平成901日目

平成3年6月27日(木)

1991/06/27

【自民党本部放火事件】中核派活動家に無罪

昭和59年9月の中核派による自民党本部(東京・永田町)放火事件で、現住建造物等放火、道路運送車両法違反の罪に問われ懲役11年を求刑された同派活動家、A被告(46)に対する判決公判が、27日午前10時15分から、東京地裁刑事七部で開かれた。 高橋省吾裁判長は「被告が中核派革命軍に所属し、反抗に使われた時限式火炎放射装置と同型の部品を購入した事実は認められるが、警察官の目撃証言などその他の事実はいずれも証明不十分で、共謀共同正犯、ほう助犯いずれの成立も認められない」として、A被告に無罪を言い渡した。 裁判では、A被告が捜査段階で完全黙秘を通し、同被告と犯行を結び付ける直接的な物証もないことから、①事件直前に、同被告が逃走用のワゴン車に乗っていたのを見た、とする警察官証言②反抗に使われた時限式火炎放射装置の部品を同被告が買いに来たとする電器店の②人の女子店員の目撃証言— の信用性が最大の装填になっていた。 判決はまず、「自民党本部放火事件が中核派革命軍の構成員により敢行されたことは間違いない」と断定。警察官の目撃証言について、当時の現場の明るさ、距離などの諸条件や供述との時間的隔たりなどを検討、車に乗っていた男とA被告が同一人物であるとした検察側の主張を退けた。 続いて、電器店の女子店員2人のうち1人の目撃証言については「客の十分な容貌特徴を述べていないうえ、写真照合などでも、被告との同一性を確認していない」ことから、「被告であることは認定できない」とした。もう1人の目撃証言については供述の合理性や現実性、写真照合の経過などから「信用できる」と認定した。

しかし、判決は、A被告がこの女子店員から購入した時限式火炎放射装置の部品になる電磁弁について、「購入先が不明なものが多数残されており、この販売先が証明されていない」として、A被告の買った電磁弁が犯行に使われたとする検察側の主張を不十分と判断した。 一方、同被告の犯行当日のアリバイ主張に関しては、「虚威とは断定できないが、完全に証明されたものとは言い難い」とした。 そのうえで、判決は、放人事件が中核派革命軍のいかなる組織、構成員が実行したのか、被告が関与した立証がない、と指摘した。

自民党本部放火事件

昭和59年9月19日午後7時半すぎ、東京都千代田区永田町の自民党本部北側の中華料理店駐車場に止めてあったトラック内の時限式火炎放射装置が作動し、本部の三階から七階までの523平方メートルがやけ、総額10億円を上回る損害が出た。中核派がその後、犯行声明を出していた。《読売新聞》

【静岡市】「38.3度」

日本列島は27日も関東以西の地方が太平洋高気圧に覆われ、3日連続で真夏並みの猛暑になった。最高気温は静岡で例年より12度高い38.3度を記録、6月としては観測史上全国で最高となった。各地の最高気温も軒並み35度を超えた。《共同通信》

【海部俊樹首相】中国・銭其琛外相と会談

海部首相は27日年前、首相官邸で来日中の銭其琛・中国外相と約30分間会談した。首相は、人権問題や兵器拡散問題で悪化している米中関係について、「日本としても関係の安定を望んでおり、中国の歩み寄りの努力を期待する」と述べ、関係改善に向けた中国側の積極対応を求めた。 これに対し銭外相は、中国の対米貿易黒字、中東軍備管理問題に関する米中間の協議を通じて、改善を図って行きたいとの考えを示した。

また、銭外相は、7月15日からロンドンで開かれる先進国首脳会議(サミット)で「日中両国の良好な関係がアジア・太平洋の平和と安定に重要」との考えを参加国に訴えるよう要請。首相も、「アジアの問題を十分説明する」と約束した。

銭其琛・中国外相は27日午前、竹下元首相と都内の竹下事務所で約40分間、会談した。 銭外相は、米国政府が中国への最恵国待遇(MFN)を無条件で一年延長する方針を決定した際、米中両国の間に立った竹下氏の尽力が大きかったとして謝意を表明。さらに「MFN延長では米議会に問題が残っているので、引き続き協力をお願いしたい」と述べるとともに、来月行われる先進国首脳会議(ロンドン・サミット)で、日本が中国の立場に十分、配慮して行動するよう協力を要請した。

これに対し竹下氏は、「サミット前に海部首相の8月訪中が決まっていること自体、(中国を支援する)日本の姿勢を示している」と述べ、今後も協力していくことを約束した。《読売新聞》

【自民党・羽田孜氏】改革で将来政界再編も

自民党の羽田孜・選挙制度調査会長は27日夜のNHKの政治討論番組で、衆院への小選挙区比例代表並立制導入について、「一つのエンジンとなって、各党が自民党を倒すために一緒にやろうという声が上がり、将来、結果として政界再編が起きるのではないかと思っている」と述べ、選挙制度改革が将来の政界再編につながるとの見方を明らかにした。

また羽田氏は、「野党は自民党が法案を作らないと国会が開けないとか、小選挙区比例代表並立制を強引にやるなら国会に参加できないとか言うが、参院は与野党が逆転しており、野党を説得できないと法案は通せない」と指摘。「国会の場で一日も早く議論して欲しい」と、政治改革のための臨時国会の早期召集に応じるよう訴えた。《読売新聞》

【ベトナム】一党独裁は維持

ベトナム共産党第七回党大会は27日、新書記長にド・ムオイ首相を正式に選び、これまで続けてきた経済改革のさらに強力な推進など今後五年間の党方針を提案通り採択して四日間の大会を終了した。この結果、ベトナム党の改革路線はこれまで以上に確固たるものになり、経済面ばかりでなく政治面でも一党独裁を維持しながら様々な改革が着手される見通しとなった。

