平成4871日目

2002/05/10

この日のできごと(何の日)

【パレスチナ問題】聖誕教会問題が決着

ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖誕教会にろう城していた武装パレスチナ人や民間人ら123人は10日午前、イスラエルとパレスチナ自治政府との合意に基づき、全員が退去した。イエス・キリストゆかりの聖誕教会を舞台に、4月2日以来続いたろう城問題は38日ぶりにようやく全面解決した。

ベンエリエザー・イスラエル国防相は同日午後、ベツレヘムに侵攻していた軍部隊に撤退を命令。軍は同日、撤退を開始し、3月29日に始まった西岸のパレスチナ自治区に対する大規模侵攻作戦は終了する。

123人のうちイスラエルが「最重要テロ容疑者」とする国外追放の13人は、英軍機でキプロスに到着した。別の26人はガザ地区に移送、残る84人も解放された。

しかし、7日夜に同国中部のリションレツィオンで起きた自爆テロの報復のため、軍は予備役の一部を緊急招集するなど、ガザ地区への侵攻準備を進めており、パレスチナ情勢は依然、緊迫した事態が続いている。

123人が退去した後も、教会内に侵入した市民団体の外国人10人が国外追放を恐れてパレスチナ人の退去後も居残ったが、イスラエル警官が教会に入り、連行。これで軍撤退の条件が整い、ろう城問題が完全解決した。

聖誕教会の解放交渉は、イスラエル側が「最重要テロ容疑者」とする武装パレスチナ人の引き渡しを要求するなどして難航したが、13人を欧州など7カ国に追放することで9日、最終合意した。《共同通信》

イスラエルの民間テレビ「チャンネル2」によると、ベンエリエザー同国国防相は10日、同国中部リションレツィオンで7日起きた自爆テロに対する報復作戦の実施を凍結することを決めた。国防省筋が明らかにした。

ガザのイスラム原理主義組織ハマスの拠点などを標的にするなどと、軍事作戦の内容が「メディアへリーク」されたことが理由という。

7日の自爆テロの犯人は、ガザ出身のイスラム原理主義組織ハマスのメンバーと伝えられたが、犯人像は特定されておらず、犯人がガザから来た明確な証拠がないことも作戦凍結の一員との見方もある。

一方、イスラエル軍は10日夜、ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖誕教会でのろう城問題が解決したことを受けて、4月2日に侵攻した同市全域からの撤退を完了。聖誕教会周辺からも戦車などの姿が消えた。これにより、3月29日に始まり、西岸のパレスチナ自治区主要各都市に大きな被害をもたらした大規模軍事作戦は、42日ぶりに終結した。《共同通信》

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【東北新幹線】盛岡−八戸12月開業

JR東日本は10日、東北新幹線の盛岡−青森県八戸(97キロ)を12月1日に開業することを決めた。一般公募していた列車の愛称は速い風を意味する「はやて」となりそうだ。3つの新駅名を合わせて14日に発表する。整備新幹線の開業は1997年の長野新幹線以来、5年ぶり。

開通により、東京−八戸は現在の約3時間半から約40分短縮され、2時間50分となる。八戸までは1日約16往復運行される見込み。8月下旬ごろから新幹線車両での試験走行が始まる。早ければ9月にも運賃やダイヤ編成が決まる見通しだ。

同区間の事業費は91年度の着工から2002年度予算までで累計4495億円。盛岡以北の沼宮内、ニ戸、八戸の3駅の新名称については、八戸は変わらない見込みだが、岩手県の地元市町村から沼宮内を「いわて沼宮内」に変えるようJRに要望が出されており、岩手の名を冠した名前となりそうだ。

開業に伴い、盛岡から青森・函館間を走っていた特急は八戸以北の運転に変わる。並行する在来線は岩手、青森両県などが出資する第三セクターが運営することになる。《共同通信》

【雪印食品牛肉偽装事件】元部長ら5人逮捕

雪印食品(4月30日に解散)の偽装牛肉事件で、兵庫、北海道、埼玉各道県警と警視庁の合同捜査本部は10日、約2億円の詐欺容疑で元本社ミート営業調達部長、H容疑者(55)=埼玉県越谷市、懲戒解雇=ら5人を逮捕し、清算法人として存続する同社の本社(東京都中央区)や各容疑者の自宅などを家宅捜索した。5人は容疑を認めているという。食品の偽装表示が社会問題化するきっかけとなり、同社を解散に追い込んだ事件は、発覚から約3カ月半で関係者の刑事責任追及に発展した。合同捜査本部は事件の全容解明を急ぐ。《共同通信》

