平成747日目

平成3年1月24日(木)

1991/01/24

【湾岸戦争】ペルシャ湾へ戦火拡大

イラク各地の爆撃を続ける多国籍軍は24日午前(日本時間同日午後)、ペルシャ湾に臨むイラク南東部の重要港湾都市ファオとシャトルアラブ川河口の軍事拠点バスラに猛爆撃を加えた。国営イラン通信が、イラク国境のホラムシャハルから伝えたところによると、多国籍軍機は二波に分かれて少なくとも28機が来襲、爆発と対空砲火の轟音はイラン領に届いたという。

さらに、英BBC放送によると、イラク軍機2機が同日、ペルシャ湾のイラク沖に展開する多国籍艦隊に接近を試みたが、上空で警戒に当たっていた多国籍軍機に撃墜された。

イラク軍機は、フランス製のエグゾセ空対艦ミサイル搭載のミラージュF1戦闘機とみられるが、エグゾセの射程内に入る前に撃ち落とされたという。

イラクの海岸地帯には、バスラなど、クウェート駐留軍への前線支援基地が密集しており、多国籍軍は地上戦闘の可能性もにらみ、海空からの圧力を強めている、とみられる。

イラク軍当局は24日、米軍機が22日、イラクのタンカー2隻を爆撃、ペルシャ湾に大量の石油が流出したと非難した。これに対し米軍側は、別のタンカー1隻を攻撃した事実を認めた上で、イラクはタンカーに対空砲を積み、高速哨戒艇支援に使っていると応酬した。

サウジ軍当局は、同軍所属のF15戦闘機2機が24日、海岸線に沿って低空飛行中、イラクのミラージュF1戦闘機2機を発見し撃墜したと発表した。イラク機の機種、飛行状況からみて、このサウジ機が撃墜したのが、BBCが伝えるエグゾセ搭載イラク機である可能性もある。《共同通信》

対イラク「砂漠のあらし」作戦を展開している米中東軍スポークスマンは24日、多国籍軍がクウェート沖の小島、クルア島で23日から24日にかけて占領中のイラク軍守備隊と交戦、3人を殺害し、51人を捕虜にして降伏させた、と発表した。

多国籍軍のクルア島攻撃は地上戦闘開始を控え、クウェート上陸作戦の準備に入ったことを示すものとみられる。クウェート領が多国籍軍側に奪回されたのは8月2日のイラク軍侵攻以来初めて。

クルア島はクウェート本土から約40キロの海上にあり、英BBC放送によると、イラクの海上作戦基地として使用されていた。

多国籍軍は23日からヘリコプター、A6攻撃機で同島付近にいたイラク軍掃海艇3隻をまず沈没させ、乗員22人を捕虜にした。続いて同島を占領してイラク軍兵士3人を殺害、29人を捕まえた。多国籍軍側には負傷者はなかった。

イラク軍は24日昼(日本時間同日夕)、多国籍艦艇攻撃のためフランス製のエグゾセ空対艦ミサイル搭載のミラージュF1戦闘機など3機を発進させた。3機はいったん低空で海沿いにサウジアラビア領に入ったが、サウジ空軍のF15戦闘機のミサイル攻撃を受け、2機が撃墜され、残りの1機もエグゾセを捨てて逃走した。

また、サウジ海軍の警備艇は同日未明(同午前)、クウェート沿岸で機雷敷設中のイラク艇1隻を発見、艦対艦ミサイルで撃沈した。イラク空軍機がサウジ領空を侵犯したのは湾岸戦争開戦以来初めて。

他方、数日悪天候に悩まされた多国籍軍機は24日、ペルシャ湾に近いバスラなどクウェート駐留軍への前線補給基地に猛爆を加えるなど、海側からイラクへの圧力を強めている。《共同通信》



【海部俊樹首相】「湾岸戦争はイラクの暴挙」

海部俊樹
https://www.kantei.go.jp/

自民党は24日午前10時すぎから東京・日比谷公会堂で第53回党大会を開いた。海部首相はあいさつの中で湾岸戦争に触れ、「イラクの暴挙」と激しく非難するとともに、平和回復活動のため「あらゆる可能性を追求して具体的協力をしていく」と述べ、年民輸送のための自衛隊機派遣、資金協力などを念頭に積極的協力を表明した。《共同通信》

【政府】多国籍軍へ90億ドル追加支援

政府、自民党は24日午前9時から首相官邸で、海部首相、小沢幹事長らによる首脳会議を開き、湾岸戦争への貢献策を詰めた結果、①多国籍軍への追加資金協力として90億ドル(約1兆2000億円)を早期に拠出する②難民輸送のための自衛隊機派遣には、自衛隊法100条の5(国賓等の輸送)を適用し、政令を改正する③政府チャーターの日本の民間機を週明けからカイロに派遣、ベトナム人難民を本国に移送することを了承した。

政府はこれを受けて、同日夕の湾岸危機対策本部会合で新貢献策を正式決定する運び。自衛隊機派遣については、同日夜の安全保障会議を経て、25日の閣議で関係政令(自衛隊法施行令126条の16)を改正、輸送対象に「被災民」を加えるようにする。

23日夜の首脳会議で決定持ち越しの一因となった戦争周辺国への財政支援10億ドルの供与については①ヨルダンなど関係諸国の動向が変化している②決定済みの資金計20億ドルが未消化であるーことなどを理由に橋本蔵相が反対し、今回は決定が見送られた。

