平成4650日目

2001/10/01

この日のできごと(何の日)

【巨人・長嶋茂雄監督】最終戦

今季限りで退任するプロ野球巨人の長嶋茂雄監督(65)が1日、同チームの今季最終戦となった阪神28回戦が行われた甲子園球場で最後の指揮を執った。試合は0−5で阪神に敗れ、有終の美は飾れなかった。同監督は、通算1034勝889敗59分け。リーグ制覇5度、日本一2度の成績を残し、ユニホームを脱いだ。《共同通信》

「長嶋さーん」。悲鳴のような声が阪神スタンドからも飛んだ。プロ野球巨人軍の長嶋茂雄監督(65)が指揮を執る最後の試合。甲子園球場(兵庫県西宮市)では1日、ひいきチームを問わず、それぞれの思いを重ね合わせて「ミスター」を目に焼き付けた。

試合終了後、長嶋監督がタイガースの桧山進次郎選手会長から花束を受け取ると、球場全体から長嶋コール。この日、17年間の現役生活に別れを告げたタイガースの和田豊選手のあいさつを見届けた同監督がベンチから姿を消しても、スタンド最前列に殺到した巨人ファンはメガホンでフェンスを叩きながら「長嶋、長嶋」と絶叫していた。《共同通信》

野村監督はどこか寂しげに見えた。和田の引退セレモニーには「いいスピーチだった。100点満点」と評価したが、長嶋監督のことを聞かれると、しばらくは無言だった。

試合前の2人は接触することはなかった。セレモニーが終わってグラウンドを去る前、やっと両雄はそれぞれベンチ前で帽子をとってあいさつをかわした。

その行為を問われた野村監督は「最後は礼儀でしょう。向こうが帽子をとってきたから」と重い口を開いた。《共同通信》

昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

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【NHK連続テレビ小説・ほんまもん】放送開始

【 FOMA】首都圏でサービス開始

NTTドコモは1日、テレビ電話や高速ネット接続が売り物の次世代携帯電話「FOMA(フォーマ)」の本サービスを首都圏で開始した。年内から来春にかけ全国主要都市に地域を拡大する計画。

この日は首都圏約260のドコモ店舗に標準型やテレビ電話タイプなど計2万数千台の端末を準備。同社は本年度内に15万台の加入を目指しているが、高速通信機能を生かした映像、音楽配信や国際電話サービスが利用できるのは来年以降の予定。本格的な普及はしばらく先になりそうだ。《共同通信》

【特急・おはようエクスプレス】運行開始

JR西日本金沢支社は1日、福井−金沢間を結ぶ特急「おはようエクスプレス」の運行を始め、初日は約150人が、通勤特急の快適さを実感した。

「おはようエクスプレス」は土、日曜、休日を除く毎日、運行される。午前7時に福井駅を出発し、芦原温泉、大聖寺、加賀温泉、小松の各駅に停車し、同48分に金沢駅に到着する。

3両編成で、サンダーバードの681系の車両が使用されている。最高速度は時速120キロで、定員は188人。福井駅で行われた出発式では、テープカットなどが行われ、運行開始を祝った。《北國新聞》

【ベストジーニスト2001】表彰式

ジーンズが似合う有名人に贈られる「ベストジーニスト2001」(日本ジーンズメーカー協議会主催)の表彰式が1日午後、東京都内で開かれ、一般選出部門で、男性は人気グループ「SMAP」の草彅剛さん(27)、女性は歌手の浜崎あゆみさん(22)が選ばれた。草彅さんは3年連続、浜崎さんは2年連続の受賞。

表彰式で、約10年間はき続けているというジーンズに革のジャケット姿の草彅さんは「イエーイ、イエーイ」と両方のこぶしを突き上げ、連続受賞に喜びいっぱいの表情。1998年に永久ベストジーニストになった仲間の木村拓哉さん(28)に続き、「殿堂入りを狙う」と宣言した。

「今年の秋冬はおなかを出していく」という浜崎さんはジーンズに黒い上着、ピンクのバンダナで登場。「来年、再来年もジーパンが似合う人でいたい」と話した。《共同通信》

【西武・西崎幸広投手】引退表明

西武の西崎幸広投手(37)が1日、今季限りでの引退を表明した。埼玉県所沢市の西武ドームに隣接する球団事務所で「昨年のシーズン途中から考えていた。けがが多くなりチームに迷惑をかける」と説明した。

