平成744日目

平成3年1月21日(月)

1991/01/21

【湾岸戦争】5日目

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湾岸戦争は21日、米軍を主軸とする多国籍軍による激しいイラク爆撃が続く中で5日目に入った。イラクは現地時間の20日夜から21日未明にかけ、サウジアラビアに向けてスカッド・ミサイル10発を発射、反撃を試みたが、大半が米軍の迎撃ミサイル「パトリオット」に撃墜された。《共同通信》

カイロで聞いたイラク国営放送によると、イラク軍スポークスマンは21日、イラク空爆中に撃墜されて捕虜になった多国籍軍機の操縦士らを「科学・経済地域」などに分散配置する方針を決定、20日夜から実施した、と発表した。多国籍軍の空爆をかわすため、捕虜を“人間の盾”とする作戦に出たもので、軍事拠点に配置される可能性が大きいとみられる。

同スポークスマンは、捕虜の数を20人以上としている。米国など多国籍軍側が、捕虜の虐待を禁じた国際法に違反する“戦争犯罪”として激しく反発するのは必至だ。

軍の発表は多国籍軍の攻撃を「すべての意味で正義にもとる」とした上で、攻撃は一般市民、市内の科学・経済目標にまで及んでおり「最低限の人道的基準にも欠けている」と激しく非一難し、これに対する対策の「ひとつ」として捕虜の分散配置を決めた、としている。

イラク国営放送は20日、撃墜されて捕虜になった米、英軍飛行士とのインタビューの模様を伝え始めた。捕虜たちは感情を抑えた声で、イラク攻撃は間違っていた、などと語った。このほか、イラク側が捕虜に目隠しをして、バグダッド市内を引き回したとの情報があり、米側はこうしたイラク側の捕虜の扱いが、戦争捕虜の虐待を禁じたジュネーブ条約に違反すると、ワシントン駐在のイラク臨時代理大使を通じて正式抗議していた。

イラク軍はこれまで多国籍軍機約160機を撃墜した、と発表、そのパイロットらを捕虜にするため、イラク国民には多額の賞金を出すと発表していた。《共同通信》



【村岡兼造運輸相】日航、全日空に救援機派遣の協力を要請

村岡運輸相は21日夕、日本航空の利光松男社長と全日空の近藤秋男社長を運輸省に招き、湾岸戦争の新たな貢献策として、被災民(難民)を本国に帰国させるため、政府チャーターによる救援機の派遣に協力するよう正式に要請した。

これに対して両社長は「人道上、安全運航が確保されれば、できるだけ協力する」として、政府のチャーターに応じる意向を表明した。《共同通信》

【ロシア・エリツィン議長】ゴルバチョフ政権を批判

エリツィン・ソ連ロシア共和国最高会議議長は、21日開幕した同共和国最高会議で演説し「合法的な共和国政権が転覆されようとしている」と述べ、ゴルバチョフ政権のリトアニア、ラトビアに対する武力介入を強く批判した。

議長はまた「ロシアの主権を守るためには、ロシア共和国もソ連軍の統制に参加すべきだ」と述べた。しかし独自の共和国軍創設については「正式提案ではないが、場合によっては考えられよう」と述べ「ソ連指導部が共和国に対し力を行使する場合」と限定した上で、共和国軍創設もあり得るとの考えを示した。

また、13日のリトアニア武力介入事件で、ヤゾフ国防相の責任を法的に問うよう共和国検察局に指示すべきであると主張した。さらに議長は「共和国安全保障会議の創設を2、3カ月中に決めたい」と述べ、「軍を持つかどうかは別として、独自の安保会議をつくる構想を打ち出した。

エリツィン議長は、ゴルバチョフ大統領が「共産党の機関を使って大統領制を維持している」とし、現在の大統領の権力構造が共産党を基盤にした保守的体制に変質したと指摘した。こうした情勢分析に立って議長は「ロシア共和国の権力を強化すべきだ」と述べた。《共同通信》

【社会党、公明党】自衛隊機派遣に反対

社会党の土井委員長と公明党の石田委員長が21日夜、都内で会談し、湾岸戦争ぼっ発に伴う日本の対応策などについて約2時間意見交換した。党首会談は社会党側の招待で石田委員長の再任を祝う形で行われた。両党党首会談は約1年ぶりで、双方の書記長、国対委員長、政審会長が同席した。

会談では、湾岸戦争に伴う日本の多国籍軍への追加支援について、公明党側が「ある程度やむを得ないが、無原則ではいけない」と歯止めの必要性を主張したのに対し、社会党側も、伝えられるような多額の追加支援には反対との立場を表明した。

また、政府が検討している自衛隊機の中東への派遣については両党とも反対、医療・難民救済面で貢献するとの姿勢で一致した。

政治改革問題について公明党側は「個人が政治献金(を受ける)というのはまずい。政党レベルでガラス張りの仕組みをつくることが必要だ」と述べ、社会党側は「本気で考えるなら社公が一致しなければできない」とし、国対、政審レベルで検討を続けていくことになった。《共同通信》

