平成2046日目
1994/08/15
この日のできごと(何の日)
【全国戦没者追悼式】
49回目の終戦記念日の15日、政府主催の「全国戦没者追悼式」が天皇、皇后両陛下をお迎えして東京・北の丸公園の日本武道館で行われた。村山首相がアジアなどの戦争犠牲者に対し「深い反省とともに哀悼の意を表す」と述べ、首相式辞として初めて日本の加害責任に触れた。土井衆院議長も昨年に続いて未解決の戦後補償問題に言及した。
来年の「戦後50年」を前に、桜井前環境庁長官の侵略戦争否定発言・辞任問題や、戦後補償、被爆者援護法などへの政府の対応に内外の注目が集まる中、立法・行政の長が日本の戦争責任を問い直し、戦後補償問題にも触れる異例の式典となった。
自民、社会、さきがけ3党の連立下で開かれる式典には遺族代表や政府関係者、各界代表ら約7500人が参列した。
式典では、朝鮮半島、台湾出身者を含む旧日本軍人・軍属約230万人と、海外で戦争に巻き込まれて死亡した民間邦人約30万人、国内で空襲や原爆などの戦災に遭った死者約50万人を追悼。
村山首相はめい福を祈った後「あの戦いはアジアをはじめとする世界の多くの人々に、筆舌に尽くし難い悲惨な犠牲をもたらした」と外国人犠牲者に言及した。
「その方々の苦しみと悲しみにも深く思いを致し、深い反省とともに謹んで哀悼の意を表したい」と述べた村山首相は「常に謙虚に、関係諸国と一層の信頼関係を築き、戦後の諸課題への対応にも力を尽くさなければなりません」と戦後補償問題への配慮を見せた。さらに「不戦の決意」を表明。「自らの歴史を反省し、戦争の悲惨さと幾多の尊い犠牲を若い世代に語り継がなければならない」と、「反省」という言葉を繰り返した。哀悼の意にとどまった昨年の細川元首相より踏み込んだ表現となった。
正午の時報を合図に、全員が1分間の黙とう。天皇陛下のお言葉に続いて土井衆院議長、原参院議長、草場最高裁長官、父を沖縄戦で亡くした遺族代表の団体役員谷嘉昭さん(63)=三重県四日市市=が追悼の辞を読み上げた。《共同通信》
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【政界談話室】
○…村山首相は15日、「全国戦没者追悼式」、「戦没者慰霊式典」に参列したことに加え、前日の桜井前環境庁長官の辞任もあって、午前中から口を一文字に結ぶ厳しい表情。記者団の質問にも一言、二言を小さな声で答えるだけだった。ところが公邸に戻ったとたん緊張が解けたのか、穏やかな表情に一転。記者団が「やっと本当の夏休みですね」と声を掛けると「そうじゃね。まあ2、3日ゆっくりしてきますわ」と笑顔で応じた。しかしその直後には「でも何があるか分からんから…」と付け加えるあたり、静養打ち切りはもうこりごり?
○…新生党の渡部恒三代表幹事代行はこの日、自民党議員とともに靖国神社を集団参拝した後、神社内で記者会見し「参る気持ちは一緒だ」と“呉越同舟”の感想を語った。自民党分裂のあおりで「みんなで靖国神社を参拝する議員の会」が分裂、両党議員が時間差で参拝した昨夏を振り返り「去年は分裂直後で顔も見たくない人もいた」とポツリ。同席した自民党の村上正邦元労相は「本当は一緒がいい。あんた(渡部氏)となら話し合える」と「議員の会」復活を呼び掛け、“保・保”のきずなの深さを盛んにアピールしていた。《共同通信》
【 JT株】嫌煙団体が買い付け自粛を要請
日本たばこ産業(JT)株の大口投資家を対象とする入札が15日から始まり、10月27日の上場に向けて証券関係者の関心が高まってきた。一方で、嫌煙運動を続けている団体が早速、有力投資家にJT株購入を自粛するよう要請するなどたばこと健康をめぐる議論が活発になってきた。
嫌煙運動団体の「タバコと健康全国健康会」(横田文吉会長)は15日、生命保険会社や銀行などの機関投資家163社へJT株の買い付けを見送るように申し入れた。「JT株購入には、有害商品を販売する会社に加担し、国民福祉に反する」と批判している。《共同通信》
【韓国・金泳三大統領】北朝鮮の軽水炉転換を支援
韓国の金泳三大統領は15日午前、忠清南道天安の独立記念館で開かれた解放49周年記念式典で演説し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対して「核の透明性を保証するなら、北の軽水炉建設に韓国の資本と技術を支援する用意がある」と述べ、韓国で使用しているタイプの軽水炉導入への支援を公式に表明した。
13日の米朝高官協議で、北朝鮮がプルトニウム抽出量の多い黒鉛減速炉建設を凍結し、米国が軽水炉転換を支援することで合意したのを受け、韓国政府としての立場を明確にした。大統領はさらに、軽水炉への転換支援は「民族共同体の未来をともに設計する。民族発展共同計画の初の事業となる」と、その意義を強調した。
金大統領は北朝鮮の核問題について「朝鮮半島の非核化共同宣言の順守から解決の糸口を探らなければならない」と指摘。「いつ、どこでも対話の門を開けている」と南北対話再開を呼び掛けたが、南北首脳会談の開催には言及しなかった。《共同通信》
【村山内閣】7閣僚が靖国参拝
社会党首相の下で迎えた49回目の終戦記念日の15日、村山内閣の閣僚が靖国神社を参拝した。同日中に橋本通産相、前田法相、野中自治相、亀井運輸相、玉沢防衛庁長官、高村経企庁長官、井出厚相の自民党、新党さきがけの7人が参拝、細川政権時に新生党閣僚4人が参拝した昨年を上回った。
村山首相が閣僚の公式参拝を自粛要請したい意向をいったんは表明、桜井前環境庁長官が直前に侵略戦争否定発言の責任を取って評するという異例の事態の中、各閣僚の対応が注目された。しかし、事前に参拝の意向を表明した閣僚は予定通り訪れたほか、参拝形式は公式参拝に沿った閣僚もいて、靖国参拝問題をめぐる連立3党間の認識の違いが鮮明になった。
「公人」と明言した閣僚はおらず、首相の意向を配慮したコメントが目立ったが、私、個人としながらも、橋本通産相、高村経企庁長官らは神道形式で参拝、「通算大臣」「国務大臣」と記帳した。玉沢防衛庁長官は党派の「みんなで神社に参拝する国会議員の会」とともに参拝した。玉ぐし料を納めた閣僚は2人でいずれも「私費」だった。村山首相と社会党5閣僚、河野外相、武村蔵相は首相の意向を重視を、参拝しなかった。《共同通信》