平成471日目

平成2年4月23日(月)

1990/04/23

【天皇皇后両陛下】国際花博をご見学

天皇、皇后両陛下は23日、大阪・鶴見緑地の花の万博会場で開かれた全国「みどりの愛護」の集いに出席後、午後は外国庭園や大阪府出展のいちょう館などを見された。

天皇陛下はグレーの背広、皇后さまは淡い緑の洋服に花飾りの付いた帽子姿。皇后さまは英国庭園の入り口で深紅のバラの花束をプレゼントされニッコリ。オランダ庭園では、民族舞踊による歓迎。皇后さまは木靴をはいた民族衣装の五歳の女の子の手をずっと握りながら、見学された。

大阪市内の宿舎に戻った両陛下は「美しい花、珍しい植物を楽しみつつ、人々が地球の緑の大切さを考える良い機会になることを期待しています」との感想を侍従を通じて述べられた。《共同通信》




【自民党・金丸信元副総理】北方領土「まず2島返還を」

自民党の金丸元副総理は23日午後、福岡市で講演し、国内政局、外交を中心に考えを述べた。この中で、金丸氏は日ソ間の最大懸案である北方領土問題について、ソ連側にも返還の空気が出ていると指摘し「(歯舞、色丹の)2島でもまず返してもらうべきだ。自分の領土なのに、と反発する人もいるかもしれないが、(駄目なら)買ってもいい」と述べ、当面は2島返還を求める段階的返還論の立場を明らかにした。

政府は北方領土問題について4島一括返還の方針を堅持しているが、ソ連側の姿勢はまだ硬いままだ。金丸発言は日日関係改善のため、日本側も4島一括返還にこだわらず、2島返還の話し合いから始め、領土問題解決の糸口を探る必要があるとの認識を示したものとみられ、論議を呼びそうだ。

金丸氏は副総理時代、来日したソ連のプリマコフ世界経「済国際関係研究所長(現大統領会議メンバー)と3回にわたり会談した際「せめて2島ぐらいさないと話にならない」と部分返還を強く促したことを明らかにした。その上で「ソ連は日本と手を握りたがっており、そういう(返還に応じる)空気が流れているのは確かだ」とソ連側にも変化の兆しが出ているとの見方を示した。

金丸氏は「まず、2島でも返還してもらう。私が首相なら腹をくくる」と述べ、今後海部首相が領土交渉の過程で段階的返還や買い戻しなどの具体的方法について政治決断をしなければならないとの考えを明らかにした。、同時に、金丸氏は「日本もシベリア開発や投資などギブ・アンド・テークでやるべきことは分かっている」と強調した。《共同通信》

【坂本三十次官房長官】4島一括返還が基本方針

坂本官房長官は23日の記者会見で、金丸元副総理が、福岡市での講演で北方領土問問題について「まず2島を返還してもらう」と述べたことに触れ「4島一括返還は、わが国の基本姿勢で、方針を変えることは考えていない」と述べ、ソ連に対し一括返還を求めるこれまでの政府の姿勢に変更がないことを強調した。《共同通信》

【海部俊樹首相】防衛大綱を堅持

衆院予算委員会は23日午前9時すぎから、外交・防衛と日米構造協議をテーマにした集中審議に入った。答弁の中で、海部首相は東欧、ソ連を中心にした国際情勢の激変に伴ってその取り扱いが注目されている「防衛計画の大綱」について「防衛力整備に果たした役割を評価する」とした上で、「その考え方を踏まえ、さらに今後の国際情勢の変化の中にあっても、専守防衛の大きな旗印の下で日本の平和を守り抜かなければならない」と述べ、大綱の基本的考えの見直しは行わないとの考えを強調した。政府側は国民総生産(GNP)比1%枠に代わる防衛費の歯止め策として、中期防衛力整備計画から採用された「総額明示方式」を次期防策定に当たっても引き続き堅持する方針を示した。

