平成741日目

平成3年1月18日(金)

1991/01/18

【湾岸戦争】イラク、イスラエルを攻撃

イスラエルの主要都市テルアビブから北部の港湾都市ハイファにかけての地中海沿岸一帯に18日未明(日本時間同日朝)、イラクのミサイル8発が撃ち込まれ、イスラエル軍当局によると7人が軽傷を負った。またサウジアラビア東部のダーランに向けても、イラクのミサイル2、3発が発射されたが、駐留米軍の迎撃ミサイルに撃墜された。

イスラエルはイラクに対する報復の意図を表明、湾岸戦争は一気にアラブ・イスラエル戦争に発展する恐れも出ているが①化学兵器の弾頭を装着していなかった②被害が比較的軽微ーであることから、イスラエルが実際に反撃に出るかどうかは微妙な情勢だ。

攻撃があったのは午前2時(同9時)ごろで、軍当局は直ちに全土に空襲警報のサイレンを鳴らすとともに、約450万人の全市民に防毒マスクの着用を指示。外気から密閉した室内にとどまるよう要請した。

各種の情報を総合すると、イスラエルを襲ったミサイルはソ連製スカッドB改良型「アルフセイン」(射程650キロ)とみられ、発射された8発のうち、5発がテルアブビ市内や周辺、およびハイファなどを直撃したという。

イスラエル軍当局者は、すべてのミサイルは通常兵器で、化学兵器の弾頭はつけていなかったと明らかにした。マスク着用令は間もなく解除された。

イスラエル放送は攻撃後、イスラエル軍はイラクに報復すると伝えた。しかし死者が出ておらず、米国が湾岸戦争の開始以前からイスラエルに“自制”を求めていたことから、実際に報復に踏み切るかどうかは微妙な情勢だ。

米国防総省は偵察衛星でイラクによるミサイル発射を探知、直ちにイスラエルに通報したが、迎撃態勢を固めるには間に合わなかったという。

アレンス・イスラエル国防相は17日、多国籍軍の空爆でイスラエルを目標にしたイラクのミサイルの多くが破壊されたが、油断はできないと警告。また軍事専門家も固定式ミサイル発射基地の多くは壊滅状態になったが、移動式はまだ残っているとの見方を示していた。《共同通信》




【イスラエル】緊急協議

イラクによるミサイル攻撃を受け、イスラエルのシャミル首相は18日午前(日本時間同日午後)、主要閣僚と軍幹部を招集、イラクのミサイル施設への報復反撃の検討など、対応策の協議に入った。

米CNNテレビによるとイスラエル政府はイラクから2回目のミサイル攻撃がない限り、当面イラクへの攻撃には踏み切らないとの方針を米政府に伝えた。

フセイン・イラク大統領は、再三にわたって米国から攻撃されればイスラエルにミサイルを撃ち込むと警告し、国営イラク放送は18日、イスラエルが占領地から出て行くまで戦争は長期化し、ミサイル攻撃も続ける、と伝えた。

シャミル首相は「攻撃を受けたら反撃する」と言明していたが、イスラエルが反撃に踏み切れば、湾岸戦争の構図がアラブ対イスラエルという第五次中東戦争に発展する可能性もはらんでいた。

イスラエル軍のショムロン参謀総長は十八日朝、イスラエル・テレビで「イスラエルの市民がミサイル攻一撃にさらされたのは初め一て。このような事態には反撃の義務を負っている。見過ごすことはできない」と強い調子で語っていた。

イスラエルは、第一撃が通常弾頭だったといってもイラクが化学兵器弾頭を保有していない証拠にはならないと警戒を強めている。《共同通信》

【イスラエル】イラク報復を当面留保

イスラエルのシャミル首相は18日午後8時半(日本時間19日午前3時半)から約20分間にわたり、ブッシュ米大統領と電話で会談した。イスラエル放送によると、ブッシュ大統領は直接的な表現は避けながらも、イスラエルがイラクへの反撃を思いとどまるよう要請し、シャミル首相は米国側の意図に理解を示した。

これに先立ちイスラエル政府は18日開いた閣僚、軍幹部による緊急会議で、イラク報復攻撃について協「議したが、イラクによる2回目の攻撃がない限り当面は報復攻撃を見合わせる方針を決めたもようである。

18日未明、テルアビブ、ハイファなどに8発のミサイルが撃ち込まれたことを受け、米軍主導の多国籍軍はイラクのミサイル発射施設に対する激しい空爆を加えており、イスラエルはこれによってイラクのミサイル攻撃能力が壊滅することに望みをつないでいる。

イラクによる再度のイスラエル攻撃があれば、イスラエルは間違いなく報復に踏み切るとみられ、湾岸の戦線が一気に拡大、第五次中東戦争に発展する恐れが強く、開戦から三日目を迎えた湾岸戦争は重大な岐路に差しかかった。

イスラエルを攻撃したイラクの狙いが、イスラエルを巻き込んで反イラク包囲網を形成する米国と、アラブ諸国の同盟関係を崩壊させ、湾岸戦争の構図をアラブ対イスラエル戦争に転化させる点にあることが明白なため、イスラエルはこれまで反撃を控えている。

ブッシュ大統領は18日の記者会見でイスラエルの「自制」を称賛、シャミル首相に対しては米軍がイラクのミサイル壊滅に全力を尽くしていると強調したとされる。

しかし、イスラエル側はアレンス国防相が18日夜のテレビで「われわれは反撃する」と明言、レビ外相も同日午後、反撃の決断は「時間の問題」と語っており、イスラエルは2度目の攻撃を受ければ、米国に通告したうえで反撃を開始するとみられている。《共同通信》

