平成1364日目
1992/10/02
この日のできごと(何の日)
【柔道】男子日本代表監督に山下泰裕氏
全日本柔道連盟は2日、強化委員会を開き、4年後のアトランタ五輪に向けた新体制を決定。全日本男子監督を務める強化ヘッドコーチに山下泰裕氏(35)(東海大助教授)が就任した。86年以来、7年間にわたって指揮をとった上村春樹氏(41)(旭化成)の辞意を受けて人選が進められていたもので、4年後を見据えた強化を行うため、指導陣の思い切った若返りが図られ、ソウル五輪後から4年間、全日本男子の強化コーチをしている山下氏に白羽の矢が立った。11月28、29日、東京体育館で行われる嘉納杯国際大会で、初のさい配を振るうことになる。
山下新監督は熊本県出身。東海大2年の77年、19歳11か月の史上最年少の全日本チャンピオンになった。80年のモスクワ五輪は幻に終わったが、84年のロサンゼルス五輪は、右足肉離れを押して無差別に優勝。3度の世界選手権で計4個の金メダルを獲得した。85年、全日本9連覇で引退するまで203連勝を達成、84年には国民栄誉賞を受けた。
なお、上村前ヘッドコーチは男子強化部長に就任。女子ヘッドコーチには、野瀬清喜・女子コーチ(40)(埼玉大助教授)が昇格した。野瀬新監督は東京教育大出身で、ロサンゼルス五輪86キロ級の銅メダリスト。
山下泰裕・男子ヘッドコーチの話「責任の重さを感じて、身の引き締まる思いがしている。日本柔道は、いまは世界一だが、外国勢の力も上がってきており、よほど気を引き締めていかないと、抜かれてしまう状況にある。強化コーチとカを合わせて、全力で指導に当たり、アトランタでは過半数の金メダル獲得をめざしたい」
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【JR西日本・WIN350】公開
山陽新幹線での時速350キロ運転を目指して試験走行を続けているJR西日本の新型新幹線「WIN350」(6両)が、2日夜、初めて報道陣に公開された。時速300キロを超えると小きざみな揺れがあるが、車内は東海道新幹線の「のぞみ」よりやや静かな印象。しかし車外は高速時で「沿線で75ホン」という環境庁の暫定基準をクリアできず、平成6年春の開業は不可能になった。
8月8日の試運転で日本最高記録を350.4キロに更新した後、環境対策に重点を置き、山口県の小郡—新下関間48キロで週3回行われている。小郡駅を発車後ぐんぐん加速。6分余りでこの日の最高速度、314.1キロをマーク。約12キロにわたり、310キロ前後で運転、通常の「こだま」より3分早い15分で新下関に着いた。《読売新聞》
【自民党】金丸氏、竹下氏に「けじめ」要求相次ぐ
自民党政治改革本部の選挙制度部会(石井一部会長)が2日午後開かれ、選挙制度改革論議とは別に、佐川急便事件に絡んで政治資金規正法違反の罰金刑を受けた金丸前副総裁や、昭和62年の総裁選時の暴力団との関係が指摘された竹下元首相に対し「けじめ」を求める声が相次いだ。
会合で石井部長が今後の部会議論の基本方針を提示した後、出席者に意見を求めたのに対し、まず山本拓衆院議員(三塚派、当選1回生)が「金丸さんに政治改革本部長を務めてもらうぐらいのことをすべきだ」と皮肉たっぷりに発言。
これがきっかけとなって他の出席者から「地元で集会を開けば、支持者に事件のことで謝ってばかりだ。金丸さんのけじめがついていないというのが国民の考え方だ。暴力団、派閥政治にけじめをつけ、国民に説明する必要がある」「自民党の体質を変えなければならず、けじめをつけることが自民党の政治改革の大きなテーマだ」などと、東京地検の事情聴取を最後まで拒否した金丸氏の対応に不満の声が続いた。
これに対し石井部会長が「金丸氏ひとりの責任にして何が変わるのか。構造的な問題を生む選挙制度改革にまずメスを入れるべきだ」と議論の鎮静化に努め、同席していた粕谷茂本部長代理も「金丸さんは(今回の事件を)非常に深刻に受け止めている」と紹介した。《共同通信》
【宮澤喜一首相】ポーランド外相と会談
宮澤首相は2日、首相官邸で、来日中のポーランドのクシシトフ・スクビシェフスキ外相と会談、日本のポーランド向け融資実施のためには、ポーランドが国際通貨基金(IMF)と交渉中の財政赤字削減などの経済改革プログラムで合意することが不可欠との立場を伝えた。 スクピシェフスキ外相が、平成2年1月の海部前首相の同国訪問の際に約束した5億ドルの日本輸出入銀行融資、3億5000万ドルの貿易保険枠の設定がいまだに実施されていない、として、早期実施を要請したのに答えたもの。