今季は右内転筋の故障もあり、8試合に登板、1勝3敗、防御率3.19。

「若手が伸びてきたし、自分の居場所はなくなっていた。同世代の選手も辞めているし、世代交代かなと感じていた」と振り返った。《共同通信》

【小泉純一郎首相】対米支援策「国民は理解」

衆院は1日午後、本会議を開き、小泉純一郎首相の所信表明演説に対する各党の代表質問を行った。

民主党の鳩山由紀夫代表が米中枢テロをめぐる政府の対応について「国民への説明も作業そのものも遅れている」と批判したことに対して小泉首相は「指摘はあたらない。対米支援策は多くの国民の理解と支持を得ている」と強調。米軍などの支援新法案に盛り込まれる自衛隊の武器使用基準については「これまでの政府見解を踏まえ、自衛隊員、支援活動の安全が確保されるよう最大限の配慮をしたい」と述べ、基準緩和に意欲を示した。

テロ防止関連条約をめぐっては、爆弾使用防止条約締結に向けた準備作業を急ぐよう指示したことを明らかにし、「資金供与防止条約は内に署一名し、早期締結に向けて作業する」と述べた。

首相は米国が報復攻撃を行った場合の自衛隊の支援について「憲法の範囲内でできる限りの支援、協力は何かという観点から、意義のある支援協力ができるよう早急に考えたい」と述べたが、新法案の具体的内容は明らかにしなかった。《共同通信》

【政界談話室】

民主党の鳩山由紀夫代表は1日、衆院本会議前の代議士会で、代表質問のトップバッターで登場する抱負を披露。「相手は(小泉純)一郎だが、こっちがイチローになってクリーンヒットを打ちたい。できれば場外まで飛ばしたい」と米大リーグで活躍中のイチロー選手を引き合いに出し力んで見せたが出席者からすかさず「(打球の方向は)センターライトだな」とヤジ。保守系から旧社会党系の議員まで抱え、いまだに政治路線が定まらない民主党。与党に対決姿勢を示す場のはずが、党内問題に話が落ちてしまうところが民主党らしさか。《共同通信》

【MLB】

米大リーグのメッツは1日、ニューヨークでパイレーツと対戦、新庄外野手は「4番・左翼」でフル出場し、4打数1安打だった。打率は2割6分8厘。メッツは1−5で完敗。逆転優勝の臨みはほぼ消えた。

イチロー外野手、佐々木投手の所属するマリナーズは試合がなかった。《共同通信》

【NBA】マイケル・ジョーダン選手、復帰会見

米プロバスケットポール、NBAのウィザーズで4シーズンぶりに現役復帰するマイケル・ジョーダン(38)が1日、ワシントンの本拠地MCIセンターで復帰表明後初めて会見し「失敗すると思っては復帰しない。最高のレベルでプレーできる自信がある」と決意を披露した。

米中枢同時テロの犠牲者に配慮し、9月25日の復帰発表は書面だけだった。「神様」の生の声を聞こうと会場には200人を超す報道陣が詰め掛けた。焦点の「なぜ?」には「引退するときコートに未練を残していた。そのむずがゆさに一生さいなまれたくなかった。取り除くには復帰するしかなかった」と述べた。

ブルズでの6度のNBA優勝をはじめ数々の栄光が傷つくことを恐れる声も多い。だが「私は挑戦を恐れない。自分ができると思ったからやるだけだ」とあくまで前を見つめた。

ジョーダンは2日からチームとともにキャンプインし、3日のニックス戦で公式戦開幕を迎える。《共同通信》

【スイス航空】再建断念

スイス通信などによると、米中枢同時テロなどの影響で経営危機に陥ったスイス航空グループは1日、中核企業であるスイス航空の再建を断念、国際線を含め同航空の主要路線をグループ傘下のクロスエアに譲渡し、さらにクロスエアの株式の70%をUBSとクレディ・スイス両銀行に売却することを決めた。

スイス航空は当面、企業として存続するものの、破産宣告を余儀なくされるとの見方が有力。これにより、スイスを代表する航空会社は事実上クロスエアに移ることになった。グループ全体の負債は170億スイスフラン(約1兆2300億円)に上る。

スイス航空はベルギーのサベナ航空の株式をや49.5%保有するなど拡大路線を歩んだが、世界規模の景気低迷のあおりで経営が悪化。再検索を模索していたところ、9月11日に同時テロが発生し利用客が減少、経営破たんとなった。《共同通信》

