平成1557日目

平成5年4月13日(火)

1993/04/13

【中田厚仁さん】無言の帰国

「息子の意思を受け継ぎたい」――。カンボジアで射殺された国連ボランティア中田厚仁さん(25)の父武仁さん(55)、母敬子さん(50)、妹順子さん(23)の3人は13日夕、大阪空港に帰国、喪服姿の武仁さんは遺骨を抱きしめながら国連ボランティアへの自らの参加希望を示唆した。

午後3時45分、大阪空港に到着した厚仁さんの遺骨には国連旗がかかげられ、その上にはカンボジアの小さな紫の花が。真っ白な花を抱えた順子さんが、遺影を持ってうつむく敬子さんの肩を抱いて話し掛けながら、ゆっくりとした足取りで飛行機から降りた。

武仁さんら3人は空港内で会見。「厚仁と一緒にボランティアをしていたボランティアから最後の交信が“アイム、ダイイング(私は命を引き取ります)”だったと聞き、尊厳ある態度に感動を覚えた」と唇をかみしめた。

敬子さんは「私利私欲を捨て命をかけた国際貢献を成し遂げられなかった部分は家族3人で引き継いでやりたい」と目にいぱい涙を浮かべ、言葉を詰まらせながら途切れ途切れに話した。《共同通信》



【宮沢喜一首相】会期中の政治改革実現に期待感

国会は13日午後1時から、衆院本会議を開き、「単純小選挙区制」を柱とする自民党案と「小選挙区比例代表併用制」導入を目指す社会・公明両党共同提出の政治改革関連法案の趣旨説明、質疑を行い、最大の焦点である抜本政治改革の本格的な論戦がスタートした。

宮沢首相は、政治改革について「各党とも抜本改革が必要との共通認識を持っている。各党間の議論で必ずや今国会で成案が得られるだろうと念願している」と述べ、会期中の改革実現に期待感を示した。佐川急便事件の真相解明のための特別委員会設置は国会の判断にゆだねる考えを重ねて示した。

論戦では、与野党ともに現行制度の改革の必要性を一強調したものの、単純小選挙区制で政権交代を訴えると自民党と、民意を反映する比例代表併用制を重視する社会・公明両党など与野党がいずれも基本方針を主張するにとどまり、議論は平行線をたどった。

代表質問の一番手に立った自民党の小渕元幹事長は「比例代表併用制は小党分立を招き、連立政権が不可避になる」と指摘。社会・公明両党の姿勢について「基本政策が違うのに選挙制度で共同歩調を取るのは野合だ」と批判した。

これに対し、答弁者の社会党の佐藤観樹氏は「比例代表でも政権交代は起こる」と反論。得票数が獲得議席数に反映しない単純小選挙区制は「議会の自殺行為で、独裁の発想だ」と強調した。

公明党の渡部一郎氏は社公案が実現した場合「あいまいな社公協議をしてはいけないと覚悟している」と述べ、本格的な政策協議を行う考えを明らかにした。

野党側が自民党案に企業献金が盛り込まれていることについてただしたのに対し、自民党の津島雄二氏は「企業も社会的な実在で、その役割を実たすために奇付は許される」と答弁した。

一方、共産党の山原健二郎、民社党の米沢隆の両氏は、それぞれ「現行中選挙区制での抜本定数是正」「都道府県別の比例代表制の導入」を求めた。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮沢首相は13日、米ワシントンポスト紙が「日本は外圧に弱い」との首相発言を伝えたことについて、真意が伝わっていないと否定。さらに「(日本では)お母さんが子供に“そんなことをしたら笑われますよ”という教育の仕方があるでしょう。(外圧は)それと同じことです」と説明した。難解な解説に首をかしげた記者団が「母親が米国で、子供が日本ということか」と突っ込むと「全然違う」。首相とすれば「外圧」のとらえ方が「恥の文化」である日本と「罪の文化」の外国とでは異なることを強調したかったようだが、このあいまいさが米紙報道につながった?

○…自民党の梶山幹事長はこの日の役員会で、閣僚や党役員の外遊の際のお土産を廃止すると報告。「国際化が進んだこの時代、政治改革や経費節減をしなければならない時期に、あれだけ忙しい首相や外相でさえ土産を買ってくる」と苦言を呈し、対象を自民党議員全員にまで広げる考えを示して了承された。この方針について梶山氏は「たまたま19日から韓国へ行く。私はお土産を買ってきませんとの宣言だ」と、まず「魂より始岬める」ことを強調したが、盆暮れのあいさつが欠かせない永田町で果たして徹底できるかどうか。《共同通信》

【武藤嘉文外相】米国務長官と会談

武藤外相とクリストファ米国務長官による初の日米外相会談が13日午後、外務省で行われた。

武藤外相が総額13兆2000億円に上る政府の総合経済対策の内容を説明したのに対し、国務長官は「景気刺激策の最初の措置としてはよい」と一応評価しながらも「日本は(今後)数カ年にわたって内需主導の成長が必要ではないか」と指摘、今回の措置だけにとどまらず、内需拡大政策の継続を強く要請した。

また貿易不均衡など両国の経済摩擦解消に向け、経済問題全般を協議する政策協議機関を新設することで基本的に合意。16日の宮沢首相とクリントン大統領との会談で正式決定される運びとなった。

会談で、武藤外相は日米協力関係の重要性に改めて言及し「国務長官が議会でアジア重視を言明したのに力付けられた」とし、ロシア支援などさまざまな課題に協力して対処する考えを示した。

国務長官は、日本と協力しつつ、米国が太平洋国家としての責任を果たし続ける意向を表明した。《共同通信》



4月13日のできごと