平成594日目
1990/08/24
この日のできごと(何の日)
【海部俊樹首相】金丸元副総理と会談
金丸元副総理は24日午後、海部首相を首相官邸に訪ね、29日からの初の訪中のあいさつを兼ねて約40分間会談した。
金丸氏は、政府の中東貢献策について「自衛隊を動かすことは憲法上、許されないことは分かるが、国連で決めたことに全く横を向いていることはできない」と指摘。具体策として①湾岸諸国への医薬品の早期提供②医療チーム、(救難用の)レンジャー部隊などの派遣―を挙げながら、「ただ金を出せばいいというものではない。やれるものからやるべきだ」と人的支援を進言した。
首相は「傍観しているわけにはいかない。日本も(中東情勢に)重大な関心を持っていると(各国から)言われるようにしたい」とし、積極的な貢献策を打ち出す考えを表明した。
会談後、金丸氏は記者団に対し「外国にすべて任せ、お助け下さいというわけにはいかない。(政府は)苦慮しているが、何とかしなければならない」と述べた。
また金丸氏は会談で、首相が中東歴訪を延期し、代わりに中山外相を派遣したことについて「事態が流動化している折、結果的によかった」と評価。同時に「海部内閣は国民の支持も高いので、今まで通りに命懸けで専心、努力してほしい。できるだけ支援したい」と首相を激励した。
中国訪問について、金丸氏は「日中両国の共存共栄のため、中国要人と十分に話し合い、状況も視察したい」と表明したのに対し、首相は「じっくり会談してきてほしい」と述べるとともに、最高実力者の鄧小平氏への親書を携行するよう要請した。《共同通信》
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【近鉄・野茂英雄投手】5試合連続2桁奪三振
近鉄7−1オリックス◇24日◇神戸
野茂が完投で13勝目。九回一死から石嶺、藤井を連続三振に仕留め計10三振。5試合連続2けた奪三振記録のプロ野球新記録を樹立した。
一回に石嶺に適時打されて先手を許す不安な立ち上がりだったが、三回に熊野に右前打されたあとはノーヒット。ここから許した走者は鈴木の失策による1人だけで、つけ入るスキを全く与えなかった。《共同通信》
【北陸新幹線建設促進期成同盟会】自民党本部で廊下陳情
北陸新幹線建設促進期成同盟会は24日、石川、富山など沿線各県の県職員約20人を動員、東京・永田町の自民党本部で開かれた同党交通関係合同部会会議室前にたすき、鉢巻き姿で詰め掛け、関係議員に廊下陳情を繰り広げた。
今月末の来年度政府予算の概算要求を控え、運輸省側が最終案を自民党関係議員に説明する会議で、北陸新幹線関係者はじめ九州、東北・北海道の整備三線の関係者約100人がのぼりや横断幕を持って集まり、年末の予算編成時期並みの熱気に包まれた。
「北陸新幹線の大幅予算獲得をお願いします」と会場に入る議員にゲキを飛ばし、「整備新幹線200億円以上の確保、鉄道整備五カ年計画の策定」などと書いたチラシを配った。北陸関係者によると、たすき、鉢巻き姿は近年にない行動で、「公共投資拡大の追い風が吹くチャンスを逃したらおしまい」との切羽詰まった気持ちからという。
同会議では、陳情団の熱意に答えて大野運輸相が「生活関連などで200億円確保できるよう財政当局との折衝に当たる」と決意を述べ、北陸を代表して栗田福井県知事が北陸新幹線建設費の拡大を要請した。石川、富山県からは沓掛、永田、鹿熊各参院議員が出席した。《北國新聞》
【政界メモ】自民は黄?緑?桃色?
◯…24日開かれた税制問題両院合同協議会の小委員会で、納税者番号制度導入の是非をめぐって野党内が賛成の社公民三党と反対の共産、連合参議院に真っ二つ。これを受けて座長の野田自民党税調副会長は小委の席上、信号機を例えに引いて「社公民は青、共産、連合は赤。自民は黄」と自民党の立場を説明した。
ところがこの「野田発言」の解釈をめぐって小委後の記者会見でまたも野党内が分裂。社会党の伊藤政審会長が「野田さんは青と黄を合わせたら緑になるから緑のものを出したらどうかと言っていた」と自民党の社公民寄りを主張すれば、共産党の正森衆院議員は「自民は黄色というより(赤に近い)桃色だ」と反論。これには自民党内から「我田引水ならぬ“我田引色”だ」との声も。
◯…29日からの訪中を前に、この日午後、金丸元副総理が首相官邸に海部首相を訪ねた。「海部内閣が始まってからここへ来るのは初めてだ。新客だな」と冗談を飛ばし、余裕たっぷりの金丸氏に対して首相の方は、「おはようございます」とあいさつを言い間違えるなど、政局のカギを握る自民党実力者を前に一年生議員のような緊張ぶり。
会談後記者団から「(最高実力者の)鄧小平さんへの親書を託したのか」と聞かれた首相は「そんな失礼なことはしません。後でお届けします」と異常とも言えるほどの気遣いをみせていた。《共同通信》
【中山太郎外相】“湾岸危機”自衛隊派遣探る
中東歴訪を終えた中山外相は24日、滞在先のストックホルム市内のホテルで同行記者団と懇談し、イラク軍のクウェート侵攻に端を発した湾岸危機への日本の貢献策に関連して見解を述べた。
この中で外相は「専守防衛の考えから自衛隊の海外派遣はできない、との考えを維持してきたが、国際国家としてどのようなことができるか議論をし、法律を整備しなければならない時期にはいってきたのではないか」と述べ、和平貢献へ、自衛官派遣への道を開くことを模索中であることを示唆した。
中東情勢が緊迫する中で、日本の有事法制の不備を指摘する声も増えているが、現職閣僚が自衛隊派遣の検討に言及したのは初めて。これは自衛隊法改正に結びつき、海外派兵を禁止した憲法との関連で野党の反発は必至で、中山発言は波紋を広げるとみられる。
外相は自衛隊の海外派兵を含むのかどうかについては「国として憲法の下でやり得るのか、政府は政府として、国会は国会として議論しなければならない」と直接的言及を避けながらも、あらゆる分野での抜本的な見直しの必要性を強調した。《共同通信》
【南アフリカ】3カ月の非常事態宣言
南アフリカ政府は24日午後、黒人同士の武力抗争によって500人を超える死者を出しているヨハネスブルク近郊のソウェトなど計25の黒人居住区に対し、公共安全法に基づき、3力月の非常事態宣言を発動した。
南ア最大の黒人組織、アフリカ民族会議(ANC)のマンデラ副議長はこの日、デクラーク大統領と緊急会談に臨んだ後、非常事態宣言の再発動は逆効果だと強く反発した。
ナタール州を除外した非常事態宣言の4年ぶりの解除に続き、8月上旬のANCの武力闘争停止の宣言と、交渉による平和的解決に向け歩み始めていた南アは、期間、対象地域とも限定的とはいえ、今回の非常事態宣言の再発動で大きく後退したといえる。
ANCとズールー族を主体とする民族文化解放運動(インカタ)の支持者による黒人同士の衝突は、四年前からインカタの支持基盤とするナタール州を中心に繰り広げられ、これが非常事態宣言継続の理由となっている。
デクラーク大統領は、この13日からヨハネスブルク近郊の黒人居住区に次々と飛び火した事態を憂慮し、これ以上の暴力の事態は交渉による平和的解決の流れを逆転させる恐れがあるとして、あえてこれまでの改革措置と逆行する強硬策を取ったとみられている。《共同通信》