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政府は2日、ポーランドに対して、ワルシャワ大学の日本語講座拡充のため4400万円の文化無償協力を行うことを決め、同日、外務省で渡辺美智雄外相とクシシトフ・スクビシェフスキ外相が書簡を交換した。また、日本、ポーランド両政府は今後、日本がポーランドへ青年海外協力隊を派遣することで合意、両外相が同日、交換公文に署名した。東欧圏では、日本が同協力隊を派遣するのはポーランドがハンガリーに次いで二番目。《読売新聞》
【広島県】43万世帯が断水
100万都市・広島を中心とした広島県西南部の5市19町で、約60万世帯の水道水の水源となっている太田川に劇毒物のシアン化合物が流入していることが2日朝判明した。広島市水道局と県企業局は同日正午から7時間40分にわたって取水を停止し、同夜になって給水も全面ストップされた。このため約43万世帯が断水し、夕食時の水道水を断たれた市民はミネラルウオーターを買いに走るなど、“防衛”に追われた。工業用水も止まり、マツダ本社工場(同県府中町)では乗用車1000台の生産ラインがストップした。同県警は水質汚濁防止法違反の疑いで、流域周辺にある工場を中心に汚染源の捜査を開始した。
同日午前9時半ごろ、同市安佐北区可部地区の太田川でフナ、ナマズ、ハヤなど数千匹の魚の死体が浮いているのがみつかり、市水道局などの水質検査の結果、最高0.04ppmのシアン化合物が検出された。このため、同日正午に上水道、午後1時に工業用水の取水をストップした。給水は続けたが、同7時、浄水場の貯水が底をつき給水を全面ストップ、約43万世帯で断水が相次いだ。
断水は、佐伯区を除く同市内全域と東広島市内の一部の家庭から始まった。その後シアンが、拡散して検出されなくなり、同7時40分に取水を再開したが、全家庭に完全に給水できるまで、取水再開から約時5間かかるため、復旧は3日未明になる見込み。
水質検査では、太田川本流の用水路合流点の上、下流300メートルと用水路400メートルからシアンが検出され、同川左岸で最高0.04ppmを記録した。
県企業局、市水道局は取水をストップした後、取水停止前の浄水場の水について動物実験をした結果、異常はないと判断、夜まで給水を続けていた。給水ストップで、水圧が弱い高台の東広島市周辺から水が出なくなり、夜には広島市内など平地でも断水に追い込まれた。
東広島市では給水車14台が出動、公民館、集会所などでポリ容器などを手にした市民に給水した。県、広島市では医療機関用に20リットルの容器2130個を用意して緊急事態に備えた。
広島市中区のオフィス街にあるコンビニエンスストアでは、断水情報が流れた午後6時半ごろから、飲料水を求める客が殺到。ミネラルウオーターや缶入りウーロン茶、麦茶計二百数十本が売り切れた。さらに、「水の代わりになったのか袋入りの水約100個もすぐに底をついた。日量3万3000トンの工業用水を冷却用などに使用しているマツダ本社工場では、午後1時30分に給水が止まり、保管水が底をついた午後5時までに生産ラインがストップ。同県呉市の日新製鋼呉製鉄所でも夕方から一部の操業をストップした。
太田川は可部町地区下流の3か所に県企業局と市水道局の取水場があり、日量で上水50万4000トン、工業用水23万トンを取水している。広島市内の約40万世帯には市水道局が、また同市の一部と県西南部の19万4000世帯には県企業局が給水しており、太田川は約60万世帯の水源となっている。《読売新聞》
【ブラジル】刑務所で暴動、111人死亡
ブラジル・サンパウロ市北部のカランディル刑務所で2日午後、受刑者間の暴動が発生、ヘリコプターなどの支援を受けた軍警察が4時間後に鎮圧したが、受刑者111人が銃撃などを受けて死亡、35人が負傷、警察官も22人が負傷した。3日夕、記者会見したカンポス・サンパウロ州治安局長は「ブラジル史上最悪の刑務所暴動」と述べた。
会見や現地報道などによると、暴動は2日午後、同刑務所の9号棟(凶悪犯用、2076人収容)中庭で発生、受刑者同士のけんかが拡大して刑務所全体の暴動になったという。要請を受けた軍警察約600人が約2時間半後に出動、受刑者は隠していたピストルや手製のナイフなどで抵抗、2時間半後にようやく鎮圧した。
鎮圧後、刑務所からは13丁のピストルと数十の手製ナイフが発見された。111人は多くが銃撃で死亡したが、受刑者同士の乱闘によるものか、軍警の銃によるものか明らかでない。フレウリ・同州知事は事件に対して遺憾の意を表明。軍警では、鎮圧作戦に行き過ぎがなかったかどうか調査を開始した。
同刑務所は、定員3500人のところに7350人が収容されていた。80年代にも同刑務所で2回の暴動事件が発生、計23人が死亡したほか、別の刑務所でも暴動事件が頻繁に起き、犠牲者を出している。《読売新聞》