平成1623日目

平成5年6月18日(金)

1993/06/18

【宮沢内閣不信任案】可決

国会は18日午後、社会、公明、民社の3野党提出の宮沢内閣不信任決議案を処理する衆院本会議の開会をめぐって、議運委理事会で与野党折衝を展開する。

宮沢首相は同日午前の閣議後の閣僚懇談会などで、大幅な会期延長による事態打開を模索する考えを表明。自民党羽田派の羽田代表とも会談した。しかし羽田氏は「大幅延長と言ってもだらだらやっているだけでは駄目だ。(党議決定から)一歩も出ないということでは駄目だ」と述べ、党議決定した単純小選挙区制を変更して政治改革実現に踏み込む必要を強調。会談は不調に終わった。一方、自民党執行部は会期延長には強く反対しており、事態打開は難航した。

このため、不信任案採決のための本会議が同日中に開かれ不信任案が採決されれば、羽田派の賛成などから可決の公算。首相は事態打開が困難な場合、衆院解散もやむを得ないとの判断に傾き、同日午後、梶山自民党幹事長ら四役と最終協議する。ただ自民党内には収拾が難航した場合、総辞職すべきだとの声も出ている。

宮沢首相は18日午前、会期末を迎えた今国会の会期延長問題について「(自民)党総裁の私が決めます」と述べ、延長実現に強い意欲を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

「羽田前蔵相が延長幅を2カ月と言っているが」との質問に対しては「それでいいですよ。よろしいと言っている」と述べ、2カ月程度の大幅延長を図りたい考えを示した。党執行部内では延長反対論が強いことに対しても「私が(延長を)よろしいと言っている」と強い自信を示した。

衆院は18日、解散された。政治改革をめぐる政局の混乱は宮沢首相が大幅な会期延長による事態打開を最終的に断念。社会、公明、民社3野党提出の宮沢内閣不信任決議案は、午後6時半から開かれた衆院本会議に緊急上程された。その結果、賛成255票、反対220票で不信任案は可決された。政治改革に対する首相の姿勢を批判して羽田派の34人を含む自民党議員39人が賛成票を投じた。

内閣不信任案の可決は1980年5月の大平内閣以来で、戦後4回目。政府は不信任案可決後、直ちに臨時閣議を開き、憲法69条に基づき解散を決定、再開後の本会議で桜内議長から解散詔書が朗読された。

衆院解散は90年1月の海部前内閣以来で、憲法の規定で40日以内に総選挙が行われる。政府は19日午前、自民党側と第40回衆院選挙日程を協議するが①7月4日公示、18日投栗②7月11日公示、25日投票— の案が検討されている。

解散に伴い、衆院政治改革調査特別委員会で107時間にわたり審議された政治改革関連法案は自民党案、社会・公明党案とも廃案となった。

羽田派を含み若手議員らが不信任案に39人が賛成、16人が欠席。本会議後11人が離党した。衆参の羽田派議員は23日に離党する方針で、分裂選挙となろう。羽田派の船田経企庁長官、中島科技庁長官は本会議に先立ち、辞任した。

首相は18日、事態乗り切りのため羽田派の羽田代表と会談、大幅な会期延長を打診したが、羽田派は政治改革実現の見通しがない延長には応じない方針を伝えた。

この後、桜内衆院議長が収拾に乗り出し、政治改革で各党間合意を得るため必要な会期の延長を図るべきではないかとの考えを表明。首相はこれに応ずる意向を示したものの、野党側は議長による党首との個別会談を拒否した。衆院議運塗理事会での調整も不調に終わり、与野党ともに不信任案本会議に上程することで合意した。《共同通信》

宮沢喜一首相「私が甘かった」

宮沢首相は18日夜、官邸で記者会見し、衆院解散を受けて、政治改革関連法案が廃案になったことの責任などを明らかにした。

首相は、今国会での成立を言崩していたことに関して「結果としてできなかったことはその通りで、おわびする。うそをつこうとしてついたわけではなかった。私の見方が甘かった」と自らの不明と努力不足をわびた。

一方、首相は選挙制度で具体的な妥協案を念頭に実現できるとの見通しを持った段階もあったことを明らかにするとともに、①政治資金規正法改正案の切り離し成立も考慮した②選挙制度は一国会での成立は困難―などと説明した。政治改革については再度実現を目指す考えを表明したものの、具体的な対応は明確にしなかった。首相は内閣不信任案可決に絡んで「もともと(内閣)総辞職をするつもりはなかった」と強気を示した。《共同通信》



【政界談話室】

○…「衆院解散」が秒読み段階に入る中、18日午前の閣議で、参院出身の村上労相が宮沢首相にかみついた。「内閣不信任案が提出された重大局面なのに、首相が何を考えているのか新聞でしか分からない。閣僚は傍観者でいいのか」「会期不足なら延長して当然。参院を何と心得ているのか」と怒り爆発。あまりのけんまくに首相は「閣議後に話しましょう」とその場をとりなし、しばらくしてから「会いたい」と連絡してきたが、記者会見中だった労相は「後にしてくれ」とつれない返事。閣内の呼吸が全く合わないのも、政権末期症状の表れ?

