2003 平成15年10月15日(水)　北朝鮮による日本人拉致事件・被害者帰国から1年

平成5394日目

2003/10/15

この日のできごと(何の日)

【北朝鮮による日本人拉致事件】被害者帰国から1年

曽我ひとみさん「大変複雑な一年だった」

北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(44)が、帰国から丸一年を迎えた15日、地元の新潟県真野町役場(佐渡)で記者会見し「何もないときは連絡もなく、見捨てられたような気持ちになったときもある」と政府の対応に不満を漏らした。

また北朝鮮の招待所で横田めぐみさん＝失跡当時(13)＝と暮らした際、一緒にお菓子を買いに行ったことや、招待所で「ほかの日本もいるんだよ」と周囲の人から聞いたことを明らかにした。

1978年に母ミヨシさん＝失跡当時(46)=と拉致されたときの状況も会見の場で初めて語り「3人の男が一列に並んでついてきた。何だろうと話していたら突然、襲われた」と述べた。

曽我さんは「大変複雑な一年だった」と振り返り「一番うれかったのは夢の中でだけ見ていた日本に帰ってくることができたこと」と話した。

一方で「悲しかったのは、元気に暮らしていると思っていた母の姿がどこにも見えなかったことと(北朝鮮に残る)家族と離れて暮らすようになったこと」と述べた。

日本政府には「早い時期に動きがあるよう考えてほしい」と要望し「わたしはあきらめない。みんなで暮らせる日のために頑張っていきたい」と決意を語った。

また一年前に平壌空港で初めて会った横田さんの娘のキム・ヘギョンさん(16)について「めぐみさんと似ていて感動した」とし「『お母さんは死にました』と聞かされた時は衝撃を受けたが、信じていない」と述べた。

曽我さんの北朝鮮での名前はミン・ヘギョンで「(横田さんが)わたしを忘れられなくて娘に同じ名前を付けたのではないか」とも語った。

曽我さんは15日から、真野町の嘱託職員として保健事業の補助などに従事。会見に先立ち、高野宏一郎町長から辞令書と職員証を受け取り「町の皆さんのためにできる限りのことをしたい」と抱負を述べた。《共同通信》

家族会が会見

北朝鮮による拉致被害者5人が帰国して一年の15日「家族会」のメンバーらが東京都内で記者会見、代表の横田滋さん(70)らが「一日も早く5人の子供たちを取り返して」と訴えた。家族からは「ベストを尽くしているのか」「一生懸命さが伝わらない」などと政府の対応への批判や不満が相次いだ。

横田さんの妻で横田めぐみさん＝失跡当時(13)=の母早紀江さん(67)は「政府は(北朝鮮に)理不尽なことをされていると怒ってほしい。制裁するなり、万景峰を止めるなり具体的な動きを」と声を上げた。

増元るみ子さん=同(24)=の弟照明さん(48)は「わたしが大臣なら中国や韓国に人を派遣し、脱北者の話を聞いて北朝鮮の情報を得ようとする。政府は一つもやっていない」と語気を強めた。

田口八重子さん=同(22)＝の兄飯塚繁雄さん(65)は「結果がないままに時が流れた」とため息を漏らし、松木薫さん=同(26)=の弟信宏さん(31)は「政府への不信感が残っている。どうすれば家族が帰れるか、世論の力で政府を動かして」と訴えた。

帰国した蓮池薫さん(46)の兄で家族会事務局長の透さん(48)は「家族の最後の一人が帰って来るまで運動をやめない」」と決意を表明した。

◇

横田めぐみさんの父滋さんは15日、めぐみさんの娘キム・ヘギョンさん(16)が昨年10月15日、帰国する蓮池薫さん夫妻や曽我ひとみさん(44)らを平壌国際空港に見送りに来た際に撮影された写真計11枚を公開した。

うち2枚には「会える日を待っています」とするヘギョンさん自筆の横田夫妻あてのメッセージが書き添えられている。めぐみさんの母早紀江さんは「皆が抱き合って泣いている写真が多い。不思議な再会の場面。何とも言えない感情がほとばしっている」と話した。

5人を迎えに行った日本政府関係者が空港で撮影、二十数枚を横田夫妻に提供した。

公開された写真は、空港の貴賓室で薫さんがヘギョンさんのほおを両手で包み込み、脇で妻祐木子さん(47)が涙ぐんでいる場面や、地村富貴恵さん(48)とヘギョンさんが抱き合っているところなど。ヘギョンさんが曽我さんや曽我さんの家族と並んでいる写真もあった。《共同通信》