【福島地裁】女祈とう師に死刑判決

福島県須賀川市の女祈とう師宅で1995年7月、男女6人の遺体が見つかった事件で、殺人罪などに問われた祈とう師のA子被告(54)と信者3人の判決公判が10日、福島地裁で開かれ、原啓裁判長はA子被告に求刑通り死刑、長女のB子被告(30)と愛人のC被告(27)に求刑通り無期懲役、D被告(52)に懲役18年(求刑懲役20年)を言い渡した。

判決は「除霊といった宗教行為の名をかたり、過酷な暴行で信者6人を死亡させ、遺体を放置した。被害者らは死後も人ととしての尊厳を冒涜された」などと断罪。主導者のA子被告には「極刑をもって臨むほかない」と結論付けた。

A子被告の弁護士は控訴の手続きをした。ほかの弁護士は被告の意向を聞くという。

判決はA子被告の犯行の動機について「C被告を女性信者に奪われたくないとの思いや、神様としての権威を守り続けたいとの気持ちで暴行を始めた」と指摘。

「被害者らは10日から20日間も堅い木製のばちで全身を殴打するなどの暴行を受けた。一日中正座を命じられ、食事や睡眠も制限され、衰弱していった」と残忍さを強調した。《共同通信》

【川口順子外相】外交青書報告

川口順子外相は10日の閣議に2002年版外交青書を報告、了承された。青書は外務省の不祥事を踏まえ、「厳しい反省」と「改革への決意」を表明。特に実名を挙げて鈴木宗男衆院議員との関係に言及し「社会通念に照らしてあってはならない異常な状態で、行政の公平性、透明性に対する疑念を国民に抱かせたことを深く反省しおわびする」と明記した。

米中枢同時テロを踏まえ、昨年を「国際社会の安定と繁栄に向けた地球的規模の取り組みが求められた一年」と総括。国際テロへの対応やアフガニスタン復興支援などへの取り組みを述した。

不祥事に関し「外務省職員が一丸となって精力的に外務省改革を断行していく決意」を強調。透明性、スピード、実効性を柱に改革を加速し「国民の信頼を一刻も早く回視する」とした。

米中枢同時テロを「基本的人権の尊重、民主主義など開かれた政治経済体制への挑戦で、あらゆる文明、人種、宗教への攻撃」と糾弾。「テロ対策をはじめ、地球規模の諸課題解決や国際社会に影響を与える地域情勢の安定化に積極的に取り組む」と決意を示した。《共同通信》

【衆院予算委員会】

衆院予算委員会は10日午前、鈴木宗男衆院議員が3月11日の証人喚問でうその証言をしたとして偽証容疑で告発するよう求めた野党4党提出の動議について討論と採決を行い、与党3党の反対多数で否決した。今後は鈴木氏に対する議員辞職勧告決議案の取り扱いが国会攻防の焦点となる。

野党4党は委員会に先立つ理事会で、北方四島人道支援事業の国後島、「友好の家」(通称・ムネオハウス)建設工事をめくる鈴木氏の証言中、「(秘書が入札に)かかわっていたということはない」と、秘書の関与を否定したのは偽証の疑いが濃厚だとして動議を提出した。

これに対し与党側は討論で、鈴木氏の公設第一秘書が入札情報を受注業者に漏らしたとして偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕されたものの、「犯罪の嫌疑は報道によって知るのみで、予算委として判断材料を持っていない。偽証告発は慎重の上にも慎重を期すべきだ」(自民・藤井孝男氏)として反対した。《共同通信》

【瀋陽日本総領事館駆け込み事件】小泉首相、毅然とした対応を指示

小泉純一郎首相は10日午前、川口順子外相、竹内行夫外務事務次官に対し、中国・瀋陽での亡命者連行事件について「きちんとした対応をとってほしい」と毅然とした対応を指示した。

