平成3125日目
1997/07/29
この日のできごと(何の日)
【松山ホステス殺人事件】福田和子容疑者逮捕
昭和57年8月、松山市内のマンションで同僚のホステスを殺害したとして、殺人容疑で愛媛県警が指名手配していた松山市生まれ、住所不定、元ホステス福田和子容疑者(49)が29日、福井市内で逮捕された。同容疑者は指名手配直後にまぶたと鼻を整形、偽名を使い逃亡を続けており、来月19日の時効まであと21日だった。
愛媛県警察協会は昨年8月、国内の犯罪捜査では初めて有力情報に100万円の懸賞金を出すことを決めていた。福田容疑者は福井市内の飲食店に客として出入りしており、報道で時効直前であることを知った同市内の男性(59)が今月24日、「似た女性が店にいる」と通報したのが逮捕のきっかけだった。
福井県警が29日午後4時ごろ、この飲食店から出てきた福田容疑者を任意同行。当初「ナカムラユキコ」の偽名を使い、本人であることを否認したが、指紋が一致したため同6時40分、逮捕した。調べに対し、容疑を認めている。
任意同行の際、酒を飲んでいたらしく、抵抗はしなかった。手配写真よりやせていたが、疲れた様子はなかったという。愛媛県警は「通報した男性には懸賞金を出すべきだろう」としている。
調べによると、福田容疑者は昭和57年8月19午後、松山市勝山町、ホステスA子さん=当時(31)=のマンションで、A子さんを腰ひもで絞殺した疑い。翌日、遺体を松山市郊外の山中に埋めたとされる。
福田容疑者は石川県内で菓子店の女主人になったり、名古屋市内のホテルで働いたりしていたことが確認されているが、昭和63年5月の名古屋市内での目撃情報を最後に足取りが途絶えていた。《北國新聞》
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顔を整形し、ホステスや、菓子店の女主人などに変身しながら、14年以上にわたり追跡の網をくぐり抜けてきた福田和子容疑者(49)が29日、逮捕された。同容疑者をモデルにした小説が出版され、国内の犯罪捜査では初の懸賞金が掛けられるなど話題を呼んだ逃走劇は、時効まであと21日で幕を閉じた。
愛媛県警によると、福田容疑者はA子さん=当時(31)=を殺害後、A子さんのマンションから下着も含めた家財道具一式を自宅に運び込み、自首を勧める当時の夫の説得を振り切って逃亡した。逃亡先から実家に「逃げ切ってみせる」と電話で宣言。犯行の約2週間後には都内で顔を整形し、潜伏先では複数の偽名を使い分け、ホステスやホテル従業員になりすました。
石川、愛媛県警のこれまでの調べでは、福田容疑者は、犯行6日後の昭和57年8月25日、金沢市内に現れ、求人広告を見て片町のスナック勤めを始めた。同28日から1週間の休みを取り、東京都内の整形外科病院で目を二重まぶたにするなどの手術を受けた。その後、変身した福田容疑者はスナックの常連客だった能美郡内の菓子店主と親しくなり、60年9月から同居を始め、商売を手伝いながら暮らしていた。
同容疑者は「京都の料理屋の娘で、名前は華代」と偽り、菓子屋のおかみと内縁の妻を演じ続け、61年には松山から長男を呼び寄せ、同店で身を隠した。しかし、菓子店主の親類が「最近、素性の分からない女が住みついている」と金沢中署に届けたことで、福田容疑者の県内潜伏が判明。63年2月12日、県警捜査員が踏み込む30分前に姿を消し、運の強さをみせつけた。
その後、県内から福田容疑者の足取りはぷっつり途絶えており、潜伏期間中の5年半を除き、県内での足取りは確認されていない。
福田容疑者が逮捕されたことについて能美郡内の菓子店主は29日、本社記者の取材に対し「昔のこと。私には関係ない」とぶ然とした口調で答えた。63年5月、名古屋市内から姿を消して以降、福田容疑者の消息は途絶えていた。事件10年目の平成4年には福田容疑者をモデルにした小説「魔性のヴィーナス」が出版され、翌年には小説を基にしたテレビドラマが放送された。《北國新聞》
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時効完成まであと21日と迫った29日、松山市のホステス殺害事件で指名手配されていた福田和子容疑者(49)が福井市内で逮捕された。整形で顔を変え、職業を転々として捜査の網を擦り抜けてきた14年の逃走生活。逮捕時も「わたしはナカムラユキコ」と別人を装ったが、指紋が決め手となり「間違いありません」と認めた。
福田容疑者は同日午後4時ごろ、福井市内の飲食店を出たところを通報で駆け付けた約10人の捜査員に取り囲まれた。アルコール臭がしたが、抵抗はせず、おとなしく任意同行に応じたという。ベージュ色の半そでブラウスにスカート、オレンジ色のカーディガン。赤茶色の髪に白いパンダナを巻き、首に金銀のネックレスをしていた。やつれや、疲れた様子はなかったという。
この飲食店の女性経営者によると、福田容疑者は今年1、2月ごろから店に来るようになった。いつも昼に来てビールを飲み、カラオケを楽しんでいた。店では「レイコ」と名乗り「エステの仕事をしている」「外国帰りの男性と6月に結婚する」などと話していたという。