○…昼の社会党代議士会で、村山国対委員長は禁足令で国会内にくぎ付けの同党衆院議員を前に情勢報告。内閣不信任案採決前に宮沢首相が解散に打って出る可能性について「憲法第7条(天皇の国事行為)で解散させる理由はない。まさか(首相が)うそをついたから解散というわけにはいかないでしょう」と皮肉たっぷり。しかし、3年前の総選挙で初当選した一年生議員が多いためか、及び腰の議員もいると見て取ったためか「世紀の(不信任案)採決にぐずぐずしていて議場に入れなかったということがないように」と“親心”の注意喚起。《共同通信》

【社会、公明、民社党】羽田派と連携

野党各党は18日の内閣不信任案可決で、宮沢首相と自民党を衆院解散に追い込んだことにより「今度の総選挙では自民党一党支配を一挙に突き崩し、政界再編の糸口にできる」(公明党幹部)との手ごたえを強めている。

社会党の山花委員長は同夜の記者会見で、自民党羽田派が決議案に賛成したことを「大胆な決断」と高く評価。次の総選挙も含めて「共同で努力の場面がある」と連携強化に意欲を示した。山花氏は武村正義氏ら自民離党表明者とも「意見交換したい」と明らかにした。

公明党の石田委員長は同夜の会見で、与野党の改革派との提携について①政治改革の実現②自民党の一党支配に代わる新しい政権―を目指した協力関係を進める考えを示した。ただ政界一再婦問題については「総選挙後の状況(次第)だ」と述べた。

民社党の大内氏は次の総選挙について「自民党の一党支配に終止符を打ち、新しい勢力形成のために中心的役割を果たす」とした上で「野党であろうと自民党にいた人であろうと「区別する必要はない」と広範な選挙協力に積極姿勢を表明。ただ新党づくりについては「相当な条件が必要」と当面は慎重に進める考えを示した。《共同通信》

【自民党】不信任同調は残念至極

自民党は18日夜、衆院解散を受けて「先進国首脳会議(東京サミット)を催す重要な時に野党から内閣不信任案が出され、自民党議員の中から同調者が出たことは残念至極である」とする党声明を発表した。

声明の中で「政治改革法案、環境基本法案などの重要法案、条約をご破算にした野党、一部わが党議員の行動は政治改革の行を消すばかりでなく、日民生活無視の重大な責任放棄だ」として、野党、造反議員の姿勢を厳しく批判した。《共同通信》

【自民党】造反議員を除名、非公認へ

自民党は18日の内閣不信任決議案の対応をきっかけに分裂状態に入った。武村正義政治改革本部事務局長ら若手議員10人が集団離党、ほかに鳩山邦夫前文相も離党した。不信任案に「賛成」した羽田派は23日の総会で、所属する衆参44人が離党に踏み切る方針を固めた。同党は昭和30年の結党以来、最大の危機に直面、党執行部は選挙戦で徹底した造反・離党組締め出し作戦で臨み「公認」候補だけで「安定過半数を求め必死に努力する」(梶山幹事長)方針だ。

内閣不信任案に対し羽田派34人を含む39人が賛成、16人が欠席した。造反組は若手離党グループと連携する構え。

自民党にとどまっている政治改革推進派議員は「政治改革」を旗印に結集、海部元首相を代表とする新組織を結成し総選挙を戦う構えを見せている。新組織は羽田派や武村正義氏ら若手離党組と連携、総選挙後には野党をも巻き込み「改革派連合政権」を目指すことも視野に置いている。

これに対し改革に慎重な姿勢をとってきた三塚、宮沢、渡辺、小渕の4派幹部も18日深夜、選挙協力のため合同選対を発足させるなど、改革推進、慎重両派の対決が総選挙にも持ち込まれることになった。

執行部は19日処分問題の対応を決め、来週早々の党紀委員会(坂野重信委員長)で正式に、不信任賛成者は「除名」、欠席者は「非公認」とする厳しい処分を下す。

しかし、「造反者」を出した羽田派を除く各派閥は、党執行部の処分には従う考えだが、選挙戦では支援の構えをとっており、関係選挙区では公認候補者との間で摩擦を生じるのは間違いなく、執行部は対応に苦慮することになろう。《共同通信》

【自民党・武村正義氏】離党、新党旗揚げへ

自民党の武村正義氏(三塚派、党政治改革推進本部事務局長)ら若手衆院議員10人は18日夜、梶山幹事長に離党届を提出した。10人はこの後、都内のホテルで記者会見し「新しい歴史的使命を担う政治勢力を結集することが時代の要請になっていると確信し、今までの政治的立場を乗り越えて行動に踏み切ることを決意した」との離党声明を発表し、新党を結成する方針を明らかにした。

