平成488日目

平成2年5月10日(木)

1990/05/10

【海部俊樹首相】政治改革「内閣の命運を懸け実現」

海部首相は10日午後、首相官邸で記者会見し、小選挙区比例代表並立制導入の衆院選挙制度改革を柱とする政治改革について「時代から課せられた厳粛な使命であり、内閣の命運を懸けて取り組む」と述べ、実現に向けこれまでの「不退転の決意」からさらに一歩踏み込んだ強い意欲を表明した。同時に今回の政治改革はリクルート事件の反省に立ち、カネの掛からない選挙制度の実現を目指すものだ、と強調し「国民の合意と理解を得ながら改革を進めたい」と、国民の支持を強く訴えた。

会見は選挙制度審議会の答申を受け、今秋の国会開設100年をめどに始まった自民党内の調整が本格化したのに伴い、国民に理解を求めたいとの首相の申し入れで行われた。《共同通信》




【海部俊樹首相】選挙制度改革で個別会談

海部首相は10日午前、竹下派会長の金丸元総理ら自民党各派会長を順次都内の事務所に訪ねて会談、選挙制度改革に「不退転の決意」で取り組む考えを伝えるとともに、協力を要請した。

これに対し金丸氏が「相当に大きな政治問題なので、同志と十分研究、勉強し、政府でまとめる成案をみて十分慎重に対処したい」と述べたのをはじめ、各会長とも慎重姿勢を表明し、全面協力については明言を避けた。渡辺元政調会長も「協力は惜しまないから命懸けでやってほしい」と、首相の一層の決断を暗に求めた。また、各氏は政党法制定との一括処理、党内議論の徹底、野党との事前調整などの必要性を指摘した。

首相は「(8月の)お盆をめどに参院改革、政党法についても答申をお願いしている。一体としてやっている」と述べ、小選挙区比例代表並立制だけでなく、参院改革などもセットにして実現に取り組む意向を示した。一連の会談には小沢幹事長が同席した。

会談は小選挙区比例代表並立制導入を柱とする選挙制度審議会の答申を受け、首相が実力者に党内調整への協力を要請する目的で開かれたが、早くも党内の取りまとめの難しさが浮き彫りになった。

首相は金丸氏に続いて安倍元幹事長、宮沢元蔵相、渡辺氏、河本元国務相の順で会談、「選挙制度改革に不退転の気持ちで対処したい」と答申具体化への協力を求めた。各氏とも改革の必要性については同意したが、安倍氏は「国会議員の身分、政党政治の根幹の問題であり、相当党内でも意見が出ている。具体的問題となると容易ではない」との認識を表明した。

宮沢氏は「新人の意見を聴く場をつくるべきだ。野党への根回しをしっかりやってほしい」などと注文をつけた。渡辺氏も「問題は各論だ」として①無所属立候補の制限②答申内容の一括処理の方針で当たるべきだとの条件を示した。安倍氏は「参院改革、政党法を抜きにしては進められない」と指摘。河本氏は「早く改革の全体像を明らかにすべきだ。小選挙区制にするとなぜカネが掛からないか、など十分な説明がされていない」と述べた。《共同通信》

【平成2年度予算案】衆院通過

平成2年度予算案が10日、衆院を通過したのに伴い、国会の焦点は今国会最大の懸案である消費税問題をめぐる与野党の本格攻防に移った。攻防は衆参両院に設置される税制問題特別委員会を主舞台に、政府提出の消費税見直し法案と野党四会派が共同提出した廃止関連四法案の処理を軸に展開される。

ただ、両法案の本格審議入りは予算成立後の6月中旬以降とみられることから、6月26日までの今国会の会期内に決着をつけるのは困難との見方が強い。このため消費税存廃問題は秋の臨時国会に先送りされる見通しが強まっているが、消費税問題をめぐる自民党、野党各党の思惑が複雑に絡み合っており、先行きは極めて不透明だ。

予算案の衆院通過後の後半国会では、11日からの参院での予算審議と行して衆院では予算関連法案の処理、消費税問題を軸に与野党攻防が激化する見通し。《共同通信》

【政界メモ】フランス男性の評価は?

○…海部首相は10日午前、選挙制度改革の協力要請のため自民党の実力者回り。皮切りの竹下派事務所では、金丸元副総理が首相を待つ間、カメラマンを見回して「これだけ写真に撮られると総理も楽じゃないな」としきりに同情すると、すかさず首相と早大雄弁会仲間で口の悪い渡部同派事務総長が「どうせ総理は(学生時代は)週刊誌ばかり読んでいたんだから」と、言いたい放題。

一方、玄関で渡部氏の出迎えを受けた首相は「渡部君に出迎えてもらったのは初めてだ」と、ニコニコ顔。どんなうわさ話まされていたか、知らぬは首相ばかりといったところ。

〇…パリ滞在中の土井社会党委員長は10日、フランスのテレビ局のモーニングショーに生出演。政治、女性など矢継ぎ早に出されるキャスターの鋭い質問を浴びた。「あす首相になったら」との問いには「まず閣僚を考えなければ。役所も今のままでいいとは思わない」と、「政権を狙う党首にしてはいささか心細い答え。

「あなたの男のような話しぶりが成功している」との指摘には終了後もキャスターに「私はそんなに男っぽいかしら」と問い掛けるなど、フランス男性の評価の方が気になるようだった。(この項パリ)《共同通信》

【社会党・田辺誠副委員長】自民党・金丸元副総理と会談

社会党の田辺副委員長は10日夜、金丸元副総理を東京・元麻布の私邸に訪ね、最近の日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係などを中心に意見交換した。この中で田辺氏は、同党の深田国民運動局長が8日まで訪朝し、北朝鮮側が今年夏以降、対日関係の改善に乗り出しそうだとの感触を得たことなどを報告。両氏は日朝関係の“とげ”になっている第18富士山丸の乗組員抑留問題の年内決着を目指して努力することで一致した。

今後の段取りとして、ます田辺氏を団長とする社会党代表団が訪朝、その結果をみて金丸氏が訪朝することも確認した。田辺氏は来週中にも中山外相に会い、深田氏訪朝の報告をするとともに、朝鮮半島情勢について意見交換する。《共同通信》

【都はるみさん】復帰コンサート

昭和59年に引退し、今年歌手活動を再開した都はるみさん(42)の復帰後初のコンサートが10日夜、東京・渋谷のNHKホールで行われた。

ライトが踊り、いきなり「北の宿から」の前奏が響くと、会場は「ウォー」という大歓声。振りそで姿で登場した都さんに「ミヤコ」「はるみちゃん」の掛け声が飛び交った。一曲目を歌い終わった都さんは感無量の面持ちで「また戻って来ました」とあいさつ、ヒット曲をたて続けに熱唱した。このコンサートはNHKが総合テレビで異例の生中継をした。《共同通信》




5月10日のできごと