平成740日目

1991/01/17

この日のできごと(何の日)

【湾岸戦争】開戦

米軍を中心とする多国籍軍はイラク時間17日未明(日本時間同日朝)、イラクに対する軍事作戦を開始、ベルシャ湾岸危機はついに戦争に突入した。ブッシュ米大統領は16日午後9時(日本時間17日午前11時)、ホワイトハウスから全米向けテレビ演説を行い、イラクの軍事目標に対する攻撃が開始され、作戦が順調に推移していることを明らかにした。

チェイニー米国防長官によると、イラクに対して開始された空爆には米国、英国、サウジアラビア、クウェートの空軍機が参加した。イラク側に相当の損傷を与えたもようで、イラク側からの反撃は小規模にとどまっているが、米側は作戦が進行中だとして詳しい戦況を明らかにしていない。

ブッシュ大統領は①イラク軍のグウェートからの駆逐②クウェート正統政府の復帰③イラクを国際社会の平和な一員とする、の三点を作戦の目標に掲げ、迅速な作戦の実施ににより「第二のベトナム」にはしない、と強調した。

各地からの報道によると、米軍は日本時間17日午前8時すぎ、バグダッドなどへの空爆を開始した。作戦はペルシャ湾の米艦船からのトマホーク巡航ミサイルの発射で火ぶたが切られたと伝えられるが、米側は確認していない。

これに続いて米空軍の戦闘機F15、さらに英BBCテレビによると、英軍トーネード対地攻撃部隊がバーレーンを飛び立って第二波の攻撃に向かった。

この作戦は「砂漠のあらし作戦」と名付けられ、ブッシュ大統領によると、イラクの核関連施設、生物・化学兵器を破壊するのが目的で、当面はクウェート解放のための地上軍作戦は展開されていない。

ブッシュ大統領は作戦開始に踏み切った動機として①対イラク経済制裁により、イラク軍のクウェート撤退が実現される兆候がない②数カ月間にわたる外交努力、国連安保理決議などを、フセイン・イラク大統領が拒否したーことを挙げた。《共同通信》

ペルシャ湾岸地域に展開中の米軍を中心とする多国籍軍は17日未明(日本時間同日午前)から午前(同午後)にかけて三次にわたり延べ1000機以上の作戦機や実戦で初めて巡航ミサイル、トマホークなどを投入した大規模攻撃を敢行、クウェートおよびイラク領内のイラク空軍基地、ミサイル発射陣地、補給所、通信施設など戦略重要拠点に広範かつ波状的な爆撃を繰り返した。

これによりイラク空軍は壊滅的な打撃を受け、イラク軍の保有するミサイルも約85%破壊、無力化された。多国籍軍は「砂漠のあらし作戦」でクウェートを解放するための地上戦闘に不可欠な制空権を確保したもようだ。

空からの攻撃には米空軍機数百機のほか、英、フランス、クウェート、サウジアラビアの四カ国から多数の作戦機が参加した。

17日昼前のイラク国防省の戦争公報第二号は、イラク軍が敵軍機計14機を撃墜したと発表した。これに対し、パウエル米統合参謀本部議長は17日の記者会見で、イラク空爆の際に墜落した米軍機の機種はFA18ホーネット戦闘攻撃機であると述べた。また英軍のトーネード戦闘機1機が未帰還で、さらにフランス軍機4機が被弾したことが明らかになった。しかしそれ以上の多国籍軍機の被害は確認されていない。

これより先、第一次攻撃開始から数時間後に発表されたイラク戦争公報第一号は、バグダッド市街地が空襲を受け空軍基地数力所が攻撃されたと伝えた。バグダッドにとどまっている西側報道陣によると、首都では国防省庁舎、軍通信センターなどが爆撃を受けた。イラク軍は全く意表をつかれた形で、上空は完全に襲来機に制圧されたという。郊外の化学工場も黒煙を上げて炎上した。

イラク軍は、攻撃されれば真っ先にイスラエルを攻撃、化学兵器の使用も辞さないと述べていたが、イスラエルへのミサイル攻撃や化学兵器の使用はなかった。イスラエルのアレンス国防相は、米軍機がイラク西部にあるイスラエル攻撃用のミサイル陣地を破壊したと述べ「この作戦は大規模かつ効果的だったようだ」と語った。地上戦については、米、イラク両国ともまだ起きていないことを確認した。

湾岸派遣米軍の司令官によると、空爆作戦には多彩な最新鋭機が投入された。米国防総省筋は、空爆で生物、化学兵器工場、地対地ミサイル、原子力施設などのほとんどを破壊し、イラク最精鋭の大統領警護隊の主要部分にも大打撃を与えたとしている。また、イラク南部の戦略重要都市バスラも17日未明、爆撃を受けた。

イラク空襲に対し、イラク軍はクウェート・サウジ中立地帯で反撃、サウジアラビアのカフジにある日本のアラビア石油の原油生産施設がイラク軍の砲撃で被弾した。しかし、軽微の損害を与えたにとどまっている。《共同通信》

