平成746日目

平成3年1月23日(水)

1991/01/23

【湾岸戦争】開戦から1週間

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湾岸戦争は開戦から1週間がたち、イラク軍が有効な反撃に出ないまでも頑強な抵抗を続けていることから、多国籍軍の一部に当初あった「短期決戦」という楽観的な予想が消え、長期化する様相を見せている。

これに伴って米軍をはじめとする多国籍軍は第一段階の空爆期間をさらに延長し、徹底的に空からの攻撃でイラク側を消耗させる作戦を続行する方針を固めた。《共同通信》

イスラエル軍当局の発表によると23日夜(日本時間24日未明)、イスラエル北部にイラクのスカッド・ミサイル一発が発射されたが、地対空ミサイル・パトリオットで撃墜され、負傷者はなかった。

イラクによるイスラエルを標的にしたミサイル攻撃はこれが四回目だが、湾岸戦争に巻き込まれることを警戒するシャミル・イスラエル首相は、報復自制の方針を維持するとみられる。

攻撃があったのは23日午後10時5分(同24日午前5時5分)ごろで、イスラエル放送が目撃者談として伝えたところでは、パトリオット2発が発射され、直後に上空で大きな爆発が起きた。

シャミル首相は同日、99人の死傷者を出したイラクによる前夜の三回目のミサイル攻撃への対応策を協議するため、主要閣僚と軍幹部を集めて、長時間の緊急会議を開いた。

アレンス国防相は会議の後、米CNNテレビとのインタビューで「今後死傷者が一人も出なくても」反撃はすると強調した。だが「米国側の要請も考慮しなければならない」と述べており、会議ではこれまで通りに当面、報復を自制する方針が確認されたもようだ。

シャミル首相は同日朝、ブッシュ米大統領から電話を受け、三回目の攻撃による被害状況などを説明。大統領はイラクの再三の攻撃への怒りと、イスラエルの報復自制への評価を伝えたという。

一方、イスラエル放送が軍当局者の話として伝えたところでは、三回目のミサイル攻撃の際、2発のパトリオットが迎撃のために発射され、うち一発がスカッドの後部を破壊したが、弾頭を破裂させることができず、住宅密集地への直撃を招いたという。《共同通信》

イラク軍最高司令部は23日、イラク国営放送を通じて、同日、多国籍軍機8機を撃墜し、捕虜にした数人のパイロットを多国籍軍の爆撃目標とみられる「最重要目標」に配置したことを明らかにした。

また多国籍軍が22日夜から23日にかけてバグダッド、バスラ、アマラ、キルクーク、ティクリットなどの諸都市および前線の部隊を空爆、イラク軍将兵8人が死亡、12人が負傷したと述べた。また両日の民間人の被害は死亡69人、負傷70人に上ったと明らかにした。これだけ多数の民間人死傷者が出たことを公表したのは初めて。《共同通信》

ブッシュ米大統領は23日、ワシントンのホテルで開かれた米予備役将校会の年次夕食会で演説し、開戦一週間を経た「砂漠のあらし」作戦について「これは米国民が何よりも大事に守ろうとしてきた自由と平和の原則の戦いだ」と述べ、イラクをクウェートから完全撤退させるために断固戦い抜く決意を表明した。

大統領は「作戦は順調で、喜んでいる」と述べるとともに、特に「核開発施設への重点攻撃によって、サダム(フセイン・イラク大統領)が野望としていた核兵器を所有するまでにはさらに長い期間かかるようになった」との戦果を強調した。

大統領はさらに、米軍を主体とする多国籍軍による攻撃がイラクの防空能力を弱め、特に早期警戒レーダー施設や重要な航空基地破壊で成功を収めていると指摘した。

大統領はイラク軍が米兵などの捕虜を宣伝の道具にしていることを「サダムの野蛮さを改めて証明するものだ」と非難、フセイン大統領が戦争犯罪人として裁かれるようになっても「世界中のだれ一人として同情すべきではない」と決めつけた。