政府は事態を重大視し、現地調査のため外務省の小野正昭領事移住部長ら5人の調査団を瀋陽に派遣。中国側の対応次第では、抗議と身柄引き渡しを求めるため外務副大臣か政務官の北京派遣も検討している。《共同通信》

中国・瀋陽の日本総領事館駆け込み事件をめぐり各閣僚から10日午前の記者会見で、中国側の姿勢や総領事館の対応に厳しい批判が続出した。

村井仁国家公安委員会委員長は「明らかにやりすぎだ。敷地内は不可侵権があり、入ってきた人を引っ張り出すのは言語道断」と中国を非難。中谷元・防衛庁長官は「中国政府の言う『安全を図る措置』は日本の同意があった場合に適用されるので、(今回の事件は)当たらない。前例になれば問題だ」と批判した。

総領事館職員の対応ぶりにも、大木浩環境庁長官が「亡命の話は(日常的に)たくさんあり、普段から対応を考えておく必要があった」と指摘。「館員がポケットに手を突っ込む形で、子どもを抱いた女性が(中国の警官に)引き倒されるのを見ていた」(石原伸晃行革担当相)、「職員は傍観者でしかなく(警官の)帽子まで拾って渡すていらくはどういうことだ」(平沼赳夫経済産業相)などと反発が相次いだ。《共同通信》

【この日の民主党】

鈴木康友議員、自動車リサイクル支援の透明性確保を要求

10日、衆議院本会議で民主党・無所属クラブの鈴木康友議員が質問に立ち、使用済自動車の再資源化等に関する法律案(自動車リサイクル法案)に対する質疑を行った。

鈴木議員はまず、地球の有限性についてローマクラブの発表した「成長の限界」を引用しながら「これまで漠然と信頼しきっていた地球のポテンシャルが、実は想像以上に小さく、か弱いものであるかが明らかになっている」と語り「野放図な大量生産、大量消費、大量廃棄を続けていけば、人類はやがて生きていけなくなる」と現在の状況に警鐘を鳴らした。

その上で、鈴木議員は本法案のポイントとして、リサイクル料金の徴収・管理方式について言及。引当金制度を創設して自動車メーカーが個々に管理するドイツなどの方式ではなく、第3者機関である公的資金管理法人の導入を選んだ際の政策的な優越性は何かと質した。平沼経済産業相は「中小企業や自動車輸入業者等が倒産した場合を考慮に入れたもの」と述べ、国の責務である支援措置を講じているにも関わらず不安定要素の残る答弁であった。

さらに鈴木議員は、「極めて重要な部分」と前置きして「公的資金管理法人の透明性、公正性をどのように確保するか、併せてこの法人が絶対に天下り先にならないということも担保されなければいけない」と強調した。平沼経産相は「運営上、透明性、公正性を義務化していく」としながらも、天下りについては「民間主体の法人である」というにとどまり、逆に不透明さが残る答弁となった。

最後に、鈴木議員は「今の日本に一番必要なものは変化であり、国民に実感してもらえる最大の構造改革は政権交代である」と締めくくった。

金子議員、温室効果ガス削減目標達成の展望質す

10日、衆議院本会議で地球温暖化防止の京都議定書締結承認をめぐる審議が行われ、民主党の金子善次郎議員が質問に立った。

金子議員は京都議定書に対する質問に先立ち、8日午後、中国・瀋陽の日本総領事館で起きた中国武装警察侵入事件について、外務省の日ごろからの主権意識、人権感覚のなさを浮き彫りにした事件だと厳しく批判した上で、外務省の毅然とした対応を強く求めた。

金子議員はまず、発展途上国問題への政府の取組みについて質問。京都議定書では発展途上国には温室効果ガスの削減義務が課せられていないが、第1約束期間内の2010年には先進国を上回るとの予測がある点を明示し、当面は中国やインドなどの排出抑制を図るとともに、将来的にはすべての国が参加する共通のルールを構築するよう国際的な議論を喚起していくことが必要だと問題提起した。川口外相は「すべての国が削減をめざす共通ルールの構築にむけ、日本政府として最大限の努力をする」とした。

