平成2961日目

平成9年2月15日(土)

1997/02/15

【日本大使公邸人質事件】

テレ朝、公邸に無線機残す

ペルーの日本大使公邸人質事件で、テレビ朝日系列の記者が今年初め公邸に入った際、現地取材本部のデスクの指示で邸内に無線機を残していたことが、15日までに分かった。これまでに2回、この無線機を使って人質らと交信したという。

郵政省は伊藤邦男同社社長を呼んで事実関係を確認、外務省は「平和的解決に重大な影響を及ぼす懸念がある」と遺憾の意を表明した。同社は13日午後から無線機の使用を中止したことを明らかにしている。

テレビ朝日系列の広島ホームテレビの人見剛史記者とペルー人通訳の2人が公邸内に入ったのは1月7日(現地時間)。

テレビ朝日などの説明によると、人見記者は公邸に入る際には武装グループを刺激する恐れがあるため、所持していた携帯無線機の電源を切っていた。

しかし、公邸を出る際に武装グループから無線機を残す許可を得たため、現地取材本部のデスクと無線で交信。デスクが「人質からのSOSを含め、今後の公邸内取材に必要」と無線機を残すように指示した。その後、本社の報道局も報告を受けていた。

1月末に、武装グループのメンバーとみられる男からこの無線機で2回、現地取材本部に呼び掛けがあり、日本人人質計10人余りと数分間にわたって交信。家族らへのメッセージなどを聞いた。そのあ、無線機の使用を中止した理由については「予備的対話が始まり、解決を阻害することがないように配慮した」としている。

テレビ朝日側は、人見記者が公邸に入ったことについては当時「社として邸内入りは指示していない。現地の報道デスクも知らなかった」とコメントしていた。《共同通信》

3回目の予備的対話

ペルーの日本大使公邸人質事件で、ペルー政府とトゥパク・アマル革命運動(MRTA)は15日、前日に続いて公邸前の民家で3回目の予備的対話を開いた。外交筋によると、保証人とオブザーバーの寺田輝介・日本政府現地対策本部顧問(駐メキシコ大使)が議題案を作成することで合意し、今週前半までに4回目の予備的対話を開いて双方に諮る見通しとなった。

事実上の直接交渉として始まった予備的対話は、MRTA側が強く主張する仲間の服役囚の釈放要求をめぐり議題設定が難航。このため保証人のシプリアニ司教とビンセント駐ペルー・カナダ大使、ミニグ赤十字国際委員会ペルー事務所代表、オブザーバーの寺田顧問の4人が、双方の主張を考慮した妥協案づくりを申し出た。

保証人はトロントの日本・ペルー首脳会談で打ち出された「合意の履行の保証」という性格をさらに拡大、寺田顧問もオブザーバーの立場を超え、仲介者として積極的な役割を担うことになる。議題案が了承されれば、予備的対話は大きく前進し、個別の問題について実質的な話し合いが行われる。

しかし双方が受け入れ可能な議題案の作成は容易でなく、交渉の先行きは依然不透明だ。シプリアニ司教とビンセント大使は、対話終了後「双方は議題設定に関し主張を終えた」との声明を発表し「保証人とオブザーバーはペルー政府とMRTA各代表の承認を得て、対話が容易に継続できるよう提案を準備することで合意した」と述べた。《共同通信》



【公明】橋本首相の退陣迫る

旧公明党の参院議員12人と地方議員で組織する「公明」(藤井富雄代表)は15日午前、都内で第2回全国大会を開いた。藤井代表はあいさつで、橋本政権について「消費税率5%への引き上げなどで国民負担は年間9兆円も増加するが、行政改革や予算削減は全く進まない」と批判。「新進党とともに橋本内閣の退陣を追りたい」として、政権との対決姿勢を強め、新進党と連携して退陣を迫る考えを表明した。