また、「この作戦は第二のベトナムにはならない。米将兵は感謝と尊敬の念をもって米国民に迎えられるだろう」と将兵を鼓舞し、戦闘を長期化させないとの決意を改めて訴えた。《共同通信》



【中山太郎外相】ソ連・ゴルバチョフ大統領と会談

中山外相は23日正午(日本時間同日午後6時)、モスクワのクレムリンにゴルバチョフ大統領を表敬訪問し、1時間50分会談した。ゴルバチョフ大統領は自らの訪日時期について「4月16日から19日までとしたい」と表明した。

中山外相が北方領土問題での政治決断を促す海部首相の伝言を伝えたのに対し、大統領は「今すぐ解決できる性格の問題ではない」と述べ、日本側の過剰な期待をけん制した。また①バルト問題の政治的解決に努力する②湾岸戦争の対応は米国と引き続き協調していくーとの姿勢を明らかにした。

これによりソ連最高首脳の初来日の具体的日程が確定した。しかし、北方領土問題で大統領は「第二次大戦の結果」としてできた現実も強調、来日時での政治決着を目指す日本側にクギを刺しており、難しい対応を迫られそうだ。

中山外相とベススメルトヌイフ外相は一連の会談を受けて、湾岸戦争に関する共同声明で日ソ協調を確認、大統領来日成功を目指した共同新聞発表を出す。

大統領との会談で中山外相は大統領来日を歓迎する意向を表明。その上で①北方領土については1956年の日ソ共同宣言で歯舞諸島、色丹島の日本への返還が決まっている②従ってこの問題は国後、択捉両島に帰着する―と歴史的、法的側面から日本の四島一括返還要求の正当性を主張、「大統領来日の際、ぜひ英断を期待したい」と述べた。

これに対し大統領は「この問題は第二次世界大戦の結果として出てきた問題であるという側面がある」と指摘、「この問題はどこからみても複雑であり、現実的に見ていく必要がある。今すぐに解決できる性格の問題ではない」と述べた。

さらに、大統領は「中山外相の説明を聞くと、私の訪日に前提条件が付されているようにも聞こえる」と反発を示した。中山外相は「歴史的な大統領来日を日ソ関係の飛躍的発展の突破口にするという観点から言っている。来日に前提条件を付ける考えはない」と、重ねて政治決断を求めた。《共同通信》

【自民党】全国幹事長会議

自民党は23日午後、党本部で海部首相も出席して全国幹事長会議を開き、党大会(24日)に向けた平成三年党運動方針案をめぐって意見を交わした。

あいさつに立った西岡総務会長と加藤政調会長は、自衛隊機派遣など日本の中東貢献策の早期実施に向け、地方党組織の理解を訴えた。さらに湾岸戦争に関連して「短期的に批判を受けることであっても、あえて決断しなければならない場面もある」と強調し自衛隊機派遣に理解を求めた。

一方、加藤氏は「日本が他の自由主義国家と団結し、多国籍軍を支援するという強い意思が戦争を早く終わらせることになる。訳の分からない平和論にだまされてはならない」「イラクも悪いが米国も悪いという考え方がまん延することを恐れる」と指摘。

出席者との質疑応答では、四月の統一地方選を念頭に、コメ自由化問題、消費税見直し問題など内政問題に対する党の姿勢に質問が集中。湾岸戦争が地方選に与える影響に一部から心配の声が上がったほかは自衛隊機派遣の是非をめぐる発言はなかった。《共同通信》

【海部俊樹首相】多国籍軍支持に理解を

海部首相海部首相は23日午後、自民党本部で開かれた全国幹事長会議と全国青年部・青年局・婦人部合同大会でそれぞれあいさつし湾岸戦争について「(多国籍軍の)武力行使は国際世論から平和の破壊者と名指しされた者へやむを得ずとった最後の手段であり、確固たる支持を表明した」と述べ、改めて多国籍軍の武力行使を支持する日本の立場への理解を求めた。

