平成678日目
1990/11/16
この日のできごと(何の日)
【ソ連・ゴルバチョフ大統領】連立政権創設を提案
急進派や民族派と中央との対立激化で混迷を深めるソ連の政治情勢についてゴルバチョフ大統領は16日、ソ連最高会議で演説、ソ連史上初めて共産党以外の勢力を加えた連立政権の創設を提案、ルイシコフ首相が新政府の構成を準備していることを明らかにした。
大統領は、急進派のリーダー、エリツィン・ロシア共和国最高会議議長との間で、連立的な連邦機関の樹立で原則合意したことを確認したが、大統領に続いて発言に立ったエリツィン議長は、ルイシコフ政府の退陣と連邦政府に代わる連邦執行機関として各共和国代表を加えた「非常危機対策委員会」を創設するよう提案した。
ただ、これらの発言からみて連立的政権で合意した大統領と議長との間で新政権の構造や性格をめぐり立場の違いがあるとみられる。
大統領は、大統領令など中央の決定が地方で反対に遭っている現状について「政治的闘争が激化し、カオス(大混乱)の兆候がある」と述べ、大統領権力のまひ状態に強い危機感を表明、国民に団結を求めた。
その上で大統領は、ペレストロイカ(改革)支持勢力との間で広範な基盤を持つ連立政権を創設する方針を明らかにした。
大統領は連立の担い手となる勢力について具体的に明らかにしなかったが、急進派から批判を受けているルイシコフ首相が新政権の構成を検討していることから、急進派の大幅起用はないとの見方も出ている。
大統領は「10日以内に不必要な構造をなくす」とも述べ、連邦政府の構造に変更を加えることも示唆した。これに対し、エリツィン議長は記者団に対し、非常危機対策委員会が連邦政府に代わるものであることを確認し、26日中にも連邦政府の退陣問題を解決すべきであると強調した。
大統領は一方で中央に対する共和国の抵抗が続けば「地方の決定を待たずにことを始める用意がある」と述べ、強権により上から政治を実行する可能性があることを警告した。《共同通信》
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【中曽根康弘元首相】訪米
中曽根元首相は16日夕、米・ロサンゼルス市近郊で催される日米リーダー懇話会出席のため、成田発の日航機で出発した。
同懇話会は17日(現地時間)から二日間の日程で行われ、日本側は中曽根氏のほか、三塚元外相、渡部恒三元自治相ら、米国側はフォード、カーター両元大統領、ベンツェン上院議員らが参加する。《共同通信》
【民社党】民主社会主義を削除
民社党は16日午後、東京・池之端文化センターで開いた第25回中央委員会に、新綱領の素案を中間報告の形で提案し、了承された。素案からは現在の綱領で党の基本原理としている「民主社会主義」の表現が姿を消し、代わって民社党を「自由、公正、友愛」という新たな基本理念に立つ政党と位置付けたのが最大の特徴。また、最大の政治目標として政権交代可能な体制づくりを掲げた。《共同通信》
【ゴールデングラブ賞】西武・秋山幸二外野手が満票受賞
プロ野球セ、パ両リーグは16日、守備のベストナインに当たるゴールデングラブ賞の受賞18選手を発表した。日本一の西武からは6選手が選ばれ、4年連続の秋山は1979年の福本(阪急=現オリックス)、梨田(近鉄)以来パ・リーグで11年ぶりの満票受賞となった。《共同通信》
【大相撲九州場所】6日目
大相撲九州場所6日目(16日・福岡国際センター)横綱北勝海と千代の富士、新関脇の琴錦が全勝を続けた。琴錦は横綱旭富士の攻勢を土俵際でしぶとくかわし、体を入れ替えて、鮮やかな送り出しで逆転勝ちした。
北勝海は貴闘力を右四つに組み止めて寄り倒し、千代の富士は栃乃和歌を落ち着いて下した。進退をかけ必死の横綱大乃国は巨砲をがっちり受け止めて崩し、4勝2敗とした。
大関陣では霧島が勝ってようやく3勝3敗のタイまで持ち直した。全勝の3力士を一追う1敗は平幕の安芸ノ島と久島海だけ。十両は琴椿が1敗を守り、単独トップ。《共同通信》
【社会党・田辺副委員長】自社連合も想定
社会党の田辺副委員長は16日夜、埼玉県熊谷市で講演し、将来の政権構想に旧西ドイツ型の、自民党との大連合も含める考えを明らかにした。
田辺氏は「政治を活性化し、より良い政治をつくるたるめには何よりも政権交代が必要だ。社民勢力の結集を提唱してきたのもそのためだ」と説明。先の臨時国会を振り返って「最終局面で、社公民でやれればよかった。出来なかったが再構築すればよい」とした上で「自民党との大連合も頭の隅にある」と述べた。
田辺氏はその具体的な段取りとして「まずわれわれの考え方を受け入れる自民党のリベラルと一緒にやることだ。次に社会党中心の新しい社公民政権をつくる」との考えを示した。
これに関連して田辺氏は「旧西ドイツの社民党がこういう過程で政権を取った。自、社の大連合というと無節操な野合とみられるが、そうではない」として、政策協定などを念頭に置いた連合政権を想定していることを明らかにした。
田辺氏の発言は、国連平和協力法案廃案後の新たな国際貢献策づくりが、自民、公明、民社の三党合意により、社会党を切り離した形で進められる事態に立ち至ったものの、なお自民党との連立も辞さずに政権を目指すという意欲を表明したものだ。
一方、田辺氏は国連の平和維持活動(PKO)に関し「協力するのは当然だ」との考えを示すとともに「PKOには軍事的要素もあり、危険なこともあるが、危険な要素があれば日本は参加できないと言えばいい。危険だから反対、ではなく、危険でない分野で積極的に参加する姿勢が大事だ」と述べ、PKO参加に全面的には反対しない考えを示した。《共同通信》
【政界メモ】ステッカーはバツ悪い?
◯…政府は16日午前の閣議で「緊急土地対策キャンペーン」の実施を決めた。官庁の公用車をはじめタクシーなどに「今こそ崩せ!土地神話」などのステッカーを張って国民の理解を求めるとかで、海部首相も「趣旨に沿ったものなら大いに賛成だ」と異議なしの声。
ところが閣議後、記者団に「総理の乗る車にも張るのか」と聞かれると「実物を見ていないし、奇妙きてれつなものじゃ困る。実物を見てみんことには…」と口をモゴモゴ。土地問題を内閣の最重要課題に掲げ、自ら先頭に立って土地神話の打破を訴える首相もステッカーまでは、ばつが悪くていただけない?
◯…社会党の田辺副委員長はこの日、第18富士山丸の紅粉船長、栗浦機関長を引率して自民党竹下派事務所に金丸元副総理を訪ねた。自民党議員が居並ぶのを見た田辺氏、「自民党に入ったと思われたら困る」と何やら窮屈そうな様子を見せた。
ところが衆院議員会館での社会党側との会見の場になると「書記長、副委員長を務め、本当はこれで第一線を退くのだが、朝鮮問題をやらねばならないと、副委員長にカムバックした」「これは政界の七不思議といわれている」などと一転して元気いっぱい。口八丁手八丁の田辺氏も、やっぱり身内に囲まれるのが一番いい。《共同通信》