平成3187日目
1997/09/29
この日のできごと(何の日)
【橋本龍太郎首相】「6大改革は正念場」
第141臨時国会が29日召集され、橋本龍太郎首相は午後の衆院本会議で所信表明演説を行った。首相は内閣の最重要課題と掲げる6大改革を「これからが正念場」とした上で、今国会から来年の通常国会までを「行政改革と財政構造改革の帰趨を決する重要な時期」と強調、両改革に集中的に取り組む決意を示した。特に財政構造改革法案が今国会での最重要法案と言明した。
演説の冒頭、ロッキード事件で有罪が確定した佐藤孝行氏の総務庁長官起用・辞任問題に関し「政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかった」として、深い反省とおわびを表明。企業・団体献金問題を論議していく考えを明らかにした。
首相は今後の政治姿勢について「政策中心の政治を目指す」と表明。「与党3党の協力関係を基本として、政策によっては各党、各会派の協力を得たい」として、自社さきがけ3党の結束を強調した。《共同通信》
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【海洋地球研究船みらい】完成
原子力船「むつ」を改造した海洋科学技術センター(神奈川県横須賀市)の海洋地球研究船「みらい」(8,672トン)が完成し、29日午後、東京都江東区の石川島播磨重工業東京第一工場で、同センターに引き渡された。
みらいは全長130メートルで世界最大級の海洋観測船。むつの原子炉を取り外し、ディーゼルと電動モーターを動力とする船としてよみがえった。改造費は約200億円。《共同通信》
【参院】タレント名の使用を解禁
参院は29日召集の臨時国会から、議員の通称名の使用を解禁した。これにより、森田健作(本名・鈴木栄治)、扇千景(林寛子)、西川きよし(西川潔)、松あきら(西川玲子)、但馬久美(林久美子)、円より子(山崎順子)、末広まきこ(末広真樹子)の7議員が、なじみのあるタレント名で議員活動を始めた。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・29日の衆院本会議終了後、本会議場わきのソファで雑談していた自民党の加藤紘一幹事長と、官房長官を退任した梶山静六氏が連れ立って国会内の幹事長室へ。加藤氏が梶山氏を昼食に誘ったためで、梶山氏は傍らの記者団に「ラーメンをごちそうになるんだ。素浪人というのは、だれかに飯をごちそうしたいと思っていても、自分からは言えないものだ」と、何とも面はゆい」様子。梶山氏は「国会初日にごちそうになって幸せだ」と笑みを浮かべた。保保派がそろった総務会メンバーとして厳しい発言も予想されるだけに、加藤氏の気遣い?
○・・・この日の新進党両院議員総会で、扇千景参院議員会長は「今の政権は、離婚しておかしくない連立政権。心が離れていて偽装結婚している」と、橋本政権を徹底批判。離党者続出の同党だが、扇氏のボルテージは上がりっぱなしで「参院は自民党が過半数に足りない状態。内閣不信任案はまず参院が出せば国民の期待する結果が出る」と見えを切った。ともあれ「残念ながら衆院が先に出すというから遠慮するが…」と腰が引けたところも見え隠れし、政府与党に対する追及にいまひとつの感がある西岡武夫幹事長ら執行部のしりをたたくのが狙いのよう。《共同通信》
【酒鬼薔薇聖斗事件】「医療少年院が適当」
神戸の連続児童殺傷事件で、家裁送致された中学3年の少年(15)について、近く家裁に提出される精神鑑定の概要が29日、関係者の話で明らかになった。
少年の精神状態について、人や動物に対する残虐行為を反復していたことから18歳未満の精神障害の一類型「重症の行為障害」と分析。家庭や学校の影響は少なく、一連の犯行は人や動物を傷付けることに快感を覚える特異な「衝動」が引き起こした可能性が高いと結論付けている。
処分については「精神科医に治療され、見守られる環境が望ましい」として、事実上、26歳になるま」で収容できる医療少年院への送致を適当とする内容となっている。