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【中国】有人宇宙船の打上げに成功

中国初の有人宇宙船「神舟5号」が15日午前9時、内モンゴル自治区西部の酒泉衛星発射センターから宇宙飛行士1人を乗せ、打ち上げられた。神丹は約10分後、予定の軌道に乗り、打ち上げは成功、飛行士は予定通りなら16日早朝、同自治区に帰還する。国営通信、新華社などが伝えた。

有人宇宙船打ち上げは1961年に旧ソ連(ロシア)と米国が相次いで成功して以来3カ国目。中国は悲願の打ち上げ成功で「宇宙大国」の仲間入りを果たし、一段と国威発揚を図る考え。月探査計画などを含め軍事、ビジネス両面で宇宙開発プロジェクトを加速させる方針だ。これまで米ロが独占してきた有人宇宙飛行は中国の参入で新たな競争段階に入った。

全長約8メートルの神舟5号は胡錦濤国家主席や曹剛川国防相らが見守る中、長征2号Fロケット(全長約58メートル)で打ち上げられた。

宇宙船が軌道に入った後、搭乗している中国軍パイロットの楊利偉氏(38)は無線で「気分は良好」と地上に連絡。発射から42分後、プロジェクト総責任者の李継耐・軍総装備部長が打ち上げ成功を宣言した。宇宙船は高度343キロの円軌道を約21時間かけて14周し、楊飛行士は帰還カプセルで地上に戻る予定。《共同通信》

【プロ野球】

堀内恒夫監督が就任した巨人の秋季練習が15日、川崎市のジャイアンツ球場でスタートした。

午前9時40分。スーツ姿でグラウンドに降り立った新監督は輪の中心に歩み出て「今日から来年のスタートを切っていることを自覚してほしい」と選手に呼び掛けた。

所用で練習開始から約1時間で球場を後にした。ただ、グラウンドではできる限り選手一人一人に声をかけた。「今年は不本意だった選手が多いと思う。反省している選手全員に注目している」。悔しさを胸に秘めた選手の来季への巻き返しに期待を寄せる。

背番号「88」のユニホームにはまだ袖を通していない。「それは宮崎からでいいでしょう」。30日から宮崎に場所を移し秋季キャンプを行う。《共同通信》

【天皇、皇后両陛下】メキシコ大統領夫妻迎え晩さん会

国賓のフォックス・メキシコ大統領夫妻を歓迎する天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会が15日夜、皇居・宮殿で開かれた。皇太子ご夫妻、小泉純一郎首相、政財界や在京のメキシコ関係者ら計約120人が出席、両国の童謡や民謡が演奏される中、和やかに宴を楽しんだ。

メーン料理は、閣僚級の激しい攻防が続く両国のFTA交渉でのテーマにはない「羊肉の蒸し焼き」だった。宮内庁によると恒例メニューという。

天皇陛下はスピーチで、19世紀末以降、1万5000人近い日本人移民がメキシコに渡り「貴国国民に親身に支えられた」と謝意を示し、大統領は「ぜひともメキシコへ」と両陛下に1964年以来の来訪を招請した。《共同通信》

【民主党・小沢一郎氏】衆院選目標「最低限で200議席」

民主党の小沢一郎氏は、15日の記者会見で、衆院選の獲得目標議席について「(自民党が民主党と)拮抗するようでは小泉内閣はその場で終わりだ」とした上で「最低限で200議席」と述べた。小沢氏はさらに「200議席を超えると非自民でほぼ過半数ということだ」と指摘した。

小沢氏はまた政権を獲得した場合の内閣入りについて「(代表の)菅(直人)さんがどうしてもそうしてくれと言えば嫌だというわけにはいかない」と入閣する考えを明らかにした。《共同通信》

【社民党】「第三極」打ち出す

社民党は15日、衆院選が自民、民主両党の二大政党による対決色が強まっていることに対抗するため、護憲を柱とする「第三極」を強く打ち出す方針を決めた。近く理念を明確化した文書「第三極宣言」をまとめる。

土井たか子党首は同日の記者会見で「社民党があることで初めて民主的な政治がつくられていく」と述べた。《共同通信》

【イスラエル・パレスチナ情勢】

ガザ地区北部のイスラエルとの境界にあるエレズ検問所の南約2キロのベイトハヌーンで15日午前10時ごろ、米外交官らを乗せた車列のそばで爆弾が爆発、イスラエル放送によると、米国人3人が死亡、1人が負傷した。