イラクのフセイン大統領は17日午前7時すぎ、国営放送を通じて演説し「ホワイトハウスの悪魔(ブッシュ大統領)は敗れる。パレスチナ、ゴラン高原、エルサレムは解放される」と述べ、ブッシュ米大統領やファハド・サウジアラビア国王を強く非難、国民に徹底抗戦を呼び掛けた。《共同通信》

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【ホンダ・レジェンド】クーペ追加

1月17日のできごと(何の日)
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【大相撲初場所】5日目

大相撲初場所5日目(17日・両国国技館)横綱北勝海と関脇琴錦が全勝を守った。北勝海はクセ者寺尾を左上手投げであっさり退け、琴錦はスピードある動きで曙をほんろう、押し出した。

横綱旭富士は簡単に起利錦を送り出し、大乃国も逆鉾を無難に押し出して1敗を堅持。大関霧島も隆三杉を寄り切って1敗を保ち、二日連続の上位陣安泰。人気の若花田、貴花田はともに黒星。十両は琴の若と大翔鳳が無傷の5連勝でトップを並走している。《共同通信》

【プロ野球・西武】マウイキャンプ中止

西武球団は17日、湾岸戦争の開戦を受けて2月に米国ハワイ州マウイ島で予定していた春季キャンプを中止し、高知県春野町にキャンプ地を変更することを決め、発表した。

西武は2月1日から15日まで昨年に続いて、マウイ島のメモリアル球場で森監督、主力選手が参加する第一次キャンプを計画し昨年末から用具を送るなど準備を進めていた。

しかし、湾岸で戦時状態となった17日夕、急きょ清水球団代表がキャンプ地の変更を発表。理由について同代表は「本社からの指示もあり、いろいろなことを総合しての結論」と語り、マウイ島には軍事基地はないものの、戦時下の米国内でキャンプを行う場合の反日感情などを考慮し中止に踏み切ったようである。《共同通信》

【海部俊樹首相】自衛隊機派遣を検討

政府は米国など多国籍軍が対イラク武力行使を開始したことを受け、17日午前9時半すぎから首相官邸で緊急の安全保障会議、引き続き臨時閣議を開き、多国籍軍の武力行使は「国連安保理決議に沿う平和回復活動」として全面的に支援する首相談話を決定。同時に内閣に「湾岸危機対策本部」(本部長・海部首相)の設置を正式に決めた。

首相はこのあとの記者会見で、アジア系難民などの救出のため、人道的立場から必要に応じて、自衛隊輸送機の中東地域への派遣を検討する考えを初めて明らかにした。《共同通信》

【政府】武力行使支持

政府は、米国など多国籍軍がイラクへの武力行使に踏み切ったことを受け、17日午前9時半すぎから緊急の安全保障会議を招集、続いて臨時閣議を開き、多国籍軍の武力行使は「国連安保理決議に沿うものだ」として全面的に支持する首相談話を決定した。

同時に、海部首相を長とする「湾岸危機対策本部」の設置を正式決定し、同本一部の初会合で①難民ら被災民の輸送、人道的援助、救援物資供与②邦人保護とハイジャック防止③石油情勢に関する的確な広報をはじめとするエネルギー対策—などを柱とする危機管理対策を決めた。

政府、自民党は同日夕、党首会談を開催するよう野党各党に要請、政府の対策への理解を求める。

対策本部の第一回会合は午前10時半から開かれ、このあと官邸で小沢幹事長ら自民党三役を交えた政府・与党首脳会議に移った。

政府がこのような対策本一部を設置したのは1989年12月の中国民航機ハイジャック事件以来だが、事態の重大性、緊急性は比較にならないほど大きく、政府としては全力を挙げて国民の理解と協力を求めて行く方針だ。《共同通信》

【政界メモ】「対応早かった」と首相

○…ペルシャ湾岸で戦端が開かれた17日午前、首相官邸での一連の対策会議を終えた海部首相は記者団に「(開戦は)予想してました。だからこそこれまでずっと対応を続けてきたわけだからね」と、政府の対応ぶりの良さを強調。「対応は早かったか」と記者団の質問に「早かった。私からみてじゃなくて皆さんの方からみて分かるんじゃないの」と自信満々。

ところが、この後の記者会見では「対応が遅かったのでは」の質問が飛ぶと「遅いと言うが、米国から開戦を知らされたのは午前8時半」と急にトーン・ダウン。

○…湾岸戦争ぼっ発を受けてこの日午後、国会内で緊急の国対委員長会談が開かれ、昨年末の自民党役員人事で国対委員長に就任した梶山前法相がデビューした。

梶山氏は社会党の大出国対委員長に「一度、(国会内の)自民党国対委員長室に来て下さい。田中元首相が書いた“以和為貴”の書が掲げてある。田中さんが首相になる直前にもらったもので、大出さんの顔を思い浮かべながら持ってきた」とソフトな口調で語り掛けた。“武闘派”で鳴らす梶山氏だが、こわもての大出氏にまずはハト派イメージを売り込み。《共同通信》