少年の鑑定留置期限が切れる10月2日に神戸家裁に提出される。同日から再開される少年審判手続きでは、最も重要な資料の一つになる。行為障害は精神病ではないが、人や動物への虐待など反社会的行動を繰り返す障害。完治せずに成人すると、深刻な人格障害を引き起こす可能性が高いとされる。
鑑定を依頼された医師二人は、少年と10回以上面接し、脳波や血液も検査。両親から成育過程などを聴いた。供述調書などの捜査資料も詳細に検討した。その結果、両親からの虐待歴などはなく、医学的検査でも目立った異常がなかった。
一連の犯行に見られる残虐行為は、行為障害の診断基準「重大な身体的危害を与える武器の使用」や「人や動物に対して残酷」の項目に合致した。
また少年が犯行声明やノート、作文などで「もう一人の自分」の存在を示唆していることについて、人格の統合が不完全な「解離性障害」の疑いがあると指摘している。《共同通信》
【共産党】初のあいさつ回り
共産党の不破哲三委員長と志位和夫書記局長は29日、国会内で各党幹部を個別に訪問、新体制発足に伴うあいさつをした。不破氏は「今さら知られた顔だが、礼を失してはいけない」と説明したが、共産党広報部によると、こうしたあいさつ回りは結党以来初めて。新体制の「柔軟路線」を反映したものと言えそうだ。
自民党は橋本龍太郎総裁(首相)と加藤紘一幹事長が応対したが、「生臭い話はなく、専ら昔話や登山の話」(不破氏)に終始した。新進党では西岡武夫幹事長が、新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)の国会承認を求める立場から共闘を呼び掛けると、志位氏が「ぜひ会談しましょう」と前向き姿勢を表明。小沢一郎党首も「理念が違うのは仕方ないが、共闘できる分野があればやりたい」と述べた。
「市民が主役の政治」を掲げる民主党では、菅直人代表が「民主主義革命を標ぼうすると共産党と同じと言われる」と苦笑。不破氏は「特許権はないからお使いください」と軽口で応じた。社民党の伊藤茂幹事長は「今後も変わっていくの」と共産党の路線問題で質問。不破氏は「党名は変わりませんよ」と言明したが、同席した社民党の畠山健治郎氏は「うちも(社会党から)変えない方が良かった」とぼつりと漏らしていた。《共同通信》
【急行能登】最後の峠越え
長野(北陸)新幹線の開業で行する信越線が分離、横川−軽井沢間が廃止されるのに伴い、29日夜、信越線経由の最後の夜行急行「能登」が出発した。30日からはほぼ同じダイヤで上越線経由に変更される。
29日午後9時34分、福井駅を上野行きの上り「能登」が発車。午後11時58分には上野発福井行きの下りも出発。それぞれ横川−軽井沢間の最後の碓氷峠越えをして約8時間で終点に着く。
9両編成で女性専用車両もある急行「能登」は1日1往復。昭和34年に東海道経由の急行として上野−金沢間で運行を始め、いったん廃止されたが、50年、上越線経由で復活した。57年に信越線経由となり、平成6年に福井まで延長された。《北國新聞》
【ロイ・リキテンスタインさん】死去
漫画をそのまま拡大したような油絵でポップアートを先導した米国の画家ロイ・リキテンスタイン氏が29日、肺炎の合併症のため米ニューヨークの病院で死去した。73歳だった。
1923年、ニューヨーク市に生まれ、オハイオ州立大で美術を学ぶ。60年代、ミッキーマウスの漫画のこまなどを印刷の粒子まで手書きで拡大する独自の表現を確立。アンディ・ウォーホルらとともに、大衆文化を芸術に取り入れたポップアートの代表的作家となった。
後年はピカソら先人の絵を引用したり、日用品を単純な構図と色彩で描いた作品を残した。その作風は、絵画の即物性を強調する一方、マスメディアの強い影響下にある現代社会を浮き彫りにするものと評価された。94年、代表作に数えられる「ヘア・リボンの少女」を東京都現代美術館が約6億円で購入、都議会などで論議を呼んだ。95年には科学や文化発展を対象にした京都賞を受賞している。《共同通信》