平成829日目

平成3年4月16日(火)

1991/04/16

【ソ連・ゴルバチョフ大統領】初来日

ソ連のゴルバチョフ大統領は16日午前10時22分、国賓としてライサ夫人とともにハバロフスク発羽田着の特別機で来日した。帝政ロシア時代も含めた日ソ関係上、ソ連元首の来日は初めて。

海部首相と大統領は日ソ関係の「歴史的転換点」を目指し同日午後、第1回日ソ首脳会談に入るのを皮切りに、19日までの滞在中3、4回の首脳会議を行い、最大の懸案である北方領土問題を中心にアジア・太平洋の安全保障問題など広範な問題について意見交換する。また、大統領は皇居に天皇、皇后両陛下を訪ね歓談した。

海部首相との一連の会談結果は18日午後、共同声明として発表されるが、この中では北方領土問題題の政治決着が図られ、どういった表現が盛り込まれるかが焦点となる。

大統領にはべススメルトヌイフ外相、グベンコ文化相、カツシェフ対外経済関係相の3閣僚、ヤコブレフ大統領顧問ら、また北方領土を管轄するロシア共和国からはイサコフ最高会議副議長、コズイレフ外相らが同行。大統領夫妻は羽田到着後、東京・元赤坂の迎賓館での歓迎式典に臨んだ。

大統領は、ライサ夫人とともに昼すぎ皇居を訪問、宮殿「竹の間」で天皇、皇后両陛下と会見した。 会見の席上、両陛下からゴルバチョフ大統領に有田焼の花瓶、ライサ夫人には佐賀錦の夜会用ハンドバッグが贈られた。 大統領から陛下には高さ約70センチの飾りつぼ、夫人から皇后さまにはネックレスや指輪などの装身具がプレゼントされた。

同席した角谷式部官長によると、会見は40分の予定が8分長引いた。両陛下と大統領夫妻の会話は通訳を挟んで和やかな雰囲気で行われ、まず陛下が歓迎のお言葉。これに対し大統領が「(初めての来日までに)非常に長い時間がかかったが、ようやく来られてうれしい」とあいさつ。

陛下が「日程が随分詰まっていますね」と語り掛けられると、大統領はライサー夫人の方を見て「旅行の時は家内の方がゆっくりできています」とにこやかに語った。 大統領は訪米時に大学教授から聞いたという「日本の伝統と自分たちがかみ合うのは難しい」との話を引き合いに出し「来日してみて日本の文化と技術が一致しているのを感じた」と話した。《共同通信》

海部首相は16日午前のゴルバチョフ・ソ連大統領の歓迎行事で、この日の上天気を引き合いに「首脳会談も温かいものにしましょう」と大統領に話しかけ、早くも北方領土問題をめぐる厳しい会談に向けて前哨戦を挑んだ。 普通の歓迎行事なら首脳のやりとりは一言、二言だが、今回は1、2分も続いた。首相によると、まず首相が「今日は良い天気で暖かい」と言った上で“暖かい会談”を申し入れた。大統領も「私もそう思う」と応じたという。 首相は覚えたてのロシア語で「スパシーバ(ありがとう)」と感謝。大統領は「よくご存知ですね」と答え、和やかな雰囲気に終始した。《共同通信》

海部首相とゴルバチョフ大統領は16日午後2時半すぎから、東京・元赤坂の迎賓館で第1回日ソ首脳会談をし、最大の懸案である北方領土問題を中心に約3時間、意見交換した。

大統領はこの中で「領土問題」との表現を初めて公式の会談で使用し、両国間に領土問題が存在していることを認めた。しかし、首相が歯舞、色丹の二島返還を明記した1956年の日ソ共同宣言の再確認を求めたのに対し、大統領は明言を避けた。

その上で「過去の問題より将来の問題を話し合おう」と述べ、現在の平和条約作業部会を改組し、新たな領土交渉の協議機関設置に含みを示した。

北方領土討議は冒頭から本格化、決着は17日午後の第3回会談以降に持ち越されたが、大統領は政治決着をにらんだ瀬踏みに入ったとみられ、領土交渉は第3回会談でヤマ場を迎える。《共同通信》

【政界談話室】首相の心境は「波高し」?

◯…坂本官房長官は16日朝の記者会見で、この日の閣議で日ソ首脳会談に臨む海部首相の決意表明はあったのか、と質問され「何もありません。用意はできていますから。準備万端整って、今日はスタートするだけです」と、このところ首相が猛勉強を重ねてきた成果を強調することしきり。さらにこの日の好天に触れた際には「天気晴朗なれども波高し」と首脳会談に臨む首相の心境を代弁した。

これは日露戦争の日本海海戦でロシア・バルチック艦隊を破った連合艦隊が「敵艦隊発見」の一報を報告した電文の一節。領土交渉の前途は厳しいと言われるだけに、自らの士気を鼓舞したかった?

◯…社会党の大出国対委員長は記者会見で「自民党の梶山国対委員長が掃海艇派遣に何とか同意願いたいと言いにきた」と切り出した。「現行法での派遣は明らかに違法というのが国のおおかたの意見。それから先は今週議論を続ける」とまずは原則論で切り返したことを紹介したが、言葉を継いで「特別立法といっても法制局は1カ月かかるという。そんなことをしていたらモンスーンになる」との現実論も。

防衛通らしく「掃海艇は初期のはつしま」から知っている」と記者団に“博識”を披露はしてみたものの「単なる反対ではなく代案を」の宿題がなかなか解けず、思案投げ首。《共同通信》

【英大衆紙サン】英皇太子夫妻が別居と報じる

16日付の英大衆紙サンは、世界的特ダネと銘打って、英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃が不仲でほとんど別居状態にあると大々的に報じた。「別々の家」と題した同記事は、皇太子夫妻がグロースター州ハイグローブに所有する別荘の警護を1ヶ月前まで務めた元警官アンドリュー・ジャックス氏(27)の証言に基いている。《共同通信》

【関西新聞】休刊宣言

イトマンとの絵画売買解約に伴い、同社に対する清算金返済のため総額625億円の手形を振り出していた夕刊紙、関西新聞社(本社大阪市、資本金9600万円)は16日、同日発行の17日付紙面で休刊を宣言した。

同社は今月10日期限の手形100億円を不渡りにしており、20日に期限のくる2回目の手形100億円についても資金調達のめどがつかないため休刊に追い込まれたものとみられる。事実上の倒産に発展する可能性が強い。《共同通信》

【日経連】新会長に永野健氏

日経連は16日、政策委員会を開き、鈴木永二会長(三菱化成相談役)の退任と永野健副会長(三菱マテリアル会長)の会長就任を内定した。同時に、鈴木会長が発案した「若返りのため政策委員以上の役員は75歳以上が勇退、新規就任は71歳未満」の基準を適用し、名誉会長の大槻文平三菱マテリアル相談役と副会長の亀井正夫住友電気工業会長、松沢卓二富士銀行相談役、政策委員の平岩外四東京電力会長、小林宏治日本電気名誉会長、丸田芳郎花王会長らが退任。飯田庸太郎副会長(三菱重工業会長、経団連副会長)と歌田勝弘政策委員(味の素名誉会長、経団連副会長)も経団連活動に専念のため退任する。退任内定者は計14人。

新規就任は久米豊日産自動車社長、端田泰三富士銀=行頭取がそれぞれ副会長に就くなど16人が内定。会長人事と同様、5月15日に開く定時総会で正式に決める。日経連は今度の人事で役員の平均年齢は72.9歳から64.6歳に大幅に若返るとしている。《共同通信》



4月16日のできごと