日本の湾岸支援策に関し、首相は「多国籍軍が血を流しても回復しようとしている平和への努力の中で、日本が孤立してはならない」と“一国平和主義”を批判したうえで「なし得る限りの協力で、世界の平和と安定に、知恵と汗を流す」と表明した。《共同通信》

【政界メモ】大事の前、名前に神経使う

○…海部首相は23日午後、自民党全国幹事長会議で官邸を出発する際、突然記者団に「ソ連外相の名前を知っとるか」と質問。「べススメルトヌイフです」と、記者団が答えると、首相は「ベスス…。べススメルトヌイフだよね」と、同会議でのあいさつの草稿を見ながら何度も繰り返し、正確に覚えるのに必死の様子。

本番では失敗もなくすらすらと名前を挙げた首相は、官邸に戻ると「うまくいったよ。名前だけはきちんと言わないとね。べ外相だけではいけないからね」とご満悦。ゴルバチョフ大統領来日を控え、北方領土問題の節目の年を迎えただけに、ソ連要人の名前には神経を使っているよう。

○…連合の山岸会長はこの日午後、難航する都知事選候補擁立問題で野党各党を一巡。ところが民社党の大内委員長を訪ねた山岸氏から真っ先に飛び出したのは「参院の選挙区にはどれぐらい立てますか」との意外な発言。これには大内氏も一瞬言葉に詰まり「そこまではまだ…」と絶句。

そばから参院の田渕副委員長が「連合参議院とも相談しながら」と助け舟を出したが、山岸氏は「あそこは一匹オオカミ集団で大変だ。うまくやれば(民社党は)取れるところもありますよ」と当惑気味の大内氏をしり目に大物ぶりを発揮。《共同通信》

【日教組・大場昭寿委員長】改めて不戦の決意を

日教組の教育研究全国集会(教研集会)は23日午前、東京・千駄ケ谷の東京体育館での全体集会を皮切りに四日間の日程で開幕した。日教組が、全日本教職員組合協議会(全教)と分裂後に開く二回目の集会。昭和26年第一回大会以来、四十周年を迎えた今大会には、再建教組を含め47都道府県教組代表がすべてそろって参加した。

全体集会には3000人が出席。あいさつで大場昭寿委員長はまず、四十周年という大きな節目の集会が「潜岸戦争という最悪の事態の中で開かれた」と指摘。「湾岸戦争による平和の危機を前に、日本政府の対応を厳しく警戒し、改めて“教え子を再び戦場に送るな”の不戦の決意に立ち、憲法の平和理念を日常の教育実践に生かさなければならない」と訴えた。

またアジア近隣諸国から日本の戦争責任が問われている事実を受け止め、一時中断していた「日中教科書問題研究交流」を再開するほか、アジア・太平洋地域の教員による「地球・平和・人種」フォーラムを日本で本年度開催する方針を明らかにした。

さらに昨年起きた兵庫県立神戸高塚高校の校門圧死事件も取り上げ「教育から管理と統制の思想を除去し教育に人間性を取り戻さなければならない」と締めくくった。《共同通信》

【大相撲初場所11日目】北勝海、霧島が1敗堅持

大相撲初場所11日目(23日・両国国技館)横綱北勝海と大関霧島が1敗を堅持した。北勝海はくせ者の逆鉾を度重に攻め、右から突き落とす危なげない勝利。霧島は元気な関脇琴錦の突き、押しをよくこらえてはたき込んだ。琴錦は8連勝のあと3連敗。旭富士は陣岳をもろ差しから簡単に寄り切ってただ一人2敗を守った。大乃国は三杉里を寄り倒して勝ち越しを決めた。

栃乃和歌—曙は栃乃和歌が豪快な左上手投げで6勝目を挙げ、曙は5勝6敗。若花田は5連敗で7敗となった。十両は小城ノ花、両国、大翔鳳の三人が2敗で並んでいる。《共同通信》



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