平成1206日目
1992/04/27
【大関・小錦関】人種差別発言を否定
「横綱になれなかったのは人種差別のせい」などと発言したと米紙などに報道されたハワイ出身の大相撲の大関小錦は夏場所の番付が発表された27日午前、東京都台東区の高砂部屋で会見し「人種差別という言葉は英語でも日本語でも言っていない」と人種差別発言を否定した。
記者会見には外国の新聞などの記者数人を含め100人近い報道陣が詰め掛けた。高砂親方(元小結富士錦)とともの午前9時半から会見した小錦は冒頭緊張した表情で「協会や世間を騒がせて申し訳ない。とにかく、一生懸命自分の相撲を取り、上(横綱)を目指したい」と唇をかみしめた。
この差別発言騒ぎに対し小錦は「こんなに大騒ぎになるとは思わなかった。びっくりしている」と語り「(先場所の)千秋楽の時に上がれないのは知っていたので、そういう発言はするはずがない」と報道を否定した。
差別発言を報道した日経新聞、米ニューヨーク・タイムズ紙への対応について同親方は「近々記者と話し合ってから決めたい」と言うにとどまった。《共同通信》
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【大相撲・武蔵丸関】新小結に
5月10日から東京・両国国技館で始まる大相撲夏場所の番付が27日朝、日本相撲協会から発表された。
今場所は関脇小結陣が昭和56年秋場所以来、11年ぶりの2関脇4小結となった。関脇は先場所最後まで優勝を争った栃乃和歌が7場所ぶりに返り咲き、大関を目指す。小結はハワイ出身の武蔵丸が初めて昇進した。初土俵から17場所目の新三役は、六場所制(昭和22年から)では小錦の15場所に次ぐ二位のスピード出世。外国出身の三役は4人目。また、武蔵丸は武蔵川親方(元横綱三重ノ海)が56年に部屋を興して初めて育てた三役でもある。再小結は三役の常連の安芸ノ島と琴錦。
一方、花田兄弟は貴花田が関脇から西二枚目に、若花田が小結から西七枚目に陥落し、巻き返しを狙う。新入幕は、若貴と同期生で19歳の和歌乃山と、時津洋の2人。時津洋は名円時津風部屋にとって57年夏場所の大豊以来十年ぶりの新入幕力士。琴ヶ梅は43場所保った幕内から十両に落ちた。琴別府は序ノ口から再び、十両に史上初のカムバック。《読売新聞》
【宮澤喜一首相】カンボジア支援「分担以上の拠出金を用意」
宮澤首相は27日夕、首相官邸で来月5日からカンボジアなど東南アジアを訪問する公明党の石田委員長と会談した。
石田氏が国連カンボジア暫定統治機構の税制問題に触れ、日本の分担率以上の資金要求を請求したのに対し、首相は立ち上がり経費の2億ドルのうち分担率(12.45%)分の2500万ドルを拠出していることを指摘した上で「これだけで済むとは考えていない。困れば困ったなりの対応が必要と考えている」と述べ、日本として分担率以上の資金拠出の用意があるとの考えを表明した。
さらに首相は別枠となっている難民帰還などの経費についても「(既に)分担率以上コミットしているが、金がなくて動きがとれないならば、金輪際支出しないとは考えていない」と強調した。《共同通信》
【宮澤喜一首相】PKO「自衛隊の参加」崩さず
宮澤首相は、27日の参院本会議での社会党が提出した国連平和維持活動(PKO)協力法案の対案をめぐる質疑の中で、PKO法案の再修正について、「立法府の意思で修正されれば、三権分立の立場から、政府が尊重しなければならないのは当然だ」と述べ、柔軟に応じていく考えを明言した。
ただ同時に首相は、「PKOに参加する時に、組織のない、訓練のない人々が「現地に行って自分の安全をどう確保するのか、などと考えると、自衛隊の参加がどうしても必要だと述べ、法案の再修正にあたっても自衛隊の参加は不可欠との立場を崩す考えのないことを強調した。井上哲夫氏(連合参院)の質問に答えた。《読売新聞》
【独・ゲンシャー外相】辞任表明
ドイツ統一の立役者の一人で、在任期間世界最長の現職外相として“欧州外交の顔”だったドイツのゲンシャー外相が27日、在任18年を迎える来月17日付で辞任すると表明した。ゲンシャー外相は27日朝、ボンで開かれた自由民主党の幹部会で、ワイツゼッカー大統領、コール首相に辞任の意向を伝えたことを明らかにした。同外相は「(旧東独の)ハレに生まれた私が、独統一に貢献できたことは、最大の外交目標の達成、および私が抱き続けた政治的願望の成就を意味する」と語り、辞任の理由は“任務完了”としている。
ゲンシャー外相は、69―74年のブラント社会民主党政権で内相を務めた後、74年5月のシュミット政権誕生とともに、外相に就任。北大西洋条約機構(NATO)の核近代化反対し、東西緊張緩和のため、東方外交を推進、その外交方針は西側同盟国から「ゲンシャリズム」と呼ばれ、しばしば批判された。だが、旧ソ連、東欧の変化とともに、その外交は実を結び、独統一につながった。
