平成895日目

平成3年6月21日(金)

1991/06/21

【社会党・土井たか子委員長】辞任表明

社会党の土井たか子委員長は21日午後、国会内で開いた党三役会議で、先の統一地方選の敗北の責任を取って委員長を辞任する意向を表明した。24日に臨時中央執行委員会を開き、土井委員長をはじめ執行部の総辞職を決める。

土井氏は86年9月、石橋正嗣氏の後を受けて第10代委員長に就任して以来、3期目。この間“土井ブーム”を巻き起こし、衆参両院の選挙で同党に大躍進をもたらしたが、一方で、原則重視の政治姿勢は結果的に野党内での孤立化を招き、党の体質改善に根本的なメスを入れられないまま、任期途中の辞意表明となった。

土井氏の退陣は、再生の道を探る社会党だけでなく、政界再編の兆しもはらんで流動化の様相を強める政局の行方にも影響を与えそうだ。

社会党の委員長は、全党員による公選で選出されることになっており、24日の中執委で土井氏をはじめ執行部全員が辞意表明するのを受け、7月30、31両日開かれる臨時党大会に向けて公選の手続きに入ることになる。

ただ、ポスト土井の有力候補とみられている田辺誠副委員長は、土井氏の出馬要請(21日)を固辞しており、新体制の枠組みは見通しが立っていない。しかし、田辺氏に代わる有力候補がいないのが現状で、公選準備に先立ち、田辺氏を軸に土井後継をめぐる党内調整が進められることになる。

21日の三役会議では、冒頭、土井氏が「統一地方選の結果について責任を痛感し、改革の道筋をつけた上で人心一新したいと考え、中央執行委員会、全国代表者会議で申し上げてきた。田辺副委員長にお願いして改革案がまとまり、昨日(20日)の中央執行委員会で満場一致で決定した。これを一つの区切りと考え、臨時大会で党設革と人心一新を行うこととし、ここで辞任の意思表明をしたい」と述べ、党改革の道筋をつけたことを節目に辞意を表明した。

これに対し、田辺氏、山口書記長らが「委員長に対しては党内外で期待が強い。改革案もまとまったばかりであり、改革の先頭に立ってがんばってほしい」などと発言、慰留した。最後に、山口氏が「委員長の発言は重く受け止めた。事は重要なので、24日に中執を開いて経過を報告し、意見を求めたい」と述べ、「土井辞任」を24日の中執委に正式にはかる考えを示した。《読売新聞》

【政府(海部内閣)】南ア制裁を部分解除

政府は21日午前の閣議で、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)政策の根本的改革の進展に伴い、対南ア制裁措置のうち南ア国民への査証(ビザ)発給停止、日本国民の南ア観光自粛などの人的交流制限を解除することを正式に決めた。《共同通信》

【野村証券、日興証券】損失補てん認める

野村証券(田淵義久社長)と日興証券(岩崎琢弥社長)が、大口の法人投資家に対して巨額の損失補てんをしていた問題で、両社は21日午前、相次いで記者会見し、損失補てんの事実を認めるとともに、「一般投資家の信頼を損ねた」として陳謝した。不公正取引の典型である損失補てんについて、証券会社自身が認めたのは初めて。また、損失補てん額は日興がその後の大蔵・国税当局の調べで約190億円、野村は約165億円に達していることも新たに判明した。

損失補てんは、平成元年末の大蔵省証券局長通達や日本証券業協会規則に反する不正行為。両社はこの日、野村が補てんに関係した担当役員ら数人を減給処分に、日興も役員7人について減給や配転の処分を行ったことを明らかにした。

特に日興は、損失補てんについて、さらに具体的調査を進め、内部管理体制の強化など再発防止対策を講じることを約束したが、梅村正司会長が日本証券業協会の現会長、野村は田淵節也会長が次期協会長に内定して業界のリーダーという要職にある。《読売新聞》

【パーマ校則裁判】元女子高生の訴え棄却

校則で禁じられたパーマをかけていたことから、卒業目前で退学させられた私立修徳高校(東京都葛飾区)の元女子生徒が、学校側を相手取り、卒業認定・卒業証書の授与または生徒であることの地位確認と、慰謝料100万円の支払いを求めた「パーマ校則裁判」の判決言い渡しが、21日午前、東京地裁民事37部であった。

