平成1542日目

1993/03/29

この日のできごと(何の日)

【金丸信被告】保釈

ヤミ献金を隠し計約10億4000万円を脱税したとして所得税法違反罪で起訴された前自民党副総裁、金丸信被告(78)は29日夕、東京地裁で保釈を認められ、今月6日の逮捕から23日ぶりに東京・小菅の東京拘置所から保釈された。保釈保証金は3億円で、同被告側は直ちに納付、午後6時半前、迎えの車で竹下登元首相が待つ東京・元麻布の自宅に戻った。コメントなどは特に出さなかった。3億円の保釈金はロッキード事件の田中角栄元首相(上告中)の2億円を上回り“政治家”の保釈金としては最高額。

東京地裁は元公設第一秘書A被告(49)についても、保釈金1億5000万円で保釈を認めたが、検察側の準抗告を受け、保釈の執行を一時停止し、同日は保釈されなかった。東京地検特捜部は、総合建設会社(ゼネコン)や大手バス会社「国際興業」など金丸被告に献金していた企業の役員らから事情聴取を続け、ヤミ献金の全容解明を進める。

金丸、A両被告の弁護団は、東京地検特捜部の追起訴で脱税事件の捜査が一応終了した27日、保釈請求していた。

同地裁は29日午前、検察側の意見を求めた上で保釈の可否を検討、金丸被告が起訴事実を大筋で認めているほか、高齢の上、糖尿病など持病があることから、保釈を認めたとみられる。

検察側は、金丸被告については準抗告など対抗措置をとらなかった。しかし、A被告に関しては、余罪捜査が残っていることや金丸被告との口裏合わせを防ぐため、準抗告した。

起訴状によると、金丸被告は昭和62年から平成元年までの所得のうち、約18億5000万円を隠して所得税計約10億4000万円を脱税(62、元年分はA被告と共謀)、A被告は昭和62年から平成3年までの所得のうち約6億5000万円を施し、計約3億3000万円を脱税した。《共同通信》

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【東京株式市場】

29日の東京株式市場は、景気の底入れ感が一部で出てきたことから、企業業績の回復期待を背景に物色意欲が強まってほぼ全面高、平均株価(225種)終値は前週末比259円68銭高の1万9048円38銭と、昨年3月31日以来、1年ぶりに1万9000円の大台を回復した。出来高も6億8000万株と膨らみ、市場には「今後、調整局面はあっても大きな下落はない」(日債銀投資顧問)と下値不安が後退、買い安心感が広がっている。

この日は前週末発表の2月の鉱工業生産指数が前月比で5カ月ぶりにプラスに転じるなど、バブルの崩壊で約2年間にわたり下り坂を歩んできた景気に底入れの気配がみえてきたことを好感、外国人投資家や個人投資家などから買いが入った。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮澤首相は29日、東京株式市場の平均株価が1万9000円台を記録したことについて、記者団から感想を求められると「いやあ」といって満面に笑み。「年度も変わるしな」と、記者団への即席解説もにこにこ顔でこなした。不況対策が後手後手との批判もあるだけに、株価の回復が余程うれしかったらしい。ただ懸案の不況克服が「株価頼り」との印象を与えるのを嫌ったのか、今後の見通しには「こればっかりは市場に聞けと言うしな…」と、一転いつもの慎重な口ぶりに。

○…この日、所得税減税を協議する与野党の「不況対策協議会」に、社会党の村山国対委員長が遅刻。事前の打ち合わせでは国対委員長は協議に入らないことになっていただけに、同党の赤松書記長は「国対委員長は加わらないのでは」と遅刻をかばうことしきり。これを聞いた市川公明党書記長が「最初の協議会だから出席することになったんですよ」と、皮肉交じりに説明し、さらに「15分前に決まったんですよ」と追い打ち。減税や佐川急便事件の証人喚問で久しぶりに息の合った社公民三党も枝葉末節でぎくしゃく。《共同通信》

【宮澤喜一首相】「政治改革の処理は大変」

宮澤首相は29日夕官邸で、前自民党副総裁、金丸信被告が保釈されたことについて、記者団が感想を求めたのに対し「いや、容易じゃない。この後の政治改革処理というのは大変だ」と述べ、後半国会の政治改革実現に全力で取り組む考えを示した。《共同通信》

【社会、公明、民社】3委員長、連合・山岸会長と意見交換

山花・社会、石田・公明、大内・民社の3野党委員長は29日午後、連合の山岸会長と都内のホテルで会談し、政治改革と減税要求を中心に意見交換した。

衆院への小選挙区比例代表併用制導入を柱とする社公共同の政治改革関連5法案について石田氏は「新選挙制度の施行は次の総選挙からやるべきだ」と主張したが、山花氏は「次回は現行中選挙区制を適用する」と述べ、社公両党間の見解が分かれた。

山岸氏は民社党も5法案に足並みをそろえるよう求めたが、大内氏は「都道府県単位の比例代表制が一番いいと確信している」と選挙制度改革についての考え方の違いを挙げ、独自路線を取ることを強調。3党間の立場の違いを浮き彫りにした。

ただ、5法案の扱いについて社公両党と連合は今国会で一括処理すべきだ、との認識で一致した。減税問題では、29日発足した「不況対策に関する各党協議会」での与野党協議を通じ、所得税減税の実現に全力を挙げ、4月9日の与野党党首会談で決着させる方針を確認。山花氏は所得税減税を求める決議案の参院提出を検討していることを明らかにした。《共同通信》