人事面では、グエン・バン・リン書記長の引退で、同書記長の改革路線を忠実に引き継ぐとみられるド・ムオイ首相(政治局員)が後任に選ばれたほか、新政治局員13人のうち8人が新人という顔ぶれになった。これによって指導部の中心が60-70代から50-60代に若返り、実務家中心の布陣になった。新人事は、経済を中心とした改革が後戻り不能地点まで達したことを示している。

その意味で保守派の中心とみられていたマイ・チ・ト政治局員(内相)の退任が注目される。その一方、改革の旗頭の一人と目されていたグエン・コ・タク政治局員(外相)も退任したが、現路線には影響ないとみられている。

また書記局員は従来の14人から9人に削減、うち6
人が新人になり、中央委員は173人から146人に減った。これは党のより効率的運用を目指すためとされている。

今党大会の最大の議題は、市場経済システムを導入した経済改革に、どれだけ勢いをつけられるかだった。人事面で経済改革を支持する実務家が主導権を握り、リン前書記長が大会初日に提出した改革案が今後の政策の土台になったことで、ベトナムが既に開始している経済体制の変ぼうにさらに勢いがつくのは間違いない。《読売新聞》

【雲仙・普賢岳】中規模火砕流相次ぐ

長崎県雲仙・普賢岳は27日午後3時以降、100秒以上も持続する火砕流とみられる震動波形を連続して観測した。活動は今月19日以来の活発さで、火山性微動や地震も多発傾向が続き、気象庁雲仙岳測候所は同日夕、臨時火山情報を出して警戒を呼びかけた。

測候所の観測によると、震動波形は午後3時台に5観測し、うち3回は100秒を超えるなど、いずれも中規模。同17分からの火砕流は、一部が火口南にあたる同県深江町側の赤松谷川上流に流れ込んだ。午後6時24分には、火砕流が火口から4キロの島原市北上木場町付近まで達した。

一方、朝から断続的に発生した火砕流で島原市内では火山灰が終日降り続き、民家の屋根や駐車中の乗用車などはみるみるうちに灰まみれになった。

同日午後、上空から観察した中田節也・九州大理学部助手によると、26日午後から一日間の火砕流で約40万-50万立方メートルの溶岩ドームが崩落したとみられる。水無川流域のたい積物層がさらに分厚くなったことで、火砕流がより赤松谷川に流れやすくなっているという。

気象庁雲仙岳測候所によると、28日午前0時までに火山性地震12回(うち有感地震3回)、火山性微動107回、火砕流を示すとみられる動波形26回を観測した。《読売新聞》

【ユーゴスラビア】内戦突入の危機

連邦軍との衝突が続くユーゴスラビア・スロベニア共和国の郷土防衛隊は27日午後7時半(日本時間28午前2時半)、同共和国の首都リュブリャナ上空を飛行中の連邦軍所属ヘリコプターを地対空ミサイルで撃墜、パイロット2人が死亡した。ヤンシャ同共和国国防相は同10時、スロベニア・テレビを通して「戦争状態に入った」と宣言するとともに、「連邦軍所属のヘリ6機を撃墜、戦車15両を破壊した」と発表、20か所で100人以上が死傷した模様だと語った。これまでに7人の死亡が確認されている。これはスロベニアが連邦軍の出動に正面から力で挑む姿勢を見せたもので、20日に独立宣言を行った同共和国は全面的な内戦突入の危機に陥った。

ヤンシャ国防相は、スロベニア領土の90%が共和国の支配下にあると強調、共和国住民は冷静を保つよう訴える一方、連邦軍の軍用車両30台がクロアチア共和国西部のカルロバッツから、またクロアチア共和国の首都ザグレブから国境のプレガナにも連邦軍が接近していると警告した。

ヘリが墜落したのはリュブリャナ市北部の高級住宅地のアリリシャ地区。目撃者によると、低空で飛行中の仏製ヘリを郷土防衛隊が地対空ミサイルで撃墜した。同共和国情報相によると、ヘリは戦闘態勢をとったとされるが、現場一帯には、パンなど食料が遺体とともに散乱。ヘリが食料を運搬中だったことをうかがわせる。

スロベニア内に展開する。一連邦軍は食料の確保に困難をきたしていると伝えられている。

郷土防衛隊は共和国内の各地で道路封鎖により立ち往生した連邦軍部隊に対空ミサイル、対戦車ロケット弾の使用を開始した。一方、連邦軍はイタリア、オーストリア国境の計四か所の国境検問所に軍用ヘリで連邦軍、同警察部隊を派遣した。連邦軍が国境を固めた背景には、独立を宣言したスロベニアに対して、力で対外的に国境の管理を連邦が行っていることを示すのが狙いとみられる。

リュブリャナ市内はこの攻撃で一気に緊張が高まり、市内中心部の諸官庁には小銃を手にした警察官が警戒にあたり始めたほか、共和国議そばにも、大型車両によるバリケードが作られるなど、連邦軍の「首都進攻」への本格的備えが始まった。

一方、ユーゴスラビアのマルコビッチ首相は同日、ユーゴが極めて危機的な情勢と分析、大量殺りくの可能性を警告し、スロベニア、クロアチア両共和国に対して独立宣言の三か月間棚上げを求めた。これに対し、スロベニア共和国のペトルレ首相は「応ずるつもりはない」と拒否した。これを受けて、連邦政府は27日午後10時(日本時間28日午前5時)、今後の対応についての再検討に入った。連邦政府主導の話し合い解決の呼びかけは現時点で功を奏していない。《読売新聞》



6月27日のできごと