【海部俊樹首相】多国籍軍支援を表明

海部俊樹
https://www.kantei.go.jp/

海部首相は18日昼、湾岸戦争に対応するため緊急に開かれた衆院本会議で、政府の対応策などについて所信を表明した。

首相はこの中でイラクのクウェート侵略・併合を重ねて強く非難するとともに、武力行使に踏み切った多国籍軍の行動に「確固たる支持を表明する」との考えを示した。日本の貢献策をめぐって首相は「避難民の移送という人道的、非軍事的分野」で「ほかに方法がない場合には、必要に応じ自衛隊輸送機の使用についても、その可能性を検討する」との方針を初めて国会に示し、与野党の理解と協力を求めた。

また首相はこれまでの貢献策に加え、多国籍軍に対し「国連安保理決議に従って、憲法の下でできる限りの支援を行う決意だ」と、新たな貢献策を打ち出す考えを表明した。

湾岸戦争発生による国民生活への影響について首相は①過去2回の石油危機時と比べ、日本経済の石油に対する依存度が大きく低下している②142日分の石油備蓄を機動的に活用するーなどを理由に「当面、国内の石油需給、国民生活に大きな影響はない」との判断を示しながらも、国民に対し省エネルギーの努力と冷静な行動を要請した。首相の演説は、午後3時から参院でも行われる。《共同通信》

【政府】自衛隊機、非軍事面で派遣検討

国会は湾岸戦争ぼっ発の事態を受けて18日午後衆参両院で本会議を開き、海部首相の同戦争に関する報告に対し、各党が委員長クラスなどを立て質疑を行った。

この中で首相は「イラクのクウェート撤退が先決だ」などと述べ、改めて多国籍軍のイラク攻撃を支持、支援する意向を強調。焦点となっている難民救済・移送のための自衛隊機使用について「非軍事的、人道的立場に立ち検討している」と答弁。これに関連して池田防衛庁長官は「武力行使を目的としない自衛隊の海外派遣は憲法上許されないものではない、と従来から政府答弁で明らかにしている。(難民)輸送の任務を担うときは国際機関とも協力して任務の遂行に万全を期したい」と述べ、自衛隊機使用問題に積極的に取り組む意向を示した。

また橋本蔵相は多国籍軍への追加支援について「確かに追加支援はしなければならないが、赤字公債の発行は適当ではない」と述べた。中山外相は「非産油発展途上国に対しても世銀、西側各国と協力し支援していく」と答弁、湾岸戦争で影響の出ているフィリピンなどに対する経済支援に前向きな姿勢を示した。

質疑には衆院では土井たか子(社会)西岡武夫(自民)石田幸四郎(公明)不破哲三(共産)大内啓伍(民社)の4氏、参院は岩崎純三(自民)佐藤三吾(社会)峰山昭範(公明)立木洋(共産)池田治(連合参議院)勝木健司(民社)の6氏がそれぞれ立った。

海部首相は土井、佐藤、不破氏らが、平和解決・国連への停戦提唱などを迫ったのに対し「国際社会の責任ある一員としてイラクのクウェート侵略・併合を黙って見逃すわけにはいかない。イラクのクウェート撤退が先決だ」と述べた。

首相は石田、峰山、池田氏らが自衛隊機使用は「自衛隊の海外派兵につながる」と反対したのに対して「まず民間航空会社に協力を要請するが、それがどうしてもできないときは自衛隊の輸送機の使用も検討する」と述べた。また、西岡、岩崎、勝木氏らが石油需給や国民生活への影響をただした。《共同通信》

【政界メモ】記者団の追及に「心外だ」

◯…海部首相は18日、衆参両院本会議で、湾岸戦争について各党の質問に答えた。記者団から手ごたえを聞かれると「こちらの言いたいことは、きっちり言いましたよ」と満足げだったが、衆院本会議では共産党の不破委員長を「宮本委員長」と間違える失態。「やじで宮本委員長と言うもんだから、つい言っちゃって。すぐ訂正したよ」と言い訳した。

「答弁に熱気が感じられない」との記者団の追及に対しては「こちらは一生懸命だ。質問も事前に分からず答弁したのだから。心外だな」とむっとした表情。

○…自民党の西岡総務会長は衆院本会議で「20年ぶり」という代表質問に立った。野党各党が委員長を立てるのに対し、与党は政調会長で臨むところだが、小沢幹事長の強い要請で前夜、急きょ西岡氏の登板が決定。

原稿が仕上がったのは、本会議の予鈴が鳴った後で、遅れて議場入りした西岡氏を隣席の加藤政調会長が「遅いから心配したよ」と冷やかす一幕も。海部首相への質問は、自他ともに側近を認める西岡氏としてはやりにくかった様子。《共同通信》

【大相撲初場所6日目】大乃国が2敗目

大相撲初場所6日目(18日・両国国技館)横綱大乃国が敗れて手痛い2敗目を喫した。大乃国は土俵際の詰めを誤って平幕琴富士に送り出された。琴富士は初の金星獲得。

横綱北勝海は隆三杉を突き落とし、旭富士は大翔山を寄り切った。大関霧島は久島海を寄り切り、関脇琴錦は春日富士を下手投げで破った。この結果、全勝の北勝海と琴錦を旭富士、霧島、新入幕の巴富士の三人が1敗で追う。十両は琴の若、大翔鳳が依然土つかずの6連勝。《共同通信》



1月18日のできごと