最大の焦点だった追加支援の財源問題については、首相が「党で詰めてほしい」と要請し、了承された。今後、自民党と大蔵省の間で①本年度内に緊急拠出できるよう赤字国債特例法により、2−3年の短期償還の特例国債を発行②石油関連税、法人税の増税などを軸に国債に見合う財源を確保する―との手順で、具体的な税目などの調整を急ぐ。政府は2月中に本年度予算第二次補正予算案として、関連法案とともに国会に提出、早期成立を図る方針。

追加拠出の90億ドルは戦争期間を1−3月まで一日の戦費5億ドルとして計450億ドルの戦費のうち、日本の中東石油依存率などからはじき出した一種の「つかみ金」で、米側が納得する金額とされているものの戦争が地上戦に入り、長引けば米側からさらに追加要請が出てくるのは必至だ。

難民輸送のための自衛隊機派遣については、当初政府が検討していた自衛隊法100条(訓練のための受託)を適用し「訓練」とみなすとの法解釈では、今後さらに拡大解釈される恐れがあることから、同法100条の5(国賓等の輸送)の輸送対象に政令改正で「被災民」(難民)を付け加える方向で詰めることになった。《共同通信》

【国際アムネスティ】日本に死刑廃止を要請

国際的な人権擁護団体「国際アムネスティ」(本部ロンドン)は24日、日本の人権擁護状況に関する報告書を発表し、日本政府にすべての死刑判決の軽減と死刑執行停止を要請するとともに、人権侵害につながる警察の留置場における被疑者取り調べの実態調査などを求めた。

日本国内の死刑囚は現在80人を超すが、報告書は「最も基本的な人権である生命権を侵害する死刑適用の実態が、日本国内では知られていない」と指摘、「これらの事実が広く知られれば、死刑廃止支持の世論が高まる」と当局に改善を求めた。《共同通信》

【政界メモ】「自衛隊機」は逃げの一手

○…海部首相は24日朝、多国籍軍への追加支援について記者団の質問に答え「決まりました。90億ドルです」と、一日遅れでやっと決定したことにほっとした様子。「周辺国への追加支援は」と水を向けられても「よく調べてごらん。今回出した20億ドルがまだ消化されてないんだから」と珍しく腕組みをしながら、自信をみなノぎらせた。

ところが、自衛隊機派遣と法律の絡みについては「内閣法制局長官がぴしっとやるから。細かいことまで聞かんでくれ」と取りつく島もなし。自衛隊機の海外派遣にはもともと積極的ではなかっただけに、この問題だけは逃げの一手?

○…この日は民社党の31回目の結党記念日。党本部で職員を前にあいさつした大内委員長は、結党直後に社会党ブームに押され(衆院)14人の少数政党に転落したことに触れ「今の民社も14人。原点に返ったともいえる」と発言。さらに西尾末広初代委員長が好んだ「百折不撓」という言葉を引用、奮起を促した。

あいさつ終了後、大内氏は記者団に対し、百折不撓に「七転八起」という意味があることを説明したが、その横で伊藤総務局長が「七転八倒じゃないよ」と茶々。これには「七転八倒の方が党の現状をよく言い当てているのでは」との声も。《共同通信》

【大相撲初場所12日目】北勝海、霧島ばく進

大相撲初場所12日目(24日・両国国技館)横綱北勝海と大関霧島が1敗を守って首位を並走、横綱旭富士が2敗で追う展開は変わらない。北勝海は関脇琴錦の突進をタイミングよくはたき込み、琴錦は8連勝のあと4連敗。霧島は平幕花ノ国にもろ差しを許したが、慌てず左四つからの寄りで下した。

旭富士は突き、押しに徹して逆鉾に快勝、大乃国も起利錦を右四つから危なげなく寄り切って9勝目をマークした。再小結安芸ノ島と注目の大翔山、新入幕大輝煌がそれぞれ負け越した。《共同通信》

【ソ連】高額紙幣無効でパニック

大統領令で50ルーブル、100ルーブル(約2万4000円)の高額紙幣が無効になったソ連では、大統領令発効から二日目の24日、国民の間の混乱はますます拡大し、パニック状態が続いている。

新聞報道では、ショック死したり、失神する年金生活者の老人も出ており、救急車の出動回数が激増した。とらの子の“タンス預金”が一夜でただの紙切れになったショックで、モスクワ中でまともに働いている職場はほとんどない。

発表では、小額紙幣への交換が認められている高額紙幣は労働者一人当たり1000ルーブル(約24万円)に制限されている。しかも、発効のわずか3時間前の深夜に大統領令が発表されただけに、会社にも貯蓄銀行にも交換用の小額紙幣の準備がないため、交換を求める市民の行列は長くなる一方だ。

公務員や会社員は、所属機関で交換することになっているが、約7000人の職員を抱える外務省外国人世話局(UPDK)では、大きな段ボール箱に、職員が持ってきた札束をほうり込み、リストに金額を書き込むだけで受領証も出してくれない。この日だけで100万ルーブル(約2億4000万円)以上の高額紙幣が持ち込まれたという。

パニックに驚いたロシア共和国政府は24日、年金生活者の交換上限200ルーブル(約4万8000円)を500ルーブルに引き上げ、交換期間を2月1日まで延長したが、細々とため込んだ庶民の夢が泡と消えるだけに、この騒動容易には収まりそうもない。《共同通信》



1月24日のできごと