また7月の東京都議選について「自民党に多数議席を許せば、かつての伏魔殿に戻ってしまう」と述べ、公明候補24人の全員当選に全力を挙げる考えを強調した。公明は懸案となっている新進党との合流問題への対応を都議選後に先送りする方針を固めており、藤井氏も合流問題には言及しなかった。

大会には新進党の小沢一郎党首、連合の芦田甚之助会長らが来賓として出席した。全国大会は平成6年12月の結成大会以来で、地方から代議員約300人が参加。午後は、向こう一年間の活動方針案、重要政策案をめぐる質疑を行い、採択の予定。《共同通信》

【自民党・森喜朗総務会長】「橋本総裁再選に協力」

自民党の森喜朗総務会長は15日、秋田県大曲市で講演し、今年9月の自民党総裁任期切れに関し「自民党は総裁選争いをしている暇はない。国を挙げて21世紀の展望を開くような行革をやり、橋本さんに2期目の総裁をやってもらうことが大事だ」と述べ、行政改革を推進する観点から橋本龍太郎総裁(首相)の再選に協力する考えを表明した。

沖縄米軍用地問題で地主約3000人分の使用期限が5月に切れることに関連し「仮に法的措置をしなければならない事態になれば、与党3党内で意見のすき間ができないかと心配している」と、米軍用地特別措置法改正問題の浮上で社民党が自民党との連携を解消するのではないかとの懸念を示した。

森氏は平成9年度予算案について「かんたんに修正はできないが、予算を執行する中で野党の考えを取り入れることは不可能ではない。率直に各党の理解を得られるよう努力すれば、年度内に成立できる」と語った。また行政改革を推進するためには、衆院定数の削減も必要との自説を強調した。《共同通信》

【池田行彦外相】韓国外相と会談

アジア欧州首脳会議(ASEM)第1回外相会議に出席した池田行彦外相は15日夜、シンガポール市内のホテルで韓国の柳宗夏外相と会談した。

両外相は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も黄長燁朝鮮労働党書記の亡命問題について、黄書記本人の亡命意思を尊重し、国際法のルールに基づいた解決に向け、今後も緊密な連携を図るとの認識で一致した。

柳外相は「静かに冷静に忍耐強くやりたい」と強調、事態の長期化も視野に入れながら、中朝関係悪化を懸念する中国の立場に配慮して対応する考えを強調した。《共同通信》

【ナホトカ号重油流出事故】各地で回収作業

ロシアタンカー「ナホトカ」から流出した重油が能登に漂着して1カ月の15日、石川県内は朝から穏やかな天候となり、約半月ぶりに3000人が海岸に出た珠洲市など4市7町で重油回収作業が展開された。

北國新聞社ヘリ「あすなろ」から見た能登の海は本来の美しさを取り戻したかのように映り、油が大量漂着した珠洲市長橋町の海岸も遠目には平常に復したが、岩場の随所にはカッパに身を包んで根気よく油を拾い集める住民、ボランティアの張りつめた姿があった。

この朝、奥能登地方は時折薄日が差し、ヘリもほとんど揺れない程度の微風がそよいだ。見下ろす珠洲、輪島の波打ち際は岩礁が透けてまだらに輝き、ちょうど1カ月前の1月15日以来、赤茶けた重油がどっと押し寄せた場所とは信じられないほど。

もっとも、珠洲市長橋町から輪島市の景勝地曽々木海岸にかけての岩場には回収作業の人たちが途切れず、のどかな光景はどこにも存在しない。道端には回収用の青いドラム缶がぎっしり並べられ、重油の後始末の困難さを物語った。

珠洲市内では14日までに3890リットルと船首部が沿岸に座礁した福井県三国町の1.5倍以上の漂着油が回収され、16日も大規模な回収作業が行われる予定である。

天気図に目を落としたヘリの操縦士が言った。「双子の低気圧が接近している。16日は能登も大荒れでしょう」。つかの間の好天から悪天候に向かい、能登の人々の闘いはさらに続く。《北國新聞》



2月15日のできごと