【アフガニスタン】内戦激化

アフガニスタン・タリバン政権と内戦状態にある「北部同盟」は1日、前線の一部に「高度臨戦態勢」を発令した。米中枢同時テロ以降、タリバンの孤立で勢いづく同盟側は暗殺された指導者マスード将軍の喪が明ける今月中旬にも、首都カブール奪還を検討している。

ウサマ・ビンラディン氏引き渡しの交渉が暗礁に乗り上げる一方で、米国は報復攻撃の準備を整えた。タリバンと北部同盟の内戦は激化しており、緊張は隣国パキスタンでも高まっている。

北部同盟関係者によると、同盟は1日、アフガニスタンの約2割に達するとされる支配地域から実践指揮者らを集め、作戦会議を開催した。

アフガニスタン北東部の戦線は、北部同盟がカブールまで約40キロに迫ったところでこう着状態に陥った。北部同盟は1日、前線のバグラム空軍基地一帯に「高度臨戦態勢」を発令、戦闘可能な男性らに応召の態勢をとるよう命令した。

北東部戦線のマフムドラキでは、2日早朝のタリバン側の攻撃により、住民2人が死亡、2人が負傷したという。《共同通信》

【古今亭志ん朝さん】死去

古典落語の名手として落語界をリードし、幅広いタレント活動でも知られた古今亭志ん朝さんが、1日午前、肝臓がんのため東京都新宿区の自宅で亡くなった。63歳。東京都出身。

名人として名高い五代目古今亭志ん生の二男。1957(昭和32)年に志ん生に入門、62年に真打ちに昇進し、二代目志ん朝を襲名した。親譲りの新作嫌いで、古典落語に打ち込み、早くから落語界の次代を担うホープとして注目された。

写実的でち密な人間描写に秀で、独特のスピード感が持ち味。古典を従来通り踏襲するのではなく、新しい命を吹き込んだ名手といわれている。得意演目は「富久」「火焔太鼓」「品川心中」など。

一方で、三木のり平を演技の師と仰ぎ、テレビドラマ「若い季節」や映画「大日本スリ集団」などに出演。映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のナレーションも担当した。舞台出演作に「三木助恋ごよみ」「坊っちゃん」などがある。《共同通信》

【この日も民主党】

政権交代なくして改革なし!――鳩山代表が迫力の代表質問

1日、衆議院本会議において小泉総理大臣の所信表明演説に対する代表質問が行われ、そのトップとして民主党の鳩山由紀夫代表が質問に立った。鳩山代表は、米国テロ問題、財政・金融問題、狂牛病問題、選挙制度改革および高祖議員辞職問題、外務省不祥事問題などについて、舌鋒鋭く首相を追及し、民主党の政策的立場を鮮明に示した。

鳩山代表は、冒頭、米国の同時多発テロによる犠牲者・被害者の方々に哀悼とお見舞いの意を表明。続いて、テロ対策問題に対する民主党の基本姿勢──(1)正義と人道に反するテロには毅然として立ち向かう、(2)米国等のテロ撲滅行動への協力に必要な法整備には、憲法の枠内で周辺事態法の議論を踏まえて取り組む、(3)求められる後方地域支援には、犯人の特定と米国の作戦目的の明確化を求める──を示し、小泉内閣の対応の問題点を具体的に追及した。

■米軍支援の具体策、全く答えぬ小泉首相

まず、鳩山代表は、テロ事件勃発後の政府の初動対応の遅れ、ならびに9月21日に海上自衛隊護衛艦が米空母キティホークの出港に同行した法的根拠について追及。併せて、インド洋へのイージス艦派遣計画の有無ならびにその法的根拠についても質した。

小泉首相は、「速やかに対応を指示し、遅れたという指摘は当たらない」と強弁。また、海自護衛艦の活動については、防衛庁設置法第5条18項に基づく「警戒・監視の一環」だとし、今後のイージス艦派遣も同条項に基づく活動として検討していることを明らかにした。

鳩山代表は、次に、国内のテロ対策について質問。首相が先の所信表明で国内のテロ対策について何も触れなかったことに「唖然とした」と述べた上で、現行法のもとでの政府の危機管理対策の現状、ならびに自衛隊法に定められた自衛隊の警備対象の拡大に関する考えを質した。

小泉首相は、危機管理対策については「出入国審査の強化」や「情報収集体制の強化」を一般的に挙げるにとどまり、自衛隊の警備対象拡大については「米軍施設や自衛隊施設以外についても、(自衛隊法の)治安出動によることなく警備できるように法整備を進めたい」とだけ述べた。

