平成762日目

平成3年2月8日(金)

1991/02/08

【湾岸戦争】多国籍軍、イラクの主要兵器を重点爆撃

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湾岸戦争は8日、米軍を主体とする多国籍軍がイラク南部の精鋭部隊、大統領警護隊と、クウェート領内のイラク軍地上部隊の主要兵器破壊を狙った爆撃を繰り返した。

同時に米軍当局は開戦以来、イラク南部とクウェートに配備されたイラク軍が保有する戦車の15%にあたる600両以上を破壊したと発表、初めて具体的な数字を挙げて空爆の成果を公表した。《共同通信》



【湾岸戦争】地上戦開始時期を協議

クウェート奪回のための地上戦突入時期が湾岸戦争の焦点となる中で8日夜(日本時間9日朝)、チェイニー米国防長官とパウエル統合参謀本部議長がサウジアラビアのリヤドに到着し、シュワルツコフ米中東軍司令官らと、地上戦開始の時期など戦局見通しを協議した。チェイニー長官らはこの後、ファハド・サウジ国王と会談する。

チェイニー長官はサウジ入りの前に、米軍兵士の被害を「最小限度にとどめることが最優先課題」と指摘。キング英国防相も、イラク軍の戦闘能力の15−20%を破壊したことを明らかにしながらも、全面的な地上戦開始までにイラク軍の50%を壊滅する必要があると強調していることから、地上戦開始時期は今月中旬以降にずれ込む可能性も出てきた。

多国籍軍側が最も重点を置いているのは、イラク軍の精鋭部隊である大統領警護隊の被害の評価。米空軍当局は、地上戦突入までにあと二週間が必要であると進言したといわれている。

大統領警護隊は、米爆撃機B52のじゅうたん爆撃を地下シェルターでどうにか耐えているとみられる。警護隊は、主力武器のソ連製T72戦車と、155ミリりゅう弾砲を、巧みなカムフラージュによって温存しているとの見方もあり、多国籍軍側が地上戦に踏み切れない理由の一つになっている。

イラク軍はこれまで切り札の化学兵器を使っておらず、地上戦で一気に毒ガス攻撃に着手する可能性もある。《共同通信》

【東北新幹線】東京〜上野間レール締結式

ことし6月20日に開業が予定されている東北・上越新幹線東京ー上野間3.6キロの軌道工事が完成、8日午前、JR東日本など関係者が出席し東京都千代田区の東京駅近くの高架橋上でレール締結式が行われた。

これで東京ー盛岡間495.5キロ、東京ー新潟間300.8キロのレールが、昭和46年の基本計画以来20年ぶりに結ばれた。《共同通信》

【磯村尚徳氏】NHKを退職

東京都知事選への立候補を表明した磯村尚徳NHK特別主幹は8日、NHK(東京・渋谷)に辞表を提出、受理された。その後NHK放送センター内の記者クラブを訪れ、古巣を去るに当たっての心境などを語った。

この日の磯村さんは紺のスーツをすっきり着こなし「今朝の気分は非常にすっきりしていました」と余裕の表情。「島桂次(NHK)会長からはやる以上はしっかりやれ、君は外国は得意だが、国内のことはあまり知らないから、よく勉強して頑張って、と励まされました」と、島会長の言葉を紹介した。《共同通信》

【自民党】都知事候補選びで批判続出

自民党は8日の総務会で、統一地方選挙最大の焦点となっている東京都知事選の候補者調整問題について議論した。

都連最高顧問の鯨岡元環境庁長官が「鈴木知事のどこが悪いから降ろすという理由の説明がない。わざわさ他党の力を借りて対立候補を立てるのはどういうことか。何人かの都議を誘惑して切り崩しをやっているが、自民党をだらしない政党にする行為だ」と激しく、小沢幹事長を批判した。

これに対し、小沢幹事長は「誘惑したというのは心外だ。こうなったことについては深く責任を痛感している」と陳謝した。しかし小沢氏は前NHK特別主幹の磯村氏擁立については「どうしても意見がまとまらないときは、国政でも地方でも幹事長が客観的状況を判断してやるのがわが党の姿だ。最後まで円満にいくよう努力するが、生じた結果については私が一切の責めを負う」との決意を示した。

総務会では「国会対策という視点もあろうが、党本部が磯村氏を立てる理由がはっきりしない以上、はい、そうですかとはいかない」(藤尾正行氏)「自民党も民社党も都連は鈴木氏だ。磯村氏で勝てるのか」(原田憲氏)などの執行部批判のほか、「このままでは全国の地方選挙に禍根を残す」(奥野誠亮氏)「都連の熱情は分かるが3期12年やった。バトンを譲って有終の美を飾ってはどうか」など分裂選挙回避を求める意見が出された。《共同通信》

自民党の小沢幹事長は8日夜、比例代表を含む東京都選出の国会議員を党本部に集め、党本部と都連の間で分裂状態となっている都知事選候補者問題について、党が推薦を決めた前NHK特別主幹磯村尚徳氏(61)に一本化するよう協力を要請したが、鈴木知事を支持する議員から異論が出され、物別れに終わった。

会合では、小沢氏が自公民3党での磯村氏擁立に至った経過を報告した上で「今日の事態を招いた責任は私にあるが、党として選対委で磯村氏に決めた。ぜひ、この体制で円満に一本化の努力をしていただきたい」と要請した。これに対して、鯨岡兵輔氏が鈴木氏支持の立場から「このような会合は、磯村氏の推薦を決める前に開くべきだ。決めてから円満に(一本化したい)というのはおかしい」と反論した。《共同通信》