次に、米国の京都議定書からの離脱宣言をめぐり、「世界最大の温室効果ガスの排出国であるアメリカの参加なくして、京都議定書の実効性を確保することはできない」との見方を示した。同時に、経済のグローバル化のなかでは共通のルール下で競争が行われるべきだとし、政府は国内産業の国際的な競争条件の公平性を確保する観点からも、米国に復帰を促す努力が必要だとした。平沼経済産業相は「幅広い機会で粘り強く訴えている」と答えた。

また、金子議員は「省エネルギーの徹底によるエネルギー需要の抑制や風力・太陽熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーの供給化率を高める努力が必要である」との見方を示し、温室効果ガス削減のエネルギー政策について質問。平沼経産相は「需要面において省エネルギーを推進し、供給面においては原子力や新エネルギーの導入・促進を進めるとともに、より環境負荷の少ない燃料への転換を促進し、環境調和型のエネルギー需給構造の実現をめざしている」などとした。

さらに金子議員は「地球温暖化への対応が新たな環境関連産業を生み出し、それによって持続的発展が可能な社会を構築する絶好の機会だとプラス志向で考え、行動すべき」とし、政府による研究・開発に対する積極的な助成や、エネルギーの需要抑制、省エネルギー・再生可能エネルギーの普及促進のための効果的な税制措置の必要性などを提起した。

最後に金子議員は「京都議定書の削減目標を達成するのは非常に厳しい」との見方を示し、これらの困難を打破し、目標を達成するためにも、子どもだけでなく、あらゆる世代へのライフステージに対応したきめ細かな環境教育が必要である点を指摘した。

鈴木宗男議員の偽証告発動議を与党が否決

民主党など野党4党は10日、議院証言法の規定に基づき鈴木宗男議員を偽証の疑いで告発する動議を衆議院予算委員会に提出した。これに対して与党は「偽証とする証拠はない」「議員と秘書は別人格」などの理由を挙げて反対、動議は賛成少数で否決された。

野党4党の提出した動議は、3月11日の衆議院予算委員会で鈴木議員が証人として宣誓の上行った証言中、国後島緊急避難所兼宿泊施設(通称ムネオハウス)建設工事受注について、自民党の浅野勝人議員の「公設、私設を問わず、あなたの秘書の方がかかわっていた可能性はありませんか」という尋問に対し、「かかわっていたということはございません」と証言したことは、議院証言法6条(偽証の罪)に該当するものであるとし認め、同法8条により委員会の決議をもって告発するという内容。

4党を代表して動議の趣旨説明を行った民主党の枝野幸男議員は、動議提出の理由について、「(浅野議員の尋問に対する)鈴木宗男君の証言は、同君の公設第一秘書が「偽計業務妨害容疑」で逮捕されたことによって、偽証の疑いが濃厚になった」ため、と説明。また、「このことを放置しておくならば、議院証言法第8条の『委員会は、偽証の罪を犯したものとみとめたときは、告発しなければならない』との規定に反し、国政調査権の行使を放棄することに等しい」と強調した。

これに続く各党の発言で、与党3党を代表して自民党の藤井孝男議員が「動議に反対の立場から意見を述べる」と切り出すと野党席から一斉にブーイングが起こった。藤井議員は、「秘書逮捕の犯罪嫌疑については新聞等のマスコミ報道のみによって承知しているにすぎず、予算委員会が知っているのは鈴木議員の証言のみであり、証言を偽証とする証拠はない」「議員と秘書は一心同体と言われることが多いが、法的には別人格だ」「秘書らの逮捕によって本事件は司法手続きに入ったものであり、鈴木議員の再喚問要求はこの手続きと競合するため不適当」などと意見表明した。

民主党から発言に立った松本剛明議員は、「議院証言法は、第8条で、委員会は虚偽の陳述をしたと認めたときは告発しなければならないとしている。告発は委員会の義務であり、法に定める責任を果たさないなら、議員の職務放棄だ」「『司直の手に委ねる』とする責任転嫁の言葉も聞かれるが、本件は委員会告発が起訴の条件なので、本動議の否決はことを闇に葬ることに他ならない」「告発について委員会が開会され、否決された例はない。確証がないとの声があるが、偽証の有罪が確定するのは裁判であり、それは告発をしなければ始まらない。本件はきわめて偽証の疑いが濃厚な案件であり、もし否決されれば単に前例がないだけでなく、憲政史上最大級の汚点を残すことになる。否決に加わった議員は、公人の責任を放棄し、罪を見逃すことに加担した者として後世に残る悪名を刻むことになる」と演説し、否決の方針を決めている与党3党を厳しく断罪した。