また鳩山代表は、先に政府が示した7項目の「当面の措置」をめぐる法整備上の問題について4点──自衛隊の米軍に対する後方支援を可能にする法整備と憲法との関係、新法における自衛隊の活動領域と従来の政府見解との関係、自衛隊の武器使用基準に関する政府見解変更の意図はあるか、他国領域での武器弾薬輸送にも周辺事態法における後方地域支援の規定を適用するのか──にわたって質問。加えて、陸上自衛隊のパキスタン等への派遣を考えているのなら「戦闘区域と一線を画される地域」とは言えないと思われるがどうか、と質した。

小泉首相は、「自衛隊の活動地域や国際活動の内容についてまだ明らかでないので具体的に言えない」などと議論を回避し、「憲法の枠内で意義のある支援・協力を行う」といった抽象的な答弁に終始、議場からの批判を浴びた。

鳩山代表はさらに、テロ撲滅のための国際共同行動への参加に際しては、国際的には国連決議、国内的には国会承認を要件とすべきだと指摘、首相の見解を質した。また、国際協力のための新法成立後も、それを適用するためには、米国から犯人特定の根拠および軍事作戦の目的に関する十分かつ合理的な説明があることが条件になるとの考えを示し、現在、どこまで米国側から説明を受けているかを質問した。

ところが小泉首相は、米軍等への協力の正当性については、今回のテロを「国際の平和及び安全に対する脅威」と認めた国連安保理決議(第1368号)で担保されているという強引な見方を示し、あとは「新法の内容はまだ策定中」などとして答弁を避けた。新法適用の条件についても、「米国は(ビンラディン氏が犯人であることは)疑いないと述べている」「(軍事作戦の目的については)事柄の性質上、詳細は報告できない」などと曖昧な答弁に終始した。

最後に鳩山代表は、テロリズム撲滅のための国際共同行動において、外交や司法の観点からの取り組みが重要性であることを強調。前者に関しては、貧困問題解消のためのODAの戦略的活用や中東和平外交への取組み強化を、後者に関しては、98年に採択された国際刑事裁判所設立条約の署名・批准などを提案したが、首相はほとんど答えなかった。

■不良債権の「国家的飛ばし」は認めない

「“カイカク、カイカク”という総理の勇ましい言葉とは裏腹に、国民の目の前にあるものはいったい何でありましょうか。それは、日本経済を瀕死の状態にまで追い込んだ経済のマイナス成長であり、本格的な5%失業時代への突入であり、さっぱり進まぬ不良債権処理と相次ぐ大型倒産という現実であります。そして、資金繰りに苦しむ地域の中小企業群の解体であり、中高年者の自殺の増大です。いまや、人間も地域社会も崩壊の危機にあえいでいます」──鳩山代表は、危機感に満ちてこう国内状況を描き出し、構造改革の現状など国内問題について、首相を追及した。

まず、危機的な経済状況に対する認識を質すとともに、マイカルの倒産で2万人もの個人投資家が財産を失ったことを指摘、金融機関への緊急一斉検査による厳格な資産査定と引き当ての実施を改めて強く求めた。また、整理回収機構(RCC)による不良債権の買い取りを簿価を基準にして行うという「国家的飛ばし」を強行しないよう断固として要請。さらに、補正予算編成に際して30兆円以下への国債発行額抑制という公約を反古にしないことの確約も迫った。

小泉首相は、「厳しい状況だが、世界的な経済変動の荒波の中で、工程表に従って改革を進める」とだけ述べ、不良債権処理の停滞を積極的に打開する考えは示さなかった。しかし、RCCの債権買い取り価格の弾力化については「時価を基準に考える」と言明。国債発行額についても、30兆円以下に抑制するという方針は「変わっていない」と明言した。

■高祖辞任後の繰り上げ当選は「やり得」

狂牛病問題については、農水省の虚偽発表や不真面目な対応に国民の批判が集まっていることについて農水大臣の責任を問うとともに、感染経路の早期解明、直接及び風評被害を受けている関係者への補償と対策、感染の実態や人体への影響などに関する情報開示などについて政府の方針を明示するよう求めた。