石川防衛庁長官は大綱策定時の昭和51年と現在の国際情勢に関し①米ソ両国の核の相互抑止という力の均衡が根底に存在している②日米安保条約が日本周辺の平和と侵略防止に大きな役割を果たしている―の二点を指摘し、大綱策定時と国際的枠組みの大きな変化はないとの認識を示した。

ソ連脅威論について石川長官は「米国もソ連の軍事力は同盟国にとって脅威であるとの認識に立っている」とした上で「(ソ連の軍事力は)量的削減はあるが軍事的蓄積は大きく、質的強化も続けられている」と指摘、依然としてソ連に潜在的脅威があるとの認識を重ねて表明した。

「総額明示方式」について橋本蔵相は「国民に安心してもらえる手法は大切だ」として財政当局の財政の弾力的運用を妨げない範囲で、次期防第力整備計画(次期防)策定に当たっても同方式を踏襲する考えを示した。《共同通信》

【海部俊樹首相】自民党・小沢幹事長と会談

26日に予定される第八次選挙制度審議会(小林与三次会長)の答申を前に、海部首相と自民党の小沢幹事長が23日昼、首相官邸で会談した。

政府与党が一体となって選挙制度改革を推進することを確認する。小沢氏は「改革のチャンスは今回をおいてほかにない」としており、首相が選挙制度改革を中心とする政治改革に、政権の命運を懸けて不退転の決意で取り組むよ一う強く要請。首相も「決断」を表明し、小沢氏に党内調整を依頼する運びとみられる。

両者は答申結果を尊重することを確認した上で、答申の柱となる衆院への小選挙区比例代表制並立型の導入推進のほか、政党法導入や参院選挙制度改革の必要性についても合意する見通しだ。

会談には坂本官房長官、大島同副長官、党側から中西啓介副幹事長が同席した。《共同通信》

【中国民航機乗っ取り事件】容疑者、カナダに永住権申請

中国民航機乗っ取り事件の張振海容疑者(36)=拘禁中=の弁護団は23日午前、在日カナダ大使館に対し、カナダ政府あての張容疑者の永住権許可を申請、受理された。永住権を許可するかどうかの結論は、同大使館員が東京拘置所に出向いて本人から事情を聴き、カナダ本国政府と連絡した上で下されるという。

張容疑者については20日、東京高裁が「中国側へ引き渡しできる場合に当たる」と決定を出し、近く法務大臣が引き渡し命令を出すことが確実視されている。

弁護団によると、今回の申請はあくまでも日本でハイジャックの刑事裁判を受け、処罰を受けることを前提にした上での措置。事前に東京地裁に申し立て中の引き渡し命令執行停止の決定を引き出すための戦術の一つとみられる。

永住権許可申請は実際に中国側へ張容疑者の身柄を引き隠されてしまえば実質的な意味を失う。このため、弁護団は23日朝、東京地裁に対し「現在、カナダ大使館が申請を許可するかどうか審査中。結論が出るまでにある程度の日数が必要なので、法務大臣の引き渡し命令が出た場合は直ちに執行停止してほしい」と申し入れた。

張容疑者の永住権申請が認められた場合でも、張容疑者がカナダへ出国するためには、法務大臣が命令を取り消すか、または東京地裁が命令の取り消しを命じることが必要である。《共同通信》

【長谷川信法相】張容疑者引き渡しを命令

中国民航機乗っ取り犯の身柄引き渡しについて、野党の一部や国際人権組織、在日中国人団体などから反発や批判が強まっている中で、長谷川法相は23日夕、同事件の張振海容疑者(36)の身柄について、逃亡犯罪人引渡法に基づき筧栄一東京高検検事長に対し引渡状を交付、中国当局への引き渡しを命令した。命令は20日の東京高裁決定を受けて、法相が容疑者について「引き渡し相当」との最終的判断を下したものだ。政府は事件直後から「国益の重大な侵害がない」などを理由に身柄引き渡し方針を決めており、法相の最終判断もこれ一を踏まえたものとなった。

この命令を受け、検事長は張容疑者が拘禁されている東京拘置所長に引き渡しを指揮する引渡状を交付した。弁護側は既に行政訴訟を東京地裁に提出している。しかし、執行停止処分が認められない限り、引渡し命令の翌日から30日以内に中国側に張容疑者は引き渡されることになり、早ければ月内にも引き渡される。

