平成853日目

1991/05/10

【海部俊樹首相】政治改革「6月末までに成案」

海部首相は通常国会が閉幕したのを受け10日午後、首相官邸で内閣記者会と会見し、選挙制度改革を中心とした政治改革、国連平和維持活動(PKO)協力問題などについて見解を明らかにした。

首相は最大の政治課題である政治改革の実現に不退転の決意で取り組む意向を重ねて表明。政府の選挙制度審議会委員の任期が6月27日に切れることに関連して「そのことを念頭において作業している。だから5月末までに法案骨子をまとめるように言っている」と述べ、6月末までに小選挙区の区割りも含めた政治改革法案の成案を得たいとの考えを明らかにした。《共同通信》



【政府】南ア経済制裁を解除へ

坂本三十次官房長官は10日の記者会見で、アパルトヘイト(人種隔離)政策を実施している南アフリカに対するわが国の制裁措置の解除問題について、「(南ア政府が)人口登録法などの人種差別法を6月中にも撤廃したいという話は聞いており、差別撤廃が明確になれば国際的にも明るい方向に進む。わが国も実態をよく見て、差別が撤廃されたら、諸外国と同様に、経済制裁解除を検討する」と述べ、撤廃の進展が確認できた時点で制裁解除に踏み切る考えを明らかにした。《読売新聞》

【中曽根康弘元首相、金丸信元副総理】「ポスト海部」は公選で

中曽根元首相と金丸信・元副総理が10日夜、都内の料理屋で2時間余り会談し、「海部後継」は話し合いではなく公選で決着させることが望ましい、との考えで一致した。これは、党則通り総裁選挙を実施することによって、党を活性化し、強い指導力を持った政権をつくるべきだとする中曽根氏の主張に金丸氏が同調したもので、公選論に弾みがつくものとみられる。

この日の会談は、中曽根氏の復党祝いを名目に中尾栄一通産相が中曽根、金丸両氏に呼びかけたもので、中尾氏も同席した。

会談の中で中曽根氏は、ポスト海部の総裁選びに触れて、「党内に活力をもたらすためにも、出たい人が出ればいい。(密室の話し合い政治で決めないで)堂々と明るいところで後継総裁を選べばいい」と持論の公選論を展開、これに金丸氏は「それはそうだ」と同調した。

また、懸案の政治改革問題について、金丸氏は「政治改革論議が本格化するのは自民党内のコンセンサス(合意)を得て法案化の作業が終わってからだ。コンセンサスがなくて7月の臨時国会が開けるかどうか。論議するだけで法案成立の見込みのない国会は開くべきではない」と述べ、重ねて臨時国会召集に消極的な見解を明らかにした。中曽根氏は「その通りだ」と応じ、党内の空気が政治改革断行に向けて十分に盛り上がっていない、との認識で両氏は一致した。

一方、中曽根氏自身と竹下元首相の党最高顧問就任問題で、中曽根氏が「焦っていない。自然体で行きたい」と説明したのに対し、金丸氏は「時が来たら就任するつもりでいいのではないか。(中曽根氏が)なりたい時になればいい」と応じ、しばらく政治情勢を見守るべきだとの考え方を示した。《読売新聞》

【ソ連・べススメルトヌイフ外相】イスラエル訪問

ソ連のベススメルトスイフ外相は10日、ソ連外相として初めてイスラエルを公式訪問し、エルサレムでシャミル首相、レビ外相とそれぞれ会談した。1967年の第三次中東戦争以来凍結されている外交関係の正常化や、中東和平会議へのソ連の参加問題などが話し合われたが、会談後、レビ外相とともに記者会見したベ外相は、「ソ連はイスラエルと中東和平会議の実際的な側面について協議を開始した。すべての問題は今後も継続的に話し合われるべきだ」と述べ、イスラエルとの対話継続と中東和平での積極的な仲介を果たす意欲を表明した。

べ外相は、中東和平の見通しについて、「和平への国際的な雰囲気はこれまで以上に盛り上がっており、今が最大のチャンス」と楽観的な見方を示し、その理由として、米ソが和平プロセスを後押しする姿勢でいることを挙げた。《読売新聞》

【韓国】治安2法を強行採決

韓国の与党・民自党は10日、盧泰愚政権発足以来の懸案だった国家保安法改正案と警察法案を国会本会議で強行採決した。これに対し、野党や在野・学生団体は強く反発しており、デモ学生死亡事件を機に燃えあがった反政府運動はさらに激化しそうだ。

民自党は国家保安法改正を目指して開会中の臨時国会を延長して野党側と交渉を続けてきたが、「反国家団体」の定義や適用範囲の制限などをめぐって意見が対立。

特に、野党第一党・新民党は、スパイ行為などを知りながら当局に通報しない場合に適用される「不告知罪」の撤廃など抜本的な改正を求めるとともに、反政府運動拡大による社会不安収拾のため盧在鳳内閣の総辞職を強く要求して譲らず、交渉は9日深夜決裂した。

両治安関係法案の強行採決に対し、新民党が「手続き上不法かつ無効であり、大統領は公約に違反した」と反発して国会内でろう城に入るなど、野党各党は一斉に非難した。

国家保安法は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を事実上「反国家団体」とみなし、国内の反政府活動家や、文益煥牧師や林秀卿さんなど秘密訪朝者を処罰する法的根拠として適用され、在野・学生団体から強い批判を浴びてきた。

このため、民自党側は、反国家団体の定義について、現行では「国家転覆を目的とする団体」とされているのを、「国家転覆を目的とする指揮・統率体制を持った団体」と適用範囲をやや縮める改正案を出していた。

一方、法の運用に当たる最高検察庁も7日、与党の改正案に対して、「スパイ活動を事実上認めるもの」と反発する異例の意見書を発表するなど、野党・在野と公安当局の双方が反対するという事態になっていた。《読売新聞》

【独・コール首相】旧東独で災難

ドイツのコール首相が10日夕、旧東独の都市ハレを視察、訪問したさい、群衆が投げつけた生卵、トマトが顔やスーツに命中してしまった。昨年のドイツ統一後、旧東独地域では経済の低迷、失業問題で“統一の立役者”、コール首相に対する反発が強まっており、コール首相は先月にも旧東独地域のエルフルト、ライプチヒで今回と同様、生卵、トマトを投げつけられたが、「命中」は初めて。

怒りをあらわにした首相は一時は群衆の中に入り込み、抗議する群衆につかみ掛かる場面もあった。《読売新聞》



5月10日のできごと