これに対して小泉首相は、「行政への不信を招いたことは遺憾」と述べるにとどまり、今後の対策としても、徹底した情報開示を行うと答えたに過ぎなかった。

高祖議員の辞職問題では、「“ザ・自民党”の政官財癒着構造こそが根底にある」と指摘。辞職議員の積み上げ票によって自民党の候補が繰り上げ当選する「やり得方式」を改め、辞職分の議席を返上することを要求した。また、総務大臣や郵政事業庁長官の責任問題も追及。加えて、中選挙区制復活に関する考えも質した。

小泉首相は、高祖辞職問題について国民に一片のお詫びを述べることもなく、「繰上げ補充は政党への支持を示した選挙人の意思に沿うもの」などと開き直った。また、選挙制度については、選挙制度改革協議会でいくつかの複数区をつくる方向で検討していることを明らかにした。

■「あなたには改革の意味がわかっていない」

また、外交政策をめぐっては、靖国神社参拝についてとりわけ中・韓両国にどのように説明するのかを質問。さらに、数々の外交上の問題を引き起こしている田中外相の外交センスと外務省管理能力について、任命権者としての認識を質した。

小泉首相は、靖国神社参拝について「二度と戦争を起こさないという平和への誓いを立てるために参拝した」などとうそぶき、田中外相についても「着実な成果を挙げている。国民の視点で外務省改革を進めてほしい」などと述べた。 鳩山代表は、こうした答弁を強く批判し、「あなたには改革の意味がわかっていない。自民党政治に身を任せ、政官業の癒着に手をつけようともせず、主体性のある外交も行っていない。私はあらためて、政権交代なくして真の構造改革なしと確信する」と喝破して、代表質問を締めくくった。

雇用問題とセーフティネットで民主党の具体案示す~代表質問で北橋健治議員

小泉首相の所信表明演説に対する衆議院本会議での代表質問で10月1日、民主党・無所属クラブの2番手として、北橋健治衆議院議員(経済産業ネクスト大臣)が質問に立ち、雇用問題と社会的セーフティネットを中心に、政府の姿勢を質した。

北橋議員は「日本再生には、金融改革と並んで、雇用と老後不安を取り除けるかどうかにかかっている」と指摘。「国民が知りたいのは、決意やスローガンではなく、改革の具体的中身とスピードだ」と前置きして、質問に入った。

■雇用対策を景気対策の最大の柱に

まず、雇用情勢について小泉首相が所信表明演説で「公共職業安定所には、求職者を上回る年間700万人もの求人があり、バブル期に匹敵する水準だ」と述べたことについて、「およそ厳しい現実からかけ離れた発言だ」と北橋議員は指摘。「有効求人倍率は0.59%に過ぎず、就職をあきらめた主婦など420万人を加えると失業率は10.4%に達する」として、首相の認識の甘さを厳しく批判した。首相は「構造改革が実行されれば、今後5年間でサービス部門で530万人規模の雇用創出が期待できる」と答弁したものの、各論は原稿にある項目を棒読みで羅列しただけだった。

北橋議員は、ブレア労働党政権下でのイギリスの雇用対策を例に、「雇用対策は不良債権処理の事後処理ではなく、景気対策の最大の柱と位置づけ、公共事業を削減してでも、雇用対策に予算をシフトさせるべき」と提言した。

また、雇用のセーフティネットの整備については、「財政的な裏付けがなければ政策論議は困難」として、予算規模を明らかにするよう要求。同時に、民主党が提唱している「今後3年間で雇用保険制度を充実・安定させるために2兆円の基金創設」「雇用保険の給付が終わった失業者や自営業廃業者のための、2兆円規模の最長2年間の職業能力開発支援制度」への見解を尋ねた。

北橋議員は、雇用におけるミスマッチの解消については、「職業紹介、職業訓練の一体化が先決だ」と指摘。カウンセリングや職業訓練、職業指導、再就職を一貫して行う「長期失業者就職実現プログラムの創設」や「個人契約型職業紹介サービスの導入」などの民主党の具体策を示し、首相の賛同を求めた。

現在政府が検討されている労働者派遣制度、有期労働契約、裁量労働制の見直しについて、北橋議員は「派遣元、派遣先企業、労働者の利便性向上につながる一方、雇用全体の拡大にはつながらず、かえって雇用の不安定化を招く」とし、「拙速な見直しは問題だ」と指摘した。

さらに、北橋議員は「公共的分野での雇用を先導的に生み出す努力が重要」と述べ、「環境リサイクルなど環境分野、病児保育、延長保育、低年齢児保育、育児アドバイザーなど多様な保育サービス、学童保育への支援拡充、技術支援を目的とした海外支援プログラム」といった民主党のプランを示し、緊急雇用創出プランの拡大を総理に求めた。