法相は引き渡し命令と同時に、中山外相に対し受領許可状を交付、外相も近く中国側に同許可状を送付する。中国当局は同許可状を示して、東京拘置所で張容疑者の身柄の引き渡しを受ける手続きになっている。

中国政府は今後、外交折衝で身柄引き取りの日程を詰めることになる。弁護側の法的対抗措置の成否にもよるが、このまま手続きが進めば連休前にも引き渡しは完了する見通しだ。

法相は張容疑者から出されている難民(政治亡命)不認収一定処分に対する異議申し出についても同時に再び不認定とし、却下した。《共同通信》

【中国・李鵬首相】ソ連へ

中国の李鵬首相は23日朝、四日間のソ連公式訪問のため、特別機で北京を出発した。同日夕(日本時間同深夜)モスクワに到着、ゴルバチョフ大統領らソ連首脳との会談で、両国関係の発展を図るほか、国際情勢について意見交換する予定。

李首相には銭其琛外相、甘子玉国家計画委主任、徐信・軍副総参謀長、トムール・タダマワト新疆ウイグル自治区人民政府主席らが同行。空港では江沢民党総書記、姚依林、具学謙両副首相、遅浩田軍総参謀長らが一行を見送ったが、出発に当たって首相外遊時に恒例の記者会見や声明発表はなかった。

中国首相の訪ソは25年半ぶりで、昨年5月のゴルバーチョフ氏の訪中で30年に及ぶ対立に終止符を打った両国が、その後社会主義をめくり顕在化した路線上の相違にもかかわらず、両国関係を安定、発展させるのが狙いだ。

ソ連首脳との会談では経済貿易協定、科学技術協力協定の締結で合意することが確実なほか、国境兵力の削減でも合意する見通しである。

対ソ国境の新疆ウイグル自治区内で最近、イスラム系少数民族運動が活発化、ソ連中央アジア部の民族運動と呼応する動きが出ていることから、少数民族問題が会談での焦点の一つとなろう。中国側代表団にウイグル族のダワマト主席が加わったのもそのためとみられる。《共同通信》

【中国・李鵬首相】モスクワ入り

中国の李鵬首相(共産党政治局常務委員)は23日昼、ソ連政府の招きによる四日間のソ連公式訪問のため、特別機でモスクワ入りした。中国首相の訪ソは故周恩来首相以来25年半ぶり。空港にはルイシコフ首相、シュワルナゼ外相が出迎え、両国国歌が吹奏される中、両国首相は儀礼兵を閲兵、ソ連政府の大きな歓迎ぶりを示した。

李鵬首相は到着に際して声明を発表、両国人民は友情で結ばれ、隣り合う社会主義国の間には関係発展の明るい見通しがあるとし、今回の訪問で政治、経済、貿易、科学技術、文化、教育など各方面で相互関係を促進させたいとの意向を表明した。

李鵬首相は、この日午後3時半(日本時間同8時半)からルイシコフ首相との第1回会談に入り、24日に2回目の会談を行う。モスクワの消息筋によると、ゴルバチョフ大統領との会談は24日に行われる予定だが、2回目の両国首相会歌の前になるか後になるかは未定という。

両国首相会談では経済協力の発展、強化が中心テーマとなり、滞在中に経済・貿易協力協定の調印などが行われる計画となっている。また、国境兵力の削減も大きなテーマで、中国代表団には徐信・人民解放軍副総参謀長が加わっている。注目されるのは、双方とも中央アジア部のイスラム系住民による分離独立運動などを抱えており、この問題でどこまで突っ込んだ話し合いが行われ、これが兵力削減にどう影響するかである。

中国の新疆ウイグル自治区では4月初めに騒乱が発生、死傷者が出る事態になったといわれるが、中国代表団の中にテムル・ダワマト同自治区主席が入っており、民族問題が話し合われることを示唆している。《共同通信》




4月23日のできごと