【政界メモ】化学兵器で対抗するしか…

◯…東京都知事選で自民党本部の決定に反して鈴木現知事を支持している鯨岡元環境庁長官は8日、国会内の党総務会長室を訪ねた際、居合わせた記者団に「私と粕谷(都連会長)はイラクのフセインになっちゃった」とニヤリ。

磯村尚徳氏を擁立する自公民3党を引き合いに出しながら「これから多国籍軍の猛爆を受ける。こちらは化学兵器を使って対抗するしかない」と物騒な発言も。小沢幹事長ら党執行部は一本化を目指して鈴木支持派の説得工作に全力を挙げる方針だが、参謀総長的な存在の鯨岡氏は「持てる武器はみんな使ってやるしかない」と、最後まで意気軒高。

◯…この日の神田民社党国対委員長の記者会見でも都知事選が話題になった。同党がセットした6日の大内委員長と磯村氏の会談場所設営と、同じホテルで7日に自民党が準備した自公民三3党首会談、記者会見場が比較の対象となり、記者団が自民党側の臨時電話の設置などを挙げて「さすがに政権党は資金が潤沢だ」と持ち掛けると、磯村氏の会場入りの先導役を民社党職員が務めていただけに、神田氏は思わず「民社党は人的貢献です」と妙な釈明。

国連平和協力法案の論議以来、カネやモノだけでない人的貢献に積極的な姿勢を見せる民社党らしさで精いっぱい切り返していた。《共同通信》

【第二次海部改造内閣】資産公開

第二次海部改造内閣の首相と閣僚20人、政務次官24人の就任時(昨年十二月二十九日)の資産が8日付で公開された。

閣僚本人の資産は土地の課税標準額などに基づく「公開価格」では山林地主の坂本官房長官が約7億2000万円強で前回(昨年3月)と同様トップになった。しかし土地・建物や株などを時価に換算した「実勢価格」でみると、東京都文京区内に貸しマンションを所有する越智経企庁長官が約24億円と最も資産が多く、次いで東京都心の一等地や松山市の繁華街に広い。土地を持つ関谷郵政相が約17億円。海部首相を含め、7人が実勢で資産10億円ラインを突破した。

いずれも都心のマンションや宅地の値上がりに支えられたもので「パプル(泡)経済」の余波がここにも色濃く示された形だ。

今回は鳩山由紀夫北海道開発政務次官が「公開価格」だけで資産22億円を突破、実勢価格はこの数倍とみられ、内閣全体でずば抜けたリッチマンとなった。

妻や子供ら家族を含めた資産の実勢価格では越智、関谷両氏の1、2位は変わらなかったが、夫人が膨大な宅地や株式を所有する下条厚相が17億円、池田防衛庁長官が15億5000万円で3、4位にそれぞれ浮上。家族を含めても実勢資産が1億円に満たなかった閣僚は前回3人いたが、今回は佐々木総務庁長官ただ1人だった。

閣僚の資産公開制度は昭和59年1月、第二次中曽根内閣が前年のロッキード判決総選挙で自民党に厳しい批判が出たことを受けて、国民の政治不信の払しょくを狙って開始。今回が10回目。公開の対象が同一家計の妻子や、政務次官にも拡大されて4回目となり、制度的には定着してきたが、公開資産と実態の差は広がるばかりだ。

在任中にも株の仕手戦に参加、巨額の脱税で起訴された稲村元環境庁長官も資産公開の“洗礼”は受けたが、抑止力にならなかった。

今回の資産公開では、本人、家族とも株式を所有していないのは海部首相、吹田自相、佐々木総務庁長官の3人だけ、小里労相も本人は株を持っていない。

逆に家族を含めて、株だけで時価1億円を超えているのは池田防衛庁長官を筆頭に5人もおり、株が政治一家の財テクの有力な手段となっていることを改めて裏付けた。

特に注目されるのは内閣の紅一点、山東科技庁長官(実勢総資産13億円で6位)。メリルリンチ証券など7社の外国株に投資したり、20万ドル(約2600万円)の外国債に投資するなど、多様な財産形成ぶりを浮き彫りにした。外国株への投資が閣僚資産公開で登場したのは初めて。《共同通信》

【ロシア・エリツィン議長】北方領土返還に反対

タス通信によると、ソ連急進派のリーダーであるエリツィン・ロシア共和国最高会議議長は8日、視察先の同共和国カリーニングラード州で、北方領土の返還に反対であるとの立場を明言し、ゴルバチョフ大統領の4月の訪日を前に、北方領土返還反対派の中心的存在になる可能性が出てきた。

ソ連最大の共和国であり、北方領土を管轄する同共和国の同意なしに外国との国境変更は認めないとするロシアの最高指導者の発言だけに、今後の北方領土問題の行方に大きな影響を与えることは、必至である。

エリツィン議長は、第二次大戦後、ドイツからソ連に編入され、リトアニア共和国を挟んで飛び地としてロシアの一部になっている同州がドイツに売却されるのではないかとの地元工場労働者の質問に答える形で「ロシアは遠い将来も含め、だれともそういう取引をする気はない。われわれはクリール(北方領土四島のこと)も返還しない」と発言した。

エリツィン議長は昨年夏にも、四島返還に反対の考えを示しているが、最近では1月に訪ソした土屋参院議長に対し、訪日の際に大統領が領土問題の存在を公式に認めた後は、ロシア側が直接、日本側と協議し、決着を図るとの「五段階解決論」を主張するなど、妥協に前向きな姿勢も示していた。

エリツィン議長の今回の発言は、北方領土問題に絡めて大統領へのけん制の狙いもあるとみられる。《共同通信》



2月8日のできごと