【第65回選抜高校野球大会】第3日

雨で一日順延された第65回選抜高校野球大会第3日は29日、厳しい花冷えの甲子園球場で2回戦4試合を行い、上宮(大阪)常総学院(茨城)大宮東(埼玉)鳥取西(鳥取)が勝ち、3回戦に進出した。

今大会初の延長戦にもつれ込んだ第3試合は、上宮が十回一死満塁で黒川が左越えに殊勲打を放ち、横浜(神奈川)に4-3でサヨナラ勝ち。近畿勢の初戦敗退も4で止まった。常総学院は看板の打線が爆発。根本の本塁打を含む6本の長打を生かして宇和島東(愛媛)を突き放し9–3で快勝した。初出場の大宮東は一回に平尾が大会第1号本塁打を左越えに。同点の五回には田中が左へ3点本塁打を打ち込んで再びリード。優勝候補の崇徳(広島)の追撃を抑えて5-3で逃げ切った。鳥取西は今大会最多の6安打に機動力を織り込んで秋田経法大付(秋田)を圧倒。9-4で握った選抜大会60年ぶりの勝利は、鳥取県勢の春夏通算50勝目となった。《共同通信》

【福岡ドーム】報道陣に公開

日本初の開閉式屋根を持つ多目的スタジアム・福岡ドーム(福岡市中央区地行浜)の4月2日のオープンを前に29日、完成した施設が報道関係者らに公開された。

福岡ドームは容積176万立方メートルと東京ドームの約1.4倍で、最高5万2000人の観客を収容する。福岡ダイエーホークスの本拠地として使われるほか、アメリカンフットボールやコンサートなどさままな催しに対応できる。

この日は、縦10メートル、横35.2メートルと世界最大規模の画面の大型ビジョンを使って福岡ドームを映像で紹介。また最新の音響装置や照明で演出をし、チタン製三層構成の1万2000トンの開閉式屋根のオープンショーも。31日午前10時半から完成式、4月2日にはパリーグ・トーナメント戦が行われる。《共同通信》

【梨元勝さん】敗訴

故上原謙さんの元妻、大林雅子さん(44)が「週刊誌の記事で名誉を傷付けられた」と、筆者の芸能リポーター梨元勝さん(48)に1000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であり、三村量一裁判官は「記事は公共の利害に関するものとは認められず、名誉棄損に当たる」と、梨元さんに慰謝料50万円の支払いを命じた。梨元さんは、控訴した。

判決によると、大林さんは平成3年6月に上原さんと離婚。その後、大手繊維会社の前会長に対して起こした婚約不履行の裁判をめぐり、梨元さんは同年10月、大林さんがうそをついて、前会長から金を引き出したする手記を週刊誌に掲載した。

判決で三村裁判官は、記事が大林さんの社会的評価を低下させたことを認めた上「記事は私生活上の行状が内容。タレントなどの私生活に関する事実は、ファンなどにとって話題であっても、公共の利害に関する事実とは言えない」と、梨元さんの主張を退けた。《共同通信》

【フランス】新首相にバラデュール氏

ミッテラン・フランス大統領は29日、テレビを通じて演説し、総選挙で圧勝し第一党となった保守、共和国連合(RPR)のバラデュール元経済財政相(蔵相)(63)を新首相に指名すると発表した。近日中に保守の新内閣が発足、社会党のミッテラン大統領の下で1986−88年に次ぐ二度目の保革共存政権がスタートする。

新首相に指名されたバラデュール氏は同日夜、エリゼ宮にミッテラン大統領を訪ね、指名受諾を伝えた後、30日から組閣に着手することを明らかにした。

大統領はテレビ演説で、総選挙で新たな多数派を選んだ有権者の意思を尊重するとし、多数派を結集するのにふさわしいと、バラデュール氏指名の理由を述べた。

バラテュール氏は保守ドゴール派、RPRの大物政治家で、66年に故ポンピドー首相の副官房長として政界入り。第一次保革共存政権のシラク内閣で経済財政相を務め、国有企業の民営化などに手腕を発揮した。手堅い政治手腕と穏健な政治姿勢から総選挙後の共存政権の首相候補ナンバーニーワンに挙がっていた。バラデュール新内閣は、総選挙で圧勝した保守連合のRPRとフランス民主連合(UDF)で構成される。

ミッテラン大統領は演説の中で、憲法で大統領に課せられた義務に従い外交、国防政策を継続していくと述べ、与党社会党が総選挙で敗北したものの、引き続き大統領職にとどまる意思を確認した。欧州統合の推進を最重要政策に挙げ、欧州通貨制度(EMS)は持していかなければならないと述べた。一方、バラデュール新首相はフランス再建と国民の信頼回復に全力を挙げる、と述べた。《共同通信》

【第65回アカデミー賞】作品賞「許されざる者」

第65回アカデミー賞の授賞式が29日夜(日本時間30日昼)、米ロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われ、クリント・イーストウッドが製作、監督、主演の三役を担当した西部劇「許されざる者」が、作品賞、監督賞、助演男優賞など四部門で賞を受けた。西部劇が作品賞を受賞したのは、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」以来で、通算3回目。また「ドラキュラ」で衣装を担当した石岡瑛子が衣装デザイン賞を受賞した。日本人のオスカー受賞は第62回の黒沢明監督(名誉賞)以来。衣装デザイン賞としては、和田三造(「地獄門」)ワダ・エミ(「乱」)に次ぐ3人目の受賞となった。《共同通信》



3月29日 その日のできごと(何の日)