平成642日目
1990/10/11
この日のできごと(何の日)
【第18富士山丸事件】船長ら2人帰国
昭和58年11月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)にスパイ容疑で抑留された第8富士山丸の紅粉勇船長(60)=神戸市須磨区=と栗浦好雄機関長(59)=福岡市早良区=の2人が11日朝、平壊で北朝鮮当局から釈放され、自民党代表団(団長・小沢幹事長)と社会党代表団(団長・土井委員長)とともに同午前11時40分、羽田空港着の全日空特別機で帰国した。
紅粉船長らは北朝鮮で62年12月、教化労働15年の判決を受け服役、釈放は約6年11カ月ぶり。2人は羽田到着後、妻ら家族と機内で感激の再会、直ちに東京都内の病院に入院し、健康診断を受ける。
富士山丸問題の最終的解決で日朝間のとげは取り除かれた形となり、両政府は9月下旬の自民、社会両党代表団と朝鮮労働党による共同宜言に沿って国交正常化交渉に取り組むことになり、日朝関係は大きく前進しそうだ。
紅粉船長らの釈放は9月26日、訪朝した金丸元副理、田辺社会党副委員長と北朝鮮の最高指導者金日成主席との会談で合意。これを受けて、朝鮮労働党創建45周年式典に出席のため、9日訪朝した土井社会党委員長の代表団と10日訪朝した小沢自民党幹事長の代表団が北朝鮮当局との間で釈放の時期、方法などを詰めた。
しかし、紅粉船長ら2人をスパイと断じ、金主席の超法規的措置で帰還を認めるとの立場をとる北朝鮮側と、一貫して人道的見地から早期釈放を求めた日本側との対立は最後まで続いた。結局、北朝鮮側の要望を受け入れ自民、社会両党の謝意を盛り込んだ朝鮮労働党あての礼状を出すことで合意に達したが、その内容や表現をめぐる三党間の調整は難航、最終決着は平壌出発直前の11日朝まで徹夜で続けられた。
紅粉船長ら2人は、平壌空港から特別機が出発する直前にタラップの上で、北朝鮮側から日本側へ身柄を引き渡された。
北朝鮮から日本側に伝えられていた情報によると、紅粉船長は高血圧、動脈硬化で体調は思わしくなく、また栗浦機関長も糖尿病と胃かいようが悪化、手術を受けるなどしており、健康状態には不安があるため、2人は代表団に同行した日本政府委嘱の医師から機内で簡単な健康診断を受けた。《共同通信》
◇
海部首相は11日午前、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が紅粉船長らを釈放したことについて「心うれしいことだ。お二人は7年間頑張ってこられたわけだし、北朝鮮も人道的な立場に立って二人を帰国させた。非常にうれしいことです」と北朝鮮の釈放を歓迎した。首相官邸で記者団の質問に答えた。《共同通信》
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【TBS連続ドラマ・渡る世間は鬼ばかり】第1シリーズ放送開始
【プロ野球】
近鉄4−10西武◇11日◇西武
2本塁打で5打点。デストラーデのバットが猛威を振るった。二回、無死一塁で先制の2点本塁打を右越えに、五回は一死一、二塁で43号3ランを右中間に運んだ。本塁打で2位の清原らに5本差をつけ、打点は106でトップの石嶺に並んだ。
工藤は三回、二死から3四球を出し鈴木に満塁本塁打を浴びて逆転されたが、打線の援護で8連勝の9勝目を手にした。二番手の渡辺智はプロ入り初セーブを挙げた。《共同通信》
【政界メモ】
○…海部首相は11日、難産の国連平和協力法案について記者団から質問攻勢を受け「言葉じりをとらえて言わんで下さい。相撲と同じで大きな土俵の中でいろいろな過程があるが、結果を見てくれ。結果に対しては責任を持ちますから任せて下さい」と、日ごろのソフトムードにしては珍しくきつい表情でぴしゃり。
しかし「法案の成立に責任を持ちますか」と食い下がられると「そんなことは言ってません。国会のことは国会で決めるのだから。私は法案の取りまとめに対し責任を取ると言ったんです」—。選挙制度改革のように「政権の命運をかけて」との決意は聞かれなかった。
○…この日の税制問題両院合同協議会の専門者会議は、自民党の加藤政調会長と社会党の大出国対委員長が用事でそろって遅刻したため、20分遅れで開会。待ちぼうけを食わされた民社党の中野政審会長は加藤氏が到着すると「2
人がいなければまとまるから、会議を始めようということで一致したんですよ」と皮肉交じりのジャブ。「それでは出て行くから決めてくれないか」と加藤氏が冗談で切り返すと「(出て行くより自社の)2人でまとめてもらっていいんですよ」と応酬した。自社対立で民社党が主張する消費税問題の年内決着が遠のいているだけに、中野氏の言葉は冗談ばかりではなさそう。《共同通信》