1990 平成2年10月12日(金)のできごと(何の日)

平成643日目

平成2年10月12日(金)

1990/10/12

【海部俊樹首相】所信表明演説

海部首相は12日午後4時すぎから衆院本会議で所信表明演説を行い、臨時国会最大の焦点である国連平和協力隊の創設を柱とする国連平和協力法案に対する国民の理解と支持を求めた。

首相は、協力隊創設を国連中心の国際的な平和努力への法体制の整備で、「恒久平和の確立という憲法の理念を推進するもの」と位置付け、冷戦後の世界の新秩序づくりに向け「国際社会で日本が置かれた立場に伴う当然、必要不可欠のコスト」と強調した。

イラクのクウェート侵攻に伴う中東湾岸危機は「日本の平和国家としての生き方を厳しく問われる戦後最大の試練」との厳しい受け止め方を示し、協力隊への自衛隊員参加に言及。①憲法の枠組みの下②武力による威嚇、武力行使はしない―との原則を強調した。

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とは「当局間対話の道筋」が生まれたと国交正常化交渉の開始を歓迎し応じる意向を表明、過去の植民地支配に対し「深い反省と遺憾の意」を示し、謝罪した。首相は午後5時すぎから参院本会議でも演説した。

首相の所信表明の大半は中東情勢、協力隊創設を中心とする外交問題に充てられ、イラクのクウェート侵攻・併合を世界が「平和共存の新しい秩序に向け動き始めたときに、世界の人々の希望を真正面から否定するものだ」と、重ねて厳しく非難。併合の既成事実化は絶対に許さないとの姿勢を明確にした。

その上で国連安保理の諸決議を「公正な平和」を目指すものと評価し、日本も「平和回復のための国際的努力を傍観せず、できる役割を積極的に見いだし、果たして行かねばならない」と、日本の積極的貢献の重要性を訴えた。首相は「平和国家」とは「国際社会の一員として平和を守る「責任を果たす用意がある国」との認識を明らかにした。

首相はこの責任を①軍事大国にならない②戦争放棄―などの理念と立場に合致する方法で果たしていくとし、具体的には高まる国連中心の国際的努力に人的、物的両面で協力することの必要性を強調した。イラクとは政治対話の道を閉ざさず、日本人人質を含めイラクが拘束中のすべての外国人の解放への努力に全力を挙げると述べた。

日朝関係改善で首相は、朝鮮半島情勢の大きな変化に言及、米韓両国との十分な連携をとって日朝間の話し合いを進める方針を確認。「過去の一時期、わが国の行為により耐え難い苦しみと悲しみを体されたことに深い反省と遺憾の意を表する」と、昨年3月当時の竹下首相答弁を一層直接的にした表現で、北朝鮮も含む朝鮮半島全域の人々に謝罪した。

これまで内閣の命運をかけるとしていた選挙制度改革については「できるだけ早く成案を得る」と述べただけで、11月の国会開設100年をめどに成案をまとめるとの従来の発言をトーンダウンさせた。《共同通信》




【長良川河口堰】建設省「環境損なわない」

河川保護問題で全国から注目されている長良川河口堰建設に絡み、建設省と水資源開発公団は12日、同川周辺の動植物生態についての調査などを含めた報告書をまとめた。長良川の環境について総括的な報告書を同省がまとめ、公表するのは初めて。

報告書は「河口堰建設は自然環境に多大な影響を与える」とした日本自然保護協会の研究者グループの意見書に全面的に反論、建設によって動植物の生態を含め環境が損なわれることはないと強調している。

一方、水資源開発公団は今月中旬にも工事再開の方針を決めているが、工事中止を求める市民グループの反発は必至で、建設省側は今後も建設促進のため難しいかじ取りを迫られそうだ。《共同通信》

【社会党・浅沼稲次郎元委員長】30回忌

「ヌマさん」「人間機関車」の愛称で親しまれた浅沼稲次郎元社会党委員長が演説中に右翼の凶刃に倒れて30回忌の12日、同氏をしのぶ墓前祭が東京・府中市の多磨霊園で行われた。

墓前祭には、臨時国会召集日という多忙な中を社会党の土井委員長、山口書記長ら同党関係者や楊振亜駐日中国大使らが参列した。

あいさつに立った土井氏は「浅沼先生の警咳に接した党員は少しずつ減り、時は移り、人は変わっても、先生の志とその生涯は脈々と生き続けている」と故浅沼氏をしのんだ。《共同通信》

【政界メモ】協力法案の議論に闘志

○…自民党の小沢幹事長は、12日午前の記者会見で、国連平和協力法案の骨格が決まったことに対する心境を聞かれ、「それは政府に聞いて下さい。私には分かりません。内容は政府が聞いているので、法案(要綱)がまとまった時に党機関にかけることになる」とそっけない返事。

もっともその後の両院議員総会では、臨時国会開会を前に「この国会はこれからの日本の在り方を含めた議論の場になると思う」と記者会見とはうって変わったあいさつ。平和協力法案の取りまとめに当たっては、終始渋る海部首相のしりをたたいて自衛隊の海外派遣色を鮮明にさせた張本人だけに闘志をみなぎらせていた。

○…塩崎総務庁長官はこの日、閣議後の記者会見で、国勢調査員の主婦が殺された事件について「非常に残念な事件で、お気の毒なことをした。これを反省材料に調査員の安全対策を考えたい」と神妙に切り出した。記者団から再発防止策を聞かれると「税金と同じように、自然に調査が出てくる仕組みを何とか考えたい」と、大蔵省主税局長出身の税制通らしいアイデアを提示。

「僕が大蔵省にいた昭和22年ごろは、税金の自己申告制度が浸透していなかった」と昔話をひとしきり。主税局の発想で、国勢調査の自己申告をしない人には罰則規定導入を考えているのかも。《共同通信》




10月12日のできごと

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