4野党、鈴木宗男議員の辞職勧告決議案の採決要求へ

民主党はじめ野党4党は10日、鈴木宗男議員の偽証告発動議の否決を受けて国会対策委員長会談を開き、今後の国会日程、鈴木議員問題への対応を協議した。

会談後記者会見した民主党の熊谷弘国対委員長は「月曜日(13日)午後4時からの議院運営委員会の理事会で、鈴木宗男議員に対する議員辞職勧告決議案の本会議上程を求めることで一致した。ここでの与党側の対応により、その後の国会日程・対応を決める。それまではいかなる日程の協議にも応じない。もし、与党だけで審議をするようなことがあれば、きわめて不正常な状態になる。戦線は拡大し、場合によれば解散もあるかもしれない」と述べた。

鳩山代表、領事館侵入事件で小泉首相に申し入れ

10日夕、民主党の鳩山由紀夫代表と伊藤英成ネクストキャビネット外務・安全保障大臣は新総理官邸を訪ね、在瀋陽日本総領事館への中国武装警官侵入事件をめぐって小泉首相に申し入れを行った。

鳩山代表、伊藤議員は、冒頭、今回の事件に対する政府・外務省の対応を厳しく批判し、危機管理体制の立て直しを求めた申し入れ文を小泉首相に手渡した。申し入れ文は、「中国側の行為は、ウィーン条約の趣旨を逸脱し、わが国の主権をないがしろにする行為であり、人道的立場から極めて重大な問題である」とする一方、「中国武装警官の侵入・連行の行為を漫然と許した現地館員の姿勢、その後の在北京大使館及び本省への不正確な情報伝達など、国家の主権を代表し、国民の安全と国益を守るべき外務省職員の責任感と倫理観が麻痺している」と断じたもの。

鳩山代表は、特に、中国側に連行された亡命希望者の安全を確保し、日本側への引渡しを実現するよう、毅然として中国政府に臨むことを求めるとともに、外務省職員の人権意識の希薄さと情報収集態勢および危機管理体制の脆弱さを厳しく指摘した。また伊藤議員は、他国ではなく、なぜ日本の在外公館で今回の事件が起きたのか、総理の認識を質した。

これに対して小泉首相は、「日本は危機意識が薄い」などと第三者的に答え、今回の事件に対しては、川口外相が中国の武大偉駐日大使を呼んで抗議した事実を述べるにとどまった。鳩山代表は、今回の事件で日本の信用が国際的に落ちたことを重く受け止めるよう重ねて忠告するとともに、外交官の人権意識の向上と再発防止に向けた態勢整備、亡命者の受入れに対する人道的配慮の徹底を厳しく申し入れた。小泉首相は、有事法制等の政策課題へ話題をそらすことに終始し、具体的な反論はできなかった。

「首相の外交姿勢が問われる」領事館侵入事件で菅幹事長

民主党の菅直人幹事長は10日の定例会見で、在瀋陽日本総領事館への不法侵入による亡命希望者拘束事件に触れ、「場合によれば命に関わる亡命事件であるのに、今回の対応は日本の外務省の体質がもろに出ている。危機管理のかけらもない。メディアがあらかじめ知っており、また最近同種の事案も頻発しているのに、その情報もなかったか、あるいはマニュアルもないのではないか。首相の外交姿勢がトータルに問われる」として政府の対応を厳しく批判した。

Discussion Journal『民主』が創刊

10日、民主党の初の討論誌、Discussion Journal『民主』が創刊された。創刊にあたって、広報・宣伝委員長の松沢成文衆議院議員と編集チーム編集長の鈴木寛参議院議員、同代理の若林秀樹参議院議員が国会内で記者会見。松沢委員長は「自由な議論をこの雑誌を通じて展開してもらいたい」と、雑誌の性格を説明した。

Discussion Journal『民主』は季刊で、次号は9月に発行予定。創刊号では「日本の経済と雇用の再生」を特集している。1部500円(税込)で、年間購読は3000円(送料込)。《共同通信》



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