武村氏らは21日夕に、新党の名称と政策を発表し、新党を旗揚げする予定。自民党羽田派や日本新党との関係については「白紙」としながらも、「総選挙後には協力関係などを前向きに考えたい」としている。

10氏はいずれも2年前に結成された「ユートピア政治研究会」の中核的メンバー。離党声明では、現在の自民党の状況を「冷戦の終結と経済環境の激変に機敏に対応できなくなっている」と批判。政治改革が実現しなかったことについては、「われわれの政治的良心から忍び難いことと深刻に受け止めている」としている。《共同通信》

【東京都議選】告示

衆院解散への動きが強まる中、東京都議会議員選挙が18日、告示された。中央政界の混乱を反映して政治改革問題が最大の争点に浮上。佐川急便事件、金丸前自民党副総裁の脱税事件発覚後、初の大型選挙でもあり、次期総選挙の行方を占う注目の選挙となった。

この日、宮沢首相が自民党本部で、野党党首が街頭でそれぞれ第一声を上げ、27日の投開票に向け、9日間にわたる首都決戦がスタートした。

立候補届け出の受け付けは、午前8時半から42選挙区で始まった。午前中に予想された候補が出そろい、258人が届け出を済ませた。定数128の議席を目指し、過去20年で最高の2.0倍の激戦。女性候補は42人で史上最多。

候補者の党派別内訳は自民党74人(現有議席43)、社会党34人(同32)、公明党25人(同26)、共産党42人(同13)、民社党4人(同4)、日本新党22人(同2)、諸派・無所属57人(同6)。

今回の選挙は、消費税やリクルート事件などで前回20議席を減らした自民党と、逆に推薦を含め3倍に増やした社会党に対し、政界再編の軸を目指す日本新党がどんな戦いぶりを見せるかが焦点。

政治改革の実現見送りをめぐる内閣不信任案提出を弾みに、自民党に攻勢をかける社公民3党に対し、政治改革先送りによる責任を問われる形の自民党の各候補の危機感は強い。

社会党は鈴木都知事と政策協定を結んで与党に回り、消費税の公共料金への上乗せに賛成するなどしたことから苦戦覚悟の選挙戦だが、政治改革をテコに巻き返しを図る。《共同通信》

【大阪地裁】外国人入居拒否は不法

民間賃貸マンションへの入居を断られた在日韓国人一の大阪市淀川区、カレー店経営Aさん(42)が「入居拒否は外国人を理由にしたもので、法の下の平等を定めた憲法に違反。監督権限を持つ大阪府も差別を放置し責任を怠った」として府と家主、仲介不動産業者などに約250万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が18日、大阪地裁であった。

伊東正彦裁判長は、家主に対し26万7000円の支払いを命じたが、仲介業者や大阪府については請求を退けた。

判決は、家主の入居拒否は国籍が理由と認定、国籍による入居差別を合理的理由がないと初めて判断した。外国人労働者や就学生など定住外国人が急増する中、不動産業界や自治体の行政に大きな影響を与えそうだ。

判決によると、Aさんは長男の勉強部屋を確保するため、より広いマンションへの転居を計画。平成元年1月、大阪市内の不動産業者から淀川区内の民間の賃貸マンション(3LDK、家賃月10万1000円)を紹介され、入居申込書を作成して申込金5万円と日割り家賃を支払った。その際、在日韓国人であることを話したが、「外国人でも入居できる」と回答された。しかし、その後不動産業者から「家主の承諾が得られない」などと保証金などの残金の受け取りを拒否され、入居できなかった。

判決は「入居拒否の主な理由は在日韓国人であることと認められる」と入居差別があったと判断。「外国人であることを理由とした家主の契約拒否は合理的理由がなく、不法行為」と結論付けた。また、原告側の入居拒否は違憲との主張については「憲法の人権保障規定は私人間の法関係にまで及ばない」として退けた。《共同通信》

【仏下院】移民法改正案を可決

保守系議員が多数を占めるフランス国民議会(下院)は18日、外国人労働者のフランスへの移住や政治亡命受け入れを制限した移民法改正案可決をした。社会党と共産党は反対投票した。

フランスでは11%近い失業率や犯罪の増加を外国人、特に第三世界からの労働者のせいにする風潮が広がっており、3月の総選挙では外国人労働者の追放を主張する極右政党、国民戦線が第一回投票で12.4%もの支持を集めた。

改正案は、失業や犯罪の増加は密入国したり不正に就労したりしている外国人のせいだとする風潮を受けてパスクア内相が提出したもので、不正入国の手段として使われる可能性がある外国人とフランス人の「偽装結婚」取り締まり、亡命受け入れ条件の強化、本国に残した家族の呼び寄せの制限などを柱としている。

政府が進めている外国人規制は今回可決した「移民受け入れ法」のほか、「国籍法」の改正と身分証明書検査の強化の「三点セット」で、密入国者や不正入国者を取り締まるとともに「移民ゼロ」(内相)を目的としている。《共同通信》



6月18日のできごと