平成4872日目
2002/05/11
この日のできごと(何の日)
【瀋陽日本総領事館駆け込み事件】中国外務省が調査結果発表
瀋陽の亡命者連行事件で中国外務省の孔泉報道局長は11日未明、日本総領事館に侵入した武装警察官は総領事館の副領事の同意を得て入館し、身元不明者2人を館内から連れ出したとする調査結果を新華社を通じて発表した。中国メディアが事件を報道したのは初めて。
報道局長はさらに、副領事より位が上の総領事館領事が中国側から事情を聴き、駆け込んだ5人を公安当局に連行することに同意し、中国の武装警察に感謝を表明したとも述べた。
これに対し、日本の外務省は同日、日本側が武装警察官の入館と5人の連行に同意した事実はないと真っ向から反論するコメントを発表、事実経過をめぐって日中双方が激しく対立する事態となった。
報道局長の談話が事実とすれば、武装警察官の行為は領事関係に関するウィーン条約に違反せず、日本が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の亡命申請者を中国側に引き渡したことになる。
日本外務省はコメントで「今後、詳細な調査結果に基づく反論を行う」とも主張し、双方の水掛け論で問題が長期化する可能性も出てきた。
ただ、孔報道局長は談話で「中国は中日関係を一貫して重視している」と述べて日本に冷静な姿勢を呼び掛け、外務省も「速やかな問題解決が必要。冷静に協議するのは、当然」と応じていることから、今後は双方がそれぞれの調査結果を基に解決の糸口を探ることになりそうだ。
孔報道局長は談話で、身元不明者5人は総領事館員の安全に危害を及ぼす可能性があり「武装警察官の行動は純粋に責任感から出た」と強調、「中国側が勝手に総領事館に入ったとの言い方は成り立たない」と日本側のこれまでの主張に反論した。また、1998年5月には日本の多数の警官が勝手に在日中国大使館の本館に入り、身元不明者を強制連行したと指摘した。
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東京都港区の中国大使館で1998年5月、中国人の男1人が大使館関に侵入、警視庁の警察官が男を追跡し敷地内で身柄を確保していたことが11日、分かった。警視庁麻布署が男から侵入の経緯などの事情を聴いた後、釈放したという。
警視庁は中国・瀋陽の亡命者連行事件で中国外務省が発表した談話と、男の侵入事件との関連を調べている。
警視庁によると、男は98年5月15日、中国大使館の正門から大使館に入り、いったん正門から出た。直後に正門から敷地内に再び走って侵入したことから警戒していた警視庁麻布署員と機動隊員ら数人が不審者と判断。追跡して大使館敷地内で男を取り押さえた。男は30−40代で外国人登録証明書を持っていた。《共同通信》
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中国瀋陽の亡命者連行事件で、現地入りした小野正昭領事移住部長ら外務省調査団は11日午後、事件当時の状況について、総領事館員から本格的な事情聴取を開始し、夜まで続けた。
中国外務省は11日未明、総領事館側が当時「身元不明者5人の連行に同意、武装警察に感謝を表明した」との談話を発表。調査団は同夜「現段階で連行に同意した事実はない」として中国側の主張を全面否定する日本外務省の立場を変えなかったが、聴取の内容は一切明らかにしなかった。聴取は12日も続けられる。
また、在日中国大使館参事官は11日、警官が5人を連行する際、応対した領事館員が不在の「上司」に携帯電話で連絡を取った上で同意したと主張。調査団の一人は、領事館員が上司と連絡を取ったかが聴取の「最も重要なポイント」と語った。《共同通信》
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外務省は11日、川口順子外相も出席して「瀋陽総領事館事件対策本部」の会合を開き対策を協議した。外相が会合で「きちんと対応してほしい」と事実関係の厳格な調査と速やかな報告を指示。
「われわれには譲れない部分がある」と述べ、中国の武装警察官の行動に総領事館側が同意を与えた事実はなく、ウィーン条約違反に当たるとする日本の立場は揺るがないことを強調した。
ただ、政府は事件が亡命者の人道問題として国際的な関心を集めていることから「現実的な対応も検討しなければならない」(外務省筋)と判断。亡命者の日本側への引き渡しを引き続き求めると同時に、中国政府による朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への強制送還回避を重視し、第三国への出国の容認も含め身柄の解放を模索する意向だ。
また1998年3月に警視庁の警察官が在日中国大使館の敷地内で不審者を取り押さえた事件については「男は入館を拒否されていた。瀋陽の件とは事情が全く違う」(幹部)として、中国大使館の件を持ち出した中国側に反論する方針だ。
外務省内には、中国側が北朝鮮との関係悪化を回避するため「身柄を日本に引き渡すことはあり得ない」との見方が支配的。同時に「中国政府も人権問題に関する批判が世界的に高まることを懸念している」(外務省筋)として、中国政府が北朝鮮への強制送還以外の道を探るとの見方が出ている。《共同通信》
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【プロ野球】
オリックス2−4西武◇11日◇西武ドーム
西武は松井がプロ野球史上7人目となる2試合連続のサヨナラ本塁打を放ち首位を守った。2−2の延長十回無死一塁から今村のスライダーを逆らわずに中越えに打ち込んだ。素晴らしい勝負強さだった。
延長十回一死満塁のピンチで救援し、後続を2連続三振に仕留めた森が2勝目を挙げた。オリックスは十回の好機を生かせなかったのが痛かった。《共同通信》
【国際陸連GP・大阪大会】
国際陸連グランプリ(GP)シリーズ第2戦、大阪大会は11日、大阪府吹田市の万博記念競技場で行われ、男子ハンマー投げは、昨年の世界選手権銀メダルの室伏広治(ミズノ)が79メートル12の2位に終わり大会3連覇は成らなかった。優勝はアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)で80メートル10。
女子5000メートルは福士加代子(ワコール)が日本歴代2位の15分4秒54で3位。1万メートル日本記録保持者の渋井陽子(三井住友海上)は5位だった。
男子100メートルは末續慎吾(東海大)が10秒13で3位、朝原宣治(大阪ガス)は10秒20で5位。ショーン・クロフォード(米国)が9秒94で制した。男子400メートル障害で、世界選手権3位の為末大(大阪ガス)は49秒74の3位と振るわなかった。
【BSE問題】
BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の全頭検査で11日、国内4頭目のBSE感染牛が北海道で見つかった。厚生労働省は13日に専門家会議を開いて確定診断する。
昨年11月30日に3頭目が見つかって以来、5カ月半ぶり。4頭目の発見は感染の広がりを裏付けた。この牛の肉や内蔵などは市場に出回っておらず確定診断された後、焼却される。
厚労省によると、4頭目のBSEの牛は今月7日に歩行困難になり、9日に獣医師が左前脚の神経まひの疑いと診断した。BSEの症状が既に出ていた可能性があり、同省はさらに病理検査などによる確認を急ぐ。
BSE問題に絡んで雪印食品の偽装牛肉事件が今年1月に発覚。その後も産地偽装が相次ぎ、食への信頼が揺らぐ中、感染ルートの解明があらためて急務となりそうだ。《共同通信》