2000年秋に激化したイスラエルとパレスチナ住民との衝突で、米国人を狙ったテロは初めて。

米国は和平交渉でイスラエル寄りの姿勢を見せ、パレスチナ過激派組織の解体を繰り返し要求。これに反発する勢力がイスラエルだけでなく、米国も標的にした可能性がある。

イスラム原理主義組織ハマスの当局者は「われわれの敵はイスラエルだけだ」と関与を否定。ロイター通信などによると、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの武装組織「アルアクサ殉教者旅団」、イスラム聖戦も関与を否定した。

一方、イスラエルのギシン首相報道官は「われわれの情報ではハマスの軍事部門が関与している」と述べた。

イスラエル軍は装甲車を現場に派遣し、パレスチナ人居住区に向け発砲。現場に到着した米国の調査チームにパレスチナ人の少年らが投石し、パレスチナの警察官が威嚇発砲して鎮圧した。

爆発が起きたのはガソリンスタンド近くの路上。先導のパトカーを含め3台でガザ市内に向かっていた車列のうち1台が大破した。

パレスチナ自治政府のアラファト議長は「醜い犯罪だ」とテロを非難し、捜査を命じたと声明。クレイ首相も非難した。《共同通信》

【北朝鮮】6カ国からの日本排除を再度主張

北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は15日の論評で、「日本は核問題の平和的解決で百害無益の存在」とし、6カ国協議からの日本排除をあらためて主張、日本人拉致問題についても「既に解決した」と繰り返した。拉致被害者の日本帰国から一年経過したことには触れなかった。

論評は、「(日本が)拉致問題と核問題を故意に結び付けている」理由は、「日本が核問題解決を望んでいないため」と指摘、「わが国は、日本がどのような形態の協議の場にも介入することを絶対に認めない」と述べた。《共同通信》

【米・ニューヨーク市】フェリー衝突、10人死亡

ニューヨーク市南部スタテン島のフェリーターミナルで15日午後3時20分ごろ、市中心部のマンハッタン島から到着したフェリー(全長約90メートル)が岸壁に激突した。会見したブルームバーグ市長は、少なくとも乗客10人が死亡、34人が負傷したと発表した。

在ニューヨーク日本総領事館によると、死傷者の中に日本人が含まれているとの情報はない。

事故を起こしたフェリーには約1500人が乗船していた。同市警察や沿岸警備隊などが乗客の救助に当たるとともに乗組員を事情聴取し、事故原因などを調べている。

警察当局筋によると、フェリーの船長は事故後、現場から姿を消し、スタテン島にある自宅で自殺を図った。その後、同島内の病院で手術を受けたという。

事故当時、ニューヨークでは強風が吹き波も高かった。フェリーが速度を落とさずに近づいてきたとの目撃者の証言もあることから、操船ミスの可能性もある。警察は船長が居眠りをしていた疑いもあるとみて乗組員らから事情聴取。飲酒や薬物の検査も行っている。

目撃者によると、事故発生時フェリーから海中に飛び込む人や、腕や足を切断された乗客らの苦しむ叫び声が聞こえ、大混乱に陥った。《共同通信》

【MLB】

米大リーグのリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)は15日、ニューヨークなどで行われ、ア・リーグはレッドソックス(ワイルドカード)が9−6でヤンキース(東地区1位)に勝ち3勝3敗のタイに持ち込んだ。

シカゴで行われたナ・リーグ最終戦はマーリンズ(ワイルドカード)が9−6でカブス(中地区1位)を下し、4勝3敗で6年ぶり2度目のリーグ優勝を飾った。

ヤンキースは四回に4点を奪って逆転したが、レッドソックスは七回に3点を挙げて再逆転し、九回にも2点を追加した。松井秀喜外野手は「6番・左翼」で先発し、四回に左前打、七回に遊撃内野安打を放ち4打数2安打。ワールドシリーズ進出をかけた最終戦は16日に行われる。

マーリンズは1勝3敗から3連勝。ワールドシリーズを制覇した1997年に続いてワイルドカードからリーグ王者に就いた。MVPにはマーリンズのロドリゲス捕手が選ばれた。《共同通信》

【この日の民主党】

岡田幹事長、イラク資金拠出で政府に説明求める

民主党の岡田克也幹事長は15日、記者団の質問に答え、政府がイラク復興支援に対する15億ドルの資金拠出を決めたことについて「ブッシュ大統領との会談でいきなり小切手を切るとまずいから直前に決めたというのが明らか。こういう形での決定は残念だ」と述べた。

さらに岡田幹事長は、「1650億円は大変な額の税金だ。政府は、何にどういう仕組みで使うのか、はっきりと示すべきだ」と述べ、参議院での委員会質疑や総理による各党代表への説明などを求めていく考えを明らかにした。《民主党ニュース》

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