石垣君雄裁判長は、パーマ禁止の校則について「高校生にふさわしい髪形を維持し、非行を防止することが目的で、その必要性は否定できない」とする一方、卒業目前の生徒に自主退学を勧告した点についても「社会通念上合理性を欠くとはいえない」と判断、元生徒の訴えを全面的に退けた。

原告は、昭和63年当時同高女子部商業科に在籍一していた会社員A子さん(22)。A子さんは、卒業までに登校日があと12日という同年1月20日、パーマをかけていたことを理由に自主退学を勧告され、同1月30日、退学願を提出。しかし、その後、①パーマの一律禁止校則は違法②退学勧告は事実上の退学処分で厳し過ぎ、校長の裁量権を逸脱している―などとして、同高を経営する学校法人「修徳学園」と名取守之祐校長を訴えた。

この日の判決は、まず、校則制定に関する学校側の裁量権を広く認めたうえで、同校のパーマ禁止校則について「華美に流されない、生徒にふさわしい態度を保つことを目標にしており、特定の髪形を強制していない」と指摘、同校則は無効だとする原告側の主張を退けた。

今回の勧告が厳し過ぎるとの原告側の主張に対しては「自主退学勧告は事実上の懲戒で(それを行うには)慎重な配慮が求められる」としながらも、今回のケースでは①A子さんが自動車免許取得を禁じた校則違反でも厳重な警告を受け、指導を受けていた期間中だった②免許取得、パーマ禁止の両校則に違反したことについて反省が認められない―などと指摘、これに、A子さんの平素の行状などを考えあわせると、卒業まであと十数日だったとしても本件勧告が社会通念上合理性を欠くとはいえない」とした。

さらに、勧告にあたって学校側が適正な手続きをとらなかったとの原告側主張には、「原告は勧告を受けた理由をわかっていたし、弁明の機会も与えられていた」と認定した。そして修徳学園に対する慰謝料請求、地位確認などの訴えについてはすべて棄却、名取校長を相手取った請求については却下した。

修徳高校は先月、オートバイ禁止校則に違反した男子生徒を退学処分としたことについては、東京地裁で「裁量権の逸脱」とされ、慰謝料支払いを命じられている。《読売新聞》

【いすゞ自動車】再建計画を発表

急激な業績悪化から91年4月期(90年11月-91年4月)の中間決算で赤字に転落した、いすゞ自動車は21日、アメリカの生産会社へのテコ入れ、国内販売の強化などを柱とした経営再建計画を発表した。今後3年間で徹底的な合理化、経営体質の強化を図り93年10月期での黒字転換を目指す。

主な内容は①米生産会社「スバル・いすゞオートモーティブ(SIA)の生産体制を8月をメドに月産5000台から7000千台に引き上げる②販売力強化のため管理職2、300人を販売店に派遣③経費のの10-20%削減④役員報酬を10-15%カット⑤生産設備近代化投資として今後3年間に680億円を投資する—など。

また、資本関係にある米ゼネラル・モーターズ(GM)に、米国内での販売協力を要請するとともに、SIAの稼働率をさらに向上させ、来年6月には採算ラインに乗せたい考えだ。米視察から帰国した飛山一男社長は「SIAがやっと工場らしくなった。アメリカの市場はまだ厳しいが、近く採算に乗せられるだろう」と述べ、93年10月期での黒字転換に自信を示した。だが、同社は国内の乗用車販売が弱く、今後は経営体質強化に向けての商品力、販売力の強化が課題になると見られる。《読売新聞》

【スティーブン・ホーキング博士】来日

ブラック・ホールの研究で知られる車いすの天才物理学者スティーブン・ホーキング博士(英ケンブリッジ大学教授)(49)が、アインシュタインの一般相対論をテーマに、京都で開かれる学会出席のため来日、21日午後、東京都内のホテルで記者会見した。

博士は、筋委縮性側索硬化症とよばれる神経の病気で話すことも不自由。今年3月、大学近くでタクシーにはねられたが、すっかり回復。ニッコリほほ笑みながら、車いすに取り付けられた音声合成機を使って「今は、タイムマシンを研究中。空間をゆがませることで過去に旅することができるかどうか。物理の法則に照らし合わせて、とても面白い」と語った。

ホーキング博士が出席するのは「一般相対論に関する第六回マーセル・グロスマン会議」。会議の冒頭、ホーキング博士自身が時間旅行について基調講演するほか、同じテーマの発表が数件予定されており、世界の英知が、タイムマシンをめぐり議論を交わす。《読売新聞》



6月21日のできごと