平成409日目

平成2年2月20日(火)

1990/02/20

【海部内閣】お家安泰足取り軽く

自民党の安定多数確保に笑みのこぼれる各閣僚。その中でただ一人落選した江藤運輸相は、カメラを意識してか、ひたすら冷静さを装った。20日朝、総選挙後初の閣議が開かれ、首相官邸に続々閣僚たちが集まった。「お家は安奏」。この日ばかりは和んだ雰囲気で互いに握手を交わしあった。

午前9時20分ごろ、まず海部内閣の“目玉大臣”、森山官房長官と高原経企庁長官が相次いで入邸。選挙期間中、全国を回って売れっ子だった二人はニコニコ顔。高原長官は「予想以上…。よく勝った」と満足そうだ。

大石郵政相も足取りは軽い。「参院と違って、みなさん組織がしっかりしてるし、危機感もあって頑張ったからね」。「逆風は」の質問に「そ一りゃ吹いた、吹いた」。「選差を終えて(官邸の)この階段を上がるのはいい気持ちだ」と原田建設相。不透明な政局にも「政治は妥協。話し合いで…」と淡々とした口ぶり。

議席を失った江藤運輸相には、一斉にテレビライトが当たった。「珍しい物を写されるみたいだね」と苦笑い。「別にどうってことはない。役所にはすまんことをしたが、自分のことだから…」。次第に笑みが消えた。海部首相が現れると「総理、ただ一人…」と頭を下げた。

一方、海部首相はこの朝、自民党の実力者が頭越しに野党との連立に動いている、との報道にムッツリ気味だったが、カナダのマルルーニー首相から祝いの電話がかかると一転、上機嫌。「サミットでまた会いましょうと言わたよ」と記者団に語り、安定多数は自分が取ったとばかり、政性維持に意欲たっぷりだった。《共同通信》




【海部俊樹首相】「心を引き締め職務精励を」

海部首相は20日の閣議後の閣僚懇談会で、総選挙結果について「皆さんのおかげで自民党が安定多数を取れ、危機を切り抜けることができた」と各閣僚に謝意を表明するとともに、「なお改革すべき難しい課題がたくさん山積しているので、今後とも心を引き締め精励していただきたい」と各閣僚に指示した。

首相は落選した江藤運輸相、藤本官房副長官に対し「公務多端のため選挙区での時間不足が災いし残念で心が痛む。けん土重来を期してほしい」と慰労。運輸相は「海部内閣が最低の条件から立ち上がり、自民党がここまでの結果となったことをお祝いしたい。満点の結果に傷を付け申し訳ない」と述べた。《共同通信》

【海部俊樹首相】自民党役員人事を調整

第2次海部内閣発足に向け海部首相は20日、自民党役員・閣僚人事について、再任が決まっている小沢幹事長(竹下派)をはじめ各派実力者の意向を打診しながら調整した結果、新三役を竹下、安倍、宮沢の3派で構成、旧中曽根派に対しては衆院議長に桜内義雄元外相を充てることを内定した。

これまで党三役を外されていた宮沢派に割り振ることになったのは、挙党態勢を目指す首相の意向に沿ったものだ。幹事長を除く党三役のうち政調会長には安倍派の加藤六月元農相が内定、総務会長には宮沢派の加藤紘一元防衛庁長官の就任が有力となった。《共同通信》

【自民党・小沢一郎幹事長】消費税「前提なしで協議」

自民、社会、公明、共産、民社、社民連の6党幹事長・書記(局)長の共同記者会見が20日午後、東京・永田町の国会記者会館で行われた。

この中で自民党の小沢幹事長は、消費税の扱いについて「いまのままではぶつかり合うだけだ。与野党で十分協議する。その協議に何ら限定をつけているわけでない」と述べ、見直しか廃止かの前提条件を置かずに白紙で与野党協議に臨むとの柔軟な姿勢を表明した。

一方、野党側はそろって「消費税は当然廃止という手一順でいくべきだ」(山口社会党書記長)と廃止を迫った。しかし、具体的対応としては社会党が凍結を前提にした協議、公明、民社両党は徹底審議を通じた歩み寄りとニュアンスは違うものの、話し合い重視の姿勢を示した。消費税問題について小沢氏は衆院で安定多数を得たが、何もかも自民党の主張通りでいいのだというつもりはない―として、与野党協議による打開に意欲を示した。《共同通信》