また、1日から優遇措置の申請に入るNPO税制について、「実際には認定基準が厳しすぎて、ほとんど認定されない」と指摘したが、首相は「できるだけ多くのNPO法人にこの制度を積極的に活用してもらうことを期待したい」と述べるだけで、認定基準の見直しの必要性には触れなかった。

■未来の安心を取り戻すことが経済再生の鍵

次に北橋議員は、「未来の安心を取り戻すことが経済再生の鍵」との見地から、福祉ビジョンについての首相の見解を質した。

まず医療制度改革について、北橋議員は「厚労省が公表した試案は、国民・患者への大幅な負担増と給付削減策にすぎない」と指摘。「高齢者医療のあり方については方向性すら示していない」「健康保険の財政悪化の問題は、放置されたままだ」と糾弾し、試案の撤回を求めた。

首相が所信表明演説でふれなかった介護保険についても、「保険料、介護の質の改革が期待されている」として、ビジョンの明らかにするよう迫った。

年金制度改革についても「骨太方針には具体的な対策への言及がなく、危機感が感じられない」と指摘。破たんが相次ぐ生命保険会社の経営環境の改善についても、早急に結論を出し、実行するよう求めた。

■政府は中小企業の切実な現実にこたえよ

中小企業を守るセーフティネットにテーマを移した北橋議員は、「地下の大幅下落に伴い、土地担保に見合って融資が縮減されて、つぶれなくていい企業まで、『息切れ倒産』に追い込まれるのではないか」と事態を憂慮し、政府施策は、その切実な現実に応えてはいないと批判した。その上で、「中小企業が不良債権処理の道連れにされないために何をなすべきか、国会は早急に答えを出さねばならない」として、民主党の政策として、「個人保証の撤廃」「売掛金債権を担保とする新金融対策」「情報開示を通じて中小企業への金融を円滑化する金融アセスメント法案」「政府系中小企業金融機関の統廃合と中小企業への配慮」「下請代金支払遅延等防止法の改正など下請対策の強化」を提案した。

■目先の株価対策ではなく証券市場改革を

続いて北橋議員は、経済産業の活性化策として、まず証券市場改革をあげ、「個人投資家の信頼を失わせている原因を直視し、まず証券業界や市場自体への国民の不信感を払拭する対策が不可欠だ」と指摘。そして、民主党が提出している「公正取引委員会のような独立性をもった証券取引委員会の設置」法案への賛同を求めたが、小泉首相は、「現行体制で十分だ」と述べるだけだった。

また、国際競争力回復のための、民間の研究開発・環境関連の設備投資に対する投資減税の断行や、知的財産権の21世紀戦略の早期確立を求めた。

さらに、農産物セーフガードについては、「世界的な保護主義の蔓延を許すならば、自由貿易体制の恩恵を最も受けてきた日本の受ける打撃は、計り知れない。農産物セーフガードの本発動はそのトリガーになりかねない」との見方を示し、「回避するための農業再生プログラムの策定・実行」とともに、「中国との外交努力に全力を傾注すべきだ」と提案した。これについて、首相は「輸入増加と国内産業の損害との因果関係の有無を十分見極めた上で総合的に判断し、発動する」などと一般論でかわした。

■報道統制になる個人情報保護法は再検討を

環境問題については、日本はCOP3の議長国として、できるだけ早期に京都議定書を批准し、京都議定書を発効させるべきだと要求。さらにCOP7に向け、京都議定書の批准と経済的措置を含む国内法整備への取組みを明らかにするよう求めた。

最後に北橋議員は、前国会で政府が提出した「個人情報の保護に関する法律案」について、「出版や報道への過剰規制にもなりかねない重大な問題点がある」と指摘。個人情報取扱事業者の義務の適用除外として報道機関等をあげている点について、「取材・報道活動に萎縮的効果が働くことが懸念される」とし、報道統制とも疑われかねない条文の削除、法案の再検討を小泉首相に求めた。

しかし小泉首相は「報道を統制するものには全くなっていない」と北橋議員の指摘を否定し、個人情報の保護のために自主努力を求めた法案だとあくまでも強調した。

この日の小泉首相は終始原稿の棒読みに終始。また、北橋議員が時間の都合で割愛した質問に答弁してしまうという失態を演じ、野党議員の激しいヤジをあびていた。《民主党ニュース》



10月1日 その日のできごと(何の日)