平成573日目
1990/08/03
この日のできごと(何の日)
【イラク軍】サウジ国境地帯へ南進
クウェートからの報道によると、首都を占領したイラク軍は侵攻二日目の3日、市内などで散発的な抵抗に遭いながらも、首都南方の工業地帯からクウェート南部の油田地帯に向かって戦車を先頭に進撃、クウェート全土の掌握を急いでいる。南部油田地帯はサウジアラビアと国境を接しているため「イラク軍がサウジ国境地帯に移動中」との米報道もあった。緊迫したクウェート情勢がペルシャ湾一帯に波及する恐れも強い。
一方、イラクのナンバー2のイブラヒム革命評議会副議長が同日、サウジアラビア入りしたほか、アラブ首長国連邦のザイド大統領がファハド・サウジ国王と会談、ファハド国王を中心とするアラブ内部の調停工作も本格化し始めた。
ヨルダンのフセイン国王は同日、イラクの首都バグダッド入りした。フセイン・ヨルダン国王によると、アラブ首脳会議が5日、サウジアラビアで開催され、イラクのフセイン大統領も出席に合意した。
クウェート現地では、3日午前6時から7時(日本時間正午から午後1時)の間に、首都北東部の工業地帯シュワイク付近で複数の爆発があった。この地域はクウェート国軍の兵群があり、クウェート軍の抵抗が最も激しいところとみられている。
また、この地域から25キロ離れた海岸線付近で激しい砲撃があり、軍の車両が炎上したと伝えられているが、どちらの側の車両かなど詳細は不明。
戦闘による死傷者は2日夜までで、クウェート王室関係者によると、300人だったとされるが、一般市民、在留外国人などはあまり巻き込まれていないもよう。首都に外出禁止令の発表もあったが、どの程度守られているかもはっきりしない。イラク占領軍の戦力は、公式には明らかにされていないが、侵攻前に国境付近に集結していた約10万の兵力と推定されている。
クウェート王室関係者によると、イラクは戦車350両、航空機40機を投入している。サウジ国境方面に進撃しているのはこのうちの一部とみられる。《共同通信》
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政府は3日、イラクのクウェート侵攻に抗議、西側諸国と共同歩調を取りながら、イラクへの混合借款凍結、原油輸入を含む貿易の停止などイラクへの経済制裁を実施する方針を固めた。
坂本官房長官は3日午前の記者会見で、イラク軍侵攻について「強く非難する。(イラク軍の即時撤退を求めた)国連安保理決議を直ちに履行するよう求める」と改めてイラクを厳しく批判するとともに今後の制裁措置について「欧米諸国との協調、国連、アラブ諸国の動向などを考慮し、日本がどのような措置を取り得るか検討中だ」と述べ、具体的な検討に入っていることを明らかにした。
政府は、海部首相が当初の静養日程を繰り上げ3日夜帰京するのを待って、改めて対応策を検討し制裁に踏み切る方針だ。《共同通信》
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海部首相は3日の長野県・軽井沢町での講演で、イラクのクウェート侵攻について「驚きとともに腹立ちを覚える。(米ソの影響力低下による)力の空白で地域の軍事大国、ボスが新しい混乱を巻き起こすという懸念が当たった」とイラクの行動を厳しく非難。
米ソ両国が「武力行動をやめよときちんと腹を合わせ、協調行動を始めていることは何よりも良いことだ」と両国の外交協調に期待を示すとともに、日本としてはイラクの即時撤退を求めた国連の安保理決議に沿った具体的な行動で「対応に誤りなきを期したい」とし、何らかの対イラク制裁に踏み切る考えを明確にした。《共同通信》
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3日、イラクはクウェート侵攻部隊を5日から段階的に撤退すると発表した。米ソ両国が3日、モスクワの外相会談で共同してイラク軍の即時撤退を要求、西側主要国がイラク資産凍結など経済制裁を進める中での撤退発表だが、具体的な撤退計画や兵員数は明らかにされておらず、米国などは「撤退に何らかの条件がついている可能性があり、自体の推移を見守る必要がある」と懐疑的な見方をしている。《共同通信》
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【白石隼也さん】誕生日
【神戸高塚高校校門圧死事件】元教諭を書類送検
兵庫県立高塚高校1年A子さん=当時(15)=が、校門で圧死した事故の刑事責任を追求中の同県警捜査一課と玉津署は3日午前、門扉を閉めたB元教諭(39)=7月26日付で懲戒免職=が安全確認を怠ったまま、力任せに押し切ったと断定、業務上過失致死の疑いで書類送検した。
教育の現場で、しかも校内の一角で起きた今回の事故は刑事上は一教師の個人的過失を問う形となったが、「管理」や「校則」にとらわれ、わずか1秒の遅刻も許されないとする生徒指導の在り方は今後も問われ続けることになりそうだ。
調べによると、B元教諭は生徒の動向に注意して、安全を確認する義務があったのに、7月6日午前8時半きっかりに、重さ230キロの鉄製門扉を閉め切ることばかりに気をとられ、両手で一気に押し切ってA子さんを頭がい底粉砕骨折などで死亡させた疑い。これまでの調べで、B元教諭はA子さんを挟んだことには全く気付かず、ほぼ同時に挟んだ男子生徒に門扉を押し戻され校内に入られてしまったことから、この男子生徒を挟んだと思い込んでいたことが分かった。
A子さんの両親はB元教諭を1日、未必の故意による傷害致死罪で同県警に告訴したが、同県警はB元教諭には▽門扉を押し切る気持ちはあったが、生徒がけがをするとの認識はなかった▽駆け込んで来た生徒の列が途切れたと思って閉門したーと判断、遅刻指導は毎朝行われ、閉門は同校の方針に基づいた行為だとして、傷害致死容疑の適用を見送った。《共同通信》
【政界メモ】
◯…自民党は3日、政治改革本部と選挙制度調査会の合同総会を開いたが、総会後、記者会見に遅れて現れた羽田選挙制度調査会長は「老眼鏡を忘れたので…」とバツが悪そう。ロの悪い記者が「情けないなぁ」と冷やかすと、羽田氏は「人の年齢を侮辱するなよ」。
党本部職員が間に合わせの眼鏡を届けたが、今度はメモがなかなか見つからず「コメの問題と一緒になってしまった」と、かばんの中をゴソゴソ。しかし、合同総会の様子を紹介し終えると「専門的なことだから皆さんも(質問しようにも)質問がないでしょう」とやり返していた。
◯…ラオスを公式訪問中の中山外相は3日朝、容姿や政界での影響力が金丸信元副総理に似ているといわれるヌハク最高人民会議議長と会談した。この秋以降の来日が決まっている同議長は日本の援助への感謝や称賛を連発し、外相も「議長さんは喜んでいたね」とすっかり感激した様子。
この後訪れたラオスの伝統建築美を保ち、古い遺物を展示する博物館となっているプラオケ寺では、仏像の前で安藤駐ラオス大使とともに、しばしひざまずいて手を合わせた。「インドシナの平和を祈ってきた」とのことだが、ヤマ場を迎えたカンボジア和平を進める意欲を改めてかき立てられたようだった。《共同通信》