【与野党】自衛隊機派遣で対立

湾岸戦争をめぐる海部首相と野党各党首との個別会談が17日夕、首相官邸で開かれた。この中で多国籍軍に対する新たな財政支援に関して、土井社会、不破共産、江田社民連の三党首は全面的に反対を表明。石田公明党委員長は「ある程度の追加支援を検討きせざるを得ない」としながらも「武器、弾薬などへの資金」には反対の立場を明らかにした。

また大内民社党委員長を除く各党首は、首相が表明した被災民移送での自衛隊輸送機の使用検討方針についても「自衛隊の海外派兵につながりかねない」などと強く反発した。民社党は自衛隊機の使用検討を容認する方針を示した。

これらに対して首相は「平和憲法に基づく支援でなければならないことを十分に踏まえる」との姿勢は示しながらも、武器、弾薬に対する支援問題については「いろいろあって検討している」と明確な方針を示すのを避けた。さらに「必要があれば自衛隊機の使用検討を考えねばならぬと思っている」との意向を強調した。

首相はこの問題で「避災民移送を民間航空に依頼したがなかなか難しく、苦慮している。いずれにしろ非軍事、人道的な立場を十分に念頭に置く」と述べ、内閣法制局に検討を指示して一輪いることを明らかにした。

多国籍軍に対する追加支援の額について、首相は「積算中」と述べるにとどまった。同席した橋本蔵相は財源確保のための赤字公貨の発行は考えないとの方針を明らかにした。

土井委員長が湾岸戦争の不拡大と即時停戦の必要性を強調するとともに、日本政府が国連安全保障理事会の緊急開会に努力するよう求めたのに対し、首相は「イラクがクウェートから撤退し、国連機能を十分に果たせるようにすることが重要」とし、明確な対応は示さなかった。《共同通信》

【サウジアラビア】鳴り響く空襲警報

多国籍軍のイラク、クウェート攻撃の第一報が流れたカイロ時間17日午前2時(日本時間同9時)には、市民のほとんどが眠りにつきアラブ諸国の報道機関も放送、配信を終了していたため、作戦開始の知らせはアラブの一般市民には伝わっていない。

しかし、サウジアラビアのリヤドでは同日未明、空襲警報のサイレンが鳴り響き、市民に防空ごうへの退避が命じられるなど、衝撃が広がった。

イラク国営放送は、米国のCNN、ABC両テレビがバグダッド上空での対空砲火のさく裂を伝えた直後のイラク時間午前3時(同午前9時)、コーランの朗読を最後にこの日の放送を終了、多国籍軍の攻撃については一切触れなかった。

多国籍軍の攻撃の直後にイラクによるイスラエル攻撃があるとの予測があったが、カイロ時間午前3時(同10時)現在、攻撃は行われていない。イスラエル軍は市民に化学兵器による攻撃に備えるため、屋内にとどまり、防毒マスクを準備するよう命じた。

エジプト国営中東通信は17日午前2時(同9時)、深夜で中断していた記事配信を再開し米軍のイラク、クウェート攻撃開始を速報した。サウジアラビア国営放送はサウジ時間午前3時半「(同9時半)のラジオニュースでは開戦には一切触れず、ファハド国王が撤退期限切れ直前に発表したイラク軍撤退を求めるアピールを全世界が大きく取り上げたとだけ報じた。

深夜のカイロ市内は人通りは少ないが、緊迫した様子はない。小銃を持った治安警察の要員が平常通りナイル川に架かる橋など要所の警備についていたが、車や通行人のチェックなどはしていなかった。《共同通信》

【湾岸戦争】夜空そめ電撃攻撃

波状的に押し寄せる米軍機の集中的な空爆、空襲警報がけたたましく鳴る中、イラク軍のえい光弾が空を赤く染めたー。バグダッドからの報道によると、米軍の電撃的な攻撃に見舞われたイラクの首都は、通りから人影が消え、圧倒的な米軍の攻撃を目の当たりにした西側記者は「バグダッドは地獄の真っただ中だ」と興奮した様子で伝えた。

米軍など多国籍軍の空爆は夜明け前から始まった。人口約400万人の大都市バクタッドを断続的に戦闘機、爆撃機が飛来、郊外の戦略施設に爆撃を加える。しかしかなりの高度を飛んでいるため、機体はよく見えずエンジン音も聞こえないため不気味だ。地上では、爆発音、空を染めるせん光たち上る黒煙を目にして初めて、爆撃に気付いた。

国防省庁、クウェート占領に参加した人民軍の本部も空爆された。そして、通りから人影が消えた。対空砲も発射されるが、目撃者によると、目標を外したという。えい光弾で空には赤、緑の何本もの帯ができ、米国人記者は「7月4日の独立記念日に打ち上げられる花火を百倍に拡大したようだ」と話した。

大統領官邸の近くにある高級ホテル、ラシードホテルでは報道陣ら外国人宿泊客が地下のシェルターに避難を命じられた。「プッシーュ(大統領)に死を」。地下に入れられたアラブ人が叫び声を上げた。ホテルから一望したところ、一般家屋や民間の建物には被害はないようだ。市民の負傷も伝えられていない。市民の話では空襲警報は、最初の一撃からかなりたってから鳴り出したという。《共同通信》




1月17日のできごと