同外相の後任には、同じ自民党のアダム・シュウェッツァー建設相(女性)が起用される。《読売新聞》
【アフガニスタン】ゲリラ、停戦に合意
パキスタン外務省スポークスマンは27日、アフガニスタンの首都カブールで戦闘を続けている反政府ゲリラの最強硬派「イスラム党」ヘクマチヤル派と「イスラム協会」マスード派が同日停戦で同意、さらに、ヘクマチヤル派とイランを本拠とするイスラム教シーア派の「イスラム統一党」が、他のゲリラ主要各派が合意した和平案を無条件で支持し合意書に調印したことを明らかにした。
これにより、ゲリラ同士の本格交戦という最悪の事態は土壇場で回避できる見通しがたち、ゲリラの「50人評議会」を第一段階とする和平実現に向けて前進することになった。《読売新聞》
【新潟市】憲法集会を中止
「憲法記念市民のつどい」で、評論家・上坂冬子さんに講演中止を申し入れていた新潟市は27日、来月2日に予定していた集い自体を中止することを決めた。講演は集いのメーンで、同市は別の講師の人選を進めていたが、準備期間が足りず中止せざるを得なかったとしている。長谷川義明市長は記者会見し、「市の都合で中止するもので、上坂さんと市民には多大な迷惑をかけた」と釈明した。
上坂さんは「契約破棄は一方的。名誉を傷つけられ一ただけでなく、沖縄での取材を中断させられた」などとして、損害賠償を求める一方、市の広報に4000字分の主張を掲載するよう要求しているが、同市は一方的契約破棄である事実を認め、講演料50万円は予定通り上坂さんに支払う方針。その他の要求については検討中としている。
上坂さんの話「意見も聞くことなく降板を決められた。憲法記念日の講演の経験は何度もあるが、こんな対応は初めてだ。市からは中止の連絡すらないが、市の今後の対応を待ちたい」《読売新聞》
【東京都東村山市】西部邁氏の講演に護憲派が「待った」
憲法記念日の記念行事の一つとして、東京都東村山市教委などが予定している評論家、西部邁氏の講演会をめぐり、同市議会の社会、共産党議員と公民館運営審議会のメンバーの一部が27日、講演会の中止を渡辺静夫教育長に申し入れた。講演会は来月2日、同市中央公民館で開催の予定。共催の同市公民館が西部氏に「憲法が市民生活にどのようにかかわっているか」をテーマに依頼。「日本国憲法を語る」と題して、講演することになっている。
同公民館長の諮問機関である公民館運営審議会のメンバー15人のうち6人の連名で、「西部氏は改憲論者として有名で、講演会の結論ははっきりしている。市教委などは憲法を順守する義務を負っている」などとしており、ほぼ同趣旨の社会、共産は「中止が無理なら護憲的立場の講師も呼んで欲しい」としている。
西部氏の話「憲法は言論の自由も保障しており、改正条項がある以上、憲法の枠内で、改正論議も可能。私のほかに護憲的立場の人を呼ばうが一向にかまわない。私はただ頼まれたから話すので、キャンセルしたければすればいい」《読売新聞》
【連続幼女誘拐殺人事件】東京地裁、精神鑑定を証拠採用
東京、埼玉を舞台とした連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤被告(29)に対する第10回公判が27日、約1年5か月ぶりに東京地裁刑事2部(中山善房裁判長)で開かれた。裁判で最大の争点となっている宮崎被告の犯行当時の精神状態について「責任能力は失われていなかった」とする精神鑑定書が証拠として採用され、鑑定書の内容の要旨が明らかにされた。
保崎秀夫・慶応大名誉教授ら6人による鑑定書によると、宮崎被告は知的能力に問題はないが、極端な分裂気質、病質で、非社交性、自己中心性、空想性などが目立っていた。また手の障害のため劣等感が強く大人の女性に対する興味は強かったが交際することはあきらめていたという。
鑑定書は、こうした傾向を背景に同被告が性的興味を幼女に向け、物を収集するくせも手伝って犯行に及んだと指摘。しかし、これらは極端な性格の偏り(人格障害)によるもので、犯行当時に善悪を判断し、それに従って行動する能力(責任能力)は保たれていた、と結論付けている。
また鑑定書によると同被告は現在、4件の犯行について「突然、ネズミ人間が現れてとても恐ろしくなり気がつくとマネキンのような物があったので(死亡した)祖父にささげた」などと語り、殺意などを否定している。これら発言についても鑑定は、長期間にわたって拘禁されたための反応だとし、精神分裂病など重い精神病の可能性を否定している。
この鑑定結果について弁護側は意見書で、精神医学的考察が不十分などと批判。再度の精神鑑定を申請する構えを見せた。
一昨年11月の第9回公判以来、久々に姿を見せた宮崎被告は、裁判長から「何か言いたいことは」と尋ねられたのに対し、「(ビデオなど)押収物なんですけど、ひとつひとつビニール袋に入れて大事にしたい」と答えた。また、鑑定書の要旨が朗読されている間も、机の上のメモに視線を落とし続け、周囲への無関心さを見せていた。《読売新聞》