平成630日目
1990/09/29
この日のできごと(何の日)
【海部俊樹首相】米・ブッシュ大統領と会談
海部首相は29日夜(日本時間30日朝)、ニューヨークのホテルでブッシュ米大統領と約1時間、会談した。冒頭、首相が大統領夫妻に国賓としての来年早々の訪日を招請、大統領も受諾した。来年2月来日の見通しが強い。
大統領は二国間問題でペルシャ湾岸危機に絡み焦点になっている在日米軍駐留経費の負担増問題について「一層の努力を検討してもらいたい」と日本側に要請。首相は次期防衛力整備計画策定作業の中で検討していくとの基本姿勢を表明しながらも「これからも努力するのは当然だ」として、米側の要請に前向きに対応する姿勢を示した。
年内決着に向け大詰めの作業が進められている貿易関税一般協定(ガット)の新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)をめぐり大統領は「どの国も困難な国内事情を抱えているが、農業交渉を成功させることが重要だ」と強調、直接的表現を避けながらも日本のコメ市場開放努力を重ねて要請した。
首相は、ウルグアイ・ラウンドの年内決着に合意しながらも①日本はコメを含む農業保護削減リストを提出している②今後、新ラウンドの場で協議したい—との原則的立場を説明するにとどまった。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の対日国交正常化提案で、新たな展開を見せ始めた朝鮮半島情勢をめぐり首相は、先の自民、社会両党訪朝団の経緯を説明した上で、日朝関係改善について①米韓両国と緊密な連絡を取る②国際原子力機関(IAEA)の査察問題、韓国などとの関係に配慮しながらバランスの取れた進め方をする—と関係各国と協調しながら取り組むとの慎重対応を示し、大統領も了承した。
湾岸情勢で首相は「国連平和協力法案」(仮称)の早期成立を目指し、憲法の枠内での非軍事的分野での人的協力も積極的に進める考えを強調した。
対ソ金融支援問題について首相が、北方領土問題をめぐる政経不可分の日本の原則立場を説明し、当面は実施する考えのないことを改めて表明したのに対し、大統領は「北方領土での日本支持の立場は「変わらない」と理解を示した。《共同通信》
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【皇太子殿下】花博会場をご見学
皇太子さまは29日午前、大阪・鶴見緑地の花の万博会場をご視察。国際展示光の館や咲くやこの花館、モロッコやエジプトなどの国際庭園をご覧になった。午後からもパビリオンや国際庭園を回り、この日は終日花博を楽しまれた。《共同通信》
【ロッテ・小宮山悟投手】プロ初完封勝利
西武0−10ロッテ◇29日◇川崎
新人小宮山が被安打4で初完封(5勝目)を飾った。直球、スライダーを低めいっぱいに集め、タイミングを外すカーブの落差も大きかった。四回まで無走者、安打もすべてシングルで三塁を踏まさない満点の内容だった。
ロッテは一回、ディアズと山下の連続適時打などで松沼から5点を先取した。
西武は本塁打争いを意識する中軸の振りが鈍く、3連敗。《共同通信》
【金丸信元副総理】日朝関係に風穴
坂本官房長官(外相臨時代理)は29日午後、東京・元麻布の私邸に金丸元副校理を訪ね、自民、社会両党代表団による朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問の結果を聞くとともに会談した。
金丸氏はこの中で、国交正常化交渉の早期開始などで合意した金日成主席や朝鮮労働党との会談内容、北朝鮮側の姿勢について詳しく説明し「日朝間の壁に風穴を開けたので、これからは政府がしっかりやってほしい」と述べ、日関係改善に向けた政府の努力を求めた。
これに関連し政府筋は、三党が合意した11月からの政府間交渉開始について「下から積み上げていけばいいのだから良いのではないか」と述べ、事務レベルによる対話を始めることに前問きの考えを示した。
坂本長官と金丸氏の会談は最初の1時間、外務省の担当課長らが同席。残り30分は2人だけで行われ、坂本長官が金丸氏から①北朝鮮が従来の「一つの朝鮮」政策を転換し日朝関係改善に乗り出した理由②共同宣言で過去の植民地支配だけでなく「戦後45年間の損失」に対する日本の謝罪と償いが盛り込まれた背景—などを中心に、金丸氏の感触や北朝鮮側の真意について説明を受けたもようだ。
政府筋は坂本長官が訪米中の海部首相に対し、金丸氏の説明内容を近く国際電話で報告するとともに、首相と中山外相の帰国を待って政府の対応について正式に検討に入ることを明らかにした。《共同通信》
【中山太郎外相】米・ベーカー国務長官と会談
中山外相は29日午前(日本時間同日深夜)、ニューヨークのホテルで、ベーカー米国務長官と約1時間会談し、ペルシャ湾岸情勢を中心に意見を交換した。
この中でベーカー長官は、米軍の中東地域への展開と絡んで、在日米軍駐留経費について①日米両国の安全保障にとって直接的に重要な問題だ②(経費負担増は)単に政治的に必要なだけでなく、米国の財政事情の点からも実際上の支援を願いたい—と、早急な負担拡大策をとるよう強い調子で公式に要請した。
これに対し中山外相は「これまでも自主的にできる限りの努力をしてきたが、今後とも必要なものを出す努力は継続したい」と表明、両国間の協議の上、負担増に前向きに応じる姿勢を示した。
会談の中心議題となった湾岸情勢で中山外相は、紛争を一刻も早く解決する必要性を強調した上で西側諸国とアラブ諸国の結束を維持し、対イラク制裁を堅持することが重要だと述べた。
ベーカー長官は「(イラクをたたくという)軍事的オプションを排除するものではないが、平和的、外交的解決が最も望ましい」と述べ、米国としても当面、国連の対イラク制裁決議に沿って外交的解決をさらに模索していく考えを示した。
これに関連して長官は、総額40億ドルの日本の中東貢献策を評価したものの、同時に今後の円滑で速やかな実施を要請、日本の具体的行動を注視する厳しい姿勢を示した。中山外相は財政事情の許す範囲で、できるだけ早く出していきたいと表明した。《共同通信》