【政界メモ】「そればっかり聞く…」

○…海部首相は21日午前、官邸に入ると、いつものように執務室に向かわず、官邸地下にある湾岸危機対策本部へ直行。関係閣僚会議を主宰し、さらに官房長官、官房副長官、法制局長官らと打ち合わせを重ねるなど湾岸戦争の影響で慌ただしい日程に追われた。

日本の対応策については「進んでいます」と歯切れがいいが、記者団の質問が自衛隊輸送機の使用問題に及ぶと「今の打ち合わせはそれとは違います。あなた方はそればっかり(聞くが)…。それ以外にも対応しなくてはならないことがいっぱいある」と、政治的に最も困難な問題は避けて通りたい気持ちがありあり。

○…この日の自民党正副国対委員長会議に鈴木宗男外務政務次官が姿を見せ、「再開国会は外務省国会だからよろしく。在日米軍駐留経費の負担増大に加えて、湾岸戦争への対策があり、(野党攻勢が)外務省に激しくなるのでよろしく頼みます」と最敬礼。すかさず村上正邦参院国対副委員長が「立場が政府高官になると国対の前では腰が低くなるもんだ」と、国対副委員長を三期務めた国対のベテランである鈴木氏を冷やかした。

鈴木氏は「私はもともと腰の低さとフットワークで売っています」と軽くかわしていたが、さながら肩書は“外務省国対委員長”とでも言いたげな表情。《共同通信》

【大相撲初場所9日目】琴錦に土

大相撲初場所9日目(21日・両国国技館)横綱大乃国が全勝の関脇琴錦を倒し、勝ちっ放しがいなくなった。大乃国は琴錦の立ち合いの変化に惑わされず、右四つから上手投げで快勝して6勝目。1敗の横綱北勝海は陣岳を簡単に突き落とし、旭富士は琴富士をもろ差しから寄り切って2敗を守った。

大関霧島も無難に若瀬川を下し1敗を堅持。優勝争いは北勝海、霧島、琴錦が横一線に並び、旭富士と新入幕巴富士が2敗で追う混戦となった。《共同通信》

【G7】湾岸戦争で政策協調確認

ニューヨークで開かれていた湾岸戦争ぼっ発後初めての日本、米国、ドイツなどによる先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)は21日午後3時15分(日本時間22日午前5時15分)、湾岸戦争とソ連の政情不安により不確実性を増している世界情勢に対して、G7各国が政策協調を強化していくことを確認した共同声明を発表して閉幕した。

ソ連への金融支機問題は日本をはじめいくつかの国がリトアニアに続くラトビアでのソ連の武力行使という事態を重視し、各国の意見がまとまらなかったため、共同声明には盛り込まれず、国際通貨基金(IMF)・世界銀行への特別参加決定も見送られた。

最大のテーマとみられていた湾岸戦争に伴う多国籍軍への財政支授問題は議長国である米国が議題として取り上げなかったため、日本も含めた各国の負担額など具体的な支援策の調整は今後、二国間の協議などにゆだねられることになった。

G7の共同声明は各国の政策協調の基本は「健全な財政政策の実施と安定志向の金融政策」と、これまでのG7の立場と変わらないことを指摘する一方、この政策協調の目的が「世界的な金利の低下」であることを明記。最気の後退から利下げに意欲的な米国の意向を色濃く反映させるとともに、従来の景気、インフレ両にらみのスタンスから景気重視の方向へ一歩踏み出したものになっている。《共同通信》

【湾岸戦争】指揮系統、依然壊滅できず

湾岸戦争は多国籍軍機が21日夕(現地時間)までに開戦以来8100回に上る出撃をしてイラク、クウェート国内のイラク軍拠点への大規模空爆を展開しているが、イラク軍の指揮・管制系統や地対地ミサイル発射台の壊滅には依然至っていない。

また、欧州からサウジアラビアに派遣された米軍部隊はクウェート国境地帯で着々と地上戦開始の準備態勢を整えつつあるが、イラク地上軍の精鋭部隊、大統領警護隊への空爆効果も偵察活動が厚い雲に遮られて判明しておらず、地上戦に踏み切る前の空爆作戦も相当長引くとみられている。

チェイニー米国防長官は21日午前、米CNNテレビとの会見で、米軍の「砂漠のあらし」作戦について「数週間あるいは数カ月かかる」と語り、戦争長期化の見通しを公式に表明したが、米軍事筋は「少なくとも約2カ月続くと考えている」と指摘している。

チェイニー長官はさらに「重要なのは(大規模空爆で)イラク国内の情勢がどう展開するかである」と語り、暗に、フセイン政権が多国籍軍による首都バクダッドを含めた連日の猛爆を受けて、不安定化することへの期待を示唆した。

しかし、米統合参謀本部のマコーネル情報部長は同日、国防総省で記者会見し、フセイン政権中枢がイラク軍の指揮・管制系統を依然確保しているほか「現場の司令官が開戦以前既に大枠の作戦要綱の指令を受けていた可能性がある」と述べた。

同部長はまた、イラク軍がおとりの地対地ミサイル発射台を配備して、多国精軍をかく乱していることを明らかにした。リヤドの米中東軍司令部はイラクが配置した移動式ミサイル発射台の数を正確に把握していないことを認めた。《共同通信》



1月21日のできごと