっていけるだけの準備を持っている。日本新党やさきがけの皆さんも相談すれば政策の具体的な問題について合意することが可能であると思っている」と述べた。《共同通信》
【政界談話室】
○…宮澤首相は12日、総選挙応援のため、神奈川県相模原市で街頭演説。非自民勢力の分断を狙って、社会党攻撃を強めている首相はこの日も「社会党は自衛隊を憲法違反と言っている。(政権を取っても)予算も作れない」と、そのトーンは高まる一方。「社会党は自民党の政策を引き継ぐというが、腹の中では思っていないことをいうのは国民を欺くものだ」と決めつけ、原子力発電政策に関連して「社会党は新しい原発は駄目だと言っている」。さらに力み過ぎたのか「そんなことではフィリピンのように、毎日何時間も停電になるじゃないか」と付け加え、やや脱線気味。
○…一方、社会党の山花委員長はこの日、北九州市で街頭演説。自民党が銀行業界に200億円以上の緊急融資を求めたことを取り上げ「100万円借りるのにも担保を取るのが普通だが、自民党は全くの担保なしだ」と金権体質を批判し、その上で「銀行業界も自民党支配が続くという担保がないから、100億円値切ったということだ」と、一党支配の終焉が近いことを指摘。しかし、これに先立つ記者会見では「自民党への批判票が拡散する傾向がある。社会党が大幅に議席を減らせば、連立政権もあり得ない」と、社会党に不利な新党ブームに泣き落としで対抗。《共同通信》
【経団連・平岩外四会長】政界再編を歓迎
日米間の経済問題を民間レベルで話し合う第30回日米財界人会議は12日午前(日本時間同日夜)2日目に入り、実質的な討議が始まった。
政治・経済情勢について基調報告した平岩外四経団連会長は日本の政治情勢に触れ「自民党が単独で過半数を制することは恐らく不可能」と総選挙の結果を予測。保守分裂は東西冷戦体制が終結するなど大きな変化の流れの中で起こるべくして起こった政変で、短期的には不安定な状態が続くが、中長期的には内外から見て分かりやすい政治へ変化していくと期待する」と述べ、政界再編の動きを歓迎する認識を対外的に示した。平岩会長は日米関係では、「互いの立場を理解し、寛容と忍耐で協力関係をつくり上げていくことが大切。私は変化のスピードアップへ向けて努力する」と、改善に向け一層力を入れる姿勢を強調した。
これに先立ち日米の議長であるゴーマンTRW社会長と盛田昭夫ソニー会長があいさつ。ゴーマン氏は、日米が世界経済で果たしている役割などを考慮すると、課題の解決に積極的に取り組むべきだと指摘した。これに対し盛田氏は「ビジネスマンは政府と違った立場で自由に論議すべきだ。相手の欠点を指摘するより自己を顧みることも重要だ」と述べ、間接的表現ながら日米包括経済協議で数値目標を掲げて迫る米政府や、これを支持する米経済界の対応にくぎを刺した。《共同通信》
【新生党・羽田党首】戦争責任反省
新生党の羽田党首は12日午後、遊説先の静岡県浜松市で記者会見し、非自民連立政権の樹立を前提に①第二次大戦での日本の戦争責任への反省を新しい政治、外交の出発点とする②生活者を重視した「日本リニューアル計画」を作成し、実現する―の基本政策を「浜松提言」として発表した。いずれも「自民党一党支配の旧弊を反省し、日本の政治を再生させる」ことを目的としており、政治改革だけでなく、内政、外交の基本姿勢でも従来の自民党路線との違いを打ち出そうとしている。
「戦争への反省」では、具体策として①第二次大戦に対する反省とおわび、将来にわたる世界の平和と繁栄への協力を総選挙後の特別国会で決議し、内外に明示する②新政権発足後、第二次大戦で迷惑を掛けた近隣諸国に政府として反省とおわびの意を表する一を提言。アジア重視の外交姿勢を鮮明にしている。
「日本リニューアル計画」では「生活者を注視した社会的生活資本を中心とする新社会資本の拡充をする必要がある」として、①思い切った規制緩和②地方分権の実行とともに「自民党一党支配で出来上がった政・財・官の鉄のトライアングル(三角構造)を改革する」とうたっている。《共同通信》