平成836日目

1991/04/23

この日のできごと(何の日)

【海部俊樹首相】「掃海隊派遣」各党に協力を要請

ペルシャ湾への掃海艇派遣問題と日ソ首脳会談をテーマにした海部首相と土井社会、石田公明、不破共産、大内民社の各党委員長との個別会談が23日午後、首相官邸で開かれた。

首相は「湾岸戦争の停戦が実現した。通商航路の確保のため、自衛隊法99条に基づいて掃海艇を派遣したい」として各党に理解と協力を求めた。これに対し基本的に賛意を示した大内氏以外の3党首は派遣に反対の意向を伝えた。しかし政府は、党首会談という手順を踏んだとして24日に安全保障会議、臨時閣議を開き、派遣を正式決定する。

首相は掃海艇派遣について「日本が原油の7割を依存しているペルシャ湾に1200個の機雷が敷設されている。イラン・イラク戦争の最中だった中曽根内閣当時は、法的には問題ないが政策判断として掃海艇を派遣しなかった。今回、日本の国家の存立のため派遣は避けて通れない」と政府の方針を説明した。

これに対し土井社会党委員長は、自衛隊法99条による派遣に反対の意向を強調。「歴代内閣は派遣できないと判断してきた。派遣の法的根拠を明確にせよ」と迫るとともに「プルトニウム輸送の護衛や地雷処理などに拡大の恐れがある。歯止め措置と、可能なもの、不可能なものを文書で示し、国会論戦に応じるべきだ」と求めた。首相は文書提出に応じる意向を示したが、国会審議は与野党の国対委員長間で協議することになった。

石田公明党委員長も「自闘隊法99条の掃海任務は近海に限られている。国際貢献の必要性は分かるが、自衛隊の使用にはもっと議論が必要だ」と撤回を求めたが、首相は「通商路確保の必要性」を繰り返して撤回に応じなかった。

共産党の不破委員長は「自衛隊そのものが違憲であり、派遣には全面的に反対だ」と表明した。

一方、大内民社党委員長は「問題はない」として派遣に賛成するとともに、歯止めとして①平時掃海と戦時掃海を厳しく区別する②日本の国益にとって死活的に重要な場合に限るーの2点を強調した。

日ソ首脳会談をめぐっては海部首相が「共同声明に北方領土四島の島名を明記できた」などと成果を強調したのに対し、野党側は「玉虫色だ。1956年の共同宣言が確認されたと言えるのか」(土井氏)「島名明記にとどまったのは残念だ。人的交流を拡大すべきだ」(石田氏)などと不満を表明した。《共同通信》

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【社会党・土井たか子委員長】党改革に全力

社会党の土井委員長は23日午前、国会内で記者会見し、統一地方選敗北の結果を踏まえた執行部の責任について「すべての責めは私が負う気持ちだが、生まれ変わるような新しい党をつくる気持ちで党改革をするのが責任ある態度だ」と述べ、委員長を辞任せず、党改革に全力を挙げる意向を表明した。

同時に辞任の意向を示唆している山口書記長をはじめとする執行部の責任問題も進退まで発展させるべきではないとの考えを強調した。

この結果、今秋にも開催される次期党大会までの土井委員長の「続投」が事実上確定するとともに、山口書記長らの進退も当面、棚上げされる可能性が出てきた。《共同通信》

【政界談話室】官房長官発表を先取り

○…自民党の小渕幹事長は23日の記者会見で、役員会での掃海艇派遣に関する公表前の坂本官房長官の発言内容を説明ー。「歯止め措置は」という質問に「歯止め?」と首をひねりながら、発言要旨を「全部読んだら官房長官の発表になっちゃう」と、黙読して「これを読む限り、具体的な歯止め論は申し上げていないように存じますが…」。

煮え切らない答弁に、しびれを切らした記者団が、今度は派遣の理由をただしたところ、小渕氏は結局坂本氏の発言要旨を読み上げる羽目に。口の堅いことで定評のある小渕氏、思わぬところでわきの甘さをさらけ出した格好。

◯…社会党の伊藤政審会長がこの日の税制問題両院合同協議会幹事会の冒頭、「専門者会議で憂うつな議論を24回やって、さわやかなフィナーレを迎える」と、消費税見直し問題にケリを付けた感想をひとくさり。

ところがこの表現が気に障ったのか、自民党の加藤政調会長が「憂うつとは何だ」「ようやく桜の散るころになって、カワズが穴から出てきたのか」と、やっと与野党合意に加わった社会党にかみついた。伊藤氏は「花の散る時なんだから、花も実もある決着にしよう」と応じていたが、痛い所を突かれた様子がありあり。《共同通信》

【松戸OL殺人事件】高裁、被告に無罪判決

昭和49年7月、千葉県松戸市で信用組合女性事務員=当時(19)=を乱暴して絞殺したとして、殺人罪などに問われた小野悦男被告(54)の控訴審判決公判が23日、東京高裁で開かれた。

堅山真一裁判長は「代用監獄で自白を強要したとのそしりを免れず、自白の任意性、信用性には大きな疑いがある」として一審・千葉地裁松戸支部の無期懲役判決を破棄、殺人・死体遺棄罪を無罪とし、婦女暴行事件など別件だけで懲役6年の判決を言い渡した。逮捕・起訴から16年余が経過しており、判決後直ちに釈放された。

事件当時「首都圏連続女性殺人事件」の犯人と報じられた小野被告が、唯一起訴された殺人事件で逆転無罪となったことで「代用監獄制度」や自白偏重の捜査方法、報道の在り方が新たな論議を呼びそうだ。

判決はまず「被告と犯行を結び付ける直接的な証拠は捜査段階の自白だけ」とした上で、自白が行われた別件での起訴後拘置中と殺人容疑で再逮捕後の取り調べについて検討。

「警察は連続殺人事件について自白を得るため代用監獄として新設警察署に単独留置し、捜査本部員に看守を充てて言動を報告させるなど、留置場を不当に利用しており、自白を強要したとのそしりを免れない」と批判し「被告は長期拘束で肉体的、精神的にも厳しい状況に置かれ、自白の変転が著しい」と自白の任意性を否定した。

自白の信用性についても検討を加え「自白は犯行方法や着衣の捨て場所など具体的行動で千変万化の変転を繰り返し、殺害方法と遺体の状況が食い違うなど客観的証拠に照らして不自然・不合理」と指摘。

「真犯人なら当然言及すべき事柄についての供述がなく、捜査の進展などと絡めて自白の変化をみると、取調官からの強い示唆、誘導や迎合の結果とみるべきだ」と決めつけた。《共同通信》

【イラン】領空開放

米政府は23日、イランがイラクから避難したクルド人を含む難民への救援機に領空を開放する姿勢を伝えてきたことを明らかにし、早急に救援活動を開始する方針を表明した。

フィッツウォーター米大統領報道官はこの日の定例記者会見で、具体的な救援活動の計画を詳しくは掌握していないが「米国の救援機が直接イランに飛行すると思う」と述べ、米国がイラン領空に飛行する可能性を初めて認めた。

米国務省スポークスマンは、米政府として国連機関を含めた国際的な難民救援機関と協調して難民援助を進めるが「種々の方法のうち最も効果的な方法を考えている」と述べた。《共同通信》



4月23日 その日のできごと(何の日)