【東京】震度4

20日午後3時53分ごろ、東京で震度4の中震を記録するなど関東を中心に東北から近畿にかけての広い範囲で強い地震があった。気象庁の観測によると震源地は伊豆大島近海で、震源の深さは約20キロ。マグニチュード(M)は6.6と推定される。伊豆大島では本震の後、震度3(弱震)を最高に震度2(軽震)と1(微震)クラスの有感地震がしばらくの間続いた。この地域でM6クラスの地震が起きたのは、昭和61年11月以来。東京地方の大きな地震は昨年2月の震度4以来で、この地震による津波の発生はなかった。

この地震で東海道、東北、上越新幹線が一時ストップ、ダイヤに遅れが出た。羽田空港も滑走路などの点検のため一時、離発着を見合わせた。また伊豆大島では4カ所で土砂崩れが起き、男性1人が首まで埋まって軽いけがをした。

気象庁地震火山部によると、今回の震源は、五十三年1月に7.0を記録した伊豆大島近海地震の震源域内で、M6.7を記録した55年6月の伊豆東方沖地震の震源域の南側に当たる。今回の地震はこの2つの地震のように群発地震などの前震があっての本震ではなく、いきなり本震が来て余震が続いたのが特徴。気象庁は「火山性の気になるデータは出てないので、伊豆近海の地殻のひずみが原因と思う。今後大地震が続いて起こるかどうかは、何とも言えない」としている。《共同通信》

【米・チェイニー国防長官】沖縄訪問

韓国、フィリピン訪問を終えたチェイニー米国防長官は20日午後、東京へ向かう途中沖縄県に立ち寄り、同県庁に西銘順治知事を表敬訪問、約30分間、在沖縄の米軍基地問題で意見交換した。

西銘知事は(1)沖縄に集中している米軍施設・区域の整理縮小の検討(2)リゾート開発上必要な地域にある施設の返還(3)基地の安全管理の徹底と多発する事件、事故の未然防止―などを盛り込んだ要望書を同長官に手渡した。

表敬訪問は非公開で行われ、この後記者会見した村山盛敏知事公室長によると、西銘知事の要望に対しチェイニー国防長官は「米軍と沖縄県民との友好関係が円滑にいくことが重要」とした上で「沖縄県の要望は東京で本政府と十分話し合い、要請にこたえ「よう努力したい」と語った。《共同通信》

【ナディア・コマネチさん】来日会見

昨年11月ルーマニアから亡命、現在米国に住むモントリオール五輪女子体操金メダリスト、ナディア・コマネチさん(28)がテレビ出演のためこのほど来日、20日東京・麹町の日本テレビで記者会見して「私に関して多くの誤ったことが伝えられている」と、数々のうわさを否定した。

薄紫のパンツスーツに身を包んだコマネチさんは、亡命当時の写真よりかなりほっそりとした感じ。コマネチさんは「自分に関しての誤った報道」として、チャウシェスク前大統領の二男ニク氏と特別な関係にあったこと、ルーマニアで特権的な生活をしていたことなどを挙げ「いずれも腹立たしいこと」と否定した。また、妻子ある米国人男性との仲についてもきっぱり否定、「私の恋人はミハイという30歳のコンピューター技師。今はルーマニアに居るが、2、3カ月後には米国に来て結婚する予定」と語った。

現在、コマネチさんは自らの半生を描いた映画を監修するためロサンゼルスに住む。「ルーマニアに自由が戻ってうれしい」と言いながら、今後は母、弟をルーマニアから呼び寄せ、米国の市民権を取って、体操のコーチをしていきたい、と抱負を語った。《共同通信》

【西独・コール首相】東独で初演説

西ドイツのコール首相は20日夕(日本時間21日未明)東ドイツ南部のエアフルトで行われた保守系の「ドイツ連合」の選挙集会に参加、市内中心部のドーム広場を埋め尽くした約10万人の大群衆の熱狂的な歓迎を受けた。

この日の集会は3月18日の自由選挙に向けて、保守系のキリスト教民主同盟(CDU)民主主義の出発党(DA)社会同盟(DSU)の3党で構成するドイツ連合が組織した最初の選挙集会で、事実上の選挙戦の本格的スタートとなる。

「われわれの祖国ドイツの首相」と紹介されたコール首相は、群衆に向かって「市場経済が導入され、条件が整いさえすれば、大企業から手工業者まで、多数の西ドイツの企業家が東ドイツに大量に投資をする」と約束、年金生活者、失業者にも手を差し伸べると訴えた。

コール首相は投票日まで東ドイツ全国各地で合計6回の遊説を予定している。《共同通信》




2月20日のできごと