経営者は「19日朝のテレビを見て間違いないと思った。常連客とも似ていると話をしていたと言う。この日も福田容疑者は正午ごろ現れたが、午前中に福井署員が指紋採取のためビール瓶を持っていき、結局、指紋が逮捕の決め手となった。
福田容疑者逮捕の一報を受け、同日午後7時半ごろから約30の報道陣が福井署に押しかけた。「どこで逮捕したか」など報道陣の矢継ぎ早の質問に、大柳弥統雄副署長らが対逮捕のきっかけは飲食店の客の通報だったが、大柳副署長は「本人の強い希望で匿名にしている。テレビを見たということなので、賞金の事は知っているだろう」とだけ話した。《北國新聞》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【熊本県】水俣湾に「安全宣言」
熊本県の福島譲二知事は29日午前の記者会見で、水俣湾の魚介類に対する水銀汚染の心配が将来もなくなったとして安全宣言した。その上で、魚の拡散防止に1974年に設置された仕切り網のうち残る部分(約2100メートル)の全面撤去工事について「できるだけ早い時期に着手し、9月末までには完了したい」と述べた。
水俣病の象徴となっていた仕切り網は23年ぶりに姿を消すことになった。1956年5月の水俣病公式発見からは41年ぶり。《共同通信》
【共産党】21世紀早期に政権目指す
共産党は29日、党本部で第8回中央委員会総会(八中総)を開き、志位書記長が9月22日からの第21回党大会に提案する大会決議案を報告した。決議案は昨秋の衆院選や先の東京都議選などでの躍進を背景に、無党派層との連携を一層強めることで、「21世紀の早い時期に政権を担い得る党への成長を目指す」との方針を公式文書として初めて明記。「視野を思い切り広げ、すべての国民を対象とした対話と共同の追及」を強調した。
また、今後の政治方針として、「自民党との自共対決こそ日本の政治対決の主軸」との表現で、自民党との対決姿勢を明確に打ち出した。《読売新聞》
【橋本龍太郎首相】空自機タイ派遣の経緯を説明
橋本首相は29日の政府・与党首脳連絡会議で、カンボジアの邦人救出に備えたタイへの自衛隊輸送機派遣の経緯を説明した。
この中で首相は、派遣の法的根拠について「外相が依頼する可能性があると判断した場合、輸送機を隣接国まで進出・待機させることは自衛隊法100条の8を根拠とする準備行為として実施し得る」との見解を文書で示し、同法に基づく措置だったことを強調した。また、会議では、在外邦人保護のあり方について、今後与党間で協議していくことで一致した。《読売新聞》
【政界談話室】
○・・・橋本龍太郎首相は29日、首相官邸を訪ねた沖縄県と北海道の小・中学生記者団の取材に応じた。直前に大田昌秀沖縄県知事との会談を終えたばかりの首相は、ペンとカメラにそろいの腕章姿の記者団に「昭和39年に初めて行った沖縄は占領下で、戦争の傷跡が残っていた」とまずは思い出話を披露。「私たち沖縄のことを忘れないで」と訴えられた首相は「米軍基地少しでも整理・縮小し、知事と一緒に産業振興に努力していく」と、子供相手でも沖縄振興への意気込みを盛んにPR。
○・・・前新進党政審会長の愛知和男氏はこの日、自民党への復党あいさつのため4年ぶりに同党本部を訪問。長いブランクのためか、訪問先の幹事長室を、隣の総務局長室と間違えてしまう一幕もあったが、「長い間政治活動をしてきたここに足を踏み入れて感無量だ」としきりに懐かしがっていた。敵陣にいた“大物”の復党とあって、加藤紘一幹事長ら首脳陣がうちそろっての迎えに「大いにぞうきん掛けからやらせてもらいます」とベテラン議員らしからぬ殊勝なところを見せていた。《共同通信》
【香港高裁】「臨時立法会は適正」
香港高裁は29日、返還前の法律が返還後も有効かどうかをめぐって争われた裁判で「憲法に当たる基本法に照らして法の継続性は明らか」と法律は有効との判断を下した。さらに、返還後の暫定議会、臨時立法会に関し、中央政府の決定を香港の裁判所は判断する権限はないとする一方、「主権国である中国の法に基づき臨時立法会は適正に設置された」との見解を示した。
臨時立法会は、民主選挙で選ばれた返還前の議会、立法評議会を解散して設置されたため、民主派や英米各国は中英共同宣言に違反する違法な機関と批判していた。高裁の判断は臨時立法会に事実上法的な“お墨付き”を与えたことになり、民主派にとって大きな打撃となりそうだ。
裁判は、返還前に起きた3件の汚職事件で被告側の弁護士が「返還前の法律を返還後に継続する手続きがとられなかった」などとして被告を起訴した法律の無効と被告の無罪、さらに臨時立法会の違法性を主張。これに対し検察側は「香港」の法治の根幹を揺るがす重大問題と高裁での審理を要請していた。
高裁の判断は「基本法60条が返還前の法律や契約の継続を定めており、新たな継続手続きは不必要」と指摘。臨時立法会については中国の全国人民代表大会(国会)の決定に基づいて設置されており判断する権限がないとした。しかし、判事の意見として「中英交渉が決裂し、返還前の議会を返還後に継続できなかったため、やむなく設置された」と中国と香港特別行